平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

 No94-7             webへいき連              2022年12月

「敵基地攻撃能力」ではなく 戦争を予防する外交にこそ全力尽くせ
中村哲さん「平和には戦争以上の努力と忍耐が必要なんです」

非武装中立論の表紙

       <シリーズ> 「非武装中立」のリアル 22


◇米戦闘機に守られてゼレンスキーがバイデン・米国を電撃訪問。議会でこれまでの支援への感謝とさらなる支援継続を訴えました。バ イデンは2450億円の追加支援、パトリオットの供与などを表明。長期化を見据え、両国の結束を改めて確認。「平和を希求するウクライ ナを支援、世界をリードする」と米国。追加支援は、「世界平和と民主主義への投資」とも言われます。
◇米タイム誌が、恒例の「今年の人」にゼレンスキーと「ウクライナの精神」を選びました。国民を勇気づけ国を守り戦う姿勢を示し 「世界中に行動の波を起こした」との評価です。因みに、昨年は米テスラのイーロン・マスクが選ばれました。
◇大がかりなパフォーマンスとプロパガンダに世界の多くの人が騙される? 日本でも。こちらは、えらく控え目ですが、ウクライナ危 機で大儲けする米軍需産業に傭兵会社とPR会社をクローズアップする報道も。まさに戦争特需です。
◇ウクライナ情勢、年明けに大きな転機が来ると言われますが。徹底抗戦で停戦はさらに先延ばし。
長期化を画策し、歓迎する勢力、その意図は。侵略者・ロシアの真の敗北は、国内のプーチン排除の闘いに期待するしかないでしょうか。 ウクライナを支援する米国は、ベトナム戦争を引き起こし、チリ・アジェンデ政権を暴力的に転覆させた米国と同じ国だと思うのですが。 それとも別の国でしょうか。

◇支援にもいろいろある…。医師の中村哲さんが亡くなって3年に。武器による問題解決を否定、戦乱の中、丸腰で現地支援にあたった。 「『撃つな』という方が勇気が要って、ぶっ放すことは本当に簡単だと思いました」…と、半藤氏との対談で語っています。「平和には 戦争以上の努力と忍耐が必要なんです」とも…。最近のA紙で改めて伝えられています。
◇週刊K誌のルポ。戦争前夜のごとく、有事が煽られ不安を募らせる島民たちの避難訓練をリポート、「戦争は自然災害とは違い、人間 の手で予防が可能である」「真の『国民保護』とは戦争を予防する外交に全力を尽くすことだと思う」との記者の指摘。そのためにも、 戦争の起こる真の原因を取り除くことが最大の本質的な課題。何故、戦争が起きるのか、繰り返されてきたのか…、そもそも戦争とは何 かとの考察、学習が改めて必要です。

◇日本の防衛政策の大転換…。防衛費倍増の「安保大転換」だ。安全保障関連3文章の閣議決定、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が宣 言されました。国民、国会を無視しての「『専守防衛』を揺るがす危うい動き」と大マスコミもさすが看過できぬと、警鐘します。『専 守』はどこに。抑止とは、敵より先に攻撃を仕掛けること。相手も抑止、攻撃の力を強める。際限なき軍拡競争を自ら仕掛けることにな りました。
◇5年間で1.5倍以上、43兆円の防衛費。守るべき国民の生活は二の次。社会保障予算を厳しく抑え込みます。「子育て」はどうす るんでしょうか。国防は「ミサイルを買う」ことだと岸田さん。防衛費急増の根拠は。国力を超えた国防…、自衛隊元最高幹部も「身の 丈を超えたものになっている」と。それでも国民の半数は防衛費増を支持しているとの世論調査。

◇さて、敵はどこに。どこの国の基地を攻撃するつもりでしょうか。ミサイルを乱射する北朝鮮。北朝鮮が日本を攻撃する明確な理由は、 核武装、核戦力保有を誇示する目的は何でしようか。敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有せぬ限り、現状では、有事に際し在日米軍を叩く ことが唯一の対日攻撃の理由でしかないはずです。かの国の指導者も、合理的な判断はできる。現在の岸田よりは冷静で、賢明でしょう。
◇中国はどうか。「台湾有事」が喧伝されます。危機が煽られますが、ウクライナ同様、米国の直接の軍事介入はないでしょう。基本的 には国内問題というのが変わらぬ米国のスタンスでしょう。
自由と民主主義は口先だけのもの。中国の経済発展に米資本も貢献しています。危険を冒す積極的な理由などないはずです。 ◇尖閣諸島の問題は、事態がエスカレートすれば、日中間の紛争に広がる恐れはあるでしょうが、旧ソ連、インド、ベトナムとの間で繰 り返してきた国境紛争を見る限り、領有権争いが本格的な戦争に発展した例はない…というのが通説。ウクライナ同様、敵対勢力が悪事 を画策せぬ限りは、「有事」は誇張、捏造、でっち上げのレベルでしょうか。ロシアも敵、は論外です。

◇「防衛政策の大転換」を訴え、「改憲しなければ日本は守れない」との声、主張が一段と強く、大きくなります。純粋に国防、安全保 障の問題としてではなく、常に、別の意図が隠されていると疑ってみるべきでしょう。
◇亡き安倍さんの所謂新自由主義路線の純化。目指すは一握りの富裕層が国富の大半を手にする米国のような国。そのための新たな統治 機構。「国民を支配する憲法」が必要です。
◇さらに産業界、資本、軍需産業の長年の根源的な要請でもあるでしょう。原発を推進する勢力と同根です。極一部を除き、中国と本気 で事を構えるなど、微塵も考えていない勢力です。◇国民の大半が、曖昧で根拠のない、悪意あるデマと扇動に騙され、踊らされている だけです。「気分」でなく、明確な根拠ある国民的「意見」が必要です。真の国防、安全保障の議論をリードし、憲法を擁護、平和外交 政策を確立、推進する、勤労者を代表する政党が真に必要です。
                                    <続>

       2022年12月21日  北条 恒


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