行政書士法草案 

更新日19.3.24

あまり知られていない最も最初に作られた

     「行政書士法の草案」 と 「成立直後の最初の行政書士法」  を紹介します。

ここから行政書士の歴史が始まりました。
結構貴重な資料ではないでしょうか。



行政書士法草案

治安及び地方制度委員会 16号 昭和22年09月22日

 第一條 この法律において、行政書士とは、他の法令に依ることなく、官公署又は公衆の嘱託を受けて左記の書類作製を業とする者をいう。
  一、官公署へ提出する書類。
  二、權利義務に關する書類。
  三、事實證明の書類。
 第二條 行政書士は、左の條件を具へなければならぬ。
  一、日本國民で、民法上の能力者であること。
  二、高等學校卒業以上の學力を持ち、行政書士試験に合格していること。
   行政書士試驗に關する事は勅令で定める。
 第三條 左の各號の一に當るものは行政書士たるを得ない。
  一、禁錮以上の刑罰を受けたもの。
  二、破産者で復權していないもの。
  三、行政書士の業務禁止の處分を受けたもの。
 第四條 行政書士は、行政書士名簿に登録せられなければならない。行政書士名簿は内務大臣が保管する。
 第五條 行政書士は、内務大臣の監督を受ける。
 第六條 行政書士は、内務大臣の定める報酬を受ける。
 第七條 行政書士は、相當の事由がなくては、嘱託を拒むことが出來ない。
 第八條 行政書士は、左記各號の行為をしてはならない。
  一、所定の報酬以外の金圓を要求すること。
  二、法令の規定に依らず他人の訴願、訴訟の代理鑑定をすること。
  三、嘱託せられた事項に就き利害反する者の為め代書をすること。
  四、業務上知つた他人の秘密を漏らすこと。
  五、書類の紙數を増加する目的で故らに文句を冗長にしたり必要以外の書類を作ること。
 第九條 行政書士が前條の業務上の義務に反したときは、内務大臣又は地方長官が左の處分をする。
  一、業務の停止。
  二、業務の禁止。
  三、百圓以下の科料。
  非訟事件手續法第二百八條の規定は前項の科料の處分に準用する。
 第十條 行政書士は、都道府縣毎に行政書士會を設立し、之れを統轄の為め、日本行政書士聯合會を結成せねばならぬ。
 第十一條 行政書士會及日本行政書士聯合會は之れを法人としる。
   行政書士會は官公署の嘱託を受け書類作製に關する公務を補助することが出來る。
   其他行政書士會に關する規定は之れを内務大臣が定める。
 第十二條 行政書士は行政書士會に加入した後でなければ、業務を行ふことが出來ない。
 第十三條 行政書士の資格なくして、行政書士の業務を行うた者は六月以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
 第十四條 行政書士の資格あるも其の登録を受けず行政書士の業務を行う者は、二十圓以下の科料に處する。
   非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條の規定は前項の科料に付準用する。
    附 則
  本法施行の期日は勅令を以て定める。現在代書人は本法施行の日より三月以内に行政書士名簿に登録を出願したときは、試驗を要せずして行政書士たることが出来る。
 大正九年十一月二十五日内務省令第四十號代書人規則は此の法律施行の日より廢止する。


この原案のまま成立していれば、今頃は特認制度不要なんて問題も起こらなかったでしょう。
行政書士試験に合格した者が行政書士になれる。これが一番です。他の資格もそうだと思います。

それではその後、行政書士法はどのように修正され成立したのでしょうか。
気になる成立直後の何の改正もされていない行政書士法です。



この条文を探すのには苦労しました。普通に探しても見つからないと思います。どうやって探したのか知りたい方は連絡下さい。