行政書士制度の危機   〜19条但書きによる業務開放〜

更新日20.7.13

 電子申請をきっかけに行政書士業務だけが民間に開放されました。
 自動車の新規登録です。
 この法改正は一つ間違えれば行政書士制度の崩壊に繋がります。



行政書士法
第八章 雑則

(業務の制限)
第十九条  行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
2  総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。



 これは、永い間自販連との戦いにおいて、政治力の違いによる日政連の敗北の結果といえます。
 日政連は過去に自販連の提案した自動車検査登録書士という新資格制度の立法を阻止した実績はありますが、その一つの勢力に押され、申請手続代理権を未だに獲得できていないのが現状です。

 これまでの経緯
 自動車販売業者が車庫証明・自動車登録業務を行い、行政書士法違反及び不当利得を得る。
 日行連が申請手続代理権を要望 → 自販連が反対  の繰り返し
 昭和52年 日行連と自販連の協議「合意確認書」 → 自販連約束破る
 昭和59年 「合意確認書」の再確認 → 自販連約束破る 
 昭和60年 自販連等が「自動車検査登録書士法」設立に動く → 勿論阻止(当然であるが)

 行政書士は車庫証明を安くやる便利屋、のイメージ定着。
 大まかな流れはこんな感じだと思います。



行政書士法施行規則
   第七章 雑則

(法第十九条第一項 ただし書に規定する総務省令で定める手続及び総務省令で定める者)
第二十条  法第十九条第一項 ただし書に規定する総務省令で定める手続は、
 道路運送車両法(省略)第四条 に規定する自動車であつて、同条に規定する登録を受けたことがなく、かつ、
 同法第七十五条第一項 の規定によりその型式について指定を受けたもの について、
 次に掲げる申請を同時に行う場合における当該申請(自動車の保管場所の確保等に関する法律(省略)附則第二項の規定により同法第四条 の規定が適用されない場合にあつては、第二号に掲げる申請)の手続(第一号に掲げる申請の手続にあつては、当該手続のうち自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則(省略)第二条第二項 の規定による同規則第一条第一項 の申請書に記載すべき事項の入力に係る部分に限る。)とする。

一  自動車の保管場所の確保等に関する法律第四条第一項 ただし書に規定する申請
二  行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(省略)第三条第一項 の規定により同項 に規定する電子情報処理組織を使用して行う道路運送車両法第七条第一項 に規定する新規登録及び同法第五十九条第一項 に規定する新規検査の申請
2  法第十九条第一項 ただし書に規定する総務省令で定める者は、社団法人日本自動車販売協会連合会とする。



 現在のところ新規登録のみとなっていますが、今後範囲を広げるようなので、変更登録・移転登録・抹消登録などがさらに業務開放されてしまうと思われます。
OSSが利用できる地域が全国になり、利用範囲が増えれば、行政書士から自動車業務が失われる気がしてなりません。

 裁判所提出書類、法務局登記申請書類、税務書類、建築設計、社会保険事務、著作権紛争代理・契約締結代理、そして自動車登録事務。
 失われていくばかりです。

 この19条の但書きにより、他の業務まで開放とならなければいいのですが…



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