行政書士という法律家 2

更新日19.4.23


毎日新聞の記事で大きく取り上げられましたので、改めてこの問題を取り上げます。
私見ですが、この件はあまりにも器の小さい話ですので全国紙に取り上げられるとは思っていませんでしたし、全国紙に載ったことと、結構大きな反響があることに正直驚いています。

また、日本行政書士会連合会が今回の申入書とその回答書を公開しました。
公開したことについて、私は高く評価します。

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今回の申入書に対し、私の率直な感想をここでしておきたいと思います。

その1 「Lawyerを含む英文表示の使用を差し控えられたい」 について


Lawyerは法曹一元制度を採る英米では弁護士と訳されるが、日本はそうではない。
従って日本においてLawyerは法律家と訳すのが自然である。そもそも制度が違う。
日弁連は法律を自分のもの(独占物)とするため、都合の良い解釈のみ行っている。

その2 「今後「法律家」を含む表現の使用を差し控えられたい。」 について


日弁連の言うには法律家=法曹、つまり弁護士と裁判官、検察官が法律家で、他は違う、とのこと。
法曹が弁護士・裁判官・検察官であるのは十分認められるが、法律家=法曹とする超縮小解釈は行き過ぎと言わざるを得ない。

「法律家」とは、何でしょうか。

私なりに研究しました。そして、その答えとして、明治学院大学法律学科と東京都立大学のサイトにある表現に辿り着きました。
ここに紹介します。

明治学院大学 法律学科
"真の法律家"とは、その職業や地位にかかわらず、法的知識をもった健全な市民のことをいい、法律という技術をよく知り、よく使いこなすことにより、社会的責任を果たし得る人間のことをいう。

東京都立大学
良き法律家とは権威を振りかざし形式論理をもてあそぶのではなく、バランスよく物事を理解し、多くの人が納得できるような形で生きた論理を組み立てていく人のこと。

「法律家」についての答えとして、これほど真理をついたものは無いと思います。
私はこの2つの文章を基本理念に加えました。

その3 「代理権」その他について


「この「官公署」には、司法機関である裁判所・検察庁は含まれておりません。」とありますが、違います。
行政書士法の官公署の解釈は行政機関にとどまらず広く立法機関、司法機関を含むものです。
  ※ この解釈についての詳細は→裁判所提出書類 一頁 その1 へ。

代理権については、良識ある行政書士であればその業務について十分理解をしています。
弁護士法72条による代理権は、法律事件に関する法律事務について、報酬を得て、依頼人の代理人となり相手方と交渉し、その結果法律効果を生む行為です。
  ※ この解釈についての詳細は→裁判所提出書類 二頁 その5 へ。

その4 その他の申し入れについて共通事項


 誤解する可能性が高い、
 誤解を与えるものとして不適、
 市民の誤解を招く、
 誤解を避けられない、
 誤解を与える、

等とあるが、一方的に誤解をしようとしているのは日弁連である。
普通にパンフレットを読んで頂ければ分かるし、今のところ市民に誤解を与えたという事実はない。
仮に依頼人が誤解を受けていた場合はその旨説明をする。

その5 「平成19年2月末日迄に書面にて回答されるよう要請いたします。」について


期限付きで回答を要請しているが、弁護士という権威を振りかざしているように見えるのは私だけでしょうか。

以上が私の感想です。

最近、各士業間(特に弁護士・司法書士・行政書士)の関係は良くありません。
職域争いを超えた過剰反応があると私は見ています。

試験内容の違いで判断するのではなく、社会にとって何が必要かを見極めた上で法律の改正なり相互乗り入れなりを検討していくべきだと思います。



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