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アート鍼灸マッサージ | 自律神経失調症、腰痛、肩こり | 国分寺市 周辺の鍼灸マッサージ治療です。

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エコー、超音波観察装置を使用して筋膜に鍼治療を行い、肩コリや腰痛を治すイメージ画像

慢性痛について - アート鍼灸マッサージ

エコー・超音波画像でこりの筋膜に鍼を当て腰痛や肩こり、首の痛みを解消している図

「慢性痛」


「痛み」(「慢性痛」)は、何らかの治療に従事する者にとって、とても大事なテーマです。

当然ここで書ききれるようなものではありませんが、現段階で分かっていることについて少し整理してみたいと思います。

ギリシア時代から「痛みは感覚か、情動か?」という議論がなされてきました。

結論的には、「感覚」であり、「情動」でもある、ということになります。
もっともふつうはこの2つは不可分密接に意識に上ってくるので2つを分けて問いを立てる事に、哲学以上の実質的な意味があるのか?と思われるかもしれません。

普通に健康な状態で生きている場合は確かにわざわざ問う意味がないように思われますが、
まれに、乖離した状態が生じます。

例えば、「認知症と痛み」で触れたような、肩こりや、頭痛の治療として行われる鍼やマッサージの際にしばしば聞かれる、「痛気持ちいい」という状態(「痛い」という「感覚」にもかかわらず「快」という「情動」を伴う)が身近な例で挙げられます。


まず、根本的なお話として、
痛みには「急性」の痛みと「慢性」の痛みの2種類があります。

また、生理学的な痛みの経路という視点から分類すれば、やはり2種類、一次痛と二次痛があります。
一次痛は高閾値侵害受容器という組織が伝える痛み感覚で、足をぶつけたり、指を切ったその瞬間に感じる鋭い痛みです。
二次痛はポリモーダル受容器という組織が伝える痛み感覚で、ぶつけたり、切ったりして数秒経つとジーン、あるいはヒリヒリするような、遅れてやってくる痛みです。

急性痛については1980年代に仕組みが解明され、医療系の国家資格を取るための専門学校ではテキストにもしっかり書いてある内容で必ず学ぶことになります。

そして今回の中心テーマである、慢性痛ですが、これは2つに分かれます。
一つは、急性痛が長引いているという慢性痛、
もう一つは、中枢神経系(脳・脊髄)が痛みを学習してしまったことによる慢性痛、です。

前者は一般的にイメージされる慢性痛で、痛みを引き起こしている原因が除去されれば痛みも治る、というものです。肩こりや腰痛で言えば、筋肉の「こり」、筋膜の過敏さ等の異常状態が解消されれば痛みも消える、ということになります。

後者の、中枢神経系の可塑的変化をきたしたタイプの慢性痛は、すでに原因の有無とは関係なく、痛みだけが独り歩きしている状態ですので、原因除去と、痛みが治る治らないは関係ないところにあります。
(このタイプの痛みは1990年代から研究がされ始め、まだ研究の真っ最中という状態で少しずつ分かりかけている段階です。)

このような、近年明らかになってきている科学的な事実を前提に考えると、
慢性痛を(簡単に)治せるかのような宣伝をたまに見かけますが、創造主(神)と同レベルか、無知ゆえの勇者かのどちらかです。残念な思いをして去っている患者さんが多数いるはずです。

さて、
この厄介なタイプの慢性痛についてもう少し詳しく説明させていただきますと、

まず、末梢神経レベルのお話ですが、
ポリモーダル受容器という痛覚を担当する神経(受容器)について近年分かってきた大事な特徴として、感度が変化する性質がある、ということです。
通常はサイレント状態にある(silet nociceptor あるいはsleeping nociceptor 等と呼ばれる、通常はただ存在するだけで活動しない侵害受容器)が、傷など異常が生じ炎症物質に一定期間さらされると、アクティブ・スイッチが入り、ちょっとした刺激でさえ、積極的に「痛み」だとして情報を伝えるようになってしまいます。

本来なら痛くない刺激でも「痛い」刺激として伝えたり、違った場所に対する軽い刺激に対しても反応するようになってしまいます(例: 左ひざが悪い場合、右のふくらはぎを触っているだけなのに左ひざが痛くなる)。

次に、中枢神経(脳・脊髄)についてのお話になります。
急性の痛み刺激に長くさらされているうちに、脳が痛みを学習してしまうということが起こることが分かってきました。字を何度も書いて覚えるように、痛みを何度も経験しているうちに覚えてしまう、ということです。
このタイプの痛みは、学習の過程で様々な他の感覚も取り込んで混線を起こしてしまうようで、
普通なら痛みではない刺激、例えば、触る刺激、気温(温度覚)、気圧、精神的ストレス、交感神経(自律神経)の興奮などでスイッチが入ったりします。

現時点では、特効薬などがない状態です。

(鍼の響きはポリモーダル受容器を刺激していることで生じると考えられますが)、鍼でポリモーダル受容器を刺激することで、中脳中心灰白質などの鎮痛系のスイッチを入れ、痛みや自律神経の失調を改善することが期待されています。


参考『痛みを知る』熊澤孝朗
  『疼痛の理学療法 - 慢性痛の理解とエビデンス』黒川幸雄ほか
  『臨床痛み学テキスト』熊澤孝朗

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