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隣の女は赤い

2007年07月04日投稿

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「つまり、アレだ。『I wish I were a bird』とは何ぞやって話だ」
「『私が鳥だったらいいのになぁ』でしょ? あんた、そのくら――」
「鳥になって、どうすんのよ? 『大空を自由に翔回りたい』ってか? 『いざ、地平線の向こうまで』ってか? 片腹痛いわっ!」
「また、何を言い――」
「あいつら、弱肉強食の世界で、必死に生きてんのよ? ねぇ、わかる? 毎日が生命の瀬戸際なの。その恐怖も知らずに、平和ボケした現代人どもが、何を勝手にほざいておるか。鳥だって大変なんだぞ、おい。動物界、ナメんな」
「確かに、一理あるけ――」
「人間のエゴって、こーゆーとこに浮き出てくるのよね。嫌だわぁ。信じらんない」
「…………。とりあえず、焼き鳥を食べながら言う台詞じゃないと思うんだけどなぁ」
「ん? あぁ、コレか。だから、こいつらはあたしに負けたのよ。おいしい体してるくせに、油断すんのが悪い。所詮、この世は弱肉強食。人間界、ナメんな」
「……、エゴかぁ」
「やっぱり、軟骨は塩だよね、塩」
「……、エゴねぇ」
「コレがまた、ビールに合うんだ。いやぁ、んまい」
「…………」
「間違っても、鳥にだけはなりたくないね」
「このエゴめ」

『生まれ変わったら、何になりたい?』という合コンで定番の質問(いや、知りませんけど)の回答、『鳥』が大人気のような気がします(いや、知りませんけど)(早くも2回目)。
あと、『お前って、悩みがなさそうで、いいよなぁ』とか、のたまう人もよくいます(こちらは経験済み)。
もうね、どの口で、んなこと言ってんだっつーの!
その口、あたしの口で塞いでやろうかっつーの!
お望みとあらば、舌で塞いでやろうかっつーの!
むしろ、下(半身)で塞いでやろうかっつーの!

いやね、こんな風に他人のことを羨めるっていうのは、相手の事情を細部まで考えていないことに他ならないのですよ。
どこへ行こうと、何をしようと、この世は厳しいものですし、この現代社会において、悩みのない人間なんて、いないでしょう? ねぇ、そうでしょう? 『そうだ』って言ってよ、ノブアキ!(誰?)

きっと、それは動物も一緒で、野生だろうと、人間に管理されていようと、大変なことに変わりはないんじゃないのかなぁ、と。
福沢諭吉も、『心訓七則(我が家のトイレの壁に貼ってあります)』の中で言ってます。
『世の中で一番醜いことは、他人の生活を羨むことです』
とかく生き苦しいこのご時世ですが、自分を受け入れていくしかないんですよー、とか、そんなインテリぶりっ子。
って、調べてみたところ、『心訓七則は福沢諭吉が書いたものではない』との情報が。
えっとぉ、えっとぉ……。

ちなみに、わたくし、軟骨の塩とか、食べたことがありません。
『通とまではいかなくても、これを頼めば、『おっ、こいつ、なかなか粋だねっ!』ってなる焼き鳥のメニューは何?』と、友人知人十数人に訊いた結果がこれでして。
他には、『砂肝』とか、『皮』なんてのが票を集めてたのですけど、軟骨には敵いませんでした。
軟骨ねぇ……。おいしいのかしら?
僕は、ねぎまのタレばかり食べております。
だって、ほら、何てったって、坊やだからさ(ガンダムファンでもないくせに、このオチ)。

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