特認制度の全廃を3 

更新日21.10.1

2号から6号までの、各号の廃止要望理由及び1号改正要望理由をここに述べます。

 2号 弁護士となる資格を有する者


登録している弁護士がいるのか?
もしかしたら一人くらいはいたのかもしれません。申請取次をするために。

しかし、今は弁護士も申請取次者となることが出来る様になりました。
これまで行政書士が作り上げてきた権利を奪われた形です。

官公署に提出する書類の作成、手続代理は行政書士の業務であるのに弁護士に認められたわけです。
実際、警察署等に「告訴告発状」を作成し提出している事実や市町村役場に「生活保護申請」をしている事実があります。(かまいませんが)

もはや、いや最初から弁護士が行政書士登録する意味は無いと考えます。

◆どうしても残すなら…法改正
委任状をもらって事件性の無い官公署手続をしている現状を見れば、弁護士法第3条2項に「行政書士業務を行うことが出来る」という文言を追加すれば良い。
行政書士が作り上げた業務を横から奪うのであれば、最初から行政書士業務を出来るようにすれば良い。
その代わり「弁護士法72条の解釈を事件必要説である」と表明してもらい、行政書士法の「権利義務・事実証明に関する書類の作成」を「法律事務」に文言を変える改正をする。極当たり前のことだと考えます。


 3号 弁理士となる資格を有する者


著作権登録、回路配置登録、種苗登録をするために登録する人はいると思いますが、それほど多いとは思いません。
弁理士は契約締結代理権も獲得し、著作権等でADRの紛争代理権も獲得しています。
これ以上の特権を与える必要はありますか?

無条件で与える必要はありません。


 4号 公認会計士となる資格を有する者


公認会計士は財務書類の監査又は証明をすることを業としています。監査法人などに就職し、企業の会計監査をするのが業務です。
行政書士と全く違う業務で関連性も無いと思います。

かつて上位資格として資格が与えられましたが、現在もその必要がありますか?。


 5号 税理士となる資格を有する者


国税(所得税・消費税申告)に関することは税理士が一番です。しかし、それと官公署の手続きや権利義務関係の書類作成とは全く異なります。

行政書士登録をすれば建設業許可、産廃関係の許可、営業関係の許可などでプラスアルファの収入を既存の顧客から得ることが出来、さらにISO・プライバシーマークの取得や議事録作成などでも収益が見込めます。

顧客には行政書士業務と税理士業務が別であることの説明をしていない為、税理士が行政書士業務をやっている状況であり、会社設立を考えたときは会計事務所を思い出すのが一般的になってしまっています。

税理士・会計事務所がこれらの業務を囲ってしまっている為、正直なところ新規登録者の参入は出来ません。
行政書士としての自覚を持ってやっているのであればいいのですが。

しかし、車庫証明をやる税理士兼業者はいません。(全ての他資格特認者に共通しますが)
悪い言い方ですが、お金になる部分だけをやっています。

特認の中でも違反行政書士(法・施行規則違反)が多いと思います。
(違反行政書士を参照)

税理士に資格を与える必要はありません。

ちなみに地方税の取扱いは古くから行政書士が取り扱っていましたので、当然業として出来ることになっています。
(トップページ→行政書士→税理士法 参照)


 2号から5号について共通事項


資格に上下はありません。
行政書士制度とそれぞれの制度は、違う分野において国民の利便に沿う業種となっています。
時代に合った法改正を望みます。


 6号 公務員特認


現在の行政書士の業務は、昭和26年の頃とは違い一般的な事務ではありません。
国際関係など高度な知識を必要とするものがあります。もはや誰でも出来るものでもありません。

公務員試験に合格して行政事務経験があれば認められるというのは、時代遅れもいいところです。

退職後に登録する人が殆どだと思います。
行政書士になるという志が本当にあるのなら、試験を受けるべきでしょう。

「もらえるから」という理由でやってほしくありません。
天下り先というほどのものではないかもしれませんが、形を変えた天下り先となっているのは事実です。


 1号 行政書士試験に合格した者 についても変更を!


さらにメスを入れたいと思い、1号について意見を述べたいと思います。

行政書士試験は、かつて都道府県単位で行われていた頃から試験制度・内容が大幅に変わってきました。
なかなか合格できない難関試験となっています。

現在は新行政書士試験となっています。
近年の試験合格者の私でも合格するのは骨が折れます。

つまり、最近の国家試験と昔の試験では難易度が全然違います。
にもかかわらず、行政書士法が改正される度に、附則において以前の試験合格者も1号に該当するとなってきました。

附 則 (昭和五八年一月一〇日法律第二号)
2  この法律施行の際現に行政書士である者及びこの法律による改正前の行政書士法第四条の規定による行政書士試験に合格した者は、この法律による改正後の行政書士法(以下「新法」という。)第二条の規定による行政書士となる資格を有するものとみなす。

附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(行政書士法の一部改正に伴う経過措置)
第百五十三条  施行日前に第四百六十四条の規定による改正前の行政書士法第四条の規定による行政書士試験に合格した者は、第四百六十四条の規定による改正後の同法第三条の規定による行政書士試験に合格したものとみなす。

憲法以外の法令科目では法改正も行われています。
行政書士の品質向上の為、他の資格者から能力の不足と言われない為に、国家試験なってからに限るとか、合格後10年以内とか、ある程度試験合格後の期限を決めるべきだと思います。

試験に合格しても登録しないのならやはりやる気は無いわけです。
以前のように1日の講習を受けて試験を受け合格といった頃とはわけが違います。


その他 特認制度に対する意見


行政書士のうち、試験合格者以外の人数の割合がこれほど多い法律系国家資格はありません。
こんなことだから行政書士はいらない、名称独占にせよ、という意見が出てしまうのです。
本当に試験合格者は報われません。

法改正はすぐには無理でしょう。全く期待できません。
特認廃止の意見は行政書士会からは出ていません。一部の試験合格者から出ているだけです。
司法書士会や税理士会等は、会として意見を述べています。国会議事録にも記載されています。

特認全廃の法改正の前段階として、行政書士会は率先して試験合格者との区別をするべきです。
 区別案として・・・
 1. 試験合格者は、単位会への加入は任意とする。
 2. 試験合格者は、入会金及び単位会会費は現在の10分の1程度に下げる。
 3. 特認の場合は準行政書士と名称を変更し、且つ、具体的業務を届けさせ限定させる。

 他にも色々考えられますが、2.は法改正をせずとも会則の変更で出来るはずですから是非やって頂きたい。



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