ロゴマーク。

滲む熱帯夜

2007年08月07日投稿

ホーム > 創作文章 > 滲む熱帯夜

咲いては散る
花火のようにはなりたくなくて、
二人、抜け出した川べりの道。
遠く弾けた音さえも、
互いの吐息が掻き消した。

咲いた季節を信じていた私を、
まだ覚えている?

剥がれない生々しい温もりが、
今夜も私を押し潰す。
「全て忘れてしまえばいい」と、
かけた願いに紫陽花も嗤う。

結い上げた髪、
あの日のように撫でる手が欲しくて、
独り、紛れ込んだ雑踏の中。
染まる夜空も仰がずに、
いるはずのないあなたを捜した。

咲いた季節はいつだって、
私を残して逝ってしまう。

行き場のない汗ばむ首筋が、
今夜もあなたを求めて疼く。
「いっそ、雨でも降ればいい」と、
かけた願いに紫陽花も嗤う。

咲いた季節は飽きもせず、
いつかの想いを駆り立てる。

逃げられない箱庭に囚われて、
今夜も何も変わらないまま。
拭えない染みになるあなたと、
今夜も見慣れた胡蝶の夢を。
「それでも、季節は巡ってくる」と、
こんな私を嗤うのでしょう?

実はこれ、高校2年生の時(約2年半前)に書いたものが元になってましてね。
その当時は、友達が適当に出すお題に沿って、詩を書いておりました。
で、これは『あの夏の思い出』というお題で書いたもの。
完成品を友達に見せたところ、
「いや、『夏の思い出』ってくらいだから、もっと爽やかなのを書くと思ってたのに……」
なんて、言われたのを覚えております。
いやいやいや、僕にそんなものを期待するでない。
当方、どろどろした失恋話しか書けないことで、有名(有名?)ですよ?

そんでですね、その約2年半前に書いたものを、約1年半前に加筆・修正いたしまして、それ以降、忘れていた、と。
いや、忘れていたと申しますか、去年は『夏の終わりの天気雨』があるから、いいかなぁ、なんて。
じゃあ、次の夏まで温存しとこうかなぁ、なんて。
要するに、出し惜しみです。
もっと言えば、遅漏ですごめんなさい。

『出し惜しみ=遅漏』という無理矢理な展開に、自分でも軽く違和感を感じなくもないんですけれど、それは置いとくとして……。
あっ、見直してみたら、『夏の終わりの天気雨』のところにも、『出し惜しみ』とか書いてありますねぇ。
ま、まぁ、出し惜しみは癖ということで、一つ。
遅漏も癖ということで、一つ(またも、強引)(でも、あたし、強引な人も嫌いじゃない!)(いや、ほんと、ごめんなさい)。

ちなみに、最初にこれを書いていたのも、書き直しをしていたのも、真冬なんですよね。
12月とか、1月とか、2月とか。
どういうわけか、冬場に夏の話を書いてることが多い僕。
Please give me 季節感。

ホーム > 創作文章 > 滲む熱帯夜

メール

piiju♪zpost.plala.or.jp

上記のアドレスの♪を、@に書き換えて送ってくださいませ。

ウェブ拍手

掲示板もメールも恥ずかしいという、シャイなあなたはこちらをどうぞ。

ページ最上部に戻るボタン。