行政書士という法律家 1

更新日21.10.1

 はじめに


他士業との競合や縄張り争いになると、必ずといって良いほど行政書士は法律家なのかという意見が出ます。
中でも行政書士を格下に思う人、疎ましく思う人は行政書士は法律家ではないと位置づけしているでしょう。

法曹は、司法試験に合格した弁護士・裁判官・検察官のことを指すと思います。
しかし、行政書士は法律家です。

八士業等は対等な立場であり、水平的関係で業務を行っており、その優劣の差はありません。

私は行政書士を法曹ではないという考え方を持っている人間こそ偏見の持ち主であり、法に携わるべきでないと考えます。
 ※ 人間的優劣はあります。

行政書士が法律家である、と明記された法律はありません。これは他の資格でも同じです。

前述の法律手続きを業として行っている八士業とは
 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士
とされています。

これは戸籍法に基づいた考え方と推測されます。

ここでは、数少ない、行政書士が法律家であるという法的根拠を紹介します。 尚、関係のない箇所は省略してあります。



戸籍法


第10条の2 前条第1項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
1.〜3.(省略)
2 (省略)
3 第1項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第1項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。


戸籍法施行規則


第十一条の二  戸籍法第十条の三第一項 の法務省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。
一〜三(省略)
四  戸籍法第十条の二第三項 から第五項 までの請求をする場合には、第一号に掲げる書類又は弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士若しくは行政書士(以下「弁護士等」という。)若しくは弁護士等の事務を補助する者であることを証する書類で写真をはり付けたものを提示し、弁護士等の所属する会が発行した戸籍謄本等の交付を請求する書面(以下「統一請求書」という。)に当該弁護士等の職印が押されたものによつて請求する方法

出入国管理及び難民認定法


別表第一
(第二条の二、第五条、第七条、第七条の二、第十九条、第二十二条の三、第二十二条の四、第二十四条、第六十一条の二の二、第六十一条の二の八関係)

在留資格

本邦において行うことができる活動

法律・会計業務

外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動


出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令


 出入国管理及び難民認定法 (以下「法」という。)第七条第一項第二号の基準は、法第六条第二項 の申請を行った者(以下「申請人」という。)が本邦において行おうとする次の表の上欄に掲げる活動に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。

活  動

基  準

法別表第一の二の表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる活動

申請人が弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士としての業務に従事すること。



 法的根拠といってもこの2つを知っているだけです。
 もし他にありましたらお知らせいただければと思います。

 行政書士の公的に用いられる英訳語は「Administrative Lawyer」(内閣府等による)、または 「Gyouseishoshi Lawyer」となっています。
 しかし、2006年12月22日に日弁連が日行連のパンフレット文中の「Lawyer」「法律家」という言葉を使うな、という申し入れがありました。

 行政書士が法律家ではないと日弁連が言ってきたわけですが、弁護士で無ければ法律家ではないのでしょうか?。

 戸籍法の改正が進んでいるのはご存知でしょうか。
 最近知ったのですが、恐ろしいことが起こっています。

 結局行政書士は外されました。

法制審議会戸籍部会 第13回議事録
 ↑ を参考にしてください。

 その後の改正により、我々士業は第三者請求扱いとなりました。
 しかし・・・
 弁護士は元々訴訟に関わっているので請求でき、
 ADRの代理権を持った司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・弁理士がADRに関する請求に関し、
 国税不服審判所への行政不服審査請求の税務代理が認められている税理士が行政不服審査に関し、
 請求できるという条文ができました。

 行政書士は・・・、外されてます。(繰り返しますが)



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