平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

No98-3              webへいき連              2023年 5月

悪法をさらに凶悪化する入管法改悪案
~朝鮮人追放を起源とし、「差別強化」を基礎に制定された~

 「へいき連4月号」の『入管体制を過去から紐解く』で述べたが、現在の入管法は日本国憲法が発布される前日(1 947.5.2)に滑り込みで出された勅令がその根源だった。それまで日本国の「臣民」であった朝鮮人を「外国人」と規定、 彼らを朝鮮に追放することを目的とした法令が元になった。その後、朝鮮の人々は北九州の大村収容所に収容されるのだ が、これが現在の入管による収容施設の原型なのである。この過去の事実を思い起こすことは、「日本国民が『国民とい う既得権』を元に、来日した外国人に対する差別」を醸成する構造を見出すことに通じるのだ。

1. 日本国憲法条文 「国民」という用語

日本国憲法第11条と第24条項  例えば日本国憲法第11条(右図)は基本的人権について語っているが、そこに「国民」という用語を使用している。
 つまり差別主義者にとっては好都合な用語なのである。他の例を挙げると、同性婚が合憲か否かの議論を思い起こして もらいたい。同性婚の議論で必ず持ち出されるのが憲法24条第1項(右図)である。ここには「両性」とあり、これは 男女のことであるから、同じ性の人同士の結婚は違憲である、と同性婚反対論者は言うのである。これは憲法にある「両 性」という用語を「同性婚反対論者」が利用する例である。
 私が「国民」という言葉が同じと考える理由はそれである。他方、民主国家と思しき外国の憲法は多くの場合、「国 民」を使わず「people=人々(人民)」書いている。日本国憲法も成立過程ではGHQ(占領軍)との合議の際はそういっ た用語を用いていたようである。これが占領下の政権で論議されている途中で「国民」という用語に変えられた、という。 私は、日本国憲法はこの国土に暮らす人々、外国籍の人を含め、あまねく適用されるべきだと考える。だから「国民」と いう用語は外国人と対立する言葉であり、相応しい用語とは思えない。

2.  愛国ファシストが石垣のり子議員の「人民」発言に怒る奇妙さ

ジェームズ・マディソンの言葉  最近、立憲民主党の石垣のり子議員が公文書の重要さを語った中で「人民」という言葉を使った。これに憤慨した奇妙 な人々がいた。彼らを私は「愛国ファシスト」と呼びたい。 彼等は反共という共通性を持ち、「人民」という言葉がソ 連や中国、北朝鮮の国民のことだと思っているようだ。なるほどスターリンや中国共産党、北朝鮮は人民という用語を好 んで使った。
 もちろん、石垣議員は教養人であるから用語を間違えるはずなどない。米国第4代大統領ジェームズ・マディソンの言 葉から引用したのである(そしてそこでは人民=統治者なのだ)。愛国ファシストが大好きな国、米国の大統領の言葉な のである。同時に彼らは「国民」という言葉が大好きなのだ。人民は国民より下のクラスだと思い込んでいるようだ。

3. 「不法」という用語の意味、「由らしむべし知らしむべからず」の入管行政

 不法とは従来、①法律に外れること②仏法に背き道に外れること、そのような意味がある。それでは「不法入国 者」とは何か? それは「パスポート等を持たず日本に滞在する外国人」を指す。しかし、この「不法入国者」という言 葉すら、世界では常識ではなくなっている。海外では「正式な滞在許可証を持たない外国人」と表現する国が多い。つま りビザなどを持たない外国人=法律違反、とみなさないのである。不法かどうかの判断は司法や第三者機関が判断するこ となのだ。
 現在ある唯一の第三者的制度である「難民審査参与員制度」ですら、参与員自身は自分がどういうういう基準で選任さ れたかを知らない。これこそ、入管制度の不透明さを示すものだ。

4. 「支援者がウィシュマさんに淡い期待を抱かせた」と梅村みずほ議員(維新)

梅村みずほ議員の写真の写真  12日の参議員法務委員会で梅村議員は「ウィシュマさんの映像を総合的に見ていきますと、よかれと思った支援者の 一言が、皮肉にもウィシュマさんに“病気になれば仮釈放してもらえる”という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能 性を指摘される状況へつながったおそれも否定できません」と述べた。
 これは暴言と評するしかない発言である。支援者がウィシュマさんをそそのかしたからウィシュマさんが度を越した演 技で本当の病となり死亡した、と言ったに等しいではないか。
 梅村みずほ議員といえば昨年は松井一郎に「代表選挙」で挑戦した人だ。維新の代表になろうとした人であるから、こ の発言は維新の意見を代表していると私は思う。こういった印象操作によって法律を通そうとする維新を絶対に許せない。
 自公、維新、国民の4党の暴挙に反対し、断固入管法改正(悪)案を廃案に追い込もう。

5月15日    殿山梧楼

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