違反行政書士2  〜補助者とは

更新日19.4.2

補助者について認識の甘い行政書士がいるようです。
改めて説明及び研究しなければなりません。

行政書士法 施行規則
第四条 (他人による業務取扱の禁止) 
行政書士は、その業務を他人に行わせてはならない。ただし、その使用人その他の従業者である行政書士(省略)に行わせる場合(省略)若しくは依頼人の同意を得て、他の行政書士(省略)若しくは行政書士法人に行わせる場合は、この限りでない。

第五条 (補助者)
行政書士は、その事務に関して補助者を置くことができる。
2  行政書士は、前項の補助者を置いたとき又は前項の補助者に異動があつたときは、遅滞なく、その者の住所及び氏名を行政書士会に届け出なければならない。補助者を置かなくなつたときも、また同様とする。

この条文を掲載した理由は分かる人にはわかり、ギクりとした人にはギクりとしたはずです。

行政書士には毎月「月刊日本行政」という冊子が送られてきます。
その中には綱紀事案の公表がなされており、毎月何人かが処分を受けています。
なぜなのか分かりませんが関西から中国地方が多いです。

この事案の中で多いのが「施行規則第4条・5条違反」です。

例1 自動車登録業務において、その殆どを補助者に任せていた。
例2 自動車協会等の施設に事務所を構え、同協会の名で、協会職員に行政書士業務を行わせていた。
例3 他士業事務所を兼業し、補助者登録していない他士業事務所職員に書類の作成及び提出をさせていた。
   (設計事務所・会計事務所など)

ここで、補助者とはどのようなものかを説明したいと思います。
尚、ここで紹介するものは私の手元に原文があるわけではなく、インターネット検索で見つけたものです。
原文は古い資料で見つけられませんでした。

昭和45年6月16日 45総行指発第487号東京都知事注意)
一 (省略)
二 補助者とは、行政書士の監督のもとで、行政書士の命令をうけて単純な事務に従事する者をいう。その要件は次のとおりである。
1 行政書士が特に必要と認めること。
2 行政書士の事務を補助する者であること。
3 行政書士がその補助者の氏名を行政書士会に届け出ること。
4 補助者は、行政書士の命をうけ、浄書、計算等の単純な事務に従事する者であること。
 したがって、補助者は、行政書士の命をうけて行政書士の専用となって、単純な事務に従事することが原則であり、それを逸脱する行為は許されないものであること。
三 補助者がもっぱら行政書士の業務を処理する行為は、行政書士法第19条に該当し、同法第21条の罰則の適用があること。
四 行政書士が補助者にもっぱらその業務を行わせ、なんら監督しない行為は、行政書士法施行規則第4条に該当し、当該行為に対しては、知事は、行政書士法第14条に規定する処分をすることができる。

★補助者の業務領域について(昭和53年9月14日日行連会長回答)
 補助者は行政書士の業務を補助する者であるから、行政書士に命ぜられた業務を遂行するのみならず諸官公署に出向いて書類の提出代行などなしうる。
 その場合の書類の訂正は明らかな誤記の訂正は出来ると解するが、内容の実質的な変更については許されないと解する。
 補助者の定義については「行政書士の監督のもとで行政書士の命令をうけて単純な事務に従事する者をいう」(昭和45年6月16日東京都知事注意)と解する。
 ただし補助者の濫用などにより弊害が生ずればその行政書士の責任と考えられる。

潜在的に4条5条違反は相当数に上ると思います。

兼業者の皆様へ再度お尋ねします。

 兼業している他士業事務所の職員又は社員或いは法人社員に行政書士業務をやらせていませんか?。

最後に。

行政書士法
第14条(行政書士に対する懲戒) 
行政書士が、この法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、都道府県知事は、当該行政書士に対し、次に掲げる処分をすることができる。
1〜3.(省略)

第14条の2(行政書士法人に対する懲戒) 
行政書士法人が、この法律又はこの法律に基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は運営が著しく不当と認められるときは、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事は、当該行政書士法人に対し、次に掲げる処分をすることができる。
1〜3.(省略)

2 行政書士法人が、この法律又はこの法律に基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は運営が著しく不当と認められるときは、その従たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事は、当該行政書士法人に対し、次に掲げる処分をすることができる。ただし、当該違反等が当該従たる事務所に関するものであるときに限る。
1〜2.(省略)

第十四条の三(懲戒の手続)
何人も、行政書士又は行政書士法人について第十四条又は前条第一項若しくは第二項に該当する事実があると思料するときは、当該行政書士又は当該行政書士法人の事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる



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