ぎっくり腰について - アート鍼灸マッサージ
説明
急性腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」は症状名ですので急性の腰痛という症状みを生じさせる原因は一つではなく、いくつかあります。
*:椎間板ヘルニアなど神経症状を伴わない急性腰痛、という前提でここでは話を進めていきます。
・背筋の損傷(肉離れなど)
・椎間関節の捻挫
・靭帯の損傷
・線維輪(椎間板)の損傷 など
などが一般的に認知されている原因として挙げられます。
ここでは筋・筋膜性のぎっくり腰(いわゆる肉離れ*)ではない「椎間関節捻挫」のぎっくり腰について述べていきます。(*肉離れについては、安静で修復を待つ、というのが基本になります。治療をする場合、炎症による筋膜の過剰興奮を鍼で抑えるという程度が適当と思われます。)
椎間関節捻挫としてのぎっくり腰
これは腰椎が作る椎間関節を支える靭帯などに急激な負担がかかり捻挫(あるいは部分断裂)を起こすためだと言われていますが、実際にその場面を押さえた(撮影した)人はいないはずなので有力な仮説の一つ、という位置づけが正しいと思われます。
若い人はなりにくいと言われ、中高年に多く発生することから、加齢や運動不足で腰背部・腹筋群の筋力低下や椎骨の関節・椎間板の変形なども一因になっていると言われています。
ぎっくり腰は誤った場所を下手に鍼などで刺激すると(その部位に直接ぎっくり腰に関係ないコリがあってそれが強く響くようなものであった場合)施術直後、震源地にかかる負担が増して、かえって痛みがひどくなる、ということが起こりうるので震源地の場所がよく分からないまま治療に入るのはリスクがあります。
ですので、患部を適切に鍼で射貫いて筋膜の過剰興奮を不活性化していくということが必要になります。
私自身も(40歳を過ぎて)生まれて初めて経験いたしました。
自分自身のことを割と痛みには強い方だと思っていますが、もう二度とごめんだというほど無茶苦茶痛かったです。
英語圏では魔女のひと突きと表現されるそうですが言いえて妙、しばらく全く動くことができずその場で横に寝るまでに大げさではなく10分以上かかりました。
前日くらいから背中〜腰にかけて疲れた感じがしていたので今思えば前兆のようなものだったのでしょう。
その時点で腰背部の筋群を中心に関連する部位のケアをしておけばもしかしたら避けられたかもしれません。
さて、そのような中、
1つ収穫があった(大きな驚きとともに)のは、自分で後ろに手を回してあちこち鍼を刺して探した結果、震源地が判明したことです。
テキストや様々なインターネット上のサイトなどで一般に説明されている場所と全然違う場所が震源地であった、ということに驚きました。我々の世界ではよく「関連痛」のことが言われますが、この椎間関節性のぎっくり腰も自分でこの辺りが激痛だと思っている部位と実際の震源地は全然違う場所でした。
その後の(特に「季節の変わり目」や寒い「冬の時期」に多く出張依頼を受けます)臨床現場でも同様の結果が得られているのでほぼ間違いないと思います。
一般に震源地として説明されている部位は、見かけ上の「震源地のように感じられる部位」の可能性があります。皮膚の表在感覚と異なり、人間の皮下組織以下の深部感覚はとても鈍いので勘違いが頻繁に起こります。トリガーポイントの関連痛もこのために生じますし、内科疾患でも虫垂炎などはみぞおちの痛みから始まること(そして時間の経過とともに下腹部に移動)が医学的な事実として知られています。