慢性痛と脳


「齢だから」ではありません


いわゆる肩のコリや腰や膝などの「痛み」が、なぜ発生しているのかを理解しなければ再発の繰り返しに陥り、以下の様に骨・筋肉の変形・変性を招き、回復不可能な状態となります。


    ストレート・ネッグ      スワン・ネッグ       椎間孔の極小化    カルシウムの沈着

 


上の状態の頸部では、慢性的な肩こり・手のしびれ・冷感・脱力・感覚の低下等の他に、頭痛・眼の奥の痛み・噛み合わせの不具合等に悩まされます。



   椎間板の消失   骨変形に伴う弯曲(1)    (2)       カルシウムの沈着


 腰痛はもちろん、下肢のしびれ・筋力・感覚低下・麻痺・膝の変形などの他、排尿・排便障害に至ります。


 これらのレントゲン写真のような人は程度に差はあれ、60代後半の人に多く見受けられている状態です。


ここまで骨が変形・変性に至ったのは、骨粗しょう症=カルシウムの不足ではありません。


痛みの原因を理解せずに、誤った対処を続けた結果です。



骨が変形・変性する理由


 「痛み」が発生した部位は、筋肉や靭帯組織の炎症・損傷が発生しています。

 その場合、筋肉組織は治癒する過程において伸縮性の低下した組織に置き変わります。

 伸縮性の低下した筋線維は骨への刺激が強くなり、骨・筋肉組織の毛細血管も絞扼され組織への栄養供給が不足します。これが理由により組織の変形・変性が進みます。


 一度変形・変性した部位は元のような形体にはもどりません



変形・変性と脳への影響


 上のレントゲン写真のような状態は、関節の動きが低下している部位と、それとは逆に動きすぎる部位が出来てしまいます。


 動きの低下している関節箇所の筋肉が、より動かされない状態が続くと、「脳 」の運動・感覚領域へも活動刺激が入らないので、脳神経細胞の機能活動が低下します。


 神経細胞の活動低下状態が長期にわたると、神経細胞の消失へと移行してしまい、脳神経系統の回復は不可能となり、それに伴い身体の動きの回復も不可能になります。


 逆に、動きすぎる部位の脳領域は活動優位となり、そこの領域の身体部位の動きを優先的に選択します。それゆえに、負担のかからない身体動作ができないので、常に炎症と損傷の繰り返す状態となり、慢性的な痛みへ移行します。


 そして、その慢性的な「痛み刺激」は自律神経系にも影響し、内科的な問題を招きます。


 怪我・むち打ち・ひどい尻もち等の外傷以外にも、長時間の同じ体勢での作業・悪い座り方、最近はスマホの見過ぎも原因となります。


 「痛み」を招かない身体の状態を維持するためには、良い状態を常に保つための正しい動きの体得が必要です。


 上のレントゲン写真のような状態の方には、運動連鎖や神経反射を利用した間接的な施術を行います。


 繰り返しますが、カイロプラクティックは、『身体構造を物理的に直すものではない』ということを、十分に理解していただきたいと思います。

すでに筋肉・骨格、椎間板などに変形・変性が進行している構造を『元のように治す』ことは不可能です。そのことも、ご承知していただきたいことです。

 しかし、このような変形・変性がある方にこそ、「症状の進行を止める、あるいは進行を遅くすることが必要である」と私は考えています。