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Photoshop基礎講座
グラフィックソフトの最高峰を簡単お手軽に使ってみよう!

 色調補正

 写真を撮り始めると出会う問題の一つに「見た通りの色が出ていない」と
 言う問題があります。
 実際、フィルム(もしくはメモリ)には見たままに近い色が乗っているのですが
 人間の脳は色を派手目に記憶する傾向があって、「記憶色」と「実際の色」との
 ギャップが「見た通りの色が出ていない」という認識に繋がるようです。

 写真は記録された画像が全てだ、色調補正なんて邪道だと思う向きには
 この講座は不要ですが、なにも写真へのアプローチはシャッターを切るだけが
 全てではないのです。
 多少の露出の狂いは後で直せるし、気に入らない色ならば直すことも可能。
 欲しい画が手に入れられる技術があるなら知って損はないはずです。

 今回の素材はこれ!

 
 容量、およそ280KB。

 今回はこの平凡な夕景を色鮮やかに補正する技法を幾つか御紹介します。

 作業手順

 まず画像を見て、欲しい効果を考えます。
 画像から読み取れるポイントを幾つか上げると‥‥
 1、全体にフラットな印象を受ける
 2、空の色が薄い
 3、夕景なのに赤みが少ない


 今回の場合は上のポイントからこんな事が読み取れます。
 1、コントラストが足りない
 2、空の色を濃く出したい
 3、もっと赤味のある画像が欲しい

 そして、画面を良く見ると分かるのですが、雲のボリューム感が出ていないことと
 (実際には低層の雲と高層の雲、二種類が写っている)空の明度と地上の明度に
 かなりの差があります。
 これを頭に入れつつ、「イメージ」から必要な補正を選びます。

 Photoshop 5 for Macのイメージメニューの中には、こんな項目が入っています。
 「色調補正」は用途に応じて4つの項目に
 大まかに分けられています。

 ごく普通の補正作業には一番上の項目を良く使います。
 レベル補正、トーンカーブ、カラーバランス、
 明るさ・コントラストなどが補正の主力になります。

 一番下の「バリエーション」は効果を目で確認しながら
 色調や彩度を補正出来る初心者向けの機能です。
 細かいコントロールがしにくいので今回は使いません。

 
 空の質感を手っ取り早く出すには「トーンカーブ」を使います。
 初期設定では出力曲線がリニアの状態で、これを曲げることで
 必要な特性を引き出します。

 

 グラフ左側がシャドウ、中心が中間調、右側がハイライトの出力に
 関係しています。
 クリック一発で出力特性を反転させることも出来ます。

 大雑把に補正してみましたが、これだけの情報が画像の中に隠れています。

補正前画像とトーンカーブの曲線

補正後画像とトーンカーブの曲線

 この場合、空だけでなく地上の景色にも同じ補正を掛けてしまうので
 地上が真っ黒に潰れてしまいます。
 地上部分はもっと少ない補正量で良い、というのが分かります。

 そこで前回の講座で使ったクイックマスクを使って地上と空を分離します。
 面積の小さい地上部分にマスクを掛け、選択範囲を反転して補正します。
 今回は人工物が多いので多角形選択ツールで切り抜くと良いでしょう。

 アンテナや電柱、クレーンなどの細いものや遠景の建物は空の色の影響を受けています。
 几帳面にマスクすると違和感が出ることがあるので、今回はそのままにします。

 反転の様子。
 建物をマスクして範囲選択モードへ切り替えて選択範囲を反転。
 再びマスクへ切り替えています。
 「選択範囲」→「選択範囲を反転」を選ぶと、選択範囲が反転します。

 遠くの建物やクレーンなどがマスクされていないのが分かるかな〜。


 地上の建物を分離して処理した結果、下のような仕上がりになります。
 できるだけ似た形の曲線にしないと違和感が出ますので気を付けましょう。
 補正量は建物のディテールがギリギリ残るぐらいが目安です。
 見た目におかしな感じがしなければOKでしょう。

マスクで分離して処理した例
 建物のディテールが残っています。

マスクで分離しないで処理した例
 建物が黒く潰れています。


 全体の画質の補正が終わった所で、次に画像の赤味を少しだけ強調します。
 「色調補正」から「カラーバランス」を選択、スライダーを調節して
 赤やオレンジを強調します。

 

 補正量はこのぐらいで十分です。
 やりすぎるとかなり不自然に見えますので御注意を。

 完成した画像がこれ。
 補正前と比べると違いが良く分かります。

処理前

処理後
およそ210KB。

 右の画像はクリックで原寸まで拡大します。処理前の素材と比べてみて下さい。

 基本的には単純にトーンカーブやカラーバランスの調整などで大抵の色補正ができますが
 クイックマスクによる分離を知っておくと、このように輝度差の大きな画像を人間の見た目に
 近付ける処理が可能になります。

応用編へ続く‥‥