家系図作成について

更新日20.7.13

結 論  というより当然のことですが…
家系図作成は行政書士の業務です。私はお引き受けいたします。



否定的意見への反論 その1
否定的意見の代表である兵庫県行政書士会の文章について、逐条反論します。
青文字が兵庫県行政書士会が出した文章です。
その下に正当な反論を掲載しています。


□最近、ホームページなどで、「家系図の作成」を宣伝している事例が見受けられます。
 ⇒業務ですから同然です。

□家系図作成は、過去の法務局での照会事例においては、「事実証明に関する書類」として行政書士業務であるとされています。
 ⇒事実として当然認められています。他にも判例があります。
 ・「されている」ではなく、正当な業務です。

□(ただし、戸籍謄本等を取ることができるのは本人が請求する場合と同じ直系血族に限られています。)
 ⇒正しい法解釈をすれば、自ずと理解できます。それが国家資格者であり法律家です。

□「除籍謄本は80 年で廃棄されます」、「贈り物に」等の宣伝文句で家系図作成を広告宣伝して営利目的で巻物家系図作成を業務誘致する行為は、国家資格者として法の予定するものではなく、品位保持規定にも抵触するおそれがあり、また、個人情報保護に敏感な昨今の社会情勢を考えると、国民からの行政書士に対する信頼を損なうおそれもあります。
 ・「80年」⇒80年の保存期間がある、という戸籍法上の説明です。
 ・「贈り物」⇒「贈り物に」については私も反対です。依頼人本人の為に家系図を作成するので、この表現は相応しくないと考えます。
 ・「営利目的」⇒行政書士の業務は営利目的であるという側面もありますから、当然です。
 ・「巻物家系図〜業務誘致」⇒巻物であるかどうかはともかく、家系図作成を業務誘致するのは、業務ですから当然です。
 ・「国家資格者として法の予定するものではなく」⇒全面的に反対です。何故否定するのでしょうか?。
 否定するのであれば、なぜ、今さら血眼になり、ADRの代理権を獲得しようと躍起になっているのでしょう?。
 なぜ、準司法分野へ業務拡大を目指しているのでしょう?。
 なぜ、成年後見業務に今更力を入れ始めたのでしょう?。
 業務拡大をするのは当然です。時代のニーズに合わせ、行政書士法の解釈をし、時には拡大解釈をし、業務拡大に向け政治活動をし、行政書士という職業が国民のために存続していくように努力することが、我々行政書士の使命です。
 「法の予定する行政書士業務」とは何でしょうか?。
 「法の予定する行政書士業務」しかやらないのでしょうか?。
 行政書士法制定(昭和26年)後に新たに国会で議決成立した法律について、新たに発生した許認可登録業務は行政書士の業務からはずされるのでしょうか?。ADRや成年後見に目を向けているのはなぜでしょうか?
 代書業務だけでしょうか?。
 権利義務・事実証明に関する書類はどうなんでしょうか?
 この考え方は間違っている、としか言い様がありません。
 縮小解釈することが行政書士及び行政書士会がすることではありません。
 そして、全ての国民・日本住民の為になりません。
 ・「品位保持規定」⇒家系図作成業務は品位保持規定に抵触しません。全ての業務が行政書士法に基づき取り扱われています。品位保持規定に抵触するかどうかは、行政書士としてではなく、その人間個人のモラルの問題です。
 ・「個人情報保護法」⇒社会情勢は確かに個人情報について敏感ですが、しかし過剰です。我々は正々堂々と業務を行うだけです。

□相続手続等に付随しない単独での「家系図作成」の依頼については、特段の事由のない限り、積極的に受託すべきでないと考えますので、会員の皆様の慎重な対応をよろしくお願いいたします。
 ⇒「家系図作成」は相続手続きとは別の業務です。ですから単独の業務です。
 ⇒依頼人から依頼を受ければ、それは「特段の事由」となります。
 ⇒「積極的に受託」するのは、行政書士として、個人事業主として当然です。
 ⇒「慎重な対応」とは、断れということでしょうか?。そうであれば撤回を要求します。
 その他のことを心配されているのでしたらどうぞご心配なく。法に基づいて我々行政書士は行動しています。

 兵庫会について色々申し上げることは致しません。
 しかし、足を引っ張るのはやめましょう。みっともないです、法律家として。

 兵庫県行政書士会の文章についての全面的反論は以上です。  



否定的意見への反論 その2
家系図作成業務を否定する行政書士(個人)の意見に対する反論
茶文字がネットで否定している行政書士の意見です。

 ※ 尚、その1は法人である行政書士会が公式に出した文章でしたので「兵庫県行政書士会」と表記しましたが、その2では「行政書士個人名」又は「行政書士個人複数人による任意団体名」を上げると個人攻撃をすることになりかねませんので省略します。
 ネットに公開されている意見の部分を、分かりやすく表現し直して紹介し、反論します。

□「家系図」は「事実証明に関する書類」ではない
 「事実証明に関する書類」とは、社会生活にかかわる交渉を有する事項を証明するに足る文書をいいます。
 (長崎県行政書士会HPにあった文章です。)
 つまり、相手との交渉の為の資料となる書類が事実証明に関する書類である、と言っているわけです。
 問題は、この文章が正しいかどうかは別として、「交渉」の解釈につきるでしょう。
 「交渉」と聞くと、何やら揉め事があるから相手方と話し合いをして解決しよう、とすることを第一に考えます。

 しかし、広辞苑を開くと…。
 1.相手と取り決めるために話し合うこと。かけあい。談判。
 2.かかりあい。関係
 とあります。

 つまり、紛争があるかどうかは関係ありません。
 よく考えてください。紛争があれば弁護士法72条に抵触し、弁護士以外の取り扱いはできなくなり、行政書士の業務ではないという解釈になります。

 家系図を赤の他人に見せて回る人はいないと思いますが、身内に見せて回る人はいます。
 その時に「貴方と私はこういう親戚関係だ」と説明するに足る書類として家系図は役に立ちます。勿論戸籍謄本類の添付も必要ですが。
 権利義務・事実証明に関する書類について、行政書士自ら縮小解釈するのは止めましょう。繰り返しますが縮小解釈するのはみっともありません。

 「事実証明に関する文書は、われわれの社会生活上重要な利害に関係がある事実を証明しうる文書の意味に解するべきである」という学説等もあり、これを元に否定する人もいます。
 しかし、血縁関係は重要な利害関係を証明する事実です。それを証明するのが家系図です。

□「家系図作成」は人権侵害の疑念(身元調査含む)があるため、取り扱うべきではない。
 我々行政書士は、その取り扱う業務の殆ど全てが、特に個人からの依頼については、身分に関する事を知り得る状況になります。
 離婚協議書の作成は?、相続に関する業務は? 何のための守秘義務??? 

 取り扱うべきではないというのであれば、職務上請求の取り扱いを否定することになります。
 そんな馬鹿なことはありません。よく考えれば分かることです。

□家系図作成により、行政書士が差別意識の助長に手を貸している。
 …、 貸してません。
 人権侵害・差別意識 の言葉から部落差別問題と関係が深いことが分かります。恐らく家系図作成する行政書士を利用し、特定の人物についての調査をさせ、差別しようとする人物がいるのでしょうが、だからと言って家系図作成をするな、というのは本末転倒です。
 「行政書士法」があり、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」ある以上、どうやっても差別するために行政書士を利用することはできません。

 以下、上記理由を裏付ける参考条文の説明です。

 行政書士は、「行政書士法」第10条により責務が、第12条により守秘義務が課せられている。第12条違反については第22条により1年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑が科せられる。

 行政書士は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」第2条第2項41号による特定事業者であり、同第4条において本人確認が義務付けられている。他に以下の義務が課せられ、違反した者には刑事罰が科せられる。

 第6条(第1.2項) 本人確認記録の作成義務等
 第7条(第2.3項) 取引記録等の作成義務等

 第16条 第6条と第7条違反について行政庁は特定事業者(行政書士)に是正命令をすることができる。
 第23条 第16条の命令に違反すると2年以下の懲役・300万円以下の罰金の一方又は両方が科せられる。

 第13条 行政庁は報告又は資料の提供を求めることができる。
 第14条(第1項) 行政庁の立入調査
 第17条(第2項) 国家公安委員会は報告又は資料の提供を求めることができる。都道府県警察に調査指示ができる。
 第17条(第3項) 指示を受けた都道府県警は立入り検査ができる。
 第24条(第1.2項) 第13条、第14条1、第17条2.3に違反した場合、1年以下の懲役・300万円以下の罰金の一方又は両方が科せられる。

 守秘義務により秘密が依頼人以外に漏れる事は無く、本人確認により依頼人以外の者から依頼を受けることがありません。

□家系図作成業務をする行政書士は、人権意識に欠ける。
 ここまでくると、何も申し上げることはありませんが、しかし言わなければならないでしょう。
 人権意識に欠けるかどうかは、行政書士としてではなく、その人間個人のモラルの問題です。
 このような意見を公言する方こそ、偏見があるのではないでしょうか。

□家系図の作成のために職権(職務上請求)を使うことはできません。
 ……、このコラムをここまで読んで頂ければ分かると思います。
 敢えて言うなら、家系図作成を業務として取り扱いますので、職務上請求を使うことになります。

□家系図に了解を得ていない配偶者や兄弟姉妹、親戚の親兄弟、親戚などが調べて書かれていたら、違法な業務の可能性が高い
 「自分の直系の兄弟」は其々の了解を得ることなく適法な手続きで知ることができます。それは血縁関係に基づく利害関係等を証明するためです。当然の本人の権利であり自然権です。
 「自分の直系の兄弟の子供」は、三代戸籍が禁止されてからの戸籍では知ることはできません。
 三代戸籍の制度があったころの除籍まで遡れば、適法に知ることができます。また家系図作成では調査はできませんが、利害関係(代襲相続など)がある場合は適法に知ることができます。

 戸籍法を勉強すれば分かります。

□依頼者以外の人を含む戸籍等の個人情報を入手して良いのか
 良いです。
 自分の直系を辿る事は、その人の自然権です。
 自然権の行使の為行政書士に依頼をすれば、権利義務・事実証明に関する書類の作成となります。

 戸籍法を勉強すれば分かります。

まとめ。


 家系図作成に反対する行政書士の理由の全ては、「行政書士に相応しくない」とか「倫理に反する」といった、感情論です。
 感情論ではなく、理論・法理論で論議しましょう。
 やりたくないのであればやらなければ良いわけで、自分がやらないからほかの行政書士もやるな、というのもまた感情論です。
 やりたくないという理由が、行政書士法第11条に抵触しなければ、ですが。因みに第11条違反については同第22条よりに100万円以下の罰金刑が規定されています。



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