府中市周辺の肩こり、首こり、腰痛はアート鍼灸マッサージへ。近年の筋膜・ファシアについての知見を視野に入れた治療です。

近代化科学・西洋医学の身体観

他述のとおり、筋肉の「こり」は丁寧に治療をしていけば取れ、筋・筋膜性疼痛やトリガーポイントにおける関連痛のような痛みであれば、コリの解消に伴って解消する場合が多いですが、そうはいかない痛みもあるので、その場合は、一つ一つ考えられる原因を探りながらの治療になります。

痛み（慢性痛）やある種の身体症状はとても複雑で、脳の可塑性（＊１）や心因性要因なども影響したり、医療人類学などの分野で紹介れているように文化的影響（＊２）を受けたりすることもあります。

治療は本来的に個々人ごとにオーダーメイド性を有するので、ある人で効果があったからといって一般化することには慎重にならないといけないという制限が不可避的について回ります。

上記のとおり、当院は基本的に西洋医学ベースで考えていますが、この部分については個々人ごとに診ていく東洋医学の考え方に分があると感じています。

医学史・科学史などの本を紐解けば必ず出てきますが、
西洋医学・西洋科学はデカルトの二元論、（ラ・メトリ―の人間機械論も（？））などの考えからスタートしているので基本的な人間モデルは「画一」であることを前提としています。

つまり、私にあてはまることはあなたにも当てはまる、万人に共通している、という人間モデルです。
また、常に一定の状態であるはずだ、という時間軸における一定性も前提になっています。
つまり、朝も昼も夜も、春夏秋冬、通じて同じ状態だ、という考え方です。

もちろん現代医学・科学がこのモデルをそのままの形で継承していることはありませんが、希薄化されていても底流では残存しています。
一番卑近な例では、健康診断で血圧、血糖値などを測りますが、その結果を解釈する際に、日内変動や季節変動、個人の体質などが考慮されることはありませんね。
これは基本的な人間モデルが、誰でも、いつでも、同じ状態であるというものだからです。

この考え方で効率的に治療できる場面も多い（西洋医学の「薬」は画一的人間モデルを前提に大量生産されることで多くの人が利益を享受してます）のは確かです。
個々人で体質が異なるとはいえ、人間である以上、基本的な仕組みはほぼ同一なのでたいていのことは万人共通として処理できるからです。特に健康・元気な時はささいな違いはほとんど意味を持ちません。

しかし、いざ何か異常（肩こり、首こり、腰痛など）が、あるときはちょっとした違いが大きな意味を持ってくることが出てきますので、そのような場合は「画一モデル」が足かせになることがあります。

このようなことから、西洋・東洋医学の両者の考え方を頭において置く必要があると思っています。


（＊１）何度も（急性の）痛みを経験しているうちに、あるいは急性痛が長引いているうちに脳が痛みを学習・記憶してしまうことによると考えられています。漢字を何度も書いているとそのうち覚えるのと同じ仕組みで痛み経験が継続していると痛みの感覚を記憶してしまい、原因が治癒しても感覚だけが残ってしまうということになります。
（＊２）心身の病状がその時代、その文化圏において「ふさわしい」表出方法を取ることがあります。いわゆる「文化結合症候群」のこと。

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