血液型統計について教えてくださいという要望があったので、せっかくの機会ですので書いておきます。統計学全体ということになると大変なのですが、血液型で使う統計は計算の方法は決まっています(だって、ABO式血液型は4種類しかありませんから…)ので、割と簡単に計算できます。電卓を使うのが面倒な人は、手持ちの表計算ソフトを使うと簡単です。ぜひやってみてください。 -- H10.8.22
まずその前に、日本人の血液型分布についてのデータが必要です。能見さんをはじめとして、一般的に使われているのは、古畑種基さん(故人)によるデータです。最近のデータでは比率が少し(といってもコンマ以下)が違っているものもあるようですが、とりあえずはこのデータを使うことにします。
調査人数 O型 A型 B型 AB型 115万人
30.7% 38.1% 21.8% 9.4%
最近のデータは献血によるものだと思うのですが、古畑さんのデータよりA型が少なくAB型が多くなっています。単なる偶然なのか、調査年代・対象によるものなのか、それとも献血に対する態度の違いなのかはなんともいえません。 -- H10.8.22
血液型統計はほとんどがχ2検定(「χ2」は「カイ2乗」と読みます)を使います。つまり、これさえ覚えていればほとんどに対応できることになります。
【注】 上の文章にはあまりにも質問が多いのでがありましたので説明をしておきます。普通に統計を使う場合は、もちろんχ2検定だけで「ほとんどに対応できる」ということはありません(笑)。しかし、実際にデータに当たってみた人はわかると思いますが、ほとんどχ2検定だけで対応できることは事実です。本当の理由は、データを取った心理学者にでも聞いてみてください(笑)。 |
それでは、理屈はあと回しにして、とにかく計算してみましょう。データはなんでもいいのですが、能見さんの『新・血液型人間学』から昭和53年4月現在の衆議院議員のデータを取り上げます。
区 分
O型 A型 B型 AB型 人数 日本人の平均 30.7% 38.1% 21.8% 9.4% 115万人
衆議院議員(S53.4) 36.0% 30.9% 18.3% 14.8% 453人
赤は多め、青は少なめの傾向
次のステップで計算します。
区 分
O型 A型 B型 AB型 人数 1a 衆議院議員の比率 36.0% 30.9% 18.3% 14.8% 453人
1b 衆議院議員の人数 163人 140人 83人 67人 453人
2a 日本人の平均 30.7% 38.1% 21.8% 9.4% 115万人
2b 期待値 139.1人 172.6人 98.8人 42.6人 453人
3 血液型別の値 4.12 6.15 2.51 14.00 −
χ2の値=(139.1-163)2/139.1+(172.6-140)2/172.6+(98.8-83)2/98.8+(42.6-67)2/42.6=4.12+6.15+2.51+14.00=26.79
→端数の関係で少し誤差が出ています
どうです? 簡単でしょう? 最後に、この値をχ2の表と比較すればおしまいです。
表A χ2の表(4つの血液型)
危険率
0.99 0.95 0.90 0.50 0.25 0.10 0.05 0.02 0.01 0.005 0.001 χ2の値 0.12 0.35 0.58 2.37 4.11 6.25 7.82 9.84 11.34 12.84
16.27
χ2の値は26.79ですから、危険率(偶然にそういう値が出る確率)は0.001(=0.1%)以下です。つまり、単なる偶然では、こういう結果は1,000回に1回も出ないのです。一般的には、危険率は5%に取りますから、0.1%以下というのは十分過ぎる値です。
結局、昭和53年4月現在の衆議院議員はO型とAB型が多く、A型が少ないということが実証されたことになります。
-- H10.8.22
[「『一般的な意味での国会議員』の議論 (と思われるような表現)は、するべきではない」という指摘があったので(みなさんからのメールNo.252)、本文中の「衆議院議員」を「昭和53年4月現在の衆議院議員」に訂正しました。 -- H11.10.25]
でも、やっぱり面倒だというあなたに、「初級編−人数の比較」の計算をするプログラムを作ってみました。本当にお遊びですが…。
4つの血液型の人数を入力すると、血液型別のパーセント、χ2値、そして危険率を計算するというごく単純なプログラムです。本当にこんなの使う人いるのかな?(え、それなら作るなって…f(^^;;)
ダウンロードしたら、適当なディレクトリにコピーして、[スタート]メニューの好きなところに登録してください。
Windows 95/98/NT4.0上で動作するはずです。要望があれば、中級編1&2も作りますが…。 -- H10.8.25
初級編では、特定の職業などの人数を比較する場合を取り上げました。しかし、アンケートの質問を分析する場合にはこの方法は使えません。では、こういう場合にはどう計算すればいいのでしょうか? 実は、ちょっと計算が面倒になります。
今度は、大村政男さんのデータに当たってみることにしましょう(大村政男 「血の商人」の餌食になるなデタラメぶりは立証された 『朝日ジャーナル』 昭和60年3月8日号 89〜92ページ)。彼は、O型の性格としてあげられている8つの特徴を各血液型の人に自分に当てはまるかどうか質問してみたそうです(表IV)。
表IV O型の特徴といえるものがあるのか(%)
項 目
O型
115人A型
216人B型
104人AB型
45人1.現実的な考え方が目立つ 54.8 57.8 63.5 55.6 2.ロマンチストである
65.2 68.5 66.3 75.6 3.集団的な結束力が強い
60.6 50.0 51.9 53.3 4.独立心旺盛
49.0 51.9 60.6 55.6 5.仲間内では開放的
82.6 75.5 79.8 68.9 6.初対面では警戒する
58.7 58.3 58.7 62.2 7.論理を好む
39.4 34.7 36.5 33.3 8.直感で判断しやすい
61.3 64.4 71.2 60.0
赤が一番高い比率です。これも、結論として、3.5.7の3項目だけが他の血液型より高い値を示しているが統計的には意味がないと締めくくっています。本当にそうなのでしょうか?
次のステップで計算します。例として、「5.仲間内では開放的」を取り上げます。
1. 「はい」と回答した人数を血液型別に計算する
区 分
O型 A型 B型 AB型 人数 1a 回答者数 115人 216人 104人 45人 480人
1b 「はい」と回答した割合 82.6% 75.5% 79.8% 68.9% 372人
1c 「はい」と回答した人数 95人 163人 83人 31人 372人
2. 「はい」と回答した割合の平均を計算する
「はい」と回答した割合の平均=372人/480人=77.5%
3.
平均により予想される人数(期待値)を計算する→小数点以下まで計算します
4.
各血液型の(3の人数−1cの人数)を2乗して3の人数で割ります→(3の人数−1cの人数)2÷3の人数
区 分
O型 A型 B型 AB型 合計 3 期待値 89.1人 167.4人 80.6人 34.9人 372人
4 血液型別の値 0.39 0.12 0.07 0.43 1.00
5. 血液型別の4の値を合計します
合計1=(89.1-95)2/89.1+(167.4-163)2/167.4+(80.6-83)2/80.6+(34.9-31)2/34.9=0.39+0.12+0.07+0.43=1.00
→端数の関係で少し誤差が出ています
これでχ2の値を見ればいい…というわけではありません。面倒ですが、「いいえ」と回答した人数にも全く同じ計算をする必要があります。具体的な計算は省略して結果だけ書いておきます。
合計2=1.33+0.40+0.25+1.48=3.46
6. 5で計算した2つの値を合計します→これが求めるχ2値です!
χ2の値=合計1+合計2=1.00+3.46=4.47
→端数の関係で少し誤差が出ています
どうもお疲れ様でした。アンケートの質問を分析する場合は、こんな感じで少々面倒なことになります。
おっと、危険率を計算するのを忘れていました。χ2の表を見てみると残念ながら25%以下です。つまり、5%以上ですから、O型は「仲間内では開放的」とはいえないことになります。残念!
-- H10.8.22
初級編と中級編1では、血液型が4つの場合だけを取り上げました。しかし、ある血液型と別な血液型を比較する場合はどうすればいいでしょうか? この場合は、別な表が必要になります。
表B χ2の表(2つの血液型)
危険率
0.99 0.95 0.90 0.50 0.25 0.10 0.05 0.02 0.01 0.005 0.001 χ2の値 0.00 0.00 0.02 0.46 1.32 2.71 3.84 5.41 6.64 7.88
10.83
試しに、初級編のデータを再計算してみましょう。O型とそれ以外に分けてみると…
区 分
O型 O型以外 人数 1a 衆議院議員の比率 36.0% 64.0% 453人
1b 衆議院議員の人数 163人 290人 453人
2a 日本人の平均 30.7% 69.3% 115万人
2b 期待値 139.1人 313.9人 453人
3 血液型別の値 4.12 1.82 −
χ2の値=(139.1-163)2/139.1+(313.9-290)2/313.9=4.12+1.82=5.94
χ2の値は5.94ですから、危険率は2%以下です。つまり、衆議院議員はO型が多いということになります。
なお、アンケートの分析についても同ように計算できます(もちろん、「はい」と「いいえ」と回答した両方について計算します)。
-- H10.8.22
では、こういう場合はどうすればいいでしょうか? 例えば、渡邊席子さんの論文には、こんなデータがあります。
Table 1 個々の知識問題正答率と調査対象者の血液型との関連(抜粋)
性格特性
全体での正答率
(n=102)本人の血液型
での正答率A型特性 礼儀正しい
.569 .684 n=38 内向的で、問題を自分の中だけで解決する
.402 .658 n=38 協調性がある
.392 .474 n=38 思慮深く、物事に対して慎重な態度をとる
.667 .842 n=38 責任感がある
.441 .605 n=38 本音よりも建前を重視する方である
.510
.658 n=38 感情が豊かで、繊細である
.324
.368 n=38
この場合は、A型とそれ以外に分けて再計算することになります。全体で「はい」と回答した人数からA型以外で「はい」と回答した人数を逆算すれば、中級編1&2と同じ方法で計算できることがわかるでしょう。計算は省略して、結果だけ書いておきます。
-- H10.8.22
性格特性
本人の血液型
以外での正答率本人の血液型
での正答率χ2 検定結果 A型特性 礼儀正しい
.500 .684 3.30 p<0.10 内向的で、問題を自分の中だけで解決する
.250 .658 16.50 p<0.001 協調性がある
.344 .474 1.69 - 思慮深く、物事に対して慎重な態度をとる
.563 .842 8.39 p<0.005 責任感がある
.344 .605 6.61 p<0.05 本音よりも建前を重視する方である
.422
.658 5.31 p<0.05 感情が豊かで、繊細である
.297
.368 0.56 -
黄色 は危険率10%以下 赤太字は危険率5%以下
今回は入門ということで、必要最低限の計算方法について書いてみました。とりあえずの計算はこれでOKなはずです。
しかし、このページでは理論については全く解説していませんし、細かい注意事項についても書いてありません。これから血液型の統計分析をやる人は、統計学の教科書もぜひ読んでみてください。とりあえず、χ2検定のところだけで十分ですから、割と簡単に理解できるはずです。
では、皆さんのデータがちゃんと差が出ますように! -- H10.8.22
とある心理学の解説書を読んでいたら、中にその出版社の広告が入っていました。
少し眺めていると、心理学統計(データ解析)のテキストが何冊かあります。そういえば、心理学者の統計の解釈はどうも腑に落ちなかったなぁと思い、試しに何冊かを読んでみることにしました。
本の内容はもちろん真面目なものですが、中の質問に大笑い(服部環・海保博之著 『Q&A心理データ解析』 福村出版 H8.2 8ページ)。
最初の質問は、「データ解析と一口にいっても、漠然としてピンときません。この本ではどのような意味で使っていこうとしているのかをはっきりさせてください。また『データ』という意味の言葉の意味も明確にしてください。」です(笑)。また、12ページには「人間を対象とする心理教育研究で、どうして数値データの解析が必要になるのですか。」というのもありました(大笑)。冗談としてはよくできています。
私の答えです。最初は「だから勉強するんでしょ!」、次は「必要だから勉強するんでしょ!」です(笑)。
しかし、少し経ってから、それこそ冗談でないことに気が付きました。まじめな統計の本の最初に冗談を持ってくる人はいません。つまり、あまりにも多く質問されたのでわざと最初に書いてあるのでしょう。つまり、こんな学生は決して例外でないと…。こう考えるしかありません。
となると、かなりの数の心理学専攻の学部生は、統計が(全く?)チンプンカンプンであることになります。実は、メールやHPを読むと確かにそうなのです(失礼!)。
では、大学院生はどうか? これも怪しい人が結構います。下手すると、教授・助教授クラスでもかなり怪しいようです(失礼!)。
はっきり言って、私の統計学の知識は学部の教養クラスです。(^^;;
ですから、今まで私は、否定論者は統計学を分かっているけれども、(血液型を否定せざるを得ないので?)わざと妙な解釈をしたり無視したり論理が矛盾したり、あるいは分からないフリをしているのだと信じていました。大学院生や教授の統計学の知識が、学部教養クラス以下(つまり私です!)と考えるのはあまりにも非常識ですし、第一失礼ですからね。:-p
しかし、このテキストを読むと、本当に分かっていないのではないかと思えるようになってきました。そこで、あわてて心理学関係のカリキュラムをチェックしてみました。最近はインターネットがあるので、こういうときは非常にラクです。
結果は私の推測を裏付けるものでした。心理学関係の講座では、調べた限り「まとも」な確率・統計の授業はしていません。あの単位数で確率・統計がわかるなら非常な秀才でしょう。少なくとも、私ではまず無理です(苦笑)。教養科目は詳しくチェックしていませんが、センター入試以降あまり数学をやっていない学生(心理学は「文系」です)が、あの程度の専門科目だけでまともに理解できるとは到底思えません。
少し詳しく言うと、社会心理学以外ではほとんど確率・統計の授業はありません。つまり、社会心理学者以外は確率・統計がわかりません。で、本や論文を読むと、確かにその通りなのです!
これで、否定派の論文を読むたびに「どうもおかしい」と感じていた2年越しの謎が氷解しました。でも、こんなことを公表されるのは、心理学者にとってはとっても不愉快なことに違いないでしょう。:-p
ついでにいうと、どうやら論理学の授業はどこにもないようなので(プール代数がある場合はあるようですが)、確かに論理がおかしい人が多いようです。ちなみに、多変量解析は基礎がなくて応用だけで、これもなるほどです。それから、計算はパソコンにやらせるので、その数字の出た根拠を聞くとお手上げになる人が多い感じです。
以上は、単に私の推測ではありません。例えば、山内光哉さんの『心理・教育のための統計法<第2版>』(サイエンス社 H10.11)の1ページには、
およそ統計学(法)ほど誤解に満ちた学問(方法)はない。統計学(法)というと,単に数量を集積するにすぎない領域とみられたり,また,何か高等な数学を扱う,素人には近よりがたい学問と考えられたり,また,「統計でウソをつく法」というたぐいの本が現れているように,数値をあやつって,人をまどわす方便と考えられたり(または,まどわすことができると考えたり),また,統計的検定にかけた,といえば,それだけで結果を絶対視したりする。あるいはまた,心理・教育の論者の中には,人間の教育や心理のことは,どんなに数値化してもわかるものではなく,したがって処理方法として統計学などはまったく必要はないか,邪道であると考えるものすらある。
と書かれています。冗談かなとも思うのですが、真面目な本なので本当だと信じるしかありません…。
ここでちょっと補足しておきましょう。
以前私は、論文や本を書いている人(と審査している人)が間抜けなだけで、反論のメールを送ってくるような人(あるいは私と議論した人)は「まとも」だと思っていたのです。いやしくも、「専門家」が学部教養レベルの知識も持っていないとしたら、どうしようもありませんからね。いくらなんでも、そこまでは考えていませんでした。
その割にはヘンなので、どうもおかしいと思っていたのです。
となると、分かっていてワザと誤魔化しているとしか考えようがありません。実に怪しからんと思っていたのですが、どうやら本当に分かっていなかったということなのでしょうか?
とにかく、これが本当だとすると、ホントに困ったことです。(*_*)
-- H11.6.24
■心理学を学ぶのに必要な能力は?こういう名前の項目がありますので、内容をちょっと紹介しておきましょう(松井豊編 高校生のための心理学 大日本図書 H12.5 190〜191ページ)。 執筆者たちは、教育学系の大学新入生約100人に、「心理学を学んだり研究したりする際に重要な能力」について尋ねてみたそうです。一番重要と思われていた項目は次の順でした。
上位の2つは30%程度で競い合っています。3と4の回答率は、15%〜20%でした。なお、これ以外は5%以下なので省略します。 では逆に「重要ではない能力」はどうなのか?
この2つも30%程度で競い合っています。その以外は10%程度以下と随分差がありますが、ここでは5%以上のものを書いておきましょう。
つまり、心理学者の卵たちによると「論理的にものを考える力」は必要であるが「数学の知識・能力」は不要ということになります(失礼!)。 これ以上の解説は不要でしょうから省略します。(^^;; -- H12.7.14 |
早速反論をいただきました。私のつたない文章を読んでいただき、大変ありがとうございます。
このメールについての転載については了承を得ていませんが、趣旨からして要約なら問題ないと判断し、ここに紹介させていただきます。オープンな議論にするため、ぜひご協力をお願いします。m(._.)m
ということで、下に要約を示しておきます。
これらの疑問はもっともなものです。そこで、説明不足の部分は素直にお詫びし、ここに訂正・補足させていただきます。
まず、1についてです。私が調べたのは、確率・統計の教科書(心理学・教育…3冊、理系の入門書…3冊)と2、3の大学のカリキュラムについてです。サンプル数が少ないのは確かにそのとおりです。
では、理系の入門書から引用しておきましょう(林周二『統計学講義第2版』)。まず、はしがきからです。
この書物は,大学の教養あるいは前期課程のための統計学教科書,参考書を意図し,同課程の学生に,現代の社会や学問と結びついた統計的方法一般に関する知識・技術を習得させることを目的として書かれたものである.
そのような理由から,本書は特定の社会科学,特定の理工学などの専門分野についての個有な統計的諸方法には深く立ちいらない.また数理統計学の教科書とも趣旨を異にするので,数学的厳密さを読者は 要求しないことを期待する.したがって特定の専門進学方向の定まった学生の場合には,本書を了えた上にさらにそれらの分野と結びついた斯学の書物に就くことを希望する.本書の巻末にはそういった方向別の文献があげてある.(以下略)
次は、本文のはじまりです(同書1ページ)。
今日の段階での統計学は,統計的数字にもとづいて記述し,推測し,決定をするための科学であると考えて一応よいであろう.
ところで常識的にいえば‘統計的数字’とは,個々の事実にそくし,じっ さいに測った数字的な資料,すなわち質的には相等しい‘データの集まり’のことをいう.このようなデータの集まりは,調査や実験,あるいは繰り返し作業などにさいして得られる.以下かんたんに‘データ’と呼ぶことにし,データについてのこのような通念にたいし,つぎのように多少まとまった言いあらわし方を与えてみよう.
数多くの事物をひとまとめの全体として考えたとき,私たちはこれを事象という(数学ふうに‘集合’,‘空間’といってもよい).これをAであらわす.事象を構成している個々の個体 a1, a2, …, an を要素といい,A = {a1, a2, …, an} あるいは略して(以下略)
ここで注意しないといけないのは、このテキストは「入門書」であるのに対して、心理学の方はそうではないことです。つまり、このテキストは(一般)教養科目で履修するはずですが、心理学のテキストでは専門科目で履修することになっています。どちらが専門的なのかは読者の判断にお任せしますが…。1冊ではサンプルが少ないと思われる方は、任意のテキストを読んで判断してみてください。
念のため、翻訳書の原著者前書きからも引用しておきます。なお、この本は(理系)初心者向けの入門書です(M.K.ジョンソン他著 『統計の基礎』 サイエンス社)。
統計学の講義ほど初心者に対して気をつかう講義はあまりないであろう.理由は明白である.なぜかといえば,数学になじみの薄い人々は,統計学を抽象的な問題をあつかう学問とみなし,社会科学や教育学を専攻している学生には課する必要はない,というように考えがちだからである.そして残念なことに,多くの学生は統計学の講義をこれと同じような感じを抱いたまま終えてしまう.
ところが実際には,この世界の動きを冷静に思考する技術を高めたり,総括的に理解する力を深めたりするのに,統計学ほど適したものはないのである.統計的方法は,もしそれを適切に用いたならば,科学者に限らず多くの人々にとって,この世界を理解する上での,真理や正確さや確信に関する多くの重要な問に明確な答えを与える際の強力な武器になる.統計的検定は,誰にでも理解でき,かつ応用できる決定の仕方に関する,うまく定義された合理的な法則に基づいている.それにもかかわらず,多くの初心者がつまづくのは,統計学者が数学的証明のスマートさを示したり,数学用語で手法を説明したりするために,数学的素養のない学生には難しいものとなってしまうからである.このようなことのために有益な話題への関心は急速に薄らぎ,そして二度と初め程の関心は示さなくなってしまう。
では、本題の大学(学部)の単位数についてです。まず、私と関係ある某大学について調べてみました(ただしかなり昔の話ですがf(^^;;)。理系はそのほとんどが数学に関係あるのに反して、心理学では数学は(なんと!)ゼロです。最近では、さすがに心理学専攻の数学の単位が若干増えたようですが、それも社会心理学関係だけのようで、一般の心理学には数学はほとんど登場しません。また、日本で最難関と言われる某大学(複数)についてHP上でも調べてみましたが、傾向はほぼ同じようです。つまり、昔も今もあまり傾向は変わらないという結論になります。
もちろん、この方がおっしゃるように、確かに「確率・統計」だけを取れば、理系の方が時間数(単位数)は少ないかもしれません。しかし、理系の学生はほとんどの授業で毎回数学に接していますが、心理学専攻の学生では専門科目としてだけのようです。一体どちらの学生が「確率・統計」をよく理解できるでしょうか? それは皆さんの判断にお任せします。
なお、データについては、好きな大学のHPを見てみてください。自明と思うのでわざわざ示す必要はないと思うのですが…。学生の方は、自分の大学の単位数や授業内容を調べてみてはどうでしょうか?
次に、2についてです。これは具体的なデータを示しておきます。日本で最難関と言われている某国立大学について調べてみました。どの大学かは言うまでもないでしょう…。この大学(学部)の心理学専攻は、大きく2つに分かれます。そのうちの1つの「心理学専修課程」には、「確率・統計」と名が付く授業はありません(もっとも、演習として「確率・統計」をやっている場合はあるようです)。それに対して、「社会心理学専修課程」には「確率・統計」と名が付く3種類の授業があります。ただ、HPだけでは(血液型と性格に絶対必要な)χ2検定について教えているかどうかはわかりません。
別の大学の例をあげておきます。首都圏にある某国立大学の某教授は、最近あるテレビ番組に出演し、血液型と性格の関係に否定的な意見を述べていました。この大学の場合は、PDFファイルで講義の内容をすべて知ることができます。実際に調べてみると、心理学専攻(学部)の「確率・統計」の授業は2つだけです。2単位の「統計解析I」は講義のみ、4単位の「統計学I」では演習もあります。しかし、どちらもχ2検定については説明されていません。つまり、この教授の研究室の学生は、(血液型と性格を分析するのに絶対必要な)χ2検定がマスターできないのです!
#なお、「社会心理学演習III」では、統計ソフトの操作演習がありますが、χ2検定を教えているかどうかは不明です
χ2検定は、非常にポピュラーな検定法ですから、ほとんどの統計の教科書に載っています。私の知る限り、理系で確率・統計を履修した場合、χ2検定をやらないということはまず考えられません! 手持ちのテキストをチェックしてみてください。
付け加えておくと、心理学では確率・統計は必修かどうかまでは調べていません。ただ、雰囲気としては必修ではないようです(未確認)。これに対して、理系ではほぼ必修だと思います(未確認)。
最後に、3についてです。これについては皆さんの判断に任せるしかありません(苦笑)。自分で論文を読んで自分で判断しみてください。とは言っても、これではあまりにも無責任なので、前川輝光さんの『血液型人間学−−運命との対話』から引用しておきます(549ページ)。
能見[正比古さん]の提示する分野別データは、くりかえしになるが、大村[政男さん]等反対派にとって最大の難関である。それを読者に無効と思わせるためには、大村は手段を選ばない。こんな珍妙な発言もある。
能見は推計学的方法を用いてものをいっている。彼は「“カイ自乗検定”という計算が、よく使われる。ややこしいことを覚えていただく必要はないが、この計算では“危険率”という、パーセンテージをハジき出す」と書いている。統計学、特に推計学のコモンセンスを知らない人がそれをベースにして所説を展開するぐらい危険なものはない。([大村政男さん『血液型と性格』−旧版]206−7頁)
そして、欄外注に、「カイ自乗検定というのは、危険率というパーセンテージをはじき出すものではない」と付け加えている。
もちろん、カイ自乗検定の計算は、直接にはカイ自乗値をハジき出す」ものである。そしてそのカイ自乗値をもとに、我々は、危険率のパーセンテージを得るのである。能見の言い方はやや未整理である。しかし、彼の一連の著作を見れば、彼が「統計学、とくに推計学のコモンセンス」をじゅうぶん知る人であることは明らかである。
同じ内容は、新訂版『血液型と性格』では246〜247ページになります。次は、247ページからの引用です(太字は私)。
「なんの関連もない(これといった特徴がない)」ということに対して否定的な結果が得られたというだけのことなのである。「実験仮説が承認された」のではなく、「帰無仮説が否定された」にすぎないのである。[中略]帰無仮説はそう簡単には棄却できない。それでは帰無仮説が5%以下、あるいは1%以下の危険率で棄却できたとしたら、もう「鬼の首」は取れたのであろうか。そう簡単にはいかない。結論は推計学が与えるものではないのである。心理学、精神医学、生理学……などのセンスが決定権を持っているのである。
要するに、危険率が何パーセントだろうが、「心理学」が認めなければ帰無仮説は棄却できないということです。これでは、私にはなんだかわかりません。つまり、「統計学」で帰無仮説が棄却できたかどうかは一切関係ないと…。私にはそうとしか解釈できません。また、帰無仮説が「否定」されたのと帰無仮説が「棄却」されたのとはどう違うのでしょうか? これまた私には不明です。
既に引用した山内光哉さんの『心理・教育のための統計法<第2版>』からも、再度引用させていただきます(第2版へのはしがき)。
もちろん、この項目で取り上げたテキストは、いずれもすばらしいものばかりです。どれを読んでも損はないでしょう。ただし、手法の数学的な意味を知るためには、別に専門書を読んだ方がいいと思います。
私の考えについては、以下のページを見てください。
また、今までの議論については、以下のページに掲載しています。
私は判断の材料は提供したつもりです。どちらが正しいかは、読者の皆さん自身が判断してみてくださいね。 -- H11.6.24
統計の話が出たので、ここで心理学で使っている性格テストについて書いておきましょう。
まず、別冊宝島335『性格がわかる・変えられる!』という本からです(81ページ)。下線は私が付け加えたものです。詳しくは長谷川さんのページへの感想の反論7のところをどうぞ!
9 谷田部ギルフォード性格検査(YG)
「YG性格検査」は、聞いたことのある人が多いかもしれない。日本の代表的な質問紙形式の性格検査法で、いわば古典である。教育、産業と幅広い分野で高い使用頻度を誇っている。
1940年代にアメリカの心理学者ギルフォードらによって開発された3種のテスト(ギルフォードSTDCR因子性格テスト、ギルフォード・マーチンGAMIN因子性格テスト、ギルフォード・ジンメルマン気質調査)のなかから選び出した240項目を、1954年に谷田部達郎らが日本人用に翻訳改訂し、更に辻岡美延が1957年に標準化したものである。…
そして、長谷川さんによると、「YG検査で測定される『気分の変化』、『劣等感』、『協調性』などの因子は,いずれも因子分析的手続の中で抽出されたもの」なのだそうです。では、因子分析とは何か? 詳しくは多変量解析のテキストに当たってもらうことにして、直感的に示すと下の図のようになります。
上のような緑のような分布のデータがあったとします。これをオリジナル(黒)のX軸、Y軸で分析しても、さっぱり特徴が現れません。そこで、X軸、Y軸を反時計回りに45度回転させ、新しいX軸、Y軸(赤)を作成することにします。すると、X軸方向に分布が集中するので、この軸に沿ってデータの特徴が現れることになります。逆に、Y軸方向にはあまり特徴が現れません。ですから、このデータを分析する場合、新しいX軸方向を主要な因子として分析すると好都合なはずです。つまり、X軸、Y軸の2つの軸によるデータが、新しいX軸によって1つの軸(=因子)に集約されたことになります。
もちろん、以上の説明は2次元に分布するデータの場合ですが、3次元以上の場合も基本的には同じです。しつこいようですが、正確な説明は多変量解析のテキストを読んでみてくださいね。
#手持ちの心理学のテキストでは、残念ながら分かりやすい説明はありませんでした…。
図を見るとすぐに判るように、データの分布が違ってくれば、新しいX軸、Y軸は違ってきます。当然のことですね!
ところで、YG性格検査による回答の分布は、1940年代のアメリカ人を前提としています。当然のことながら、現代の日本人と同じはずはありません! なぜなら、この分布が同じということは、1940年代のアメリカ人と現代の日本人で性格が同じということになりますから…。もちろん、翻訳の問題は別に考えての話です。
結局、「YG検査で測定される『気分の変化』、『劣等感』、『協調性』などの因子は,いずれも因子分析的手続の中で抽出されたもの」とはいっても、それは1940年代のアメリカの話のことです。それらについては、現代の日本で「因子分析的手続」によって抽出したものと同じであるという前提が成り立つはずがありません。なぜなら、因子分析の説明で判るように、元データ(1940年代のアメリカ人と現代の日本人との性格特性)が違う場合は、この手法によって抽出される性格因子は違ってくるのが当然だからです。つまり、「因子分析的手法」を使っているなら、YG性格検査に妥当性があるという保証は全くありません! いや、どちらかというと、妥当でない可能性が高いことになります。
更に問題があります。因子分析をやったことがある人ならわかると思いますが、どんなに質問項目が多いデータでも、影響力の大きい因子はせいぜい数個しかありません。しかし、YG性格検査では性格因子は(なんと!)12個もあります。となると、残りの因子はあまり性格を表さないことになります。逆に、因子が12個も必要なデータだとすると、その分布はかなり曖昧なものであるはずなのです。となると、12個の性格因子は、かなり恣意的に選んだと推測せざるをえません。それに加えて、YG性格検査では各性格因子の平均点が中央に来るように調整しているはずですから、こうなると何が「客観的基準」なのか、私には分からなくなります。
結論として、どう考えてもYG性格検査が現代日本人の性格を測定するのに適しているとは言えないようです。
日本の心理学者は、心理学の性格テストは、「通俗」心理テストと違って「科学的」だと主張しています。今までの説明を読んだ人ならわかるように、この主張については(私は)全く理解できません。なぜなら、「通俗」心理テストは、少なくとも現代の日本人を主な対象として考えているのに対し、YG性格検査を初めとする心理学の性格テストは、1940年代のアメリカ人を対象に因子分析的手続の中で抽出されたものだからです。
やはり、私には何がなんだかさっぱり分かりません。(@_@) -- H11.6.26
余計なこと(やはり…f(^^;;)ですが、一言書いておきましょう。 読めば分かると思いますが、要するに心理学者は統計が不得意な人が多いわけです。分からないものだから、頭から信じ込んだり、恐怖心を抱いたり、反発したり、否定したり、無視したりするわけで、この理由は心理学的に説明できる…はずです。
といったところです。はじめからそう要求するなら、まだ理解できるのですが…。 |
最近、また反論をいただきました。反論は大歓迎(もちろん応援も(^^))ですので、ぜひメールをお寄せください。>ALL
内容を簡単に要約して紹介させていただくと、この方の在籍する心理学科では「心理学研究法」という統計の授業が必須科目になっており、社会心理系に進む人以外でも必修であるとのことです。だから、私の主張する「社会心理学以外ではほとんど確率・統計の授業はありません」という記述には疑問があるようです。
確かにこの方のおっしゃるとおりです。私も全部の大学について調べたのではありませんから…。ということで、もう少し詳しく調べてみることにしました。
この方の在籍する大学では、残念ながらカリキュラムはHP上に公開されていませんが、平成12年度入試の科目は公開されています。
区分 | 数学の出題範囲 | 必須か? |
文系 | 数学I、数学A(数と式) | 必須でない |
理系 | 数学I、数学II、数学A(数と式、数列) | 数学(または物理)が必須 |
現行の数学と物理のカリキュラムは手元にないのでよくわかりませんが、文部省のHPには平成11年3月29日に発表された高等学校学習指導要領(平成15年度から実施)が公開されています。これを下に示します。
第1 数学基礎 [省略] 第2 数学I 1 目 標 方程式と不等式,二次関数及び図形と計量について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。 2 内 容 (1) 方程式と不等式 数を実数まで拡張することの意義を理解し,式の見方を豊かにするとともに,一次不等式及び二次方程式についての理解を深め,それらを活用できるようにする。 ア 数と式 (ア) 実数 (イ) 式の展開と因数分解 イ 一次不等式 ウ 二次方程式 (2) 二次関数 二次関数について理解し,関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識するとともに,それを具体的な事象の考察や二次不等式を解くことなどに活用できるようにする。 ア 二次関数とそのグラフ イ 二次関数の値の変化 (ア) 二次関数の最大・最小 (イ) 二次不等式 (3) 図形と計量 直角三角形における三角比の意味,それを鈍角まで拡張する意義及び図形の計量の基本的な性質について理解し,角の大きさなどを用いた計量の考えの有用性を認識するとともに,それらを具体的な事象の考察に活用できるようにする。 ア 三角比 (ア) 正弦,余弦,正接 (イ) 三角比の相互関係 イ 三角比と図形 (ア) 正弦定理,余弦定理 (イ) 図形の計量 [用語・記号] 3 内容の取扱い [省略] 第3 数学II 1 目 標 式と証明・高次方程式,図形と方程式,いろいろな関数及び微分・積分の考えについて理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。 2 内 容 (1) 式と証明・高次方程式 式と証明についての理解を深め,方程式の解を発展的にとらえ,数の範囲を複素数まで拡張して二次方程式を解くことや因数分解を利用して高次方程式を解くことができるようにする。 ア 式と証明 (ア) 整式の除法,分数式 (イ) 等式と不等式の証明 イ 高次方程式 (ア) 複素数と二次方程式 (イ) 高次方程式 [用語・記号] 虚数,,判別式,因数定理 (2) 図形と方程式 座標や式を用いて直線や円などの基本的な平面図形の性質や関係を数学的に考察し処理するとともに,その有用性を認識し,いろいろな図形の考察に活用できるようにする。 ア 点と直線 (ア) 点の座標 (イ) 直線の方程式 イ 円 (ア) 円の方程式 (イ) 円と直線 (3) いろいろな関数 三角関数,指数関数及び対数関数について理解し,関数についての理解を深め,それらを具体的な事象の考察に活用できるようにする。 ア 三角関数 (ア) 角の拡張 (イ) 三角関数とその基本的な性質 (ウ) 三角関数の加法定理 イ 指数関数と対数関数 (ア) 指数の拡張 (イ) 指数関数 (ウ) 対数関数 [用語・記号] 弧度法,累乗根, (4) 微分・積分の考え 具体的な事象の考察を通して微分・積分の考えを理解し,それを用いて関数の値の変化を調べることや面積を求めることができるようにする。 ア 微分の考え (ア) 微分係数と導関数 (イ) 導関数の応用 接線,関数値の増減 イ 積分の考え (ア) 不定積分と定積分 (イ) 面積 [用語・記号] 極限値, 3 内容の取扱い [省略] 第4 数学III 1 目 標 極限,微分法及び積分法についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。 2 内 容 (1) 極限 微分法,積分法の基礎として極限の概念を理解し,それを数列や関数値の極限の考察に活用できるようにする。 ア 数列の極限 (ア) 数列の極限 (イ) 無限等比級数の和 イ 関数とその極限 (ア) 合成関数と逆関数 (イ) 関数値の極限 [用語・記号] 収束,発散,∞ (2) 微分法 いろいろな関数についての微分法を理解し,それを用いて関数値の増減やグラフの凹凸などを考察し,微分法の有用性を認識するとともに,具体的な事象の考察に活用できるようにする。 ア 導関数 (ア) 関数の和・差・積・商の導関数 (イ) 合成関数の導関数 (ウ) 三角関数・指数関数・対数関数の導関数 イ 導関数の応用 接線,関数値の増減,速度,加速度 [用語・記号] 自然対数,e,第二次導関数,変曲点 (3) 積分法 いろいろな関数についての積分法を理解し,その有用性を認識するとともに,図形の求積などに活用できるようにする。 ア 不定積分と定積分 (ア) 積分とその基本的な性質 (イ) 簡単な置換積分法・部分積分法 (ウ) いろいろな関数の積分 イ 積分の応用 面積,体積 3 内容の取扱い [省略] 第5 数学A 1 目 標 平面図形,集合と論理及び場合の数と確率について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を育てるとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。 2 内 容 (1) 平面図形 三角形や円などの基本的な図形の性質についての理解を深め,図形の見方を豊かにするとともに,図形の性質を論理的に考察し処理できるようにする。 ア 三角形の性質 イ 円の性質 (2) 集合と論理 図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し,統合的に見ることの有用性を認識し,論理的な思考力を伸ばすとともに,それらを命題などの考察に生かすことができるようにする。 ア 集合と要素の個数 イ 命題と証明 (3) 場合の数と確率 具体的な事象の考察などを通して,順列・組合せや確率について理解し,不確定な事象を数量的にとらえることの有用性を認識するとともに,事象を数学的に考察し処理できるようにする。 ア 順列・組合せ イ 確率とその基本的な法則 ウ 独立な試行と確率 [用語・記号] ,,階乗,,余事象,排反 3 内容の取扱い [省略] 第6 数学B 1 目 標 数列,ベクトル,統計又は数値計算について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。 2 内 容 (1) 数列 簡単な数列とその和及び漸化式と数学的帰納法について理解し,それらを用いて事象を数学的に考察し処理できるようにする。 ア 数列とその和 (ア) 等差数列と等比数列 (イ) いろいろな数列 イ 漸化式と数学的帰納法 (ア) 漸化式と数列 (イ) 数学的帰納法 [用語・記号] (2) ベクトル ベクトルについての基本的な概念を理解し,基本的な図形の性質や関係をベクトルを用いて表現し,いろいろな事象の考察に活用できるようにする。 ア 平面上のベクトル (ア) ベクトルとその演算 (イ) ベクトルの内積 イ 空間座標とベクトル 空間座標,空間におけるベクトル (3) 統計とコンピュータ 統計についての基本的な概念を理解し,身近な資料を表計算用のソフトウェアなどを利用して整理・分析し,資料の傾向を的確にとらえることができるようにする。 ア 資料の整理 度数分布表,相関図 イ 資料の分析 代表値,分散,標準偏差,相関係数 (4) 数値計算とコンピュータ 簡単な数値計算のアルゴリズムを理解し,それを科学技術計算用のプログラミング言語などを利用して表現し,具体的な事象の考察に活用できるようにする。 ア 簡単なプログラム イ いろいろなアルゴリズム (ア) 整数の計算 (イ) 近似値の計算 3 内容の取扱い [省略] 第7 数学C 1 目 標 行列とその応用,式と曲線,確率分布又は統計処理について理解させ,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。 2 内 容 (1) 行列とその応用 行列の概念とその基本的な性質について理解し,数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,連立一次方程式を解くことや点の移動の考察などに活用できるようにする。 ア 行列 (ア) 行列とその演算 和,差,実数倍 (イ) 行列の積と逆行列 イ 行列の応用 (ア) 連立一次方程式 (イ) 点の移動 [用語・記号] (2) 式と曲線 二次曲線の基本的な性質及び曲線がいろいろな式で表現できることを理解し,具体的な事象の考察に活用できるようにする。 ア 二次曲線 (ア) 放物線 (イ) 楕円と双曲線 イ 媒介変数表示と極座標 (ア) 曲線の媒介変数表示 (イ) 極座標と極方程式 [用語・記号] 焦点,準線 (3) 確率分布 確率の計算及び確率変数とその分布についての理解を深め,不確定な事象を数学的に考察する能力を伸ばすとともに,それらを活用できるようにする。 ア 確率の計算 イ 確率分布 (ア) 確率変数と確率分布 (イ) 二項分布 [用語・記号] 条件つき確率,平均,分散,標準偏差 (4) 統計処理 連続的な確率分布や統計的な推測について理解し,統計的な見方や考え方を豊かにするとともに,それらを統計的な推測に活用できるようにする。 ア 正規分布 (ア) 連続型確率変数 (イ) 正規分布 イ 統計的な推測 (ア) 母集団と標本 (イ) 統計的な推測の考え [用語・記号] 推定 3 内容の取扱い [省略] 第4 物理I 1 目 標 物理的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な自然観を育成する。 2 内 容 (1) 電気 生活の中で用いられている電気や磁気の性質を観察,実験などを通して探究し,それらへの関心を高めるとともに,基本的な概念や法則を理解させ,電気の性質と日常生活とのかかわりについて認識させる。 ア 生活の中の電気 (ア) 電気と生活 (イ) モーターと発電機 (ウ) 交流と電波 イ 電気に関する探究活動 (2) 波 地震波,水波,光,音などいろいろな波について共通の性質を観察,実験などを通して探究し,波動現象についての基本的な概念や法則を理解させるとともに,それらを日常生活と関連付けて考察できるようにする。 ア いろいろな波 イ 音と光 (ア) 音の伝わり方 (イ) 音の干渉と共鳴 (ウ) 光の伝わり方 (エ) 光の回折と干渉 ウ 波に関する探究活動 (3) 運動とエネルギー 日常に起こる物体の運動や様々なエネルギーの現象を観察,実験などを通して探究し,それらの基本的な概念や法則を理解させ,運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方を身に付けさせる。 ア 物体の運動 (ア) 日常に起こる物体の運動 (イ) 運動の表し方 (ウ) 運動の法則 イ エネルギー (ア) エネルギーの測り方 (イ) 運動エネルギーと位置エネルギー (ウ) 熱と温度 (エ) 電気とエネルギー (オ) エネルギーの変換と保存 ウ 運動とエネルギーに関する探究活動 3 内容の取扱い [省略] 第5 物理II 1 目 標 物理的な事物・現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。 2 内 容 (1) 力と運動 運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方に基づき,物体の運動を観察,実験などを通して探究し,力と運動に関する概念や原理・法則を系統的に理解させ,それらを応用できるようにする。 ア 物体の運動 (ア) 平面上の運動 (イ) 運動量と力積 イ 円運動と万有引力 (ア) 円運動と単振動 (イ) 万有引力による運動 (2) 電気と磁気 電気や磁気に関する現象を観察,実験などを通して探究し,電気や磁気に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ,それらを様々な電磁気現象に応用して考察できるようにする。 ア 電界と磁界 (ア) 電荷と電界 (イ) 電流による磁界 イ 電磁誘導と電磁波 (ア) 電磁誘導 (イ) 電磁波 (3) 物質と原子 物質と原子に関する現象を観察,実験などを通して探究し,物質の物理的な性質が原子や分子などの運動によってもたらされることを理解させ,固体の性質を電子の状態と関連付けて考察できるようにする。 ア 原子,分子の運動 (ア) 物質の三態 (イ) 分子の運動と圧力 イ 原子,電子と物質の性質 (ア) 原子と電子 (イ) 固体の性質と電子 (4) 原子と原子核 光や電子の波動性と粒子性,原子や原子核,素粒子における現象を観察,実験などを通して探究し,量子的な考えなど基本的な概念や原理・法則を理解させる。 ア 原子の構造 (ア) 粒子性と波動性 (イ) 量子論と原子の構造 イ 原子核と素粒子 (ア) 原子核 (イ) 素粒子と宇宙 (5) 課題研究 物理についての応用的,発展的な課題を設定し,観察,実験などを通して研究を行い,物理学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。 ア 特定の物理的事象に関する研究 イ 物理学を発展させた実験に関する研究 3 内容の取扱い [省略] |
結論を簡単にまとめると、この大学の理系(数学または物理)では方程式、不等式、微分・積分、関数などが入試の出題範囲となるので、そのための勉強をしなければならないのに対し、文系では数学は必ずしも必須ではないことになります。ただ、確率・統計については理系・文系のいずれも出題範囲外のようです。
次に、私の地元の某全日制普通高校のカリキュラム(平成10年度)を調べてみました。文系のコースでは数学IIIと数学Cは勉強しないようです。
科目名 | 1学年 | 2年文系 | 2年理系 | 3年文系 | 3年理系 |
数学I | 4 | ||||
数学II | 2 | 4 | 2 | ||
数学III | 4 | ||||
数学A | 2 | ||||
数学B | 2 | 2 | 1 | ||
数学C | 2 |
この高校はいわゆる「フツー」の高校ですから、他の高校もほぼ同じようなカリキュラムだと推測できます。では、文系と理系は何が違うのでしょうか?
前掲の学習指導要領から、数学の目標を抜粋したのが下の表です(太字は私)。
科目名 |
目 標 |
数学I | 方程式と不等式,二次関数及び図形と計量について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図りそれらを的確に活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。 |
数学II | 式と証明・高次方程式,図形と方程式,いろいろな関数及び微分・積分の考えについて理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。 |
数学III |
極限,微分法及び積分法についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。 |
数学A |
平面図形,集合と論理及び場合の数と確率について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を育てるとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。 |
数学B |
数列,ベクトル,統計又は数値計算について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。 |
数学C |
行列とその応用,式と曲線,確率分布又は統計処理について理解させ,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。 |
見ればわかるとおり、数学IIIと数学C以外は基礎的なものであることがわかります。つまり、文系は基礎だけで、応用までやるのは理系だけということになる…はずです。
次に、追記1で書いた首都圏の某国立大学のカリキュラムについて再度調べてみました。理系のサンプルとして、工学部の数学関係のカリキュラムだけを抜粋したのが下の表です。なお、これらはすべて基礎科目で、専門科目ではありません(太字は必須科目)。数字は単位数を示していいます。
科目/学科 | 機械工学 | 電気電子 | 情報シス | 応用化学 | 機能材料 | 建設工学 |
微分積分学I | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
微分積分学II | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
微分方程式I | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
微分方程式II | 2 | 2 | ||||
線形代数I | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
線形代数II | 2 | 2 | 2 | |||
ベクトル解析 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | |
複素関数 | 2 | 2 | 2 | |||
確率統計I | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
確率統計II | 2 | 2 | 2 | |||
離散数学 | 2 | |||||
数値解析I | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
数値解析I演習 | 2 | |||||
数値解析II | 2 |
確率・統計は、機械工学では必修ではありませんが、他の学科では最低でも2単位が必修となっています。ここで注意しないといけないのは、同じ単位数でも文系とは内容がかなり違うということです。当然のことながら、文系より理系の方が統計手法の種類が多い…はずです。
さて、皆さんはどう判断しますか? -- H11.7.14
その後、8月1日付けの日本経済新聞27面に「大学生の学力低下 対策を」という記事が掲載されました。この記事は、京都大学教授の西村和雄さんが執筆しています。
見出し:大学生の学力低下対策を 算数・数学 深刻な状況 入試からの除外 原因
戸瀬信之慶応大学教授と私は昨年の4月の最初の授業で、日本の19大学の先生方の協力を得て、約5千人の大学1年生の数学の学力調査を行った。その一つが8/9から1/5と2/3を引くという計算である。
分数の計算できず
この問題を間違えた者が、私立の最難関校の1つとされる大学のある文系学部では、10%以上もいて、しかも簡単な小学校の算数の簡単な計算問題5問の全問正解者は70%を切っていた。この大学と並ぶ難関校の私立大学の文学部でも同じような結果であった。
この調査の詳しい結果は、東洋経済新報社から出版された『分数ができない大学生』(岡部・戸瀬・西村編)の中で報告されているので参照してほしい。
算数と数学を選んで調査したのは、結果がわかりやすいからである。学力低下は、数学だけでなく全科目に及んでおり…(中略)。
一度学べば再学習も
日本以外の先進国やアジアの発展途上のほぼすべての国では、大学入学資格試験で数学が必修とされている。これは、数学の学習は論理的思考を養うからである。そして、数学を学ぶ、もう一つの理由は、職業の選択肢を広く保ち、異なる仕事に適応できるようにするためである。
数学は、一度学んだ経験があれは、たとえ忘れても、将来、転職や配置転換で必要となったときに、学習し直すことが可能である。一方、一度も学ばずに社会に出てしまえば、必要なときに数学を学習するのは不可能に近い。…(中略)。
数学は、やらなければ忘れる。これはだれでも同じである。問題なのは、高校で数学を学んできたはずの大学1年生が、小学校の分数まで忘れているほど、高校で数学から遠ざかっていたことである。学力調査で使った答案をみると、小学校の算数で間違えた学生の大多数は、2次方程式から先の問題が全滅である。これは、高校に入学してから、数学を全く勉強していないことを表している。入試で数学を課していない大学が多く、数学を捨てても大学に入学できるからである。
学力調査の結果に関しては、小学校の教育に責任があるのではなく、数学を大学入試科目からはずしていることに原因がある。2次方程式以降を学ばなかった学生が、小学校の算数を忘れて大学に入学し、卒業できる現行の制度が、学生の能力をみすみす退化させていることがわかるであろう。
大学入学試験は、学生が勉強をする際の目安である。ルールと言ってもよい。そのルールがあいまいで、審査する者の主観に左右されたり、複雑なのが現状である。その上、多数の教科を勉強しなくても、一流大学に入学できる方法があるのなら、学生が勉強をしなくなるのは、少なくとも大学に入学するという目的のためには合理的な行動の結果である。
悪いのは学生ではなく、ルールあるいは制度である。そして、勉強に対して否定的なことを政府やマスコミが繰り返し流せば、その影響は、時間を追って拡大してゆく。それも現在の学力低下をもたらした一因である。(以下略)
(文系)大学生が数学ができないのは、やはり入試が問題のようです…。 -- H11.8.8
みなさんからのメールからです。
とっても(^O^)
2.お気に入りのページ
血液型統計入門
というかスンマセン明日早いのでここしか見てないです
4.メッセージ:
えっと大変なボリュームのあるサイトで駆け足で来ただけなので余りえらそうなことはいえないのですが,統計に弱い心理学系大学院生です.いや,皮肉でなくホントに.
で,血液型統計入門のページで気になったことをいくつか.
えー,前述の通り統計に弱いのであまり自信はないのですが,Χ2乗検定って,比率の比較には用いることができないのではなかったように思います.いや,なぜってきかれてもそこが弁明できないから役立たずの心理屋なんですって(^^;;
いや,笑い事ではないな.
ま,反論にならないツッコミはともかく.
大学における心理学のカリキュラムについていくつかの補足を.
基本的には心理学のカリキュラム上で「統計」という授業を行っているところはほとんどないはずです.しかしながら,基本的な認知,教育,社会,発達系の心理学分野では「心理学研究法」や「〜研究演習」という講義題目で統計についての講義は行われているはずです.
実際に資料をひいたわけではないですが,学会の発表などで修士の学生が発表している際に数理統計を用いてみるところを見ると卒業までに(M1の学会発表なんてのはほとんどが卒業論文ですから)そうした指導は行われていると考えてよろしいのではないでしょうか.
ま,指導が行われているから使えることができるのかというのは別の話でわけ分かっていない人もたくさんいるんですが.
同時に,大学の教官でも分かってない先生いますから(^^;;
次に大学入試科目との関連について.
基本的に心理学は文系であるという解釈がなされていますし,事実文学部,教育学部に置かれていることが多いのですが,ではなぜ入試に数学がないのかといえば,それは数学を入試科目にすると入学希望者数が減ってしまうからなんです.
特に私学では経営上の問題から必要に迫られてというのが実情のようです.大学経営に教育の理念はなじまないですからね.
ただし,理系科目で入試を行っているところ(広島大学など)もありますし,私学でも選択科目として数学を設定しているところは多くあります.
とはいえ,入試で数学があろうがなかろうが,大学で研究法の授業をやる頃にはみーんなあたまぱっぱらぱあになっててめちゃめちゃ苦労するのですが.あ,それは俺か....
しかしこの反論に学習指導要領を持ち出すのは反則ですよ.筋は通るけど道理が引っ込まないもの.
ま,もともと心理学は内省主義的なところから始まって(いわゆる哲学系です)いるので文系学部に組み込まれていることが多いのですが,その後心理学の研究パラダイム自体が実証主義(まあ統計を使うって奴ですね)に移り変わったという変遷があったので,こういうお間抜けな事態が起こっているわけです.
あ,そうそう最後に私のスタンスを言っておきますと血液型と性格の関連は「あると思えばあるし,ないと思えばない」ぐらいだとしておきましょう.
そもそも,心理屋として「性格」という概念自体が妖しいのではないかと考えているので.
#詳しくは別冊宝島の佐藤達哉さんの論考をご参考ください.
参考までにこちらのサイトをご覧ください.
私が実際に行った血液型調査のデータを載せてあります.
んでわ,長々と失礼いたしました.
率直な反論のメールをありがとうございます。否定論者のこういう爽やかなメールを待っていたのですが、待ったかいがあったというものです。(^^)
さて、順を追って私の意見を述べさせていただきます。
まず、Χ2乗検定についてです。日本性格心理学学会会長の大村政男さん(日大名誉教授)は、ご存知のように自他ともに認めるアンチ血液型の第一人者ですね。ところが、その著書『血液型と性格』(新版・旧版とも)の第6章以降では、Χ2−検定を数多く使っています。もちろん、結果は血液型と性格の関係に否定的なものですが、Χ2−検定を使ってはいけないとは書いてありません。詳しくは、『血液型と性格』や手元の統計学の教科書を見ていただきたいのですが…。
#ですから、本HPのΧ2−検定の使用法については全く問題ない…はずです。
次に、大学における心理学のカリキュラムについてです。結局、明確な統計学の単位はほとんどないということでしょうか? となると、私とほとんど同意見のようですので、コメントは省略させていただきます。
次に、大学入試科目との関連についてです。私学では経営上まずいというのは眼からウロコでした。なるほど、そうなのですか…。他は私とほとんど同意見のようですので、同じくコメントは省略させていただきます。
閑話休題。
ところで、佐藤達哉さんの他の本や論文は読まれましたか? 私の考えについては、ようこそ否定派の3つのタイプのところをご覧ください。
さて、血液型調査のデータについてです。貴重なデータをありがとうございました。そこで、素朴な疑問ですが、『「性格」という概念自体が妖しい』となると、MPI自体が怪しいことになるのではありませんか? となると、怪しい(?)MPIという手法を使って血液型と性格の関係を否定できるという結論自体が怪しくありませんか? それとも、手法が怪しくても仮説を否定することは可能(つまり否定すること自体は怪しくない?)なのですか? 結局、私にはよくわかりませんでした。(*_*)
アンケートの分析手法についての疑問をいくつか書いておきます。
Table 1については、ほとんど疑問はありません。 Table 2についてですが、血液型に関する検定で危険率10%というのは極めて珍しいと思います。通常は5%か1%ですが、何か特別な理由があるのでしょうか? また、サンプル数が少ない(あるいは尺度の信頼性が低い?)と有意差があっても帰無仮説が棄却できないのですか? そういえば、全体的に検定力、第二種の過誤、有効数字についての考察が少ないような気がしますが…。 疑問はまだまだあるのですが、時間の関係でこの程度にしておきます。(^^;; |
最後に、「各血液型ごとに相当数のデータが収集され,分析をなされたときにある一定の血液型による性格傾向の差違が見られる」というデータの一例については、こちらをご覧ください。
ご丁寧なメールをどうもありがとうございました。 -- H11.10.7
数学が好きな方のために、少々説明しておきましょう。もっとも、数学な嫌いな人にはお勧めしません…。f(^^;;
心理学者の論文を読むとわかりますが、ほとんどのケースでは質問紙法によるアンケート結果に因子分析を行って結論を導いています。この手法自体は問題がない…はずなのですが、因子分析だけをやっていると、次のような問題点があります。
たまには(重)回帰分析を使うケースもありますが、論文を読んでみると分析がなっていないケースがほとんどのようです。言葉は悪いですが、何とかの一つ覚えになってしまうわけです(失礼!)。そして、計算はコンピュータがやってれるので、
結局、血液型のようなΧ2−検定が必要なケースは理解できなくなることになります。これらは、私宛の反論のメールの一部を見れば明らかです(あえて全部とは言いません…)。
う〜ん、これじゃわかりにくいですね。それではということで、具体例を出しましょう。
まずは、サンプル数の問題です。血液型による性格の差(回答率にして10〜20%程度の差)を検証する場合、通常は数百人程度以上のサンプルが必要になります。これ以下だと、本当に差があっても統計的には検証することはできません(第二種の過誤)。いくら分析を頑張っても、ダメなものはダメなのです。ダメなことが証明されているわけですから…。こんなことは、統計を使う人の「常識」です。しかし、実際に論文を読んでみると、ほとんどの場合はこの「常識」が無視されているようです。
それはなぜか? 計算はすべてコンピュータに任せてしまっているからです! 数学的なセンスがちょっとでもあれば、こんな凡ミスは簡単に気づくはずなのですが…。
残念ながら、ほとんどの統計ソフトはこの問題の答えを出してはくれません。計算はコンピュータ任せ、という欠点がここで露呈しているわけです。(*_*)
#肯定論者のデータを見ていないのは言うまでもありません。
そして、有効数字の問題があります。心理学者の論文を読むと、やたらに有効数字の桁数が多いことに気づきます。たいていの場合、因子分析では小数点以下7桁ぐらいは書いてあるようです。しかし、こんなに有効数字が多くても全く意味はありません! はっきり言って、スペースのムダです。しかし、桁数が多ければ結論の正確さが増すと思っているのか、やたらに桁数が多い論文が目に付きます(本当はどうなのか知りませんが…)。ここにも、計算はコンピュータ任せという弊害が見られるようです。
因子分析についてもちょっと書いておきましょう。因子分析の計算プロセスを知っているなら、このページの「因子分析と性格テスト」の内容は簡単に理解できるはずです。それではということで、以前にある心理学者に質問してみました。しかし、心理学者には都合が悪いのか、あるいは内容が理解できないのかわかりませんが、結果として完全に無視されてしまったのです。(*_*) どっちにしても、心理学者は統計が不得意という事実の証明にはなるはずです…。
#この結果は『ABO FAN』のどっかのページにあるので、お暇な方は探してみてください。
どうにも困ったものです。
とある心理学者のHPを見ていたら、ほぼ同じような記述を見つけたので、あえて書かせてもらいました。 - H11.10.11
ところで、統計的に血液型と性格は関係ある、と感じた場合は心理学者はどういう行動を取るでしょうか? そりゃぁ、学者だったら統計的に正しい結論は認めるはず、と思う人も多いはず。もちろん、心理学者が統計を絶対的だと認めるならそうでしょう。しかし、残念ながらそれは間違いのようです…。
繰り返しになりますが、山内光哉さんの『心理・教育のための統計法<第2版>』(サイエンス社 H10.11)の1ページには、
心理・教育の論者の中には,人間の教育や心理のことは,どんなに数値化してもわかるものではなく,したがって処理方法として統計学などはまったく必要はないか,邪道であると考えるものすらある。
従って、心理学の「常識」と統計が一致しないときには、当然のことながら前者を優先することになります。いや、こういう人なら統計学は「邪道」なのですから、頭から無視することになります。
しかし、同書によると「逆に統計的検定にかけた,といえば,それだけで結果を絶対視したりする」ケースもあるようです。この場合は、今までよいと思っていたものが否定されたことになりますね。これは、心理学的に認知的不協和と言い、次のような行動を取ることになっています(大村政男さん 『図解雑学心理学』 ナツメ社 H11.4 216ページ)。
そして、2&3はストレスがたまるので、1&4(&5?)が認知的不協和から脱出するのに一番よい方法になるのだそうです。なるほど…。私も、もう少し心理学を勉強する必要があったようです。う〜む。 -- H11.10.11
妙なタイトルに笑い出す人もいるかもしれませんね。まあ、そう言わずに読んでみてください。(^^;;
上の認知的不協和で反射的に思い出したのは論語の一説です。いや、正しくは山本七平さんの本ですが…(山本七平ライブラリー1 『空気の研究』 空気の思想史――自著を語る 文芸春秋 H9.4 350ページ)。
『論語』の子路篇に出てくる話に、「葉公、孔子に語りて曰く、吾が党に躬(み)を直(なおう)する者有り。その父、羊を攘(ぬす)みて、子これを証(あらわせ)り。孔子曰く、吾が党の直き者は是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きことその中に在りと」――葉公[注:中国の王様])は、父が羊を盗んだことをその子供が証言したといって褒める、それに対して孔子は、父が羊を盗めば、子供はそれを隠すのが正直というものだ、と応える。
日本の伝統的規範では、この孔子の正直どおりに行動することが期待されています。つまり、心理学者は父であり、学生や院生は子であるわけですから、血液型と性格が統計的に関係あるとしても、「心理学者は学生・院生の為に隠し、学生・院生は心理学者の為に隠す」のは当然で、誰も不思議には思いません。統計データが正しいと決して言っていけないのは当然のことです! 正直でいい人ほどそうであることに注意してくださいね。
念のため、誤解のないように補足しておきます。私は上のような態度を非難しているつもりは全くありません! 私自身も、私が属する組織に対しては全く同じ行動をしているわけですから…。(^^;; ただ、部外者が事実を事実として指摘することは許されるでしょう、たぶん。
結局、「心理学者の直き者は能見正比古と異なり、血液型により性格に差があるとしても、心理学者は心理学会(ボス?)の為に隠し、心理学会(ボス?)は心理学者の為に隠す、直きことその中にあり」であって、これが正しいことになります。従って、私のような肯定論者が統計データを示しても「関係があるはずがありません」「記憶にございません」という答えが返ってくるのは当然で、別に驚くべきことではないのです。もし、これに反する行動を取れば、不正直者ということなりますから、心理学会内では好ましくないことになります。最悪の場合、学会から追放されるかもしれません(というのは考えすぎでしょうが…)。しかし、これだけわかるのに2年以上もかかるとは、山本七平さんの読者としては迂闊というべきですね…。f(^^;;
実は、心理学者がこう思っている証拠もあります。それは、simaさんからのメール(その17)で「能見説は最強ですね。ほとんど神のお言葉ですね。」という発言です。どうにも理解できなかったのですが、これで理由がはっきりしました。「血液型により性格に差があるとしても、simaさんは心理学会(ボス?)の為に隠し、心理学会(ボス?)はsimaさんの為に隠す、直きことその中にあり」であることが前提ですから、それを能見正比古さんと私の関係の関係に当てはめればこういう発言になることは当然です。能見正比古さんに間違いがあっても、「私は能見正比古さんの為に隠す、直きことその中にあり」という前提でなければ、こういう発言が出てくるはずがありません。
#しかし、私はデータが絶対ですから、そういうことはないのです。(^^;;
なお、ある人から、心理学学会はボス支配で、若手の心理学者は就職の時や論文審査のときにボスの言うことを聞いておかないと出世できないから、血液型と性格の関係を否定しないといけないのだという説を聞いたことがあります。しかし、この説では心理学専攻の学生の反応が説明できません。というのは、学生は必ずしも心理学関係の就職先に行くわけではありませんから、この手は使えないからです。となると、やはり父と子の関係で、「心理学者は学生・院生の為に隠し、学生・院生は心理学者の為に隠す、直きことその中にあり」という私の説の方が正しいような気がするのですが…。はて? -- H11.10.11
みなさんからのメールからです。
とっても(^O^)
2.お気に入りのページ
E−MAIL、B型
3.血液型と性格の関係は?
ある
4.メッセージ:
はじめまして!とってもおもしろくて、おもわずメール出したくなってしまいました。
うんうん!って思いながら見てたんですけど、笑っちゃったのがB型家族のお話。うちは父がAB、母がO、私と弟がBという混合型なんですけど、まさにこのB型家族そのもの!茶わんや箸が決まってないのはもちろん、座る位置、マグカップ、バスタオルなんかもフリーになってます。いいんかな〜。歯ブラシぐらいは決まってますけどね(笑)友人を家にお泊めすると非常に驚かれるので、最近は気を使ってふつう(?)なフリをしてます。いやはや。
B型の私がつね日頃思う事なんですけど、B型ってB型を呼びませんか?気がついてみたら、仲のよいお友達って圧倒的にB型が多いんですよ。別に意識してつきあってる訳じゃないんですけど。仲良くなってしばらくしたらお互いB型という事が判明して大爆笑、みたいなパターン。他の血液型の皆さんはそういうことありませんか?どうなんでしょう。(ちなみに私のB型の友人のほとんどが同じようにBを呼んでるみたいです。)
あと、かなり局地的な現象だと思うんですけど、私の周りで私を含めてB型3人が仮免入所体験者なんです。仮免入所ってご存知ですか?通いの教習所で、期限切れでもう1度仮免からやりなおすハメになるやつなんですけど、B型の飽きっぽさとルーズさが災いしてか、やっちまったんですよねー。そろいも揃ってB型…。
でもそんなB型を愛してやまないB型なんだなーこれが。何かと嫌われることが多いB型ですが、自分自身ではB型が好きっていう人多いと思います。以上、私のB型論?でした。
話は変わりますが、私は大学の時心理学専攻でした。そして統計は大の苦手です(^^; 心理の世界だとどうも血液型は嫌われもののようで、ホントは血液型をからめて卒論やりたかったんですけど、そんなこと言い出そうもんなら即刻「不可」みたいな雰囲気で・・・ううう。キビシイ。いま大学院めざして勉強中なんですけど、いつかは血液型で論文書いてやる、と野望をいだいています。間違いなく統計で挫折しそうなんですけどねー。
そんなわけで、B型B型ってウルサクって申し訳ないんですけど、今日はこの辺でさようなら。あまりにもおもしろかったので、たぶんちょくちょくのぞきに来ます。そんでもって友人にも教えまくります。これからも楽しませてくださいね。応援してまーす(^^) そのっち
楽しいメールをありがとうございます。やっぱりB型家族って、茶碗が決まってないのでしょうか? B型はB型を呼ぶのでしょうか? これはなんとも言えませんが…。ただ、B型同士だと和やかな雰囲気になるようで、非常によかったとB型の知り合いが言ってました。私にはよくわかりません(?_?)。他の血液型だけだと、和やかな雰囲気になるとも思えないんですが…。それと、B型は自分の血液型が好きな人が圧倒的に多いようです。
さて、心理学って、やっぱり血液型が「タブー」のようですね。そして、統計もあまり強くない人が多いと(失礼!)。この点については、他のページ(タブー)で論証していますので、よかったら読んでみてくださいね(ただし、読んで不愉快になっても私は知りません、念のため(笑))。
血液型と性格を勉強するには統計が絶対に必要ですから、楽しみながら統計に強くなるかもしれませんよ。(^^) ただ、修論に血液型を書くのは、指導教官のことも考えないといけないのでは? 聞くところによると、心理学以外だったらOKのところも多いようです。頑張ってください!
では、また遊びに来てくださいね。そして、応援どうもありがとうございました。
まあまあ(^^)
2.お気に入りのページ
血液型統計入門
大学時代、一応心理学専修だったので、面白く読めました。
(でも不真面目な生徒でしたのであまり深くは…)
3.血液型と性格の関係は?
ない
4.メッセージ:
別に心理学をめちゃくちゃマジメに研究した訳でもないし、血液型にも全く興味はないのですが…。
いくつか質問があるのでメールいたしました。
まず、冒頭の「国会議員と日本人の血液型の分布の差違」ですが、 あれは、国会議員の血液型分布の時系列変動を無視されてますよね?
あの分析は、「その時当選した国会議員」の分析に過ぎないのでは?
やるのなら、歴代の国会議員の血液型分布を平均化するべきでは?
そうでないなら「一般的な意味での国会議員」の議論 (と思われるような表現)は、するべきではないでしょう。
それと、これはうろ覚えなんですが、 カイ二乗検定って、正規分布しないような対象を相手にして よかったんですっけ?
なんか、血液型のような固定した変数の場合は、別のやり方でやった方がいいような記憶があるんですが…
続いて、大学の心理学専修での統計学必修の有無ですが。
私は早稲田大学の教育学部の心理学専修を出ましたが、 ここは、1〜2年は「基礎統計」という授業が必修です。
だいたい関係係数や分散分析くらいは最低限たたき込まれます。
(出席は取らず、成績は年5回の抜き打ちテストのみで決めるなど、 かなり大変な授業でした)
また、一般教養の「統計確率」も必ず取るよう指導される、ということもありました。
さらに、3年には実験ゼミというのがはじまりますが、 これは臨床や社会、教育、認知などに別れるので それぞれカリキュラムは異なりますが、 私は「認知」で因子分析やベイジアンまで教わりました。
もっとも、7年前ほど、その教育を受けた私が、 今、カイ二乗検定を見て、ようやくやり方を思い出した位だから 大した教育でもないのでしょうが(笑)。
ちなみに私は血液型を調べたことはありません。
事故が起きたら、医者は本人が何と言おうと 必ず血液型を調べ、確認します。
間違った記憶を持つ患者さんも多いですからね。
立場が反対の方からメールが来て、大変喜んでいます。実は、「血液型統計入門」は、こういう反応も少しは意図していたものですから…。
では、ご質問にお答えします。
>国会議員の血液型分布の時系列変動を無視されてますよね?
>あの分析は、「その時当選した国会議員」の分析に過ぎないのでは?
無視しているつもりはありませんが、確かに特定の時点のデータであることは確かです。
>やるのなら、歴代の国会議員の血液型分布を平均化するべきでは?
時代や状況が違えば、政治家に求められる資質は違ってきませんか? 世論調査だって、毎年の結果を平均化したら意味がないのではありませんか?
>そうでないなら「一般的な意味での国会議員」の議論 (と思われるような表現)は、するべきではないでしょう。
ご指摘ありがとうございました。確かに表現が不適当ですので訂正しました。(^^;;
>カイ二乗検定って、正規分布しないような対象を相手にして よかったんですっけ?
Χ2−乗検定は、基本的に「正規分布しないような対象」が相手です。下に、No.237の回答を再掲しておきます。
まず、Χ2乗検定についてです。日本性格心理学学会会長の大村政男さん(日大名誉教授)は、ご存知のように自他ともに認めるアンチ血液型の第一人者ですね。ところが、その著書『血液型と性格』(新版・旧版とも)の第6章以降では、Χ2−検定を数多く使っています。もちろん、結果は血液型と性格の関係に否定的なものですが、Χ2−検定を使ってはいけないとは書いてありません。詳しくは、『血液型と性格』や手元の統計学の教科書を見ていただきたいのですが…。 #ですから、本HPのΧ2−検定の使用法については全く問題ない…はずです。 |
>私は早稲田大学の教育学部の心理学専修を出ましたが、 ここは、1〜2年は「基礎統計」という授業が必修です。
早稲田大学はそうだとしても他の大学はどうなのでしょうか?
>また、一般教養の「統計確率」も必ず取るよう指導される、ということもありました。
必修ではない(?)ということなら、私の意見と全く一致します。仮に必修だとしても、内容は理系の「統計確率」とは違うのではないでしょうか? 具体的な内容を教えていただければありがたいのですが…。なお、私がチェックした範囲では、理系と文系ではかなり内容が違うようです。
>私は「認知」で因子分析やベイジアンまで教わりました。
ゼミの内容がわからないのでなんともいえませんが、失礼を顧みずに言わせていただくと、「ソフトに機械的にデータを入力しておしまい」という感じを多く受けるのですが…。これは、論文を読むとよく分かります。全体的に、データ分析のセンスがないような感じを受けています(失礼!)。詳しくは、私のHPの心理学者の論文のページをご覧ください。
閑話休題。
これで、心理学の大学院生(修了)からのメールを2通受け取ったのですが、どうも正規分布にこだわり過ぎるような気がします。確率分布は、必ずしも正規分布であるとは限りません。まず、どんな分布か分析してから検定方法を考えるというの常道だと思うのですが、なぜそこまでして正規分布にこだわるのでしょうか?? 心理学ではそう指導されるのですか? はて?
それと、「血液型にも全く興味はない」というのは「血液型と性格」についてのデータは見たことがないということですよね? 知らないものを、なぜ「血液型と性格は関係ない」と明確に否定できるのでしょうか? 知らないなら、「どちらともいえない」ということになりませんか? 少なくとも、明確に否定はできないと思うのですが…。
以上、失礼な表現等あったかもしれませんが、どうかご容赦ください。m(._.)m
貴重なご意見をどうもありがとうございました。
最後に一言。私はあまり統計は得意ではありません。血液型以外のものはどうも苦手で…(笑)。
[その後に気が付いたのですが、「基礎統計」があるということは、やはり統計が苦手な人が多いということではないのでしょうか? -- H11.11.14]