特認制度の全廃を4 

更新日21.10.1

私は特認制度の全廃を主張しています。
今現在起こっている行政書士特認制度の大いなる惰弱性をここに追求します。

第一部 行政書士となる資格


1.行政書士試験に合格した者
2.弁護士となる資格を有する者
3.弁理士となる資格を有する者
4.公認会計士となる資格を有する者
5.税理士となる資格を有する者
6.国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間
 及び特定独立行政法人(1)、特定地方独立行政法人(2)又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間
 が通算して20年以上(3)になる者

 1(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人をいう。以下同じ。)
 2(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
 3(学校教育法(昭和22年法律第26号)による高等学校を卒業した者その他同法第56条に規定する者にあつては17年以上)

本家本元である行政書士法だけで、行政書士になる資格が6つあります。多すぎます。
行政書士試験合格とはいっても、昔からある試験も含まれるため、国家試験になる前に合格した人も含まれますから、これだけでも相当数の人数になります。
それなのに弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を持っている人も加わり、さらに国家・地方公務員、特定独立行政法人・特定地方独立行政法人・日本郵政公社に20年以上勤務した人も加わってきます。

第二部 6号 行政事務 補足


行政事務に関する公文書を調べてみましたが、インターネット上で以下の書面を見つけました。

「行政事務」の解釈に関する自治省行政課長通知(昭和26年9月13日)

 行政事務とは、単に行政機関の権限に属する事務のみならず、立法ないし司法機関の権限に属する事務に関するものも含まれるものと広く解することができる。
 したがって、この場合国会議員、裁判所の事務職員等の行う事務は含まれると解すべきである。
 また、単なる労務、純粋の技術、単なる事務の補助等に関する事務は含まれないものと解する。
 行政事務を担当する者であるかどうかの判別は、次ぎの基準によることが適当である。

 1. 文書の立案作成、審査等に関連する事務であること(文書の立案作成とは、必ずしも自ら作成することを要せず、広く事務執行上の企画等を含む)。
 2. ある程度、その者の責任において事務を処理していること。
 3.行政事務を担当する者の具体的例示
  ア.裁判所の事務局の職員、国会の事務局の職員。
  イ.選挙管理委員、監査委員、……、その他法令または条例に基づく委員会(行政委員会)の委員(以下略)

公務員の行政事務の定義は広範囲であることがわかります。
行政に関する事務に携わっていれば資格が得られることになります。

単純に考えて、国家公務員試験TUV種・地方公務員試験初中上級に合格し、公務員になっていれば行政書士資格がついてくることになります。

第三部 5号 税理士の資格を有する者


税理士試験に合格した者
試験科目の全部について、7条8条の免除された者
弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

7条は税法科目と会計科目において修士の学位をとれば、当該科目の他1科目が免除になるという規定です。(その他規定あり)
8条は大学で税法科目・会計学を3年教える立場であった者や博士の学位をとれば、当該科目が免除となる規定です。
官公署において国税又は地方税に関する事務などに携わっていれば、当該科目免除となります。

税理士試験に該当する科目の博士の学位を取ってしまえば、税理士の資格を得、同時に行政書士の資格も得られることになります。
また、大学で税法や会計学に関する科目(税理士試験に該当する科目)を教授や講師として3年教えたり、博士号をとれば簡単に税理士の資格を得、行政書士の資格も得られることになります。

弁護士・公認会計士については行政書士の資格と同じです。

第四部 弁理士の資格を有する者


第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、弁理士となる資格を有する。
一 弁理士試験に合格した者
二 弁護士となる資格を有する者
三 特許庁において審判官又は審査官として審判又は審査の事務に従事した期間が通算して七年以上になる者

特許庁に入庁し、審判・審査の事務を七年やれば行政書士の資格が得られることになります。
行政書士法の20年より短い期間で弁理士の資格を得られ、同時に行政書士の資格も得ることが出来ます。

弁理士試験合格、弁護士となる資格は行政書士法に同じです。

第五部 弁護士の資格を有する者


(弁護士の資格)
第四条 司法修習生の修習を終えた者は、弁護士となる資格を有する。

(法務大臣の認定を受けた者についての弁護士の資格の特例)
第五条 法務大臣が、次の各号のいずれかに該当し、その後に弁護士業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了したと認定した者は、前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する。
 一 司法修習生となる資格を得た後に簡易裁判所判事、検察官、裁判所調査官、裁判所事務官、法務事務官、司法研修所、裁判所職員総合研修所若しくは法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)第四条第三十六号若しくは第三十八号の事務をつかさどる機関で政令で定めるものの教官、衆議院若しくは参議院の議員若しくは法制局参事、内閣法制局参事官又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学で法律学を研究する大学院の置かれているものの法律学を研究する学部、専攻科若しくは大学院における法律学の教授若しくは准教授の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
 二 司法修習生となる資格を得た後に自らの法律に関する専門的知識に基づいて次に掲げる事務のいずれかを処理する職務に従事した期間が通算して七年以上になること。
  イ 企業その他の事業者(国及び地方公共団体を除く。)の役員、代埋人又は使用人その他の従業者として行う当該事業者の事業に係る事務であつて、次に掲げるもの(第七十二条の規定に違反しないで行われるものに限る。)
   (1) 契約書案その他の事業活動において当該事業者の権利義務についての法的な検討の結果に基づいて作成することを要する書面の作成
   (2) 裁判手続等(裁判手続及び法務省令で定めるこれに類する手続をいう。以下同じ。)のための事実関係の確認又は証拠の収集
   (3) 裁判手続等において提出する訴状、申立書、答弁書、準備書面その他の当該事業者の主張を記載した書面の案の作成
   (4) 裁判手続等の期日における主張若しくは意見の陳述又は尋問
   (5) 民事上の紛争の解決のための和解の交渉又はそのために必要な事実関係の確認若しくは証拠の収集
  ロ 公務員として行う国又は地方公共団体の事務であつて、次に掲げるもの
   (1) 法令(条例を含む。)の立案、条約その他の国際約束の締結に関する事務又は条例の制定若しくは改廃に関する議案の審査若しくは審議
   (2) イ(2)から(5)までに掲げる事務
   (3) 法務省令で定める審判その他の裁判に類する手続における審理又は審決、決定その他の判断に係る事務であつて法務省令で定める者が行うもの
 三 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十八条第三項に規定する考試を経た後に検察官(副検事を除く。)の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
 四 前三号に掲げるもののほか、次のイ又はロに掲げる期間(これらの期間のうち、第一号に規定する職に在つた期間及び第二号に規定する職務に従事した期間については司法修習生となる資格を得た後のものに限り、前号に規定する職に在つた期間については検察庁法第十八条第三項に規定する考試を経た後のものに限る。)が、当該イ又はロに定める年数以上になること。
 イ 第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 五年
 ロ 第二号に規定する職務に従事した期間に第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 七年

弁護士になるには、司法修習生となる資格(司法試験に合格)を得ていないと弁護士となる資格を得ることが出来ません。

司法修習生となる資格を得た後、以下の要件を満たせば弁護士となる資格を有することになります。

 4条
 司法修習を終了

 5条1号
 簡易裁判所判事、検察官、裁判所調査官、裁判所事務官、法務事務官、司法研修所、
 裁判所職員総合研修所若しくは法務省設置法上の事務を司る機関で政令で定めるものの教官、
 衆議院若しくは参議院若しくは法制局参事、
 内閣法制局参事官又は大学で法律学を研究する大学院の置かれているものの法律学を研究する学部、
 専攻科若しくは大学院における法律学の教授若しくは准教授
  の職にあった期間が通算5年以上ある
 5条2号
 イ 企業役員等で、(1)〜(5)の仕事を通算7年以上やった
 ロ 公務員で、(1)〜(3)の仕事を通算7年以上やった

 5条3号
 検察庁法に規定する考試を経て、検察官の職を通算5年やった

 5条4項
 イ ロ 省略

行政書士となる資格のうち、「弁護士となる資格を有する」定義としては、司法修習を終了することが前提となります。
司法修習を経ずとも5条の要件を満たせば弁護士となる資格を有することになります。

第六部 公認会計士の資格を有する者


(公認会計士の資格)
第3条 公認会計士試験に合格した者(同一の回の公認会計士試験において、第8条に規定する短答式による試験及び論文式による試験の試験科目の全部について、第9条及び第10条の規定により短答式による試験及び論文式による試験を免除された者を含む。第12条を除き、以下同じ。)であつて、第15条第1項に規定する業務補助等の期間が2年以上であり、かつ、第16条第1項に規定する実務補習を修了し同条第7項の規定による内閣総理大臣の確認を受けた者は、公認会計士となる資格を有する。

公認会計士も税理士試験同様、科目免除規定があります。

いずれにしても公認会計士試験に合格することが基準となっています。

以上、これだけ多くの条件のうちどれかに当てはまれば行政書士となる資格を有することになっています。
一番簡単に取る方法は、なんと言っても大学で税理士試験科目免除で税理士の資格を得ることでしょう。
特許庁に七年でも登録できるはずですね。

潜在的に、相当な人数が有資格者として存在していることは間違いありません。



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