良い歩き方と健康

 

「歩くという運動」は健康に良いからと、朝な夕なに、歩かれている方を見かけますが、身体にやさしく歩いている人は見かけません。


ではそもそも、どのような歩き方が「正しい歩き方」でしょうか?


歩き方のいろいろ


 注目させることを目的・・・モデル歩き

 威容を示すことを目的・・・軍隊の行進

 体力、心肺力の向上を目的・・・ウォーキング

 競技目的の歩法・・・競歩

 芸能の歩法・・・ダンス、伝統舞踊

 

 以上の他にも多様な歩き方があり,それぞれがその「目的に応じた正しい歩法」です。


 さて、当院に来院される方の歩き方に共通するのは、ドスンドスンと、まるで地球を割らんばかりの衝撃で歩いています。これでは膝や腰、肩や首に悪い影響が出て当然です。


 足が接地の瞬間には、体重の4倍以上の衝撃が身体に加わります。

 

 その衝撃は足関節や膝、股関節と脊柱の弯曲部で、筋肉と関節により緩和され、自覚としてあまり感じませんが、身体が柔軟で筋力もある健康な若者であっても、その衝撃は身体にストレスとして蓄積しています。後年、身体症状として表れます。


 ましてや、今現在、足腰・肩・頚に何らかの症状を訴えている人は、直ちに歩き方を改善しなければならないのは当然です。


 私が提唱する「身体にやさしい歩き方」は、接地の衝撃を和らげる歩き方です。

 主に以下の要素からなります


  1、下肢

   @ 足指の意識

     お相撲さんが色紙に手形を押すように、足指・足裏全体を付ける意識

   A 判を押すような足の接地

     一般的な踵接地ではなく、膝を軽く曲げた状態を保ち,足底全体をペタッと接地する

   B 蹴らない

     つま先で蹴らずに、踵で押すように膝の伸ばしで推進する。


  2、上肢

   @ 振るのは腕ではなく、肩甲骨

     腕を前後に振るのではなく、肩甲骨を引く

   A 前胸部を開く

     肩甲骨を引いた時に、胸筋がストレッチされている


  3、 体幹

   @ 体軸の形成 

     へそを中心に右肩と左脚、左肩と右足とX軸感覚の形成

   A 腹圧

     腹部をすぼめるように絞める圧の維持


 文章力が下手で、非常に解りづらく申し訳ありません。マンツーマンでの指導でないと、なかなかわからないでしょう。歌舞伎や能のような歩法に通ずる感じではないかと思います。


 足音が柔らかく、歩行時の身体に受ける衝撃が非常に少ない歩法です。猫が歩いているような柔らかい足腰の動きをイメージされると良いですね。


 習得すると、身長が伸びたような感じがあり、一歩一歩に安定感があり、長時間歩いても、以前より疲労感が少なくなります。


 履物がわらじや草履の時代の人たちの歩き方は、おそらく、このような歩法であったのではないかと思っています。

 

動物は、それぞれの動きに適した体形をしています。人間は、二本足で歩くことに適した体形に変化した特殊な動物で、「歩行」が身体の動きの基本運動です。


その基本の歩行の延長線に、走る・飛ぶなどは基より、スポーツにおいての複雑な動作があります。


やさしい歩法は全身に無理がなく、健康を増進します。



その「踵落とし」は、膝・腰・頚に悪影響です。