心のふるさとを求めて
真宗大谷派(東本願寺)正 覚 寺
思 索 十五号(2000年11月) |
先日、茨城県にある浄土真宗ゆかりの土地を訪ねようと、一泊二日の日程を組みました。宿泊先が茨城県でも北部になる袋田の滝の近くで、かなり時間がかかるかなと思ったのですが、最近は高速道路網が整備されており、順調に行程をこなすことができました。
今回は、親鸞聖人が実際に歩いたであろうと思われる道を訪ねてみたいと気持ちもあって立ち寄る所を考えたのですが、ほとんど案内表示がなくて、目標を探すのにはかなり苦労しました。
私たちは、車でサッと走っただけなのですが、地図でみてもかなりの距離があり、私には同じことはできないなという頭の下がる思いと、親鸞聖人の精力的な動きが目に見えるような気がしました。
宿泊したのは公共の宿だったのですが、余暇活用センターの名前がついているとおり、かなりゆとりをもったスペースで造られており、周りも静かで同行した方たちもゆっくり休まれたようです。
如信上人は親鸞聖人の孫にあたり、浄土真宗では二代目に数えられる方ですが、如信上人の墓所も宿泊先から近いところにあったので、お参りさせていただきました。そこも、市街地からはかなり奥に入ったところで、山間の集落の静かなところでした。
横浜市内とは違って車もほとんどすれちがうこともなく、また、遠くまで見渡せる風景の中を車で走っていても、時間がゆっくり流れているようです。
横浜に帰ってきてからも、なぜかそんな風景がなつかしく思い出されます。何なのだろうかと、それからずっと気にはなっていたのですが、そのまま時間が過ぎてきました。
今、そのことを思い直してみると、自分ではそんなふうには感じていなかったのですが、自分自身がいつも何かに追われるようにやってきたような気がします。
どこかで立ち止まって、考える時間が必要なのではないか。周囲のせいにするのではなく、それは自分自身の問題なのですが、やはりゆっくり考える時間を自分で作ってこなかったと思います。いつも先のことを考えて走ってばかりいないで、歩きながらでもひとつのことをじっくり考えることが、今の私には大切なことだと思われてきました。
親鸞聖人や先達の歩まれた道から、そのようなことを感じさせていただきました。
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