追体験 

更新日:2010.6.16

 再会

 部屋の、ほんの一部ですが模様替えをしました。
 模様替えは無くしたと思っていた物が出てきたり、懐かしいモノが出てきたりします。
 そんな中で、ある出来事を思い出すモノが出てきました。

 それは今も強く印象に残っている、忘れていた記憶でした。

 再生

 10年以上前、勤務先の郵便局に向かう途中、一台の軽自動車が路肩に停車していました。
 よく見ると側溝にタイヤが落ちています。
 軽自動車は脱輪していました。

 その日はギリギリの時間に出ていたので通り過ぎましたが、どうしても気になりUターンしました。
 ハザードを出して私も路肩に停め、声をかけました。
 そして脱輪の状態を見て、運転席に乗りました。

 ハンドルを切り、エンジンをふかすと、見事に脱出成功しました。
 急いでいた私は、どうしてもと言われたので、郵便局名と名字を名乗り、去りました。

 模様替えで出てきたモノは、その後に頂いた礼状です。

 読み返すと、あの日の出来事だけでなく、朝の空気や、匂い、若かりし頃抱いていた仕事に対する誇りと情熱までも、思い出したのです。

 鮮やかに蘇る記憶の再生は、不思議な感覚を全身に伝えました。

 この礼状は、大切に保管します。
 将来再びこの礼状に出逢ったら、また今回のような追経験をするでしょう。



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