実際の患者様(小平市 在住)の例です。
脳卒中後遺症の方(50歳を少し超えた男性)で体格はとてもよく(筋肉量が多くがっしりされていました)中学生時代、筋肉量が多かったため水泳の授業時、体が浮かずに困った、という事でした。
このようなしっかりしたお身体にもかかわらず、骨折歴がとても多いことを伺い不思議に思っておりました。
なぜ、少しのことで骨折をしてしまうのかその原因が、ある時分かりました。
糖尿病の持病をお持ちだったのです
骨といえばカルシウムが定番ですが、確かに骨の半分はカルシウムですが、残りの半分はコラーゲン組織(タンパク質)でできています。
コラーゲンにカルシウムが絡みついてできている様子は、鉄筋(タンパク質)にコンクリート(カルシウム)を絡めて作られる鉄筋コンクリートに例えられます(*1)。
骨は単純に表現するとカルシウムにタンパク質・コラーゲンが絡みついてできています。
そして、ぶつかったりして衝撃を受けると(雪折れを防ぐ木の枝のように)わずかにたわむことで力を逃がすことで折れることを防いでいます。
(骨粗しょう症(*2)などで運動をするようにアドバイスされますが、運動刺激が骨を強くするのも、運動によってわずかに骨がたわむことがきっかけとなり骨の生成が活発になるからです。
栄養だけを摂取しても運動をして骨が成長するきっかけを作ってあげないと骨の強度を上げることにはつながりにくいと考えられています。)
さて、日本刀は世界の刀剣の中で非常に特殊な構造をしていることで有名ですが、それは二重構造をしているからです。
鉄はその精錬過程で炭素と切り離せませんが、炭素が多いととても硬くなり、炭素が少ないとぐにゃぐにゃと弾性が高くなります。
日本刀は、曲がりやすく折れにくい心金の周りを、硬く鋭いが折れやすい皮金で包むことで両方の良い面を引き出しています。
骨もカルシウムという金属元素の硬い要素とタンパク質(コラーゲン)という柔軟性の要素をうまく組み合わせ、日本刀と似た仕組みと言えるのではないかと思います。
そしてここで糖尿病ですが、
糖尿病になって血糖値がコントロールされないまま長期間経過してしまうと、骨の内部に、血液が運び込んだ糖分が溜まり込んで硬くなり過ぎてしまうようなのです。その結果、固くなりすぎてしまいます。
まさに「千歳あめ」をイメージすると分かりやすいです。わずかな衝撃でぽきんと折れてしまいます。
血圧や血糖値は高くてもそれ自体では自覚症状がないので放置されがちですが、血液は全身をめぐるわけですから骨折という一見関係のない病症とも関係をするのだということを教えられた事例でした。
(*1)したがって、栄養面からは、骨粗しょう症を予防するためには、カルシウム摂取により骨量(=骨密度)を増やすことと、タンパク質(=コラーゲン)摂取により骨質を高めることが重要です。