「はぁ……」
「溜め息つくと、幸せ逃げるよ?」
「あぁ……、それは違うね。幸せが逃げていくからこそ、溜め息をついてしまうわけさ」
「なぁに? 男にでも逃げられた?」
「……、知ってるくせに、訊かないでくれない?」
「あはは、ただの嫌がらせよ」
「なっ、お前、この――。どーせっ! どーせ、あたしなんてさっ! はぁ……」
「だから、溜め息つくと、幸せが逃――」
「うるさいなぁっ!」
「あはははは」
「…………」
「たーのしー!」
「はぁ……」
何を隠そう、僕、溜め息が癖になってましてね。
ほんと、これでもかってくらい、溜め息をつきます。
学校で隣の席になった子から、
「調子でも悪いの?」
なんて、心配されたり、
「お前、7分に1回ペースで溜め息ついてるよ?」
なんて、うるさがられたりするほど。
他にも、食卓で母親から、
「あたしの料理に文句でもあんの?」
なんて、すごまれるほど。
既に小学生の真ん中の頃には、こんな調子だった覚えがありますので、もう10年くらいは溜め息をつき続けている計算になります。
そこで、この『溜め息をつくと、幸せが逃げる』という話です。
もう、説教のように聞かされてますよ。
お前ら、情報が古いっつーの。
そんな話、知ってるっつーの。
たまには、斬新な話をしてご覧なさいっつーの。
ということで、そのたびに、上記のようなことを言ってやるわけですよ。ここぞとばかりに。
たいていの場合、『このひねくれ者め!』みたいな顔をされますけども。
いや、でも、こんなことを言ってるからって、当方、不幸なわけではございません。
むしろ、結構な幸せ者のつもりです。
でも、『幸せが逃げるから、溜め息をつくんだ』とか言ってみたりするわけで、まぁ、何と申しますか、つまりは、ほら、アレですよ。
僕、ひねくれ者なんですよごめんなさい。
とにかく、『溜め息をついちゃってる子には、優しくしてあげてくださいね☆』とか、そんなお姉さんからのお願い(ごめんなさい)。
『幸せが逃げるから、溜め息をつくんだ』的な主張をするひねくれ者には、特に。
と申しますか、そもそも、わずかに開いた唇から、悩ましげな吐息を漏らしている子がいたら、優しくしてあげるのが人としての道理というもんじゃなかろうか!
なぁ、君もそう思うだろう!(いや、ほんと、ごめんなさい)
あと、本編より、こっちの方が長くて、ごめんなさい。あーもー。