筋・靭帯組織炎症性の痛み 捻挫やギックリなど、受傷直後に発生する腫れて熱が伴う激しい痛みです。 何とかしたいものですが、身体は、損傷した組織の分解・除去を行っている状態なので、 ある意味必要な痛みといえます。通常72時間続きます。 又、過度の鎮痛薬や湿布薬の使用は細胞の新陳代謝を遅らせ、治癒を長引かせる結果 となるので、過度の使用は控えましょう。 スポーツや肉体労働による筋肉痛や火照りもこれに当たります。 *筋硬結の痛み いわゆる「コリ」と言われている筋肉組織の状態で、その痛みの発生機序も大まかに2種 類あります。 1)筋硬結部自体の痛み 過去の筋肉損傷の治癒の過程で、本来は柔軟である筋肉組織が線維性の強い組織に 変化したことにより硬くなり、痛みを感じ取る感覚受容器が過敏になっている状態。 2)筋硬結部周囲の炎症性の痛み 筋硬結部へ流入する毛細血管が、硬結部位の手前で腫れることにより血液成分の一部 が流出し、痛みを伝える神経線維が刺激されることにより感じる痛み 通常、1)と2)が合わさっています。「痛みのトリガーポイント」とも呼ばれています。 *関節動揺性の痛み 関節を支持する靭帯や椎間板などの線維組織が弱くなり、関節の正常な可動範囲 を超える時の瞬間的痛みで、立つ・座る時や特定の動作・同じ部位に現れる痛み。 身体の動かし方や作業時の姿勢を変えることが必要です。 大抵は以上の3つが複雑に組み合わさっており、その割合によって痛みの治まり かたに違いがでます。 神経炎症性の痛み 痛みを伝える神経線維が障害され炎症を起こしていることにより発する痛み 痛みを感じている箇所と、原因箇所は別であり、筋肉反射機能も失われる。 四・五十肩、腱鞘炎、座骨神経痛などがこれに当たります。筋肉の感覚・運動神経 も同時に障害されるので、四肢を動かせない状態でもあり、筋肉組織の新陳代謝も 阻害されているので、回復には相当な期間を要します。 慢性痛 ずっと治まらない痛みを慢性痛といいますが、一般的な慢性痛は、組織が治癒しな いうちに又、同じ障害を起こしている状態です。 しかし、慢性痛が慢性痛症という、痛みが脳・脊髄の中枢神経に可塑的変化を及ぼ した病的状態に移行する場合があります。 この病態になると「痛み」の鎮痛は非常に困難になります。 野球肘、テニス肘、オスグッドなどのスポーツ障害の痛み 一般的には、使い過ぎによる障害とされていますが、筋トーヌス(筋緊張)が亢進した状態 による筋線維や靭帯への負担が原因で、運動・感覚神経系の中枢神経系の問題が起因 しています。 *成長痛と呼ばれる膝部の痛みも同様に、腰椎部に生じた神経線維の絞扼が、局所的に 大腿四頭筋の筋トーヌスを亢進させ、膝部に炎症的な痛みが生じると私は捉えています。 *このように主張するのは、筋肉組織の新陳代謝が、骨組織のそれよりも遅いと記述さ れている文献を見つけられないし、私自身がそのようには思えないからです。 ほとんどの筋骨格系の「痛み」の発生には、筋肉を収縮させる運動神経系、筋トーヌス (張力)を感じ取る感覚系、それら神経系の協調性の不統合が関わっています。 筋肉が怪我や炎症などで傷つき、治癒過程で線維性の高い組織に変わると筋トー ヌス(張力)も変わり、筋感覚が変化します。また、治癒している期間は痛みがあ るので動けない、その時に筋感覚の中枢神経系も変化します。 身体の関節各部には複数の筋肉が付いていて、その複数の筋肉が連携して円滑な 動作が出来るのですが、1本の筋肉の調和の僅かの狂いが、関節を不安定にするこ とで「痛み」を招く悪循環に陥ります。 日常的な癖づいた身体の使い方に、「痛み」を招く原因があるので、それらを改 善することが、「痛み」の再発を防ぐ唯一の方法です。姿勢の重要性がそこにあ り、予防することが出来ます。 |
痛み止めは効います。しかし… 病院で処方される痛み止めの薬や注射は、非常に高い鎮痛効能があります。それ らが効かないという人は、炎症・損傷している組織が治癒する前に、痛みを発生さ せる動さを行い組織損傷をさらに作っているので、薬や注射が効いていないと感じ るのです。 組織の治癒と機能の回復は別である。 筋肉・靭帯・骨折などの組織損傷は、身体の治癒力により修復されます。しか し、損傷する以前の状態とは、組織的に異なります。また、損傷部位の感覚が変わ ることにより運動機能も変化します。 プロのスポーツ選手が、我々からしたら些細と思われる怪我でも、数週間あるい は数か月の治療期間を設けるのは、運動機能の回復のためのリハビリの重要さを良 く理解しているからです。 |
意外に思われるでしょうが、身体にとって「痛み」は必要な感覚です。 ごくまれにi痛みを感じない「痛み感覚」が欠落した人がいます。残念ながらそのよ うな人は長生きは出来ません。なぜなら、ひどい火傷や大量の出血を伴う怪我をし ても、その危険性が理解できず、必要な処置が遅れてしまうからです。 痛みの強弱、程度を感じる感覚は生命の生存に必要なものです。 「痛み」は、貴方の今の身体の状態を知らせてくれていると考え、「痛み」のコン トロール、痛みと上手に付き合う方法をさぐりましょう。 |