平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

No98-6              webへいき連              2023年 5月

今でしょ講座

「安全保障3文書」改定
 危険な狙い その5

   
林彰のイラスト

 昨年12月の「安全保障3文書」改定を号砲として、岸田政権は大軍拡・戦争国家へと大暴走を開始しています。 軍事費のGDP比2%への大増額(5年間で43億円)を確保するための「防衛力強化資金」新設と大増税、兵器の開発 とその生産基盤を強化するための「防衛産業基盤強化法」の制定。ミサイルや戦車など殺傷能力のある兵器の輸出解禁の ための「防衛装備移転3原則」の見直し、等々。
 そればかりではありません。岸田政権は、バイデン政権の要求に応えて「反撃能力の保有」=対中国の先制攻撃体制づ くりに現実的にもふみだしています。南西諸島に続々と新設された自衛隊基地には、巡航ミサイル「トマホーク」や新た に開発する長距離のミサイルが配備されようとしています。南西諸島は軍事要塞と化そうとしているのです。
 このようなアメリカと一体となった戦争国家づくりの総仕上げをなすものこそ、憲法改悪にほかなりません。5月3日 の憲法記念日に、岸田首相は「憲法改正に向けた機運をこれまで以上に高めていく」「自衛隊を憲法に位置づけることは 極めて重要」と述べ、総裁任期中(来年9月まで)に改憲を成し遂げる意欲をたぎらせているのです。

通常国会に提出の防衛費  岸田首相	の写真

私たちはいかに闘うべきか?!

 私たちは今、重大な岐路に立っています。岸田の暴走を許すならば、私たちは<戦争とファシズム>の暗躍の時代 にたたき込まれてしまうでしょう。こんなことは絶対に許されません。岸田の暴走を阻止するために、私たちはいかに闘 うべきなのでしょうか?
 以下、特に重要だと思われることについて提起していきたいと思います。

(1) 大軍拡・安保強化、改憲に反対しよう!

 岸田政権は今、ロシア・北朝鮮・中国の「脅威」を煽り、日本の「抑止力・対応力の強化」を掲げて「防衛力の抜本的 強化」=軍備大増強と日米安保強化を正当化して います。しかし、政府が強調する「わが国を取り巻く安全保障環境の 厳しさ」はたんに中国などの軍拡・軍事行動が原因なのではありません。主敵と位置づけた中国を封じ込めるために、核 軍事力を強化し・日本などの同盟諸国を動員して軍事行動を繰り広げているのがアメリカです。このような米(日)-中 の相互関係こそが、東アジアの緊張を高めているのであって、政府の言い分を真に受けてはならないのです。
 また私たちは、他国の軍事力に対して軍事力をもって対処することの危険性をはっきりとさせなくてはなりません。ア メリカや日本が軍備を増強すれば、相手国も同様に軍備を増強します。行き着くところは、悪循環的な核軍拡競争です。 それこそが、戦争勃発の危機を高めるものにほかなりません。私たちは、政府がふりまく「抑止力」神話や「国防」イデ オロギーの危険性・反国民性を暴きだし、批判していかなければなりません。

(2)立憲野党・労働組合は奮起せよ!

 ところが、このような政府の神話や「国防」イデオロギーに屈服して、軍備増強・軍事費拡大や日米安保同盟の強 化に賛成してしまっているのが立憲民主党などの立憲野党なのです。彼らは、岸田の改憲攻撃に対しても、「専守防衛の 自衛隊」を対置するという後ろ向き的な対応しかできません。これでは、軍備大増強・戦争体制づくり、憲法改悪に狂奔 する岸田政権と真に闘うことはできません。
 また「軍事でなく外交を」「日中両国の友好を」と岸田政権に「平和外交」をもとめているのが立憲野党です。しかし、 対中国の先制攻撃体制づくりに突進している岸田に対して「平和外交」をお願いするのはあまりにおかど違いであり、無 力な願望に過ぎないのではないでしょうか。
 さらに危機的なのが労働組合です。連合傘下の大企業労組などは政府の軍備増強や改憲にさえ賛成しているのです。改 憲勢力に成り下がった国民民主党を支持する大企業労組に牛耳られた連合(芳野会長)は自民党との連携を強めているほ どなのです。
 立憲野党と労働組合は、これらの誤りと弱点を克服し、平和憲法の原点(戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認)に立ち かえり、岸田政権と断固としてたたかってほしいものです

(3) 国境を超えた反戦・平和の闘いを!

 岸田政権の大暴走を許さないためには、軍備大増強・戦争体制づくり・日米安保の強化や憲法改悪をめざす政府の戦争 政策に対して、具体的に反対の運動に取り組むことが大切です。権力者の外交政策や政治家のパフォーマンスに期待する のではなく、私たち一人ひとりの草の根からの地道な闘いこそが岸田の戦争政策を打ち砕く真の力ではないでしょうか。 大衆運動のただなかで私たちは学び・成長し、運動を強く・大きくしていきましょう。労働組合と市民と立憲野党の連帯 をつくりだし、強化して岸田政権を大きく包囲していきましょう。
 同時に私たちは、中国の周近平政権の核軍事力増強、台湾併合に向けた軍事行動の強行にも反対していきましょう。習 近平政権の少数民族や中国人民への弾圧を断じて許してはなりません。さらに私たちは、ロシアのプーチン政権のウクラ イナ侵略に対し怒りをもって弾劾しましょう。レジスタンスを闘うウクライナ人民と連帯し、ロシア軍の即時撤退をめざ して闘いましょう。
 このような全世界の国境を超えた労働者・人民の連帯した闘いこそが、各国権力者の戦争政策を打ち砕き、戦争のない 世界をつくることができるのだと思います。私たちは、このような展望と希望をもって、それぞれの持ち場から最大限が んばっていきましょう!

(了)