平成27年9月

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- 稲作について -


第一章 無農薬・無化学肥料の稲作


アイガモ農法
 さて、まず最初に最初に取り組んだ「無農薬・無化学肥料」による稲作について話をしていきたいと思います。私が最初に取り組んだのは「アイガモ農法」でした。

アイガモ農法の田んぼ
平成16年 加美町小野田にて

 この農法は、平成10年から15年まで取り組んだのですが、その内容を説明しますと、田植えが終わったら田んぼに柵を張り巡らし、そこにアイガモの幼鳥を放し飼いにします。放し飼いにされたアイガモの子供たちは田んぼを自由に泳ぎ回りますが、その際に水掻きのついた足で田の土をかき回しますから、それが水を濁らせ、そして水底の土に光りが届くのを邪魔します。その結果、雑草の発芽は抑えられます。さらに発芽してたての雑草も鴨の水掻きで掘り返されるので、土に根を張り難くなります。それでも成長してくる雑草は鴨に食べられますから、そういった生態により雑草は抑えられ、除草剤なしでも稲作ができる、といった理屈が「アイガモ農法」の無農薬理論になりますでしょうか。また田んぼで戯れる鴨は、糞もしますから、それが肥料にもなるようです。

 このようなアイガモ農法は「農薬を使わない稲作」にとってはまことに画期的なもので、現在でもこの農法に取り組む農家は多くいます。ただしこの農法には課題もあり、田んぼの鴨が野犬や狐に襲われることがしばしばあります。この対策としては田んぼに巡らす柵を大きくして丈夫にする必要がありますが、そうすると今度は、その柵の費用が嵩んでしまうので、このあたりが課題になるようです。


冬水田んぼ
 アイガモ農法は6年間続けたのですが、私のところも野犬や狐の被害が多くなり、難しくなってきました。周囲に自然が多いので狐も結構いたんですね。

冬水田んぼの状況
平成16年1月

 一度鴨の味を覚えた狐は、見事な跳躍で柵を軽々と飛び越えて田んぼに入ってきます。時には親狐の監督のもと、小狐が狩猟の練習場所にとアイガモ農法の田んぼを利用しているようで、それはそれで微笑ましい親子愛とも感じますが、しかし、食べられる鴨はたまったもんではありません。そして、なにより私のほうがそんな寛大な気持ちをいつまでも抱いていられないのが本音です。なんといってもかあちゃんの目が厳しかったりしますからね。

 こんなことで、アイガモ農法は平成15年頃にはほとんどやめてしまったのですが、その次に取り組んだのが「冬水田んぼ」という農法です。この農法は通常は田んぼに水を入れない11月~4月頃に田んぼに水を入れ、そして白鳥や鴨、雁などの水鳥を田んぼに呼び寄せて行う農法です。こういった水鳥は雑草の根っこを食いちぎったり、また糞が肥料になるとも言われ、いわば「自然」のアイガモ農法とも言えますが、これは副次的な効果なようで、大きな効果は冬期~春期という長期間に渡って田んぼに水を入れておくことで、田んぼの土を変化させることにあります。

 長期間の湛水により性状が変化した土は、雑草を抑えたり、養分が高まったりといった有機栽培にとって良い効果が発現され、これが「冬水田んぼ」の大きな効果のようです。
私の地域にはあんまり水鳥は飛んでこないのですが、それでも「冬水田んぼ」が土の性質を変化させていき、平成15~17年までは、この農法を継続していました。「冬水田んぼ」を行った夏の田んぼは農薬を使わず、そして土の性質が変化することで、たくさんの生き物を育むようです。

 トンボとか、イナゴとか、カエルとか、そんな生き物がたくさん田んぼに増えました。そして、今度はそういった小動物を狙って鳥が集まってきますから「冬水田んぼ」の生き物は大変賑やかです。しかも、鳥や昆虫が増えると、それを見に子供達も田んぼに集まりますから、楽しいですね、「冬水田んぼ」は。


無肥料栽培
 さて、冬水田んぼと合わせて、もう一つ、より自然に近づけるために私は「無肥料栽培」という稲作も試してみることにしました。これは田んぼに肥料を投入しない稲作で、無農薬・無化学肥料栽培ならいざ知らず、有機肥料さえ投入しないわけですから、他ではあまり行われることの少ない農法です。

無肥料田んぼの稲
平成18年7月

 このような農法を行うと考えたのは、田んぼ以外の場所から田んぼに何かを投入するのが、あまり自然なことに感じられなかったためです。例えば、自然の原野、森林、そういった場所に育つ草木は人が肥料を与えずともたくましく育っているわけで、もしかしたら田んぼにもそんな力が備わっているのではないかと、そんな考えが根底にありました。
 そして冬水田んぼを行っていると、だんだん土が変化し、肥えてきますから、そういった変化を観察することでも、無肥料栽培に対する確信を抱かせるものがあります。



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