平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

 No93-4             webへいき連              2022年11月

最近感じること 2022年秋

(日本の原子力発電について 2)

 ロシアのプーチンのウクライナ侵略、中国の習近平の台湾進攻をにおわせる発言、北朝鮮の金正恩の見境のないミサイル発射と核 実験の強硬を思わせる姿勢など前の世界大戦前夜の様相を呈してきていると思われて仕方がない。歴史は再び繰り返されるのでしょう か?
 中国の習近平が3期となった最近のニュースで、胡錦涛前主席が強制退去される衝撃的な場面がありました。習近平の独裁体制が完成 したのだろうか?
 日本は独裁国家に囲まれてしまった感がぬぐえない状況となったと思われます。

 プーチンの暴走から始まった国際情勢の緊迫化と経済への影響から物価上昇の波が収まらない中、日本の状況もあわただしくなっ てきていると思います。
 ネットの中で、電力不足なら原発を全部再稼働すればよいではないかという意見がありました。いまの時点で原発を全部止めることは、 できないかもしれませんが、放射能という危険と隣り合わせのエネルギーをやめる方向にもっていくことは必要と考えます。
 福島第一原発の「東京電力」は、私にとっては多少の縁があります。私の父が東京電力の社員でした。長い間「東電の社宅暮らし」を していました。父の勤務の関係で、小学校は3回転校しています。横須賀火力発電所は、父の最後の勤務先でした。
 もし、就職先で東電を選んでいれば、原発に関係したかもと思うところです

 前回に続き原発問題を投稿したいと思います。

日本の電力事業者別の原子炉分布図

 4, 日本の核燃料サイクルついて

 日本の方針であった核燃料サイクルは、原発で発電を終えた使用済み核燃料を化学的に処理して、プルトニュウムとウランを取り出す 「再処理工場」とプルトニュムを燃料として燃やす「高速増殖炉もんじゅ」(日本原子力開発機構:福井県敦賀市)の二つを計画の柱に すすめられました。しかし、もんじゅの実用化は難しくたびたびのトラブルの末に、平成30年3月に廃炉が決定しています。
(もんじゅには1兆円以上がすでにかかっています。)
 「高速増殖炉もんじゅ」はプルトニュウムを作り出す特殊な原子炉で、水が使えないのでナトリウムで原子炉を冷却しています。もし 事故が起きても水をかけて冷却することはできません。水をかけたらナトリウムと反応して大爆発を起こしてしまいます。
 もんじゅは事故が起きたら何も対処できないで、破局を迎えるだけでした。もんじゅの廃炉決定は、ある意味で朗報でした。
 日本の核燃料サイクルは、もんじゅの廃炉で破綻しています。しかしもう一つの「六ケ所再処理工場」は計画を中止していません。

 5, 六ケ所再処理工場について

 再処理工場は、原発で発電を終えた使用済み核燃料を化学的に処理して、プルトニュムとウランを取り出す施設です。放射能を原 料とした巨大な化学プラントですから、核施設として臨界事故、放射能漏れ、被ばく事故などの危険性と、化学工場として火災・爆発事 故などの危険性を合わせ持つことになります。
 経済産業省資源エネルギー庁のホームページでは再処理の利点として以下の3点を挙げています。

1. 1~2割の資源の有効利用をはかることができる
2. 高レベル放射性廃棄物の量を4分の1に低減できる
3. 高レベル放射性廃棄物の有害さの度合いが天然ウラン並みまで低減するのに必要とす
  る期間を10万年から8千年に短縮できる

 3点目は、なにか途方もない数字で普通の感覚ではこれが利点になるのか?と思ってしまいますね。他のサイトでは12ぶんの1 に短縮できると表現されていました。
 政府や電力会社は、「再処理によって廃棄物の量が減る」と宣伝しています。これは大きなウソです。確かに高レベルの使用済み 燃料はガラス固化体にすれば小さくなりますが、それと同時に膨大な量の低レベルの放射性廃棄物が発生します。日本の東海再 処理工場では約40倍となっています。六ヶ所再処理工場でも、事業申請書から試算すると約7倍の放射性廃棄物の発生が見込まれ ています。また廃棄物とは見なされない空や海への日常的な放射能の垂れ流しもあります。さらに工場の操業後は、施設全体が放射性廃 棄物となってしまいます。これらを含めると再処理工場は、元の使用済み燃料に比べて約200倍もの廃棄物を生み出すという試算値も あります。これらはすべて、再処理を行わなければ発生しない廃棄物です。
 現時点では、2022年上期の稼働を計画していますが、やはり相次ぐトラブルにより完成は見込めません。完成延期となればこれで 26回目となります。
 また上記でふれた東海村再処理工場は、1977年9月~2007年5月で、耐用年数を迎え、(原発と新型転換炉ふげんの使用済み 核燃料1140トンを再処理)2018年から廃止作業が始まっています。
 しかしながらトラブルが相次ぎ、現時点では廃止費用は1兆円、期間は70年と想定するもさらに膨らむ可能性が大となっています。

 6. 六ケ所再処理工場の費用について(2018年時点で総額19兆円を想定)

 六ヶ所工場の費用について、当初公表されていたのは建設費だけです。工場は1993年から建設されていますが、この時は約7 600億円でした。それが96年には1兆8800億円、99年には2兆1400億円と、2倍、3倍と高騰してきました。ところ が建設開始10年後の2003年、突然、電気事業連合会は「六ヶ所再処理工場の総費用は約11兆円」と公表しました。
 それまで一切説明されなかった運転・保守費、工場の解体・廃棄物処理にも膨大な費用のかかることが明らかになりました。その後も コストは年々上昇し、2018年では13兆9300億円と見積もられています。
 さらに六ヶ所工場の費用を含めたバックエンド費用の総額が約19兆円にも達することが明らかにされました。核燃料サイク ルにこんな経費がかかることを一度も国民に説明せず、工場を作ってしまったのだからと国民に負担をおしつけているのです。
 これは使い道のないプルトニュムのための費用であるにもかかわらず、数世代にわたって国民一ひとりが負担することになります。
 しかしいまこの六ヶ所再処理計画を中止すれば、工場の運転費用、解体費用、MOX燃料工場やTRU廃棄物の処分費用の必要はなく、 19兆円のうちの実に7割の削減が可能になります。

 7. プルトニュウム生成について(プルトニュウムは核兵器の材料です)

 日本はプルトニュムを再処理して分離している唯一の非核保有国です。保有量46トンは、核兵器の数に換算すると数千発分にな ります。現在は、再処理を委託した英国に約21トン、フランスに約15トン、日本に約10トンあります。さらに、もし六ケ所再処理 工場が稼働すれば、毎年8トンのプルトニュウムを生成できます。
 プルトニュムを保有することで、「必要に迫られれば、不本意ながら、短期間で核武装できる」という選択肢を他国に示したいと考え る人たちが日本にいることも事実だと思います。
 しかしながら、経済性がないことが明白な使用済み核燃料の再処理には、賛同できません。日本がなぜこの不経済、かつ危険で、無用 な計画を続けているかを、外国には説明できないでしょう。
 使い道のないプルトニュムのために、大量の放射能をまき散らし、大事故の可能性を抱え、19兆円以上のコストを必要とする六ヶ所 再処理工場を正当化する理由は、何もありません。

止めよう!六ヶ所再処理工場!

※ 前回の自民党総裁選挙において、核燃料サイクルを岸田氏と高市氏は維持を主張したが河野氏は、「なるべく早く手じまいすべ    きだ。再処理を止めるのは1日も早い方がいい」と、核燃料サイクル中止を明言した。(野田氏は態度表明しなかった。)
   経済界は、原発の新増設を強く求めている。

 4.最近の動向について

  原子力発電所の廃炉に向けて、考えてゆきたいと思います。 H.I

  【 参照したサイトと本 】

  • 原子力資料情報室―止めよう六ケ所再処理     
  • 経済産業省資源エネルギー庁―「六ヶ所再処理工場」とは何か、そのしくみと安全対策     
  • 東京新聞―崖っぷちの日本原燃 核燃再処理工場 26度目の完成延期は必至
      工事計画不十分で規制委審査進まず 2022年1月13日 06時00分
  • 東京新聞―核燃料サイクル、河野氏「なるべく早く手じまいすべきだ」
      岸田氏、高市は維持を主張 2021年9月21日 19時31分
  • 原子力規制委員会―研究開発段階炉(もんじゅ、ふげん)の安全規制 概要
  • 朝日新聞GLOBEー日本のプルトニウム大量保有、世界が疑問視している
  • NHKNEWSWEB―政府 原発7基 再稼働目指す方針確認
                  次世代の原子炉開発検討へ2022年8月25日 0時04分

     原子力発電所の廃炉に向けて、次回では六ケ所村再処理工場の問題等を取り上げていきたいと思ます。

    ●「小出裕章が答える 原発と放射能」小出裕章 河出書房新社 2011年9月発行
      ※京都大学原子炉実験所助教
      ※反原発運動実践者。 40年間の裁判闘争、原発廃止の学会論争を提起。