〜行政書士試験について
更新日19.2.17
平成18年の試験から内容が変わりました。
昔から試験のあり方について色々な意見がありますが、私も少なからず考えがありますのでここで述べたいと思います。
総務省の今回の改正についての解答 ← クリックして下さい。
問題数の変更点
○ 問題数 法令40題⇒46題 一般教養20題⇒14題(行政書士業務に関する一般知識へ)
6題を法令に移動した形ですが、特に異論はありません。一般教養が行政書士の業務に関するものへ変更となったのは必然の流れだと思います。
削除された試験問題
○ 行政書士法 戸籍法 住民基本台帳法 労働法 税法
これらは削除されましたが、一般知識で出題されうるので条文や過去問はチェックしておいたほうがいいでしょう。
行政書士法は他の資格にはない士業法の出題でした。私は登録時に考査をすれば足りると考えています。(特認は特に)
戸籍法と住民基本台帳法は行政法に含むべきだったかなとも思います。
労働法は社会保険労務士、税法は税理士が専門職となっていますので、法令からはずすことに意義はありません。
行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法は一般知識へ移行することを前提に賛成です。
変更された行政関連法
○ 行政法 行政手続法 行政不服審査法 地方自治法 に加えて 行政事件訴訟法 国家賠償法
行政法に一まとめにされました。行政法の出題範囲の明確化だそうです。行政手続きを主とする行政書士の試験ですから、行政に関する法令には力を入れてしかるべきと考えます。
総務省回答では情報公開法もこの分野に入るとのことです。
行政法は基礎から勉強しました。法典がないため苦労しました。
行政手続法は行政書士の憲法であり、全てはここからだと思っています。個人的にも勉強を続けている法律です。
行政不服審査法も同様です。勉強しています。
行政事件訴訟法はこれからの行政書士にとって必要不可欠な法律となるはずです。今回の科目にはありませんが民事訴訟法も併せて重要科目となっていくはずです。
地方自治法も行政に関する基礎知識として必要と考えます。賛否ありますが含めるべきと思います。
国家賠償法は行政事件訴訟法とともに行政法に含まれました。行政と国民の架け橋となる行政書士ですから、これも勉強するべきでしょう。
従来の法令科目
○ 憲法 民法 商法 基礎法学
憲法は最高法規ですので当然です。民法も同様。
基礎法学は賛否ありますが、行政書士の業務が多岐に渡るため、将来自分が専門にしたい分野の法律を理解するのに必要と考えます。
商法は第三篇の海商は海事代理士資格もあり当然不要ですが、第二編第十章の保険も不要と考えます。
商法はある程度出題範囲を定めて、少し会社法も含めた方が良いかと思います。
一般教養から行政書士の業務に関連する一般知識等へ
根強く残る一般教養不要論。実は私は必要だと思う一人です。
変更後は、政治経済社会・情報通信個人情報保護・文章理解の3つに分けられ、数学や理科といったものは無くなりました。(個人的には理系を得意としているので少し残念ではあります。)
特に必要だと思う国語(文章理解)は含まれているので一安心しています。
国語は(漢字の書き取りまでは求めないが)全ての問題を理解するのに必要な学問なので必須科目です。
以上が現在の試験内容についての簡単な意見です。
さて、試験についてよくある意見で、専門知識を出題するべき、というのがあります。
私も受験時代は考えました。他の資格は開業後に役立つ内容なのに行政書士は違う、と。
今はこれで良いと思っています。
繰り返しますが、行政書士の業務は多岐に渡ります。業務に関係する法律を出題するとなると、とてつもない数の法律が出題されることになり、合格にはとてつもない勉強量が必要となってしまいます。
ならば選択性にしてはどうか、という意見が出ます。
選択性にした場合、自動車に関する法律で受験をした人が、開業後も自動車手続きの仕事を専門にするのなら良いかも知れませんが、必ずそうなるとは限りません。
選択専門性は逆に行政書士の職域拡大を狭めてしまう可能性が出てくると思うのです。
仮に運輸・農地・国際・建設・風営・法務と決めてしまうと、それ以外の業務は行政書士の業務ではないと言われかねません。
建設業専門行政書士などのようにそれのみしか取り扱えない資格になるかもしれません。
結局は、全ての法に対応できるようになるための試験にするしかなく、「法的思考力を問い、その判定になじみやすい基本法を中心に出題する」という総務省の考え方にたどり着くと思います。
余談ですが、私自身は法令・一般知識に加え、内容証明書作成か契約書作成の実務試験をすればいいのかな、と思ったりもしました。
この事例に対し、どのような書類を作成できるか、が問えるからです。
少し思っただけなので有効かどうかは分かりません。
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