平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

 No93-5             webへいき連              2022年11月

法務大臣の職責に相応しい人格とは

- 法務大臣のハンコの意味を問う -

山際全経済再生大臣、葉梨全法務大臣、寺田前総務大臣		の写真  三閣僚の辞任が相次ぎ、岸田内閣はもうレームダックか、それともゾンビかと言われるほどボロボロになっている。憲法や法律を独 自の解釈で執行し、事実上無法化している。本稿では岸田内閣の全体的批判ではなく、葉梨法相が突き付けた「死刑制度」と法務大臣の 権限と人格について論評したい。(敬称略)


 1. 「金にも票にも結び付かない法務大臣」の発言は人として失格である

 葉梨康弘は東大法学部卒の生粋のエリート。警察官僚として出世街道を行くはずの人であった。旧姓は渡邉であったが、政治家を目指 したからか、良縁による偶然なのか、政治家・葉梨信行の婿養子となり、葉梨家の地盤(茨城一区)と看板を手に入れた。
 こうして政治家となった葉梨は身内の集会の講演で自虐ネタとして、「朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのは そういうときだけ」と発言した。葉梨は警察官僚出身ということもあり、死刑執行を行う刑務官やそれに立ち会う検察官の思いを知らな いはずはなかろう。極刑を自虐ネタにするとは法務大臣というより、人として失格である。

 2. 法務大臣の強権=指揮権発動について、犬養法相と小川法相の例

 法務大臣の権限に「指揮権発動」がある。これを行った法務大臣は新聞どころか歴史に名を残すのである。
小川敏夫著指揮権発動の表紙 1954年の十大ニュースには「造船疑獄で犬養法相指揮権発動」というのがある。これは、巨悪に立ち向かう検察を止めた権力乱用の 一例。しかし、右に挙げた書は小川敏夫元法相が書いたもので、それとは逆なのだ。(朝日新聞出版2013) 小川が指揮権発動しよ うとした事件とは、小沢一郎が告発された「陸山会事件」だ。市民(実際は在特会という右翼組織員)が告発し、大阪地検特捜部が証拠 改ざんによって小沢一郎が貶められた事件である。小川は大阪地検の動きを知り、これを阻止しようと「指揮権発動」を首相野田佳彦に 提案した。
 「指揮権発動」とはしばしば民主主義に反するものと誤解されているが、本来は検察(司法)の暴走を止めるため、直接民主主義で選 ばれた法務大臣が持つ強権限なのだ。つまり検察権力暴走を抑える最後の手段なのである。
 しかし小川には強力な敵がいた。首相の野田佳彦である。2012年6月5日、小川は指揮権発動をするつもりだった。しかし小川は 野田によって前日の6月4日罷免されたのだ。小川のこの正当な指揮権発動は野田佳彦によって幻となったのである。

3. 再審請求直前に「飯塚事件」の久間(くま)死刑囚が死刑執行される

久間死刑囚の遺影  森英介法相が死刑執行のはんこを押した中に「飯塚事件」がある。実はこの「飯塚事件」とは今も再審請求中なのである。つまり容疑 者とされた久間(くま)死刑囚は2008年10月28日に死刑が執行された。この10日ほど前に同種のDNA鑑定を用いた「足利事 件」(後に冤罪が判明)のDNA再鑑定が報道されていた。
 「飯塚事件」の場合、司法が被告人の請求により再審を行う可能性を検察と法相がその権力によって奪ってしまったのである。なお、 現在配偶者が再審請求を引き継いでいる。

4. 死刑執行の前に宴会ではしゃぐ上川法相(サリン事件)

 2018年7月6日オウム真理教教祖松本智津夫他7人、同月26日は他6人と計13人の死刑が執行された。ところが7月5日西日 本の豪雨被害が心配される中、赤坂議員宿舎では安倍首相を囲んで大宴会が催された。これを「赤坂自民亭事件」という。これは片山さ つき氏がSNS上に発信したことから世に知れ渡った。その中に川上法相が安倍首相と酒を酌み交わす写真も公開されたのである。

5. 死刑執行に立ち会った法務大臣・千葉景子

 2010年7月24日千葉景子法相は2人の死刑囚に対する死刑執行を命令した。千葉景子は法相就任前まで「死刑廃止を推進す る議員連盟」に入っていたことから、当時も千葉法相の死刑執行に対する対応が注目されていた。千葉は法相としての職務を優先し死刑 執行を命令したが、その責任上2人の死刑執行(同年7月28日)に立ち会ったのである。
 個人としての主義主張と職務権限と義務、そして国が人の命を奪うということの重要性について考え抜いた上での死刑執行立ち合いだ ったのだろう。

 以上、葉梨、犬養、小川、森、上川、千葉と六人の法務大臣を紹介した。くしくも民主党政権の小川、千葉という人物こそまとも な法務大臣と言えるのではないか。まさに国民の負託に真摯に応えようとした賞賛すべき人格を備えた人こそこの任に相応しいこと、そ れを私はこの二人に感じたのである。

       2022年11月24日  殿山梧楼


NTT労組新聞拾い読み

部落解放運動と労働組合

 NTT労組新聞878号(11/12)1面と4・5面に「狭山事件」が掲載されました。【人権侵害許さぬ社会へ】の取り組みの一環 として「狭山闘争・事実調べ署名活動」の協力を呼びかけています。
 部落解放運動にNTT労組が組織として取り組み始めて57年になります。当時全電通は中央共闘会議の結成に参加し、職場青年会議 を中心に「狭山闘争・地名総監・同対審」の3大闘争に取り組みました。今なお継続して取り組んでいることは素晴らしいです。
 しかし、部落差別は一般的な「人権侵害」ではありません。部落差別とは何なのか?労働組合が何故部落解放運動に取り組むのか?主 張すべきではないでしょうか。狭山差別裁判も単なる冤罪裁判ではありません。そのことを組合員に説明・訴えるべきだと思いますが如 何でしょうか。

       2022年11月23日  造花の判決


  問題です。部落解放中央共闘会議のスローガンは何でしょう?

  答:「部落の解放なくして労働者の解放なし 労働者の解放なくして部落の解放なし」