江戸の女・ページ9

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浮世絵の中の女たち・前期

江戸時代の初期は前代の戦国の豪壮武勇の気質が武家だけでなく町人にも武張ったもの、奇矯なものが好まれ、小袖の模様なども華麗で大柄のものが流行しました。しかしこの流行は武家や一部の裕福な町人たちの間に限られたもので、一般庶民は長い続いた戦乱による貧窮のため寒さを防ぐのが精一杯で、およそ流行とは無縁でした。


 ■寛永頃(1624〜)


「彦根屏風」より 作者不詳 


これは屏風絵で浮世絵とはいえないのですが、参考に載せました。
江戸時代初期の遊女の図です。 小袖の柄は当時流行した鹿子しぼりの雪輪紋で、髪は兵庫髷に結っています。 袖は袖口の下の方が薙刀(なぎなた)の刃に似た曲線をもつ薙袖(なぎそで)と呼ばれるもので、これをさらに長くしたものが「振袖」です。

 ■寛文〜元禄期(1661〜1704)


「見返り美人」より 菱川師宣


切手でもおなじみの絵です。 立ち止まってふと後ろを振り返る姿を描いています。 髪型は背中に垂らした髪を丸めて元結と簪で留めた「玉結び」、前髪は平元結(ひらもつとい)で結んでいます。帯の結びは「吉弥結び」です。

 ■宝永〜正徳(1704〜1716)


「遊女聞香図」より 宮川長春


肩と裾に友禅染めで菊花模様が描かれています。これは桃山から江戸初期の「肩裾」文様の流れをくむものです。肩と裾の間には梅花の重ね丸文が施され、帯は巾広の弁柄染めの扱きを大きく前で結んでいます。元禄から享保頃までは櫛や簪も派手ではなく、この図では髷をくずしたあとに前髪の結び目に揃いの鼈甲櫛と平打を挿しています。

  ■享保・元文(1716〜1741)


「時計と美人図」より 西川祐信


鴎髱(かもめづと)または鶺鴒髱(せきれいづと)と呼ばれる(たぼ)と細身の薄い髷、鼈甲の二枚櫛。 これは十八世紀前半の遊女の特色を表しています。白地に松葉菱を散らし、中は鹿の子絞りです。余白には菊花の柄が描かれています。帯幅はまだあまり広くなく、結びは引っかけ結びです。

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