紙幣で買える時間なら、
買わない道理はないでしょう?
明滅する蛍光灯。
呼吸を止めた路地裏の
螺旋を降りたその先に、
両開きの重い扉。
音は空気の振動で
私の肌を震わせる。
白鍵を滑るその指に、
私も奏でられたいのです。
あなたが好む猛毒を
一口飲めば六度九分。
剥がれかけた売り文句。
音は空気の振動で
私の肌を震わせる。
黒鍵を駆けるその指に、
夜な夜な奏でられたいのです。
煙る視界。
アイスキューブ。
グラスの端の金のレモン。
夜は真紅の衝動が
私の肌を湿らせる。
そう、私は女。
誰よりもあなたに酩酊したいのです。
今年の夏に『これからデビューする歌手に、昭和レトロってテーマで詞を書いてみない?』とかそんな作詞賞がありまして、それに応募したものでやんす。
これまた、手直ししてリサイクル。
こちらは一次選考を通ったとのこと。二次には通らなかったけど。
しかしな、胡散臭い。やっぱり、胡散臭いのじゃよ。
前回(花咲かGIRLの時)とは主催社が別なんだけど、やってることはだいたい同じみたいで、またも有料登録を持ちかけられたのです。しかも、当の新人歌手はいまだにデビューしてないっぽい。これはまた――。
とは言え、今回は疑わしいばかりじゃありませぬ。
歌手本人は実在しているみたいだし、主催社のホームページも絶賛稼働中。それによると、他のタレントやアイドルは元気に活躍している模様。
じゃあ、これからなのかなぁ。で、前回の会社は潰れちゃったのかなぁ。経営がうまくいかなかったのかなぁ。世間、よくわかんねぇなぁ。
そんなこんなで、やっぱり、おかしな境遇を負ってしまった一編。
行ったこともないジャズバーらしきもの(ライブハウスでもいいかも知れない)を書いてみたんだけど、どう? 当たってる?
と申しますか、そもそも、ジャズバーって昭和レトロ? そこからして外れてる?