今までの多くの否定論者(≒日本の心理学者)は、血液型による性格の違いは存在しないと主張してきました。信頼できるアンケート(≒日本の心理学者)のデータでは安定した結果が得られないというのがその理由です。つまり、血液型による性格の違いは存在しないが、もしそのように見えるにしてもそれは「血液型ステレオタイプ」(特定の血液型はこういう性格だという思い込み)によるものというわけです。
しかし、実際の論文に当たってみると、そのほとんどはそんな断定はしていないのです。ですから、いまだに「血液型ステレオタイプ」があるかどうかは、決定的な結論は出ていないといっていいでしょう。ウソのようなホントの話です。(@_@)
だから、このページを読んでいるあなたは、「血液型ステレオタイプ」があるなんて簡単に思ってしまってはいけません(笑)。では、本当に「血液型ステレオタイプ」は存在するのでしょうか? 実は、誰でも簡単にわかるのです(笑)。今までなぜわからなかったのか不思議でしかたないのですが…。おっと、前置きが随分長くなってしまいました。最初に、結論だけ述べておきます。
それでは、行ってみましょう!
いろいろなデータを検討しましたが、私の独断で選んだのがこれです(山崎賢治・坂元章 血液型ステレオタイプによる自己成就現象−全国調査の時系列分析− 日本社会心理学会第33回大会発表論文集 342〜345ページ H4)。このデータは、松井さんの論文での論文2(血液型による性格の相違に関する統計的検討 東京都立立川短期大学紀要 第24巻 51〜54ページ H3)とほぼ同じなのですが、松井さんが4年分のデータなのに対して、11年分と年数が多く信頼性が高いのです。私が知る限り、日本では最大規模のデータで、総数は3万人以上となります。
また、坂元さんにはお忙しい中、この論文をお送りいただきしました。この場を借りて感謝申し上げます。引用しておくと、
分析の素材 JNNのデータ。1978年から1988年までの11年分。24個の性格特徴のうち、前調査で選ばれた、6つないし7つを求めた。
尺度の作成 「A型得点を例にとって」
JNNのデータにサンプルについて、「A型らしい」特徴があてはまると答えたなら(赤字)100を与える、3つの特徴があてはまるので、それらの平均値を求める。「A型らしくない」特徴があてはまると答えたなら(青字)、−100を与える。これも3つの項目があるので、平均値を算出する。両平均値を差をとれば、そのサンプルがどれくらいA型らしいか・A型らしくないかが算出される。これをA型得点と呼ぶことにする。
同様にして、B型得点、O型得点、AB型得点も計算する。
分析された質問項目
1. 誰とでも気軽につきあう
2. 目標を決めて努力する
3. 先頭に立つのが好き
4. 物事にこだわらない
5. 気晴らしの仕方を知らない
6. ものごとにけじめをつける
7. 冗談を言いよく人を笑わす
8. 言い出したら後へ引かない
9. 人に言われたことを長く気にかけない
10. 友達は多い
11. くよくよ心配する
12. 空想にふける
13. 人づきあいが苦手
14. 家にお客を呼びパーティするのが好き
15. 何かをする時は準備して慎重にやる
16. よくほろりとする
17. 気がかわりやすい
18. あきらめがよい
19. しんぼう強い
20. うれしくなるとついはしゃいでしまう
21. 引っ込み思案
22. がまん強いが時には爆発する
23. 話をするよりだまって考え込む
24. 人を訪問するのにてぶらではかっこうが悪い
結果は明らかでしょう。
そこで、重回帰分析を行った結果、
- A型得点については、近年にいたるほどA型の人がA型得点が高くなっているという意味の交互作用が示された(p<0.005)。
- A型以外ではこのような交互作用は、有意水準として15%を設定したものの、検出されなかった。
- A型の人以外は、年々非「A型」化している。また、全体的傾向としては人は非「A型」化している。これらの点の検討は、本研究の主眼ではないが興味深い。
という結果が得られました。また考察として、
A型の人々の評定は、女子大生のステレオタイプの方向へと偏って来ていることが示された。ここでは、A型の人は年々他の型の人よりも「A型的」になるという形の交互作用として自己成就現象を検出した。交互作用はA型かどうかという変数と年次による合成された。しがって、例えば、A型得点において交互作用があると言うことは、A型の人とそれ以外の型の人の間では実際の性格は差がないと従来は言われており、それを受け入れるならば、ステレオタイプの自己成就現象がおきている可能性がある。
ただし、A型の人以外は自己成就現象は認められず、今後、いっそうの検討を要するだろう。
要するに、A型だけが明確なステレオタイプを持っているわけです。で、ページの最初に戻ると、
私がこのデータを見て判断したのだから、同じになるのは当然です(笑)。
このデータは、松井さんの論文での論文1からのものです。
原題: 血液型ステレオタイプについて 東京都立大学人文学報 第44号 15〜30ページ S60
表1に、回答者の血液型の分布が書かれています。東京都・神奈川県の公立・私立大学に所属する640人の学生で、分析の対象になったのは、無回答反応のない613人です。性別は、男346人、女215人となっています。日本人の平均とほぼ一致しているので、特に問題はないでしょう。
表1 回答者の血液型の分布(%)
項 目
N O A B AB 回答者
613 29.7 36.7 22.5 11.1 日本人の平均
115万人 30.7 38.1 21.8 9.4
次に、血液型別にみた血液型予想質問の肯定率です。項目の内容については、「能見(1984)を参考にして、血液型による差があらわれやすいと予想される性格特性を選び」と書いてあります。一番高い肯定率のデータを赤で、一番低い肯定率のデータを青、その差が10%以上の項目を太字で表示してみました。
表2 血液型別にみた血液型予想質問の肯定率(%)
予想された
血液型項目の内容
O(182) A(225) B(138) AB(68) 最大と
最小の差A 1. ものごとのけじめや白黒をはっきりつける
55.5 53.3 47.1 55.9 8.8 2. 周囲の人に細かく気を使う
57.1 63.1 58.7 61.8 6.0 3. 感情や欲求はおさえる方である
54.4 61.8 57.2 63.2 8.8 4. ルールや慣習や秩序を重視する
57.7 54.7 50.7 41.2 16.5 5. 生きがいを求めている
84.6 84.4 84.1 82.4 2.2 B 6. 周囲の影響は受けにくい
25.3 31.6 20.3 29.4 11.3 7. 人にしばられ、抑制されたりするのはきらいである
86.8 86.2 92.0 88.2 5.8 8. 柔軟な考えや新しいことには理解がある方だ
56.6 70.2 67.4 69.1 13.6 9. 人には心を開く方である
54.4 49.3 52.9 47.1 7.3 10. 未来に対して楽観的である 46.2 52.9 52.2 67.6 21.4 AB 11. 考え方がストレートである 44.0 45.8 39.9 41.2 5.9 12. 情緒の安定した面と不安定な面がはっきりわかれている 57.1 58.2 63.8 61.8 6.7 13. 人とのつきあいに距離をおいている 33.5 40.4 41.3 45.6 12.1 14. ものごとに没頭できず、根気がないほうだ 28.0 22.7 23.2 23.5 5.3 15. 分析力や批判力がある方だ 42.9 44.0 45.7 47.1 4.2 O 16. 人との応対はニコヤカでソツがない 41.2 39.1 45.7 42.6 6.6 17. ロマンチックな面と現実的面をどちらももっている 80.8 80.4 81.2 94.1 13.7 18. 人間関係を大事にし、とくに人の信頼を重視する 84.6 84.9 79.7 80.9 5.2 19. バイタリティがある 35.2 38.2 37.0 52.9 14.7 20. 目的が決まれば直進して、がんばってやりとげる 66.5 66.7 65.9 66.2 0.8
血液型ステレオタイプの存在
血液型によって性格が異なると考えるか否かの回答は表5(省略)のように分布している。「非常に異なる」「かなり異なる」を合わせて48%の被験者が血液型ステレオタイプをもっていると考えられる。 またこのステレオタイプをもつ者は男性より女性に多い。(χ2=31.90, d. f. =3, p<0.001)
以下の分析では被験者を「非常に異なる」や「かなり異なる」と回答した者と、「あまり異ならない」や「全く関係がない」と回答した者とに分け、前者をステレオタイプ群、後者を非ステレオタイプ群と呼ぶことにする。
ステレオタイプ群において、A型の人やO型の人がどのような性格とイメージされているかを調べたのが図1である。図中の項目番号は表2と同一である。能見(1984)に基づいて「A型」と記述された項目(番号1〜5)が、A型の人の性格とされた比率は21〜69%で、「B型」と記述された項目(番号6〜10)は12〜21%、「AB型」と記述された項目(番号11〜15)は15〜45%、「O型」と記述された項目(番号16〜20)は13〜61%であった。平均比率でみると、「A型」項目は50%、「B型」項目は15%、「AB型」項目は27%、「O型」項目は35%であり、「A型」と記述された項目の比率が高くなっている。つまり血液型ステレオタイプ群がA型の人にもつイメージは、能見(1984)の記述する「A型」性格にほぼ一致している。
O型の人の性格イメージを平均比率でみると、「A型」項目は25%、「B型」項目は49%、「AB型」項目は27%、「O型」項目は46%となっている。「O型」より「B型」の方が高率になっている。O型の人にイメージされる性格は、能見の記述とは一致していない。
血液型ステレオタイプをもつ人は本調査の被験者の約半数になるが、彼らの血液型別性格イメージは、能見の提唱する性格像と必ずしも一致していないのである。
実は、この質問項目は少々アヤしいのです。特に、11.は明らかにO型の特徴で、図1を見ると確かにO型の性格イメージであることがわかります。また、16.は、たぶんAB型だと思うのですが…。ということは、松井さんはO型やAB型ではないのでしょうか? 細かくてすみません>ALL |
これまた、A型以外はステレオタイプがないことを示しています。
原題は次のようになっています。
村田光二・木下順子 仮説検証仮定にかける確証傾向−血液型ステレオタイプに基づく場合− 『東京学芸大学紀要1部門』 第44巻 219〜228ページ H5
まず、方法ですが、
被験者は(注:大学生103人)、ピデオデッキとモニターテレビのある実験室または教室で、10人から30人の集団で「限られた情報から他者を推測する」と称された実験に参加した。まず、ある女性が登場するビデオ番組を見て、その人の血液型が何型であるかを推測した後、質問に答えてもらうと女性実験者から説明を受けた。次に「A型描写」または「B型描写」のいずれかの自己紹介を含む番組を視聴した。そして質問紙に回答した。
その中で、A型描写とB型描写の部分を、ちょっと引用しておきます。
<A型描写の自己紹介のシナリオ> アルバイ トは家庭教師と小さな会社の事務を経験しました。どちらも地味な仕事でありましたが、私にとってはやりがいのあるものでした。事務のほうでは表を作ったり計算をしたり細かい仕事が多かったのですが、もともとそういうのが苦にならないのでミスが少なく会社の人から可愛がられました。,性格は明るいほうだと思うのですが、友達からおとなしいねと言われます。これから卒業までの数カ月、学生生活を存分に楽しみたいと思います。
<B型描写の自己紹介のシナリオ> わりと社交的なほうなのですぐに友達ができました。大学はそこそこには通いましたが、ほかに楽しそうなことがあると、まずそっちを優先してしまうのではっきり言ってごぶさた続きでした。たまに授業に出ても後ろのほうで寝ていることが多かったです。試験は、そつなく友達にノートを借りて大体パスしてきました。こういうときだけは友達のありがたさを感じました。性格は明るいです。人はよく変な奴だって言っているみたいだけど失礼しちゃうと思いませんか。 あと数カ月で楽しい楽しい大学生が終わっちゃいます。でも何だか遊び足らないような気がします。就職したらこんな楽しい生活も無理だと思うし、あと数カ月をばんばん遊んで過ごしたいと思います。
執筆者の方には大変失礼なのですが、(A型はともかく)B型はどう考えてもピンときません。私の知る限り、能見さんの本にはこんなものはなかったと思うのですが…。そこで、当然のことながら(?)、B型を推測する人が少なくなります。
血液型の推測
登場人物の血液型の推測は、無回答の者2名(各条件1名ずつ)を除いて、表1に示した。このように、2つのビデオ描写内容条件間で明かな違いが認められた(χ2(3)=20.71 p<0.001)。
しかし、A型描写条件ではA型を推測した者が最も多かったが、そうでなかった者も36.0%存在した。また、B型描写条件ではわずか29.4%の者しかB型を推測せず、むしろO型を推測した者の方が多かった。
このことは、各描写条件の操作が対応する血液型ステレオタイプを被験者に抱かせることに十分には成功しなかったことを示している。この点を考慮して、後にはこの操作が成功した被験者だけを取り上げた分析も実施したい。しかし、任意に被験者を選択しての分析には方法論的問題が伴うので、次の印象評定の結果も考慮して、主たる分析には各描写条件の全被験者を用いた。
表1 対象人物の血液型の推測(人数)
条件\推測された型
A B O AB A型描写
32 6 10 2 B型描写
10 15 20 6
結局、最後に要約として、
血液型ステレオタイプに基づく対象人物に関する予期(仮説)を検証する場面でも、確証傾向がみられるかどうかが実験的に検討された。被験者は血液型がA型の人のように自己紹介するビデオ番組か、B型のように自己紹介する番組を見た後に、その人物に質問する機会を与えられた。そうするとA型描写条件ではA型ステレオタイプを確証する質問が選択されやすく、B型描写条件ではB型ステレオタイプを確証する質問が選択されやすいことが見いだされた。
また、これらの質問には肯定的回答を予想することも認められた。このように、仮説検証過程における確証傾向が認められた。しかし、血液型性格信念の高低がこの傾向に影響を及ぼすことは認められなかった。
血液型の描写が不適当(?)なのだから、この結果は私には当然と思えるのですが…。皆さんはどうも思われますか?
#個人非難をしているのではありませんので、悪しからずご容赦ください。>ALL
佐藤達哉さんの論文、「プラットタイプ・ハラスメント」からです(『現代のエスプリ〜血液型と性格』
No.324 至文堂 H6)。
表を見ればわかるとおり、A型の特徴についてはある程度当たっているもの、O型についてはかなりいいかげんで、B型についてはあてにならず、AB型については全く知られていないことが分かります。また、B型とAB型についてはややネガティブなイメージがあることがわかります。
表1 各血液型のイメージ(N=197)
回答\血液型
A O B AB 合計 几帳面
111 0 0 0 111 神経質 77 1 1 3 80 真面目 54 0 0 3 57 おおらか 0 90 1 0 91 大ざっぱ 0 25 4 0 29 おっとり 0 16 1 0 17 明るい 4 16 38 1 59 マイペース 0 8 33 1 42 個性的 0 2 23 6 31 いい加減 0 0 17 0 17 わがまま 0 2 12 1 15 自己中心的 1 3 11 0 15 楽天的 0 8 10 0 18 面白い 0 2 10 1 13 二重人格 0 1 0 77 78 二面性がある 0 2 18 64 84 変わり者 0 0 1 13 14 よく分からない
0 0 0 12 12
表2 各血液型のイメージの社会的望ましさ(数値が大きいほど肯定的)
血液型
回答数 平均 標準偏差 O型
220 3.92 0.81 A型 226 3.41 0.80 B型 215 3.19 1.13 AB型 216 2.55 0.85
表3 各血液型のイメージ(%) N=318
A B O AB なし 隣には住みたくないタイプ
6 18 2 20 51 仲間として一緒のクラブに入りたくないタイプ 6 9 2 13 64 結婚したくないタイプ 10 12 3 22 50 自分には好きになれないタイプ 5 12 2 14 60
なお、この表のデータは、上瀬由美子さんの論文が元となっています。
[血液型と性格]の略年表にも書いてあるのですが、ここでも書いておきましょう。雑誌記事発行件数は、昭和60年ごろが一番多いことが分かります。しかし、(同時期の)松井さんの論文によると「血液型ステレオタイプをもつ人は本調査の被験者の約半数になるが、彼らの血液型別性格イメージは、能見の提唱する性格像と必ずしも一致していないのである」ということですから、血液型と性格の関係は、雑誌記事件数が一番多かったころでさえ(残念ながら?)正確には知られていないのです。
なお、このグラフの出典は次の記事です。
それでは、能見正比古さんの『血液型女性白書』から、血液型別の特徴を要約してみます。今までの論文とどう違うかチェックしてみてください。
男女の気質差は、原則的にはほとんどない。しかし、O型男女は一番性別にこだわる。一見ボーイッシュに見えるO型女性でも、やはり女である意識が強い。これに対して、AB型は、表面的には男らしく、あるいは女らしくしていても、内心は男女の区別は一番薄い。
男女別の意識の強さは、O型の自然性の現れである。しかし、O型気質が自然的というのは、決して原始的ということではない。自然的というのは、すなわち人間的であるということである。A型やB型、AB型となっていくにつれ、少しずつ自然離れ、人間離れしてゆく。
世間的には、O型女性は、しばしば女性らしくないと見られることが多い。それは、男女の気質の自然差が小さく、社会的な差の方が大きいからである。O型は、生きることを、そして、そのために役に立つ行動をまず優先させる。そこから、さまざまのO型の気質傾向が導き出されてくる。
O型の驚くほど強い現実性もそれである。現実性とは、生存するために最も有利な行動を絶えず模索し、プラスとマイナスを素早く見分け、割り切りよく、それを取り入れていくことだ。
この現実性が、行動に現れると、O型の目的指向性となる。実生活の上の目的に集中的に突き進む傾向である。生活と遊離した目的には、O型は、それほど熱意を示さない。生きるために直接必要な目的、たとえば職業や仕事を大きくする目的、異性を求める目的、安全を求める目的、そして特に、集団内において力を求める目的などの場合、その集中力が高まる。
そうした目的が目前にないときは、日なたのネコのような状態となり、長く続けばひどく不安定な気分になったりする。
O型のロマンチックな表現や、そうしたことを好む傾向は、一見現実性と矛盾するようであるが、実は、現実的行動を駆り立てる効果を上げている。O型は、ロマンチストとリアリストの二本立ての性格だが、それは見た目の上だけであり、ロマンチックな思いに行動まで引きずられて、現実性を失うということは少ない。
A型の基本気質は、O型ほど、はっきり決めにくい。が、社会を意識する敏感さと、安全意識の2つをあげられそうである。
前者は、O型の力関係への敏感さと匹敵する。社会というよりは、"世間"とした方がいいかもしれない。その範囲は個々のA型によって異なる。「旅の恥はかき捨て」は、A型的俚諺で、旅は、A型が世間から抜け出すことになるのである。A型は、2歳児のころから、人目を気にし、世間を意識するようである。
A型は、優等生的社会人が多い。世間に対して、その慣習やルール、常識を尊重し、羽目を外したり、人の注意も引かないように、後ろ指を指されないように努める人が増える。が、逆に、その反動で、世間的なものに反発する人も目立つ。共に、世間意識への敏感さから出ているのである。全体的には、前者が多数を占めるようである。欧米人には、気の強い積極派のA型が多い印象があるが、人種的な差だろうか。
それと、もう一つの完全主義も幼児期にすでに発現する。自分だけではなく、自分の周囲にも完全な姿を要求することから、強い責任感と自立的行動が生まれ、手抜きをしない丹念さ、緻密さ、慎重さなども出てくる。他面、完全さを要求するため、"アラさがしのA"や"口うるささのA"にもなりやすい。
完全主義と勝ち気が結びつき、自分の理屈をどこまでも通そうとするA型は、シンのある理屈っぽい人間と見られやすい。滅多に謝らないA型に、強情頑固の評判が立つ。優しさと頑固、これがA型の二重性の1つであろう。
気さくザックバランなと、見かけブアイソと、とっつきにくい両タイプがB型にはある。周囲や世間に合わせる、方式に適った作法や挨拶を身につけるのが苦手なB型は、前者のような挨拶抜きの対人態度を身につけるか、後者のようになるべく引っ込んでいるかの二者択一になる。少しつきあうと、この両タイプとも、人を信じ、差別なく親しむことの早いことがわかる。開放性こそB型の共通性なのである。
B型の一番の基本性は、A型とは逆に、世間や周囲を意識することが最も少ないということか。
周りを意識しないことから、B型流のマイペース行動が出る。しばられ、拘束され、細かな規則に従わされるのを極度にいやがる。興味の強さは、"面白がる"心が豊かであるということ。O型のように損得を考え、A型のように世間的価値を測ったりはしない。興味は、外界に向けられるので、事実性を重んじ、考え方は科学的実用的となる。常識や慣習に引きずられたりはしないので、物わかりがよく、幅広い柔軟な理解力も示す。
B型はジッとしてはいられない。絶えず体を動かしているか、ジッとして見えても、頭の中はめまぐるしく回転している。
気分が敏感に反応すること、相手の事情や考えを主観を交えずに関心を持ち、理解できるので、人情深さがあり、たちまち行動に出たりする。しかし、B型は喜怒哀楽などの感情性は、そう強くはない。感情が起こると抑制なく表現するので、そう思われるだけである。
ついでだが、自分の考えに恐ろしく頑固にしがみつくことがある。この場合は、頑固さを示すB型となる。
「AB型は天才か○○○○」という迷信はあった。これは、AB型については全くわからないという表白である。もちろん、事実ではない。AB型に常識的社会人は最も多い。
AB型の一番の特徴は、社会参加に忠実で、有能さと強さを持つ第一面と、気まぐれ気ままの突発的感情、非現実的な行動の第二面の二面性である。
その他のAB型の基本部分としては、考え方の合理性をあげたい。これが表面に出すぎると、ドライとも見られる。これは、AB型の何ものにも何ごとにものめり込むことの少ない傾向とタイアップする。AB型は、社会に参加意欲は熱心でも、社会や集団との一体感はない。それが、O型やA型と一線を画するところである。
AB型が、社会に参加したがるのは、安定した生活の確保のためのようだ。AB型は、精神的、経済的ともに安定を何より求める。そして、社会に迎えられやすくするために、自分の外見に一定のイメージを作ることが多い。いわば、OLや学生が、出社、登校の際に、当然のように制服を身にまとう姿にも似る。
イメージはどんなものを選んでもいいわけだが、スムーズな社会参加には、平均して人当たりのソフトさが使われるのも当然である。多くのAB型は、このにこやかで、もの柔らかなイメージを作る。その結果、男性は優しいが男らしさに欠けるとも見られ、いくらか損をし、女性は優しさに加えて淑やかさも見せ、いくらか得をする感じであるが、いずれもイメージだけのことである。
イメージをAB型の二重人格とも見る人もあるが、そうではない。その証拠には、ちょっと親しくなった相手には、AB型は簡単に着用イメージを脱ぐ。
ABO FANとしては大変珍しいのですが、信頼性を上げるために(?)、判断の材料とした論文や資料の一覧を書いておきます(順不同、敬称略)。また、一部については引用もしています。この場を借りて感謝申し上げます。
説明は不要でしょう(笑)。最初の結論どおりです。
今まで読んできてわかると思いますが、私が使った資料はすべて公開されているものですし、否定論者の心理学者が書いたものです(もちろん、ワザとそうしています)。どの血液型がステレオタイプを持っているかということは、これらの論文を読めば誰だってすぐ気付くはずです。なぜ、今まで結論が出なかったのか非常に不思議で、狐につままれたような気持ちでいます。
では、なぜA型だけがステレオタイプを持っているのでしょうか? それは、A型が自分の性格について強く意識しているからでしょう(あるいは、A型の特徴は覚えやすいのかもしれません)。単に数が多いからというなら、A型に次いで多いO型も自分の性格をある程度知っていてもよさそうです。しかし、実際にはそういうことはないのです。これは、こう考えるとすべてうまく説明できることに気が付きます。
もし、血液型による差が大きく、一般の人にすぐわかるようなものなら、とっくの昔に心理学の教科書に載っているはずです。しかし、未だに論争があるということは、そうでないことの何よりの証拠です。また、「血液型ステレオタイプ」の研究者でも、(私が判断では)全員が能見さんの気質特性を知っているわけではないようですね。
こうしてみると、B型やAB型には一部ですが悪いイメージがあるようです。私の記憶では、昔はそんなことはなかったはずなので、どうも割と最近(といっても昭和60年以降)のことのようですね。また、能見さんも書いているとおり、「AB型は天才か○○○○」という「迷信」は昔もあったようです。AB型の私としては、血液型と性格の関係を正しく理解する人が増えて、そんなイメージがなくなることをぜひ願いたいものです。
なぜこんなことになったのかは、きまぐれ実験室へどうぞ。また、渡邊席子(わたなべよりこ)さんの論文も面白いですのでぜひ読んでみてください。
最後に一言。A型以外は「血液型ステレオタイプ」はほとんどはないのですから、それ以外の血液型で差が出た場合は、「本当の差」ということになります。もちろん、「本当の差」が山のようにあることはいうまでもありません。
最近、「ステレオタイプ」の解説書が発売になりました。なかなか有益な本です。
『現代のエスプリ〜偏見とステレオタイプの心理学』 No.384 至文堂 H11.7
この本では、人種・民族、性、地位・職業、学歴、外見等々のいろいろなステレオタイプについて取り上げられています。その中には、「ステレオタイプとしての血液型性格判断」という記事もあります。
もっとも、血液型については、なぜか以前の論調とは違うような気もします。よくはわかりませんが…。
血液型と性格が「関係ない」という根拠は、次のようになっています(153ページ)。
1については、驚いたことに(?)昭和初期に古川説が否定されているからという理由です。となると、最近の否定的な論文を書いている人は、全くの徒労だったということになるのでしょうか? はて? 次は155ページからの引用です。
非常に重要な点なので繰り返すが、血液型と性格の関連について学術的に見た場合には、昭和初期に既に否定されてしまっている
#そう言えば、相対性理論や量子力学もこのころは否定されていたような…。
2については、データが何だろうが、「(心理学では)認められない」ということですから、確かに正しいと思います。3については、明らかに誤りです。ホルモンや脳内物質が性格に影響を与えることは実証されています。4については、偏見があろうがなかろうが、性格との関連があるかどうかには係ないと思うのですが、どうなのでしょうか?
残念ながら、私にはよく分かりませんでした。う〜む。(*_*)
なお、ステレオタイプのデータ的な疑問点については、こちらをどうぞ! -- H11.6.24