平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

 No95-5              webへいき連             2023年 5月

蓮根の穴から覗くイラスト

レンコン通信No93のロゴ
「レンコン小話」を発信してみました。
如何でしょうか。
レンコンは真実を見通せるのです。
信じる?  信じない?
5月15日  作 ユウキ コウユウ


「安倍晋三回顧録」 ってなーに?

 5月10日朝日新聞広告欄、「中央公論新社からの話題書『安倍晋三回顧録』が各メディアで話題沸騰!刊行26 万部突破」が目に飛び込んできた。
 そういえば、元文部科学省事務次官前川喜平氏が「安倍晋三回顧録に真実はあるか」と題し「僕は読んでいないし、読 みたいとも思わない」「この人物は死してなお虚偽と隠蔽と自己正当化しか語らない」と言っていたのを思い出した(東 京新聞コラム2月12日)。買ってまで読みたいとも思わないが、一方では興味がそそられる。取りあえず週刊誌や雑誌 の書評・コメントを垣間見ることにした。

 「回顧録」は、ナベツネの腰ぎんちゃく・読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏と同論説委員長の尾山宏氏が聞き手、 2020年10月からのインタビューによって構成されている。内閣 特別顧問の北村滋氏が監修として名を連ねる。
 「憲政史上最長政権」は、拉致問題、北方領土、デフレ脱却などの公約は、実現できず、長年培った政治手腕では対応 できないコロナ禍で遁走。持病を隠れ蓑に表舞台を一旦降りた。安倍晋三が実現したことは、国家の専制支配に供する法 や制度をつくることと、権力を監視する大手メディアを権力の広報機関に貶め大本営発表化、これぞ「戦後レジームから の脱却」と憲法改悪を総仕上げに「新しい戦前」完成間際であった。
 安倍政権と言えば、「モリカケ桜」に象徴された「政治の私物化」。真相を隠すための公文書を改ざんし、財務省の担 当者は自死に追い込まされた。回顧録では「財務省の策略の可能性がゼロではない」とまるで悪いのは全て官僚であり自 分は被害者として語られている。

  ◆ 書評から拾ってみた

・御厨貴氏(政治学者・元「時事放談」司会者)
 「自分と同じ意見は取り込み、この人は使(仕)えるとなると、とことんやらせる。逆にこれは
 という(異論)相手は、徹底的に排除する。罵倒に次ぐ罵倒の様な言葉図解遣いをし、彼の中に
 は客観性の軸というものはあまりない」
・武田砂鉄氏(フリーライター)
 「回顧録の記載は事実とは異なる。どうしても支持者向けになる。一つずつ問う必要がある。
 これが事実でしたと固める作業をやられたら、あの長期政権がとてつもなく美化されてしまう」
・浜矩子同志社大学教授
 「戦後レジームの脱却は『21世紀版の大日本帝国』の構築」「安倍晋三が残した日本経済対
 策=アホノミクスの最大の問題は『豊かさの中の貧困』ではないか」
 「回顧録」は虚偽まみれだが、安倍政権を検証する貴重な資料であり、改竄や虚偽などの「ウソ」を分析する上での一 級の資料として価値はありそうだ。
 ジャーナリストや真っ当な政治家ならば「回顧録」の問題点抽出と発信は避けて通れないのではないか。安倍長期政権 の美化のプロパガンダに惑わされることなく、正しいのは何かを伝えることにこそ民主主義の回復がある。

  買って読む? 図書館で借りて読む? 回し読みする? 読みたくない?

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