【H27.10.11追記】 最近、医学的根拠に関する論文が発表されましたので、タイトルだけ紹介しておきます。
前者は血液型の表現型[A,B,O,AB]ではなく遺伝子型[AA,AO,BO,BB,O,AB]との関連、後者はホルモンとの関連を論じています。 |
[注:実は血液型と性格は関係があるという医学的根拠があるようです→詳しくはこちら -- H14.1.3]
少々前の本(2000年)ですが、今でも気になる記述があります(181ページ)。
血液型は見かけほど中立的なものではないことがわかっている。これにはひとつの根拠がある。1960年代の初めから、血液型と下痢との間に相関のあることが明らかになってきたのだ。
そして、血液型によって下痢になる菌に違いがあることがだんだんわかってきました。特に、O型はコレラに弱いのです。一番強いのがAB型で、次がA型、B型の順でした。しかし、このメカニズムはまだよくわかっていないようです。
185ページには、「ゲノムは過去の病理の記録」として、こんな記述があります。
ゲノムはわれわれの病理学的な過去が収められた記録だ。それは、各民族・各人種にとってのいわば医学的聖書なのだ。アメリカ先住民にO型が多いのは、人間の定住時期の遅い西半球の大陸には、コレラなど、ごみごみした不衛生な環境による下痢症状をともなう病気が根付かなかったという事実を反映しているのかもしれない。…北アメリカで見つかったコロンブス以前の自体のミイラには、A型やB型の血液の物がかなり多いのだ。まるで、A型やB型の遺伝子が、西半球に固有の淘汰圧によりあっという間に激減したかのように見える。その原因が梅毒と思わせるヒントもいくつかある。梅毒は、どうやら南北アメリカ大陸を出自とする病気らしいのだ。…そして、O型の人は、ほかの血液型の人に比べ、梅毒に罹りにくいようなのである。
これは、竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』と同じ内容ですね。ただ、それで血液型と性格に関係があるとは書いてありませんでした。(笑) -- H18.1.22
最近、平成16年6月19日付の『日本経済新聞』で面白いコラムを見つけました(早稲田大学教授 池田清彦さん「生物進化考(16)」)。
ひところ、デザイナー・チャイルドなるコトバがはやった。ヒトの形質に関与する全ての遺伝子が判明したあかつきに、遺伝子を自由に組み合わせて、理想的な子供をつくろうという話だ。今は絵空事だが、技術が進歩したら本当に可能になるのだろうか。
デザイナー・チャイルドをつくるには、個々の遺伝子たちが、それぞれ別々の形質に1対1で対応していることが前提となる。すべての形質は特定の発生システムのなかで遺伝子たちと環境の共同作業の結果作られる。中にはひとつの遺伝子でひとつの形質を決めているように見える場合もあるが、その形質発現に関与する他の遺伝子たちや体内環境が安定しているのでそう見えるのだ。ひとつの遺伝子がそれぞれ独立に形質を決定したわけではない。
また、ある研究者からは、こんなようなことも言われました。
ABO式血液型を決定する遺伝子は、胎児期には神経[注:脳を含む]にも大量に発現している。だから、成人の脳に血液型物質がないから血液型と性格に関係がないなんていうのは、まるっきり素人の意見だ。医者は発生[注:胎児期]の専門家ではないし、そんなことは知らないから平気で発言をしているのであきれている。ABO式血液型の研究者でも、こんなことを知っているのは一部の人だけだろう。ABO式血液型が、発生のとき[注:胎児期]に神経細胞に影響を与える可能はあるので、血液型と性格が関係ないとはいえないのではないか。
ということですから、「脳内物質であるドーパミンに関係する遺伝子がABO遺伝子(第9染色体)の近くにある」という根拠は、あまりにも素人的発想のようです。
もともとは、ある否定論者が「性格を決定する遺伝子と血液型の遺伝子の連鎖が発見されていないし、その可能性も低い」と言っていたので、反論として用意したのですが、今となっては撤回した方がよさそうです。(^^;;
結論としては、
などという否定的な根拠は信用しない方がよさそうです。
科学は日進月歩ですから、最新の知識をどんどん吸収して「常識」を変えなければいけませんね。反省反省。
なお、この部分の訂正は、NATROMさんからの示唆も受けています。ご指摘ありがとうございます。m(._.)m -- H16.7.19
どちらもO型の澤口俊之さんと阿川佐和子さんの対談です。澤口さんは、「探検!ホムンクルス」で、血液型と性格は関係あると説明していました。番組中では、あまり詳しい話はなかったのですが、この本ではもう少し詳しい説明があります。(91〜95ページ)
血液型は、もともといい加減なデータだと、みんな思っていたんです。…あれは統計的な話だったんです。ししかし、最近、血液型というのは人の性格に非常に関係するということが統計的な話では立証されてきているんです。
そして、茨城県警のデータをあげて、血液型別の交通事故の特徴を説明しています。例えば、一番事故が多いのはA型でスピード違反が多いとのことです。A型の人には申し訳ありませんが、これには納得できるものがありますね(失礼!)。そして、最近はその理由も解明されつつあるとして、
その理由がわかってきたんです。これは免疫力に関わることなんですが、O型の人というのは免疫力が強いことがわかってきました。詳しい理由は不明ですが、どうやらO型の赤血球だと免疫系がうまく働くみたいです。
免疫系が強いと、あまり警戒しなくともいいので大雑把な性格になるそうです。逆に、A型は免疫が弱いので心配性だそうですが、B型とAB型はわかっていないそうです。竹内久美子さんの説明に似ているような気もしますね(笑)。残念ながら論文の紹介はありませんでした。わかれば、ぜひ紹介したいですね。 -- H16.3.18
竹内久美子さんの著書、『小さな悪魔の背中の窪み』の中で、なぜABO式血液型によって性格の違いが生じるのか?という感染症から見た仮説が提供されています。私なりに要約すると、
実際には、4.の状態は、自然淘汰によって実現されます。また、すべての感染症にO型が強いわけではないので、すべての人の血液型がO型になるということはありません。で、実際に世界各地の感染症と血液型分布を調べたところ、やはり地域特有の感染症に強い血液型が多かったそうです。なるほど!ですね。
なお、このホームページとは直接関係ありませんが、竹内さんによると、HLA(Human Leukocyte Antigen)−白血球の血液型?のようなものらしいです−の方が性格と関係ありそうだということです(関係あるという情報もありますが、確認はしていません)。どうやら、こっちが本命のようですね。ただ、まだ研究はされていないようです。HLAって、臓器移植や骨髄移植で型が問題になることが多いので、最近はよく聞きますよね。
ただ、注意しないといけないのは、この仮説はほとんど実証不可能ということです。また、血液型による感染症の差は、本当にあるのかどうか疑問であるという意見も専門家からたくさんいただいています。残念ながら、私にはどちらとも判断できませんので、あくまでも魅力的な仮説ということで紹介しておきます。 |
また、ABO式血液型と体質の関係について、こういう意見もあります。竹内さんの説と関係するかどうか、私には判断が付きませんが…。もっとも、まだまだ仮説の段階のようです。
ABO式血液型の遺伝子は、
通常の遺伝子がしたがっている進化パターンにはあてはまらないようである。第一に、糖転移酵素の働きがなくなっているのにもかかわらず、O対立遺伝子の頻度がかなり高い。重要な物質交代を担っている酵素遺伝子の場合、酵素の働きがなくなってしまう突然変異が生じると、普通はその個体の生存にきわめて不利なので、子孫を残しにくくなるはずである。したがって、
ABO式血液型に関与する糖転移酵素は、人間がとりあえず生きてゆくのには絶対必要であるわけではない。ところが、
私たちの推定によると、ABO式血液型の遺伝子は脊椎動物が出現した三億年以上前頃から延々と偽遺伝子にもならずに生き残ってきたのである。このことから、弱いながらもこの遺伝子にはなんらかの存在意義があると思われる。このように、絶対に必要というわけではないが、あったら少しは役に立つという遺伝子が、ヒトゲノム中にはたくさんあると私は考えている。 また、A型とB型の対立遺伝子の共存が霊長類のあちこちの種でみられることも不思議である。この遺伝子がなぜこのような変異パターンを示すのか、まだよくわかっていないが、バクテリアやウイルスなどの感染を防ぐのに、ある程度の効果があるのではないかと考えられている。実際、胃潰傷や胃癌の原因のひとつであるヘリコバクター・ピロリというバクテリアは、胃壁にもぐりこむ際に、ABO式血液型物質の前駆体であるH型物質を足場にしている。するとH型物質しか持っていないO型の人間は、胃潰蕩などになりやすいため、多少は生存に不利となるだろう。しかし、まだまだこれらは仮説にすぎない。わからないことが多すぎるのである。私の研究室では、ABO式血液型のこの不思議な進化パターンを解明するため、山本文一郎氏らと共同でさらに研究を進めている。 『遺伝子は35億年の夢を見る』〜バクテリアからヒトの進化まで〜 斉藤成也 H9.3 大和書房 98〜101ページ |
わかりにくいかもしれませんので、ちょっと解説しておきます。まず、人間の祖先の血液型はA型の可能性が高いようです。そこに、突然変異によってO型が発生しましたが、他の血液型と比べると、生存にほんのちょっと有利だったので、だんだんO型(の遺伝子)が増えていきます。しかし、AとO(AO型→A型)とかBとO(BO型→B型)といったような違う2つ以上の遺伝子を持っていた方が有利なので(超優勢淘汰)、すべての人間がO型(=OO型)になってしまうわけではありません。B型も突然変異によって発生しましたが、やはりA型より生存にほんのちょっと有利だったので、だんだんに増えていきます。しかし、O型は霊長類の分化前に発生しましたが、B型は霊長類の種が分化した以降に少なくとも3回は別に発生したようです。
もちろん、以上は仮説ですが、竹内さんの説とも一致するように思えるのですが…。
(H10.3.13 update)
難しいタイトルですので、好きな人だけ読んでくださいね。(^^;;
『人類遺伝学』(改訂第2版)という本を読んでいたら、超優性の話が書いてありました。フムフム、そういえば前にabo-MLで話題になったっけなぁ…と思いつつ、鎌形赤血球(マラリアに対して抵抗力がある鎌や三日月のような形をした赤血球のこと)の数字が出ていたので思わず読んでしまいました。これをABO式血液型にあてはめると非常に興味深い結論が得られます。
実に意外な結論に非常に興奮してしまいました。ということで、忘れないうちに書いておくことにします。(^^;;
もう一度考えたら、なんと竹内久美子さんの説についての検証ができるではありませんか! これにはびっくり。(@_@)
では、スタート!
ここで、超優性についてちょっと説明しておきましょう。言葉は難しいのですが、内容は意外と簡単です。要するに、同じ遺伝子を持つ個体(ホモ)よりも、違う遺伝子を持つ個体(ヘテロ)の方が生存に有利であるというものです。
ABO式血液型については、表現型はO、A、B、ABの4種類ですが、遺伝子型はOO、AO、AA、BO、BB、ABの6種類です。
ですから、ホモは、OO、AA、BBの3種類、ヘテロはAO、BO、ABの3種類になりますが、後者の方が生存に有利なことになります。
ヘテロが生存に有利なわけですから、遺伝子が特定の血液型だけになって、他の型は全部なくなるということはありません。あくまで平和共存するわけです。ただし、特定の血液型がやや有利になるというような環境では、その血液型の割合が一定の水準まで増えるという可能性はありますが、それ以上は増えません。なぜなら、特定の型だけだとホモだけになってしまいますが、それよりはヘテロの方が生存に有利だからです。
結論として、環境が変わらない限り各血液型の割合は安定していますから、血液型の割合に変動がなくなることになって、メデタシメデタシとなるわけです。v(^^)
これで、環境によって、各血液型の割合が変わってくること、そして特定の血液型だけになることがありえないことがうまく説明できました。
では、これだけのことを頭に入れて、次の学術的な説明を読んでください。きっと理解してもらえることと思います。
柳瀬敏幸編 『人類遺伝学』−基礎と応用−改訂第2版 (金原出版 H7.7)の324〜326ページから
B.多型が維持される仕組み
集団における多型の維持には多くの要因があずかっていると推定されるが,それらのなかで主要な仕組みについて述べる.
a.遺伝的浮動(省略)
b.頻度依存性の選択
頻度依存性の選択frequency dependent selectionとは,ある対立遺伝子が集団中に低い頻度で分布しているときに選択に関して有利となり,頻度が高まるに従って不利になる現象である.この場合には,それぞれの遺伝子型の適応度は遺伝子頻度の関数とみなされる,例えば2種類の対立遺伝子Aとaが存在する座位について3種類の遺伝子型AA,Aaおよびaa適応度を1.5-p,1,および1-qと表すことができる.p=q=0.5の場合にはこの座位について平衡状態になり,それぞれの遺伝子型の適応度は等しい.平衡状態に達した場合には,複対立遺伝子が存在する座位をも含めて,それぞれの遺伝子型に選択圧が加わらないから,多数の遺伝性変異が維持される.c.平衡選択(省略)
d.超優性
HbSはわが国やアメリカの白人集団などではほとんど見出されない.しかし中部アフリカの一部では住民の45%以上がこの変異へモグロビンを保有している.すなわち,この地域ではHbAとHbSがそろって高い頻度で分布し,多型をなしている.
HbS遺伝子はHbA遺伝子の突然変異によって生じたもので,HbSHbSホモ接合体(鎌状赤血球貧血症)は重篤な溶血性貧血と栓塞を主体とする臓器・組織の障害によって多くは生殖年齢前に死亡する(p.292).しかしへテロ接合体HbAHbS(鎌状赤血球形質)は熱帯熱マラリアに対して抵抗性を示し,熱帯熱マラリアが流行している地域では正常なホモ接合体HbAHbAより生存度が高く,産児数も多い(表33-1).表33-1 熱帯熱マラリアの浸淫地帯における3種類の遺伝子型の適応度
遺伝子型 適応度 HbAHbA 0.83 HbAHbS 1.00 HbSHbS 0.25 ヘテロ接合体HbAHbSの適応度を1として,他の遺伝子型の適応度を推定(Allison 1956).
これらの地域では,ホモ接合体HbSHbSが減少する一方で,へテロ接合体HbAHbSによってHbS遺伝子が供給,拡散され,その頻度はマラリア浸淫の程度とほぼ並行して高く保たれている(Allison 1956).しかしマラリアが皆無な地域,例えばアメリカに在住する黒人などではへテロ接合体の適応度は正常ホモ接合体のそれより若干低いと推測される.したがってアメリカの黒人ではHbS遺伝子は主に異常ホモ接合体HbSHbSの生殖年齢前の喪失によって次第に減少し,マラリア浸淫地域より低い頻度で維持される.
このようにへテロ接合体が両方のホモ接合体より適応度において勝っている現象を正の超優性overdominanceという.
同義置換と非同義置換DNA塩基の置換には,コードの縮重(p.178)にもとづいて,塩基が置換してもアミノ酸が変化しない同義置換synonymous substitutionと,塩基が置換すればアミノ酸が変化する非同義置換nonsynonymous substitutionとある.ヒトの主要組織適合抗原HLA(章38)が外来性または内因性の抗原ペブチドを結合する立体構造上の領域では非同義置換が同義置換より多く,それ以外の領域では逆に同義置換が多い.この事実から,Hughes とNei(1989)は,抗原の結合部位における超優性の仕組みによる選択(overdominant selection)がHLAの多型を増大させたと推定している.すなわち,抗原ペブチドの結合親和性はそれぞれのHLA分子の構造いかんによるから,へテロ接合体はホモ接合体より多くの抗原に対して免疫応答をすることができる.したがって適応度は高くなると推定される.
以上のような正の超優性に対して,へテロ接合体の適応度が両方のホモ接合体のそれより低い場合には,これを負の超優性という.しかしヒトについては,まだ負の超優性の確実な例は知られていない.
以上の説明でわかるとおり、竹内久美子さんの説には大きな欠点があります。それは、O型が最も生存に有利ということになると、ちょっと計算してみるとわかるとおり、何十世代か後にはO型の人間だけが生き残ることになってしまうことです。(*_*) つまり、私はO型でないといけないことに…。しかし、実際にはこのとおりAB型です(笑)。あれ?
日本人の平均でも、O型は30%強しかいませんし…。
#元々はabo-MLの主催者である鹿児島大学の板倉さんの指摘ですが、他の誰も言わないのは非常に不思議なことです。
ですから、彼女の説は明らか(?)におかしいことになります。大変残念なことですが…。(*_*)
しかし、上のように超優性の視点からすると、すべてうまく説明することができます。
ただし、超優性にも例外があります。例えば、梅毒のようなO型(=遺伝子がホモ)が一番耐性のあるような環境だと、上の超優性による淘汰のメカニズムは働きません。結果として、ネイティブアメリカン(アメリカ原住民=アメリカインディアン)のようにO型が極端に多いケースもありえます。
結局、竹内久美子説ではO型が一番生存に有利とのことですが、超優性による淘汰のメカニズムが働く限り、ヘテロの方が生存に有利なわけですから、O型が生存に有利という彼女の説は明らか(?)に間違っているわけです。O遺伝子があるヘテロ(AO、BO、AB)の方が生存に有利でないといけないので、「社交的」であるはずでないといけなくなってしまうのですから…。
なお、なぜヘテロの方が有利かという理由は、ABO式血液型が免疫系と何らかの形で関連しているからだと考えられます。HLAでは、そういうことになっているようですし…。ABO式血液型物質は、消化器系に最も多く分布しているので、この可能性は大いにあります。また、HLAでは違うようですが、腸内細菌との関係なども考えられます。感染症はもちろんのことです。O型はピロリ菌に弱いなど、実際のデータもあるようですね。
しかし、竹内久美子さんのファンである私にとっては、大変残念な結果となってしまいました。トホホ。(T_T)
もう一つ言えることは、ABO式血液型の地域分布は人間と(感染症等の)環境との相互作用によるものであるということです。環境によって分布が変わるので、人種間の差を調べても環境の影響しか出てきません。つまり、あまり意味がないと…。参ったなぁ。(*_*) -- H11.8.8
【H16.7.19追記】
国立遺伝学研究所の斎藤研究室の研究テーマに、血液型遺伝子の進化が取り上げられています。そこには、
ということですから、竹内久美子さんの「O型が強い」という仮説は間違っている可能性が高そうです。たぶん、遺伝子型が一定以上のヘテロになるよう、なんらかの淘汰圧が働くのでしょう。まあ、AB型である私としては、好ましいことなのですが(笑)。 |
まともにシミュレーションをやるには、数学的モデルを作らないといけません。数学的モデルを作るには、本当は偏微分方程式を立てて解けばいいのですが、ここではそんな難しいことはしません。え、できないんだろうって? それは…f(^^;;
まあ、そんなことは置いといて、もっと簡単な方法を探すことにしましょう!
いろいろと検討してみた結果、6種類の遺伝子型であるOO、AO、AA、BO、BB、ABの割合が平衡するというモデルは成り立たないようです。となると、遺伝子O、A、Bの3種類の遺伝子の割合が平衡するという条件しかありません。結局、6種類の遺伝子型の適応度は一意に決まらないことになります(線形代数をやった人はお分かりでしょう)。前の例では、遺伝子型が3つだから一意に決まったようなのです。これは困った!
そこで、データの傾向をもう一度じっくり見てみると、AOとAAの適応度ではさほど差がありませんが、BOとBBではかなり差がないといけないようです。
さて、ちょっと話題を変えることにします。ABO式血液型のような複対立遺伝子にはWellishの式というのがあってA、B、Oの割合をそれぞれp、q、rとすると、次の関係が成り立ちます。
Wellishの式による各遺伝子型の割合
遺伝子型 割合 日本人の割合 適応度 OO r2 0.307 0.9 AO 2pr 0.308 1.0 AA p2 0.073 0.8 BO 2qr 0.199 1.0 BB q2 0.029 0.7 AB 2pq 0.094 1.0 ここで、p + q + r = 1 (10とする場合もあるようです)
計算すると、日本人では、p=0.27、q=0.17、r=0.56ぐらいになります。考えていてもしょうがないので、適応度については力技を使うことにします。つまり、適当に決めて毎回計算すると…。(^^;;
今回は、適応度の最大値を1としています。前述のとおり条件が3つしかないので、上の表はエイヤっと適当に決めた値です。ただし、OO > AA > BBでないといけないので、それを満たすようにして、差は0.1ごとにしてみました。私のカンですから、数字には特別の根拠はありません。
以上のような前提を基に、ごく簡単なシミュレーションをしてみたのが次の結果です。qを固定して、pを0.1刻みで変化させてみました。太字はその表で最大の値です。
q=0.15の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94475 0.94492 0.94503 0.94508 0.94507 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.95500 0.95500 0.95500 0.95500 0.95500 r 0.94000 0.94100 0.94200 0.94300 0.94400 q=0.16の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94501 0.94516 0.94525 0.94528 0.94525 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.95200 0.95200 0.95200 0.95200 0.95200 r 0.94100 0.94200 0.94300 0.94400 0.94500 q=0.17の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94519 0.94532 0.94539 0.94540 0.94535 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.94900 0.94900 0.94900 0.94900 0.94900 r 0.94200 0.94300 0.94400 0.94500 0.94600 q=0.18の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94529 0.94540 0.94545 0.94544 0.94537 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.94600 0.94600 0.94600 0.94600 0.94600 r 0.94300 0.94400 0.94500 0.94600 0.94700 q=0.19の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94531 0.94540 0.94543 0.94540 0.94531 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.94300 0.94300 0.94300 0.94300 0.94300 r 0.94400 0.94500 0.94600 0.94700 0.94800 q=0.20の場合の適応度
q=固定
p=0.25 p=0.26 p=0.27 p=0.28 p=0.29 平均 0.94525 0.94532 0.94533 0.94528 0.94517 p 0.95000 0.94800 0.94600 0.94400 0.94200 q 0.94000 0.94000 0.94000 0.94000 0.94000 r 0.94500 0.94600 0.94700 0.94800 0.94900
適応度の平均を見ると、赤字であるp=0.27、q=0.18、r=0.55ぐらいで最大になることがわかります。つまり、遺伝子全体としてはこのぐらいの分布が最も適応しているのです。この状態で平衡が保たれればうまいのですが…。
ここで、何らかの原因により、pが0.01だけ増大してp=0.28になったとします。p=0.27ではpの適応度は0.946ですが、p=0.28では0.944と下がることがわかります(青字参照)。ということは、pが何らかの原因で増えた場合には、現在の世代なり次の世代ではpを減らすような力が働くことになるのです。このことにより、pの値は安定することになるので、平衡状態を保つことになります。やった!
q、rについても同だから、遺伝子全体としても平衡状態で安定することになります。これで万事うまく収まりました。v(^^)
再度計算してみると、p=0.27、q=0.17、r=0.56にするためには、BBの適応度をもう少し下げればいいようです。
BBの人のためちょっと言っておきます。いつも適応度がこんなに低い訳ではありません。たぶん、感染症が流行した時期だけこの結果になるのでしょう。なぜなら、各遺伝子型の適応度が全部等しくとも、遺伝子の割合は変わらないのですから…。安心してください。(^^)
この適応度の概念によって、O型の後にB型が発生したという進化の過程をうまく説明できます。BB、ABが割と生存に不利とすると、最初はBOが多くないとB型が発生しても広まらないことになります。つまり、O型が多くなってからでないとB型が発生しても淘汰されてしまうことに…。
ところが、猫のようにA型とB型のみでO型が存在しないケースもあるのです。となると、猫と人間では適応度が違うのでしょうか? あるいは、たまたまO型が発生しなかったのか…。あれ?
やはり、血液型は一筋縄ではいかないようです。(^^;; -- H11.8.15
血液型人間学メーリングリストでの議論で、主催者である鹿児島大学の板倉さんから、なかなか説得力のある説明がありました。それによりますと、糖鎖の違いと性格には関係があるかもしれないのではないかということです。ただし、ABO式血液型糖鎖で性格が違うかどうかはまだ未解明のようですが。次からが引用です。
最近、と言いましても1994年くらいに発行された糖鎖関係の書物を読んでいますと、糖鎖研究は、私の学生時代には想像もしなかった展開を見せているようです。
20年も前は、血液型物質と気質の関係について私に可能性として考えられたのは、
神経伝達物質やホルモンの「受容体」の作用に対して周辺の糖鎖がなんらかの影響を与える可能性
程度でした。(ま、それはそれでおもしろい面もあるので、■興奮と脱感作 としてこのメールの最後につけておきます。)
さて、昨年、久留米大の先生にABO式血液型を決定する遺伝子について講演していただいたとき、その遺伝子が、
神経、筋肉、骨
において、胎児期に大量に発現しているということを伺いました。実は、わたしは、「脂肪組織、筋肉、骨、ではどうですか?」と質問したのすが、上記のようなお答えでした。脂肪組織の方は、わからない、ということでした。神経(脳を含む)は、われわれとしては当然ですね。
この答えが、わたしの予想にあまりピッタリだったので少し驚きましたが、「胎児期」というのにひっかかりました。う〜ん。「発生」について勉強して、仮説も練り直さないと。。。と思ったわけです。
しかし、昨日届いた 日経サイエンス 糖鎖と細胞 の中の「神経系の糖脂質による細胞認識」は、なかなかエキサイティングなものでありました。
動物の糖脂質であるスフィンゴ糖脂質の中でもガングリオシド(末端にシアル酸がついた酸性糖脂質)の話しではありましたが、糖脂質が神経系の発生、シナプス形成において重要な役割を果たしている、ということなのです。
脳の複雑な機能は、脳細胞(神経細胞)の複雑な神経回路網によるわけですが、その回路網の接続部分がシナプスです。
ただし、ガングリオ系ではなく、ラクト(ネオラクト)系糖脂質である血液型物質が、上記の事柄に関与しているとは書かれていません。
「単なる糖鎖が。。。」という否定の言葉は、これで笑いとばせるのですが、「単なるラクト系スフィンゴ糖脂質が。。。」と言われると、ま、「まだまだこれから。。」と答えるくらいしかないかもですね。(^^;
ガングリオ系とラクト系は、糖鎖の大きさや複雑さにそんなに差があるわけじゃないですけどね。はしっこに、酸性のシアル酸がついていることが一番の差のようです。また、ラクト系にシアル酸がついて、長糖鎖ガングリオシドというのができることもあるようです。
長くなりましたので、また。m(_ _)m
例えば、アセチルコリン受容体については、分子レベルの研究がかなり進んできました(おなじ遺伝子スーパーファミリーに属すると考えられているセロトニン受容体なども同様のようですが)。α、α、β、γ、δという5つのサブユニットが細胞表面で輪を作って中央に穴(閉じたり開いたりするチャンネル)ができています。
特命リサーチでも出てきましたが、神経細胞と神経細胞の接合部であるシナプスにおいて、神経終末から放出された神経伝達物質が次の神経細胞に届くと、この受容体に結合します。そうすると、チャンネルが開いて、Naなどのイオンが流入し、興奮へとつながるわけです。
神経細胞の種類、性質によって神経伝達物質が異なり、それぞれの受容体が存在し、流入するイオンの種類も違うようです。
さて、ここで、この受容体には「脱感作」という状態がある、ということなのです。神経伝達物質がずっと存在していると、つまり刺激が長く続くと、受容体に神経伝達物質が結合しているのにチャンネルが開かない、つまり刺激に反応しなくなっちゃう状態です。むちゃくちゃ興奮し続ける危険性を回避しているわけですね。
さてさて、能見さんの本に出てくる、血液型別興奮曲線ですが、この脱感作となんらかの関係があると思われませんか?
上の、A型の開き直りって「脱感作」そのもののような気がするのですが。。。
ただ、成人の神経細胞に、ABO式血液型糖鎖がどれだけ存在しているのか(胎児では、ABO式血液型遺伝子が大量に発現しているということではあるが)はたまた、存在しているとして、それがどれだけ受容体の作用に影響できるのか、情報不足、未解明、の部分が多いですね。
なお、ABO式血液型の研究者から、こういう意見をいただいています。
赤血球や血管内皮のフコース転移酵素(ABO式血液型物質を作る働きを持つ酵素)はFUT1という遺伝子産物であるが、胎児期の脳に発現している可能性か大きい。
ですから、脳の発生の時期(性格?)に何らかの影響を与えていることは完全には否定できないと思います。
(H10.2.26 update)
では、上の仮説を実際に調べてみましょう。
まず、能見さんよると、血液型による社交性は、ほぼO型、B型、A型、AB型の順のようですね。これはぴったりです、というよりは、竹内さんが能見さんの本を見てこういう仮説を立てたようです。ま、仮説ですから、なんらかの観察に基づくのは当然ですね。
また、竹内さんによると、O型は生命力が強く長生きなので、現在の日本の政治システムだと、首相になる確率が高いと書いてあります(当選回数が多い必要がありますから、健康で長生きしないといけません)。ま、これも当然ですね。しかし、なぜか不思議なことに、政治家は社交性が必要だからO型が多いとは書いてありません。こういう理由もあると思うのですが…。
(H9.9.27 update)
次に、私のオリジナル?の検証をすることにします。とはいっても、能見さんと竹内さんの本の内容を単純に組み合わせただけなのですが。
能見さんの本には、表情がよく動くのは、ほぼO型、B型、A型、AB型の順と書いてあります。これは、私の観察とも一致します。数値データはありませんが、まず間違いありません。一般的に社交的なら表情がよく動くでしょうから、これについてもほぼO型、B型、A型、AB型の順ということになります。うまい具合に、R.B.キャッテルの研究でも、AB型が一番「自己充足的(他人に従わず、自分の判断で行動する)」だそうですから、これとも一致します(この研究では、他の血液型はどうなんでしょう?竹内さんの本には書いてありませんでした)。
以上のように、理論と実際がうまく一致しました。
本当かな?と思う人は、TVを見てください!
橋本首相は戦後2番目(最初は宮沢元首相)のAB型の首相です。普通の人は、彼が表情が豊かだとは思わないでしょう。特に、他の政治家と比べるとはっきりします。また、韓国の大統領は2人続けてAB型(ノ・テウ元大統領、キム・ヨンサム前大統領)です。TVを見るとわかりますが、あまり表情のある顔とはいえません。そういえば、米ケネディ元大統領もAB型です。
ちなみに、戦後のO型の首相の名前を書くと、東久邇稔彦、幣原喜重郎、吉田茂、片山哲、石橋湛山、岸信介、池田勇人、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘、細川護熙、羽田孜さんです。橋本首相と表情を比べてみてください!
(H9.9.27 update)
もう一つ、私のオリジナルの検証を書いておきます。といっても、これも能見さんと竹内さんの本の内容の組み合わせです。
能見さんによると、O型とB型は人にさわるのもさわられるのも好きですが、A型とAB型はさわられるのは嫌い(さわるのはどうなんでしょう?)です。これも私の観察と一致します。こう書ければ、理由はもうおわかりでしょう。感染症は人にさわらられることによって感染します。感染症に強いO型とB型はさわられても平気ですが、感染症に弱いA型とAB型は嫌いという訳です。
(H9.9.27 update)
そしたら、PART3を裏付けるデータが出てきました。能見さんの「血液型人間学」からのデータです(P150第9図)。友だちと話し合っているとき、「相手の体にさわる」あるいは「さわられるのはイヤ」と答えた比率です。対象は中学3年生1,394人です。
血液型 相手の体にさわる さわられるのはイヤ O型 41.4%
12.9%
A型 35.2%
18.6%
B型 37.0%
17.5%
AB型 35.0%
17.1%
以下は、「血液型人間学」からの引用です(P151のコラム)。これも、竹内久美子さんの説と一致していますね。
スキン・シップ度について 第9図のアンケートは、肌で触れあおうとする傾向、スキン・シップの度合いを考えようとしたもの。対象は、全国に散らばる中学3年生。詳しくいうと、静岡県磐田一中、千葉県大網中学、長崎県福島中学の3年生男女全員の700名。それに月刊誌『中3コース』の全員の読者に依頼した。やはり700名を合わせたものである。 |
(H9.12.1 update)
『完全探偵マニュアル2』という本を読んだのですが、著者が血液型マニアのせいかどうかしりませんが、その中で血液型別の浮気傾向のデータがあります(笑)。
総合探偵社 ガルエージェンシー(株)代表 渡辺文男著
『完全探偵マニュアル2』 徳間書店 平成8年6月30日発行 1165円+税
38〜41ページ 探偵占い 血液型でわかる浮気度!?
で、浮気度のパーセントが出ています。O型が90%、A型が50%、B型が80%、AB型が40%です。お遊びとしてはよくできているのですが、竹内久美子さん(と私の説?)にぴったり当てはまるので、思わずニヤリとしてしまいました(ちょっと大人向けですが、たまにはこんな内容もいいかなと、軽い気持ちで載せてみました)。次からが引用です。
探偵占い
たかが占いと侮るなかれ。探偵は問題多き対象者(ターゲット)の顔を毎日見て、依頼者(クライエント)の悩みを毎日聞いています。人の本音の部分においては、街の占い師よりずっとデータは豊富! 当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが、どうか参考にしてみてください。
血液型でわかる浮気度!?
<A型> 浮気度数50%
浮気の発火点となるのは、仕事の失敗で落ち込んだり、奥さん(夫)にうるさく言われてストレスがたまっている時。一度浮気に走ると後戻りできないタイプが多く、浮気が即家庭の崩壊へと直結しやすい。
面と向かって人を傷つけるのが苦手(そっちの方が相手にすれば傷が深くなるが)、分かれたいと思ってもズルズルと関係が続いてしまう。
愛人と別れたと言っても一番油断ができないタイプ。1ヶ月に一度のデータとを欠かさずにこなす几帳面さを持っています。
▼対策
浮気問題が一度こじれてしまうと、自分からの提案や方向転換がうまくできない。思い切って恋敵と接触して三者会談に持ち込むのも手。
女性の場合、何の前触れもなくいきなり消息を絶つので特に注意が必要。探すときは実家を中心に的を絞ること。
<B型> 浮気度数80%
熱しやすく冷めやすい性格が異性関係にも反映する。何百人切りの主犯格はこのB型だし、平気で離婚を繰り返すのも特徴。おだてに弱いため、「いい男(女)」と言われただけですぐにフラッとする。浮気をするなという方が無理な血液型。
束縛が大の苦手なので、「好きにすれば」とつきはなした方が戻ってくる確率が高く、追いかければ追いかけるほど逃げてしまうので注意。
浮気だけに熱中することがなく、あちこちに関心を持っていて、尾行するのがむずかしい。
▼対策
A型よりは自分で問題を解決する能力があるので、三者会談は避けた方が無難。浮気の継続期間も最長1年と短い。男性の場合、これが非常に顕著だが「3回やったら飽きる」タイプが多い。心まで浮気するのはまれなので、ヘタに追い込まないこと。
女性の場合、浮気を隠さないタイプが多いので少し観察するだけですぐわかる。異性にガードの甘い人が多く、奥さんにするなら絶えず監視が必要。
<O型> 浮気度数90%
B型よりも浮気度数が高い。浮気相手の数ではB型に負けても、中身の濃さでは全血液型で一番。浮気相手にベッタリという濃厚な浮気をする。
人情家で世話好きのため、浮気相手をこよなく大切にし、行動力もナンバーワン。浮気のフィールドは部屋の中にとどまらず、横浜のベイホテルや芝浦のシティホテルなど、ムード満点の場所を選ぶ。浮気に熱中しすぎるあまり警戒心はゼロ。もっとも尾行しやすいタイプ。
異性で苦労している割に学習能力がなく、一つのタイプにいつも目を奪われる。男性なら、派手で快活な女性に。女性ならハンサムボーイやステイタスの高い男性といった具合。それらの異性から積極的に出られたら拒むすべを知らない。
▼対策
浮気を察知したら、逆に思いっきり甘えて笑顔を絶やさないようにする。O型の持ち前の独占欲を刺激すれば、愛人のところへ行きっぱなしにならない。
女性に対しては、監視ができやすい環境の中で、年中マークを続けること。
<AB型> 浮気度数40%
浮気の発火点は、相手に対する"尊敬"。色気より知性を好むので内面を認めてくれる異性に弱く、社内恋愛に走りやすい。やり手課長の浮気相手は社内一のオールドブス、または、年が20も上の居酒屋の女将だった、という驚きのパターンが多いのが特徴。
冷静沈着なので浮気も発覚しにくく、尾行が一番むずかしい相手。とは言え、ワンパターンで変化を好まず、お店やラブホテルなどはいつも同じところを利用する傾向が強い。
▼対策
浮気を察知したら、理詰めで損得を説き、本人に対して尊敬の念を捨てなければ戻ってくる可能性が大きい。決して馬鹿にしたり、けなしては行けない。
一見、何を考えているのかわかりづらいが、答えは単純、気が小さいだけ。よって、威嚇さえしなければ家庭から逃げ出すことはまずない。
女性に対しては、浮気を察知しても暴力をふるわず、大声を出せなくて冷静に話し合えるような、図書館などにある知的なサロンで問題を話し合うこと。
なお、私は浮気はしたことがないのでわかりません。ですから、上の内容については一切責任を持ちません(笑)。
(H9.10.25 update)
心理学者の方から、データの取り方がいいかげんなのではないか、それと、1回のデータだけでは血液型と性格は関係あるとは言えないのではないかとの指摘をもらいました。全くそのとおりですね。というわけで、実際に数値データによる証明にチャレンジしてみましょう!
データはどれにするか迷ったのですが、上に書いた「理論と実際」に関係あることにしました。その方がわかりやすいし、(たまたまですが)データもいっぱいそろったのです。具体的には、O型とA型とは集団や組織への帰属意識が一番強く、AB型は一番弱く、B型はその中間というのものです。これは、普通の血液型の本に書いてあるとおりです(O型は仲間や人間そのものへの帰属意識が強く、A型は抽象的な組織への帰属意識が強いのですが、今回は無視します)。また、上に書いた「理論と実際」ではB型の帰属意識も強いような感じがしますが、実際はB型はマイペースなのでそれほどでもないのです。
さて、小手調べです。
まず、能見さんの「新・血液型人間学」からのデータです(P71第18表)。陸上競技の一流選手へのアンケートで国際競技の場合に、「日本のためだ頑張ろう!」という人の比率です。調査時期は不明ですが、昭和50年代でしょう。今だったら、もっと比率は低くなると思いますが…
血液型 人数 比 率 O 58人 13.8% A 73人 13.7% B 51人 9.8% AB 22人 0.0%
ま、予想どおりというか、O≒A>B>ABの順になっています。事前の予想だと、A型の方が多そうですが、わずかですがO型が上回っています。誤差の範囲内でしょうかね? それと、驚くことにAB型は0です。AB型は日本への帰属意識は非常に低いようですね。
次に、同じく能見さんの「新・血液型人間学」からのデータです(P211第24表)。質問は、「人と一緒にする食事について、おいしく感ずる最高は?」という問いで、「ホ、一人で食べてもウマいものはウマい」と回答した比率です。調査時期は「血液型愛情学」のアンケートの時期とあるので、昭和50年前後でしょう。
血液型 人数 比 率 O 636人 20.1% A 739人 19.6% B 600人 23.2% AB 428人 27.1%
ま、これも予想どおりというか、O≒A<B<ABの順になっています。事前の予想だと、A型の方が少なそうですね。やっぱりというか、予想どおり(わずかですが)A型が下回っています。これも誤差の範囲内でしょうかね?
ここでもやはりAB型の人嫌いの傾向がはっきり出ています。
ここで、心理学者の反論が出てくると思います。ランダムサンプリングじゃないからデータはいい加減だとというのです。確かにもっともです。では、こんなデータはどうでしょう。R.B.キャッテルの研究のデータです。
欧米人はAB型が少ないので、危険率がやや高くでていますが、ほぼ同じ傾向ですね。
しかし、ここまでだったら日本の心理学者は認めようとしないでしょう。ところが、なんと驚くことに日本の心理学者が調べても同じ傾向が出ているのです。しかも、危険率は0.1%以下です。これにはさすがの私も驚きました。「ルールや慣習や秩序を重視する」と回答した人の比率です (詫摩武俊・松井豊 S60 血液型ステレオタイプについて 東京都立大学人文学報 第172巻 15〜30ページ)。
血液型 回答者数 比 率 O 29.7% 57.7% A 36.7% 54.7% B 22.5% 50.7% AB 11.1% 41.2% 合計 613人 −
これも、ほぼ予想どおり、O≒A>B>ABの順になっています。
さて、ここまでは来ましたが、思ったより差が小さいと思う人もいると思います。この程度の差で「目に見える」ほどの差が出るのでしょうか? これは確かに問題ですね。さてどうするか? 実は、この程度の差でも「目に見える」ほどの差は出ると考えるのが自然です。というのは、平均を中心に正規分布のグラフを書いてみると分かりますが、ある基準以上(または以下)の人の割合は血液型によって数十パーセントは違うからです。これだけ違えば、確かに「血液型と性格の関係はある」と言えます。下がそのイメージ図です。本当は数学的に厳密にいうと違うのですが(AB型の41.2%のところやO型の57.7%がピークになる保証はありません)、わかりやすくするためにわざとそう書いています。細かくは違っても大筋で違うことはないことはもちろんです。
(H9.10.17 update)
うまいデータがもう1つあったので、参考までに書いておきます。JNNデータバンクの調査で、ちゃんとランダムサンプリングされているそうです。2年おき4回のデータが分析され、それぞれ約3,100人ずつ、合計で12,418人のデータが分析されているそうです(松井豊 1991 血液型による性格の相違に関する統計的検討 東京都立立川短期大学紀要 第24巻 51〜54ページ)。で、「ものごとにこだわらない」と回答した比率を調べた結果、次のようなデータが得られたそうです。
年度 O A B AB S55 34.3 30.6 37.8 31.8 S57 36.1 33.0 35.6 39.1 S59 39.9 32.0 38.8 39.5 S61 37.1 35.9 45.1 42.9
水色が一番比率が低いデータです。確かにA型の比率が少ないですね。で、4年間の平均で表を作り直してみました。
O A B AB 36.7 32.9 39.3 38.3
確かにA型がかなり低いようですね。
閑話休題。
実はこれにはウラがありまして、元のデータとオリジナルの説明はこれです。
年度 O A B AB S55 34.3 30.6 37.8 31.8 S57 36.1 33.0 35.6 39.1 S59 39.9 32.0 38.8 39.5 S61 37.1 35.9 45.1 42.9
赤が一番多い血液型です。確かに、結果は安定しているとはいえませんね。このデータは、血液型と性格の関係を否定する心理学者のデータなのですが、さすがプロの心理学者だけあるなぁ、困ったなぁ(笑)と思っていたのですが、つい最近、あれ?おかしいんじゃないの?と思い始めました。どう見ても、A型が一番比率が低いのです。で、4年間の平均で表を作り直してみました。
O A B AB 36.7 32.9 39.3 38.3
確かにA型の比率が低いようですね。う〜ん、じゃあカイ自乗検定だとどのぐらいの危険率なのかなぁ?と思い、試しにA型とA型以外に分けて計算してみたところ、なんと危険率は0.1%以下なのです(サンプルの血液型分布は日本人平均と同じと仮定)。また、結果も4回安定して出ていますから文句はありませんね。これにはビックリです!
もちろん、A型は「よく気が付き」「細かく注意がいきとどく」ので「ものごとにこだわらない」比率は低くても不思議じゃありません。予想どおり、B型が一番比率が高くなっています。ただ、思ったよりは差が出ていない気はしますけど。このぐらいだったら、「目に見える」ほどの差じゃないかもしれませんね。(笑)
実は、PART1の最後のデータも血液型と性格の関係を否定する心理学者のデータなのです。否定している人が自信を持って発表しているんだから、まさか有意差なんて出るはずがないと信じてたのが間違いだったようです。これなら、自分でデータ集めなんかやめた方がよさそうです。(笑) だって、心理学者が集めたデータだったら「信頼性」が違いますからね。
なお、PART1&PART2のデータの詳細はここをクリック!
(H9.10.21 update)
日本の心理学者でははじめてなのですが、血液型別にアンケート結果に差があるという論文を読みました。それはこれです!
ただし、この差は「血液型ステレオタイプ」によるものとのコメントが付いています。実際の計算は、難しすぎて私には正直にいって解らないのですが、とにかく時間を追うごとに性格が血液型ステレオタイプに近づいてゆくという結論が示されています。しかし、私はここではてな?と疑問に思いました。というのは、「数値データによる証明 PART2」と同じデータから全く逆の結論が得られているからです。
JNNデータバンクの調査で、2年おき4回のデータが分析され、それぞれ約3,100人ずつ、合計で12,418人のデータが分析されているそうです(松井豊 1991 血液型による性格の相違に関する統計的検討 東京都立立川短期大学紀要, 24, 51-54.)。
松井さんは、このデータでは「一貫した傾向は見られなかった」と結論づけているのですが、池田さんは「時間を追うごとに性格が血液型ステレオタイプに近づいてゆく」のですからどう考えても「安定して一貫した傾向が見られる」ということになります。はたしてどちらが正しいのでしょうか?
実は、この論文の元データは、松井さんのデータより年数が多いのです。具体的には昭和53年から昭和63年までの1年ごとのデータが使われています。松井さんは、昭和55年から昭和61年までの2年ごとのデータです。グラフを見るとわかりますが、ちゃんとはっきりとした傾向が現れています。ですから、常識的に判断すると、「ステレオタイプ」のせいかどうかはわかりませんが、「安定して一貫した傾向が見られる」ということになります。ただし、この傾向が見られるのはA型とB型のみのようで、他の血液型はないようです。いずれにせよ、「ランダムサンプリング」と「複数回」という条件は満たしています。更に、松井さんのデータでもA型についてははっきりした差が出たことから、このデータはA型に差が出やすいデータだといえるでしょう。 |
私は、データの多さと松井さんのデータでもA型ではっきり差が出たことから、「ステレオタイプ」かどうかは別にして、やはり「安定して一貫した傾向が見られる」と解釈したいと思います。
(H10.1.11 update)
試しに、県民性でどのくらいの回答率の違いがあるのか調べてみたのが次の表です。データはどの県でもいいのですが、日本の代表と言うことで東京にしてみました(他の県でも同じような傾向です)。このデータにより、NHK放送文化研究所では、東京都の人は「家族や近隣との結びつきに重きを置かない」「あっさりとした金銭感覚」と結論づけています。
多くの人は、思ったより差が少ないと感じるのではないでしょうか?血液型による差と同じぐらいの差ではないかと思いませんか?
また、総質問数72(質問数は37ですが1問中に複数の質問があります)の中で、単純回答以外の質問(第14、18、26、27、28、29、30、32、33、35、36問、ルーツ以外の質問)について、40問は全国平均との有意差はありませんでした。5%以下の危険率では10問、1%以下では22問が有意差を示しました。R.B.キャッテルの研究や交通事故のデータ、また能見さんのデータ等を考慮すると、県民性程度の違いはあると考えていいようです。
心理学者のデータでは、差が出る質問数が少ないのがちょっと気になりますね。でも、危険率0.1%以下のデータもありますから(笑)。
有意差のある代表的な質問項目 | 全 国 | 東京 | 検定 |
東京都の人びとの考え方には、ほかの県の人びととは違った特徴がある | 44.4% | 51.9% | ++ |
地元の行事や祭りには積極的に参加したいと思う | 46.7% | 37.9% | −− |
日ごろつき合っている親戚は多い | 54.3% | 49.7% | − |
お互いのことに深入りしないつき合いが望ましい | 31.0% | 36.9% | ++ |
ふだんの生活はできるだけ切りつめてお金や財産を残したい | 42.1% | 33.3% | −− |
サンプル数 | 29,620人 | 580人 |
注意:++は危険率1%以下で多い、+は5%以下で多い、−は5%以下で少ない、−−は1%以下で少ない
出典:NHK放送文化研究所・編『現代の県民気質−全国県民意識調査−』NHK出版 H9.11 127ページ
(H9.11.4 update)
竹内久美子さんから、HLA(白血球の型の一種)と性格に関係があるのではないか?という説が出されています。そしたら、やはり白血球の型と性格には関係があるのだそうです。もちろん、遺伝子レベルで科学的根拠があるのだそうで…。残念ながら、赤血球の型(ABO式血液型など)とは関係があるとはまだ証明されていません(高田明和著『血液は体のすべてを知っている』 コスモの本 H4.10 206ページ)。
白血球の型とある種の体質、性格は遺伝子のレベルで結びついていることが知られている。しかし、赤血球の場合は遺伝子レベルでこのような関係があることは知られていない。血液型性格診断は占いの一種くらいに思った方がよさそうである。
残念ながら、どの型がどんな性格に関係があるのかは書いてありませんでした。しかし、この本の著者はABO式血液型と性格の関係には否定的です。私は、この調子でABO式血液型と性格に関係があることが証明されることを願っているのですが。
論文については、ここをクリック! -- H10.5.13
その後別な本を読んでみました。
R・グラント・スティーンさん 『DNAはどこまで人間の運命を決めるか』 三田出版会 H10.4 2,600円+税
226〜227ページには、心理学で長い間論争になっていた「遺伝か環境か」にピリオドを打つかもしれない記述がありました。それによると、遺伝の影響が40%強、環境の影響が60%弱だそうです。
現在おこなわれている人格テストに問題があるのは明らかだが、別々に育てられた一卵性双生児の間の類似度が高いという事実は、 人格の遺伝性に関する強力な証拠となる。
職業適性、職能、および全般的な関心事に関する徹底的なテストの結果、人格のこれらの分野の遺伝率は全体として40%ほどであった(*1)。 一緒に育てられた一卵性双生児と別々に育てられた一卵性双生児の間には重大な違いが見られ悪 どんなことに関しをもつようになるかについては、 環境の果たす役割がかなり大きいことが確認された。また、いくつかの異なったテストによれば、社会的態度といった漠然としたものでさえ、40%の遺伝性があるとされている。現に、双生児による回答からは、人生において宗教は重要であるという奪え方の遺伝率は40%、伝統的な価値観にこだわることに関しては53%の遺伝率が出ている。双生児の2人の間のもっとも大きな違いをひとつだけ挙げるとすれば 「社会面での無宗教的な態度」で、これは受けた教育による影響がかなり強かったが、それでも遺伝率は34%となっている。別々に育てられた一卵性双生児から特性に関して最大限の遺伝率が算出されるのはもっともであることを考えてもなお、 これらの結果には驚くべきものがある。ついでながら述べておくと、別々に育てられた一卵性双生児の研究では、IQの遺伝率は69%となっている (第8章参照)。
人格決定因は各々遺伝性の程度が異なり、遺伝性の強いものもあればほかよりも弱いものもあることは十分に考えられる。 しかし現在のデータでは、それぞれの決定因の間に大きな違いがあることは明らかにはなっていない。数年前、合計で双生児が三万組になる四つの異なった研究結果を総合したところ、外向性と神経症傾向のどちらも遺伝率は50%という数値が出た(*2)。さらに最近になって、 異なった研究からデータを集めたところ(表10・1)、異なった人格特性に見られる遺伝率がほぼ均一の数字となって現れた。もっとも遺伝率の高かったのが外向性で47%、いちばん低かったのが人当たりに関する遺伝率で39%であった(*3)。これらの結論は、多数の双生児を対象とし、近代的な心理テストをおこない、最新型のコンピュータ・モデルを採用して遺伝率を計算したいくつかの研究を基にしたものである。表10・1 人格特性の遺伝a
特性 遺伝性 環境 外向性 47% 53% 開放性 46% 54% 神経症傾向 46% 54% 誠実性 40% 60% 人当たり 39% 61% 全体的性格 45% 55% (a) 各々の人格特性に関するデータは、多くの異なった研究の平均(*3)
*1 Bouchard, T. J., et al., Sources of human psychological differences: The Minesota Study of Twins Reared Apart, Science 250 (1990): 223-228.
*2 Plomin, R., The roles of inheritance in behavior, Science 248 (1990): 183-188.
*3 Bouchard, T. J., Genes, environment, and personality, Science 264 (1994): 1700-1701.
元の論文は『サイエンス』だそうですから、なかなか信頼できる数字だと考えていいと思います。遺伝のうち血液型はどのくらいなのかわかりませんが、私の感じだと概算で最高で数10%といったところです。血液型って結構な影響があるものですね。
また別な本では、
Living with Our Genes - Why They Matter More Than You Think - (1998) by Dean Hamer et. al. Doubleday
が面白いですね。著者は、アメリカ国立がん研究所(というのかな?)の研究員です。共著者がマスコミ関係者なので、表現もこなれていてなかなかです。ただ、あまりにもこなれすぎていて理解できない表現もありますが。(^^;;
残念ながら、日本語訳はまだ出ていないようです。
この本によると、脳内物質と性格の関係については、アメリカではかなり研究が進んでいるようです。何らかの方法でドーパミンやセロトニンに影響を与え、それによって性格が変わってくるメカニズムが説明されています。となると、血液型物質がドーパミンやセロトニンに何らかの影響を与える可能性が示せれば、生化学的な証明ができることになるのかもしれません。
別な論文によると、ある種のHLAとドーパミンやセロトニンの分子式が似ているので、受容体などとの反応(=性格)に影響がある可能性が示されています。ですから、ABO式血液型でも、ある種の脳内物質と血液型物質の分子式が似ていることが示せればいいわけです。これは決して不可能なことではなく、そのうちどこかの大学の医学部の図書館にでも行って調べてみたいと思っています。
-- H10.9.7
その後、ABO血液型物質やドーパミンとの構造を調べてみました。
竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』によると、ABO血液型物質とは次のようなものだそうです。
赤血球の表面には、びっしり毛のように糖の鎖(ガラクトースやN−アセチルグルコサミンのような糖がいくつも連なっている。根元部分は糖質かタンパク質に結合)が生えている。最末端の糖の並び方は、血液型によってちょっとだけ違い、それにより抗原としての性質も違う。
血液型というから、てっきり赤血球に含まれる物質が違うと思っていたのですが、そうではないようですね。要するに、赤血球の生化学的性質(抗原抗体反応)が違うということのようです。また、
A型の赤血球表面にはA型とO型の糖鎖が本数にしてそれぞれ同じくらいずつ存在し、B型ならB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、AB型ならA型とB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、O型のみO型の糖鎖が存在する。
のだそうです。つまり、どの血液型でもO型の糖鎖は存在することになるのだそうです。
■ドーパミン
■血液型物質(糖鎖)を構成する糖
D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン | L-フコース
N-アセチルガラクトサミン − D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン | L-フコース
D-ガラクトース − D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン | L-フコース
意外(?)なことに、神経伝達物質であるドーパミン(2−ジヒドロキシフェニルアミン)と、ABO血液型物質の一部であるアセチルグルコサミンやアセチルガラクトサミンは割と似ていることが分かります。アセチルグルコサミンやアセチルガラクトサミンは、ドーパミンと同じモノアミン(アミン=NH2基が分子中に1つある)ですから、化学的な性質も何かしら似ていることには違いないでしょう、たぶん。
ですから、ABO血液型物質とドーパミンは全く関係ないとは断定することはできないのではないかと思うのですが…。
なお、セロトニン(5−ヒドロキシトリブタミン)の構造は残念ながら調べられませんでした。しかし、同じモノアミンであることには違いありません。ついでに、アドレナリンやノルアドレナリンも同じモノアミンで、構造もよく似ています。
これで、状況証拠はそろいました。(^^) -- H10.9.18
神経パルスは、ナトリウムイオンやカリウムイオンによって伝わります。血液型物質の違いによる微妙な電位(イオン)の違いが、ナトリウムイオンやカリウムイオンの伝達特性に何らかの影響を与えているのかもしれません。というのは、糖鎖の末端(表面)の性質が血液型によって違うからです。生化学的にはどうなのか知りませんが、電気工学的には大いにありえる話だと思います。あるいは、血液型物質が受容体や神経伝達物質に影響を与えている可能性もあります。 もっとも、これは(私の)全くの推測で、特に根拠はありません。(^^;; |
遺伝子と性格について解説してある本があります。残念ながら英語ですが、内容がとっても面白いので、この本からちょっと引用しておきます(76〜80ページ)。脳内物質や遺伝子と性格については、現在では関係が証明されているようです。なお、著者はアメリカの国立がん研究所(というのかな?)の主任研究員だそうです。
Living with Our Genes -- Why They Matter More Than You Think --(1998) by Dean Hamer, et. al.
THE GENE AND PERSONALITY
Murphy and Lesch's persistence had paid off. They'd found an inherited variation in DNA that clearly affected serotonin transport. Here was a little button effectively controlling levels of serotonin in the brain. Now the key question was, What did this "genetic Prozac" do in human beings? What effect did it have on temperament?
Murphy and Lesch were pretty sure what the gene was not. They doubted it was an on-off switch for some mental illness; it was just too common. If it were a controlling factor in major depression, for example, that would mean at least one-third of the entire population should be feeling terrible. They figured the variation played a role in a more normal-meaning more common-variation in personality. The problem was that most of their research subjects were uncom mon: they were psychiatric patients with serious problems. The researchers needed DNA samples and personality profiles on a broad range of healthy people. They called me.
Murphy and I had collaborated previously looking for the novelty-seeking gene. He knew I had exactly the material he needed, and within a few weeks, postdoctoral fellows Sue Sabol in my lab and Dietmar Bengel in Murphy's lab had genotyped 505 individuals for the DNA region just upstream from the serotonin transporter. They looked at every person for whom we had personality scores -- college students from local campuses; gay men from our studies of sexuality and AIDS; brothers and sisters, fathers and mothers; young and old; white, black, yellow, and brown; male and female. Once all the bench work was done on the DNA, it was a simple matter to match the data with the personality test scores.
We held our breath as the first results rolled down the computer screen. Given all the various functions ascribed to serotonin -- from anxiety to depression to aggression, not to mention eating and drinking, cognition, and sex -- it was an open question whether we'd see anything specific or indeed anything at all. Maybe serotonin was responsible for so much that it wouldn't be linked with any of the narrow traits we were looking for. On the computer screen, we were search ing for stars. As the statistical results were churned out, two stars (**) indicated that a result was significant at the p <0.01 level, which meant less than a 1 percent chance of being a fluke.
The earliest results were based on a standard personality test that measures five major traits. First we ran the DNA data against the factor for conscientiousness, which means dependability and organization. If the people who scored high or low for conscientiousness shared anything in common about this bit of DNA, the computer would catch it and mark it with a star. The first results were negative; no stars, no correlation. Next we ran the data for the trait of openness; nothing. I crossed my fingers as we punched in the third factor, extroversion. The numbers ran, the results popped onto the screen. No stars.
The first hit came with agreeableness. That made sense because one aspect of agreeableness (or the lack of it) is ag gression, a trait ascribed to serotonin. The correlation was weak, though, only one star. It wouldn't be much of a link, but it was encouraging. The computer ground on. The fifth and final factor was neuroticism, a measure of anxiety, emotional stability, and reactivity to stress. These were exactly the traits that should be involved if we really were looking at a genetic Prozac. If we didn't get a hit here, we weren't going to find it anywhere.
I watched the screen. New numbers popped into view. My face lit up in a big smile. Not one star. Not two stars. But three stars -- less than 1 chance out of 500 that the correlation was just by chance. And right bang on where we expected it.
This was great news, but it was only a beginning.
Next we started looking at the data from every possible angle. Maybe there was something obvious we were missing, or perhaps the way we had collected the subjects had biased the sample. First we split the subjects into those who'd been recruited through the National Institute of Mental Health and the National Cancer Institute. There was no difference: both groups showed the same significant correlation to neuroticism but not to the other factors. Next we checked females versus males, and straights versus gays; the neuroticism factor continued to shine through. We corrected the data for age, ethnic group, education and income; no matter how we crunched the numbers, the result stayed the same.
I still wasn't convinced. It was possible the results were just some sort of coincidence based on the five-factor structure of the personality test. The questions we asked people about their personalities or how we categorized the answers could have led us in the wrong direction.
Fortunately our subjects had been given not one but two different personality tests. Since there is much disagree ment about how to describe and measure personality, we wanted to use as many different yardsticks as possible. The second test is called the 16 Personality Factor inventory, developed by the pioneering American psychologist Raymond Catell in the 1940s. The 16PF divides personality into five factors formed from 16 core traits.
When we matched the DNA data on our subjects with Catell's traits, a star appeared by only one of the five superfactors: anxiety. The correlation was right where we expected it to be, confirming that we really had found a link between the DNA region and a basic personality trait.
The final analysis was to look at Cloninger's predictions. He had theorized that serotpnin would be involved in harm avoidance, and now we had a chance to test the theory. He was right. We found a significant correlation between this DNA region and the trait he called harm avoidance, which we could estimate by mathematically rearranging the questions from the five-factor test. There was no correlation for any of the other traits he identified. This was the second confirmation of Cloninger's theory. He also had guessed right that dopamine was linked to novelty seeking, and now he was proved right that serotonin was linked to harm avoidance. His model of personality was starting to look pretty good indeed.
There was one intriguing twist to the story. The people with the highest level of anxiety-related traits had the short version of the gene promoter. This meant that where the serotonin transporter was least efficient, people had the most anxiety. This was the opposite of the Eli Lilly explanation for how serotonin works; it should have been the lowered serotonin transporter levels that were associated with decreased harm avoidance. Our results were more consistent with the "classical" model that serotonin causes rather than alleviates anxiety, depression, and other elements of harm avoidance.
It's difficult to draw any firm conclusion yet about the direction of serotonin action, however, because it's possible that a lifelong decrease in serotonin transporter gene expression actually decreases serotonin signaling through a feed back or compensatory mechanism. What's really needed is a direct way to measure serotonin signaling in the living brain -- but that's not available yet.
Our study not only confirmed the connection between the serotonin transporter and harm avoidance, but it also provided the first conclusive evidence that the multiple facets harm avoidance are connected at the level of the genes. That's because the differences in the DNA correlated equally well with several different aspects of harm avoidance: anxiety, depression, hostility, pessimism, and fatigability. Thus the results were a satisfying confirmation of the claim that a single set of genes -- in this case just one gene -- can influence distinct traits that are obvious in real people.
REFERENCE:
Lesch, Klaus-Peter, Dietmar Bengel, Armin Heils, Sue Z. Sabol, Bejamin D. Greenberg, Susanne Petri, Jonathan Benjamin, Clemens R. Muller, Dean H. Hamer, and Dennis L. Murphy. "Association of Anxiety Related Traits with a Polymorphism in the Serotonin Transporter Gene Regulatory Region Science 274,1527-31 1996.
結論である下線部のみ訳しておきます。何かヘンな日本語ですが、それはご愛嬌ということで(笑)。
私たちの研究は、セロトニン伝達物質と危険回避(harm avoidance)との関係を立証しただけではなく、多面的な危険回避が遺伝子レベルで関係があるということを明確に実証した。それは、DNAの違いと、数種類の危険回避(心配性、うつ、敵意、悲観主義、疲労感)とにかなりの相関があるからである。以上の結果は、1組の遺伝子−−この場合はたった1つ−−が実際の人々の明瞭な性格の違いに影響するという主張の確かな証拠となっている。
結局、ドーパミンと好奇心(novelty seeking)、セロトニンと心配性(harm avoidance)が関係しているようです。となると、ドーパミンがB型物質、セロトニンがA型物質と関係しているとピッタリなのですが…。でも、そんなにうまくいくなら誰も苦労しませんね(笑)。 -- H10.9.19
今までの説明は、真面目すぎて面白くないと感じた人も多い(?)のではないかと思います。そこで、この項目は『ABO FAN』流のいい加減な話です(笑)。眉に唾をつけて、だまされないように読んでみてくださいね。
私の仮説では、
ということになります。では、スタート!
地元の図書館で、いろいろと調べてみました。アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質はアミンです。アミン以外の物質もありますが、数的には少ないようです。
血液型物質の糖鎖は、糖とアミンでできています。糖鎖の端の方が抗原の性質を持っているのですから、途中は無視して端の方だけちょっと見てみましょう。かなりいいかげんですが、黄色の部分が1とすると灰色の部分が0.5ぐらいの全体の性質への影響を持つと仮定して、他の部分は無視することにします。そして、この部分のアミンの分子数を全体の分子数で割ったのを「アミン率」と名付けることにしてみましょう。計算すると、O型物質はアミン率0.20、A型物質が0.43、B型物質が0.14になります。つまり、A>O>Bの順になることがわかります。
D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン … | L-フコース
N-アセチルガラクトサミン − D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン … | L-フコース
D-ガラクトース − D-ガラクトース − N-アセチルグルコサミン − D-ガラクトース − N-アセチルガラクトサミン … | L-フコース
ところで、神経伝達物質はアミンが多いので、血液型物質のアミンに影響される可能性も考えられます。同じアミンなので、「アミン率」が高いほど、神経伝達物質への影響が大きいことになりますね。つまり、血液型物質の影響が大きいのはA>O>Bの順となります。しかし、具体的にどんな影響が出るのでしょうか?
常識的に考えて、神経インパルスの伝達そのものが−神経伝達物質が血液型物質のアミンに邪魔されて−遅くなると考えるのが妥当(?)でしょう。もちろん、神経伝達物質の分解も遅くなるはずだと思うのですが…。アドレナリンやノルアドレナリンは血管を通じて神経系へ運ばれ、ドーパミンやセロトニンはシナプスそのもので合成されるようです。ドーパミンやセロトニンについては、直接的に受容体を刺激するのではなく、transporter("Living with
Our Genes"に書いてありますが、なんて訳すんでしょう?)によって受容体まで運ばれることになっているようですね。ここらへんは、かなり怪しいのであまり追求しないでください(笑)。
#ですから、「血液脳関門」があろうがなかろうが、アドレナリンやノルアドレナリンのような神経伝達物質は血液型物質と接触するようです。
あれ?
そうなると、骨髄移植で性格が変わるのかな?
アドレナリンやノルアドレナリンの影響より、ドーパミンやセロトニンの影響の方がずっと大きいのでしょうか?
あるいは、神経なんかより脳の方が性格に与える影響がずっと大きいのかしれません。 そういえば、シナプスに血液型物質があるかどうかはどこにも書いてありませんでした。ま、もともといい加減な仮説ですから(笑)。いずれにせよ、血液型物質が脳や神経に何らかの影響を与えていることは完全には否定できないでしょう。 なお、アドレナリンやノルアドレナリンは「血液脳関門」を通らないそうです。 |
え?前書きが長くて全然面白くない?f(^^;; では、結論です。
う〜む、なるほどと思いませんか? 私のいいかげんな説明でも、こんなにうまく当てはまるのです!(笑)
そして、"Living with Our Genes"によると、ドーパミンが多いと好奇心(novelty seeking)が刺激され、セロトニンのtransporterがあまり働かないと心配性(harm avoidance)になるようです。つまり、B型が好奇心旺盛でA型が慎重で安全志向だということに…。う〜ん、本当かな?
この裏付けとなるもう一つの事実を付け加えておきましょう。既に書きましたが、竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』によると、
A型の赤血球表面にはA型とO型の糖鎖が本数にしてそれぞれ同じくらいずつ存在し、B型ならB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、AB型ならA型とB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、O型のみO型の糖鎖が存在する。
のだそうです。つまり、どの血液型でもO型の糖鎖は存在することになるのだそうです。ここで注意しないといけないのは、各血液型の血液型物質の種類です。
常識的に考えて、種類が少ないほど神経伝達物質や受容体への影響が一定している→感情が安定しているはずです。つまり、O型が一番の安定型で、次はB型(O型物質とB型物質とのアミン率の差が小さい)とA型(O型物質とA型物質とのアミン率の差が大きい)、一番不安定なのがAB型ということになります。アミン率での分析結果とうまい具合に一致しますね。(^^)
でも、AB型が不安定なのは、AB型の私にとってあまりうれしくないような気もします(笑)。 -- H10.9.19
神経伝達物質 しんけいでんたつぶっしつ Neurotransmitter 神経細胞と神経細胞をつなぐシナプスや、神経と他の器官(筋肉など)との連結部で、神経終末から分泌され、神経の興奮を隣のニューロンやほかの器官につたえる物質。神経の種類によって、神経伝達物質はことなる。現在知られているものには、神経筋接合部・自律神経節・副交感神経終末のアセチルコリン、交感神経終末のノルアドレナリンをはじめ、セロトニン、アドレナリン、ドーパミン、ヒスタミンなどがある。 神経伝達物質は通常、シナプス小胞の中にたくわえられているが、神経からの電気的刺激が神経終末部に達すると、そこから放出される。放出された神経伝達物質は別の神経やほかの器官の受容体と結合し、神経の刺激をつたえ、興奮させたり、抑制したりする。 アドレナリン Adrenaline 自律神経のうち交感神経系に作用する神経伝達物質のひとつ。主としてストレスがくわわると副腎髄質から分泌され、血液ではこばれて交感神経系を興奮させる。ストレスを感じるとアドレナリンは、そのストレスからにげるにしても、たたかうにしても、体が力をだす態勢をととのえるように作用する。その結果、心臓の動きは活発になり、血管は収縮して血圧があがり、瞳孔がひらいて気管支は拡張する。肝臓や筋肉にたくわえられているグリコーゲンを分解してエネルギー源である血糖を上昇させたり、脂肪組織からは脂肪を分解して血液中に遊離脂肪酸を増加させたりする。 1901年、高峰譲吉が純粋な化合物として分離し、アドレナリンと命名したが、この物質の存在は、以前から推測されており、エピネフリンとよばれていた。したがって、アドレナリンもエピネフリンも同じ物質をさす。 以前は副腎から抽出していたが、現在では合成している。薬としての用途はひろく、ショックがおきた場合に心臓を刺激したり、喘息の発作には気管支を拡張する目的でつかわれたりする。 ノルアドレナリン(別名ノルエピネフリン)は交感神経終末から放出されて、心臓や血管平滑筋などの受容体に結合し、交感神経刺激作用をあらわす。したがってストレスのない平常時には、おもにノルアドレナリンが交感神経と心臓や血管の伝達物質となっている。 ノルアドレナリンとアドレナリンは化学的によく似ており、その前駆体であるドーパミンとあわせてカテコールアミンと総称される。 受容体 じゅようたい Receptor レセプターともよばれる。細胞膜上や細胞質内にある構造体で、おもにタンパク質からなる。受容体は、物質や物理的刺激などの刺激をうけとめ、それによって細胞に変化をおこさせる。たとえば、ホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質は、体内のすべての細胞にはたらきかけるわけではなく、特定の細胞だけにはたらきかけており、そのために作用させたい目標の細胞にある受容体とのみ、むすびつくようになっている。つまりホルモンや神経伝達物質を鍵(かぎ)とすると、受容体は鍵穴であり、鍵が鍵穴にぴったりはまったときに、その細胞に変化がひきおこされる。 近年は、受容体の働きを促進したり、抑制したりする薬の開発も盛んにおこなわれている。 Microsoft(R) Encarta(R) 98 Encyclopedia. (c) 1993-1997 Microsoft Corporation. All rights reserved. |
しんけいでんたつぶっしつ 神経伝達物質 neurotransmitter ニューロン(神経単位)間のシナプス、神経と効果器との連結部において、神経終末から分泌され、興奮を次のニューロンまたは効果器に伝達する役割を果たす一連の物質。中枢神経系の伝達物質の候補として現在知られているものには、アセチルコリン、アミノ酸類(γ−アミノ酪酸、グリシン、グルタミン酸、L-アスパラギン酸)、モノアミン(セロトニン、ヒスタミン)、カテコールアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン)、ペプチド(パソプレシン)などがある。しかし伝達物質として確立しているものは上記のうちでもまだ少ない。… 神経伝達物質であることの基準としては、@シナプス前神経を刺激するとその終末から相当量の放出が見られること、Aその物質をシナプス後膜に投与するとシナプス前神経刺激と同様な興奮性、抑制性の変化が現れること、Bその物質の合成系がそのニューロン中に存在すること、Cその物質を不活性化する機構がシナプス内に存在することなどが挙げられる。 神経伝達物質は通常、神経前膜付近にある400〜500Åのシナプス顆粒synaptic vesicle中に高濃度に蓄積されている。神経からの電気的刺激が神経繊維を通って神経終末部に達すると、シナプス穎粒のあるものはその白容物を素量quantumとしてシナプス間隙に放出する(神経伝達物質は一つ一つの分子としてではなく、一定数の分子がひとまとまりとなって放出されるが、このまとまりを素量という)。これらの過程には、伝達物質の素材およびエネルギーを摂取する過程、伝達物質を合成し、濃縮し分泌穎粒を作る過程、刺激によって放出される過程など広義の分泌scretionの複雑な過程が含まれている。 シナプス間隙に放出された伝達物質はシナプス後膜に局在する受容体と結合し、シナプス後膜に終板電位を発生させ、続いて活動電位を生じ興奮を伝導することとなる。この過程は、味覚や嗅覚と同じような一種の化学的興奮である。現在、この過程は、@受容体に伝達物質が結合する、Aその結合の結果受容体タンパク質に構造変化を生じる、Bこの変化が膜に内在するイオンの透過系に伝わり、 イオンの透過性が変化する、Cイオンの透過性の変化により電位変化を起こし生理的応答となると考えられ、細部についての生化学的解明が進められている。このような化学伝達機構は、興奮の電気的伝導とは違って、神経情報を一方向的に流することを可能にする。 ドーパミン dopamin 生理活性アミン、カテコールアミンの一種。ホルモン、神経伝達物質として重要なノルアドレナリン、アドレナリン合成の前駆体。L-チロシンからドーパ(DOPA、3、4-ジオキシフェニルアラニン)の脱炭酸反応によって作られる。ドーパミンβ−オキシダーゼの作用によりノルアドレナリンとなる。副腎髄質、脳、交感神経系、肺、小腸、肝臓にも多く含まれている。パーキンソン症候群の際に脳内 のドーパミンエが減少していることが知ら、さらに脳幹の線条体ではノルアドレナリンよりドーパミシが多量に含まれていることが見いだされ、しだいにドーパミン自身がいわゆるカテコールアミン作動性ニューロンの神経伝達物質として作用していることが明らかになってきた。 セロトニン serotonin 代表的インドールアミンの誘導体であろ5-ヒドロキシトリプタミンをいう。トリプトファンの代謝産物で、トリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンを経て合成される。ウシの血清などから分離される。動物に広く分布しており大脳視床下部、牌臓、胃、腸、血小板などに多く含まれている。強い血管収縮作用があり血小板のものは止血に役だっている。脳神経ではシナプス小胞内に高濃度含まれており、神経伝達物質の一つと考えられている。セロトニンは脳の活動を高めると言われ、いわゆる抗セロトニン薬はセロトニンの酸化的分解を抑えるために覚醒剤となる。LSD-25などはこの例である。またレセルピンreserpineは結合性のセロトニンを遊離させ分解を促進するため精神安定作用をもつ。上生体(松果腺)には、水酸基の部分にメチル化を受けた脂溶性のメラトニンmelatoninが存在する。 平凡社『世界大百科事典』(1988年版)より |
その後、心理学事典に当たってみました(南博編著『読みこなし 使いこなし 自由自在 心理学がわかる事典』 日本実業出版社 H6.2)。まず、49ページからです。
■脳の基本単位…神経
脳は、主に神経細胞が約1000億個も集まった器官です。この神経細胞が、脳の基本単位です。
私たちの体は、細胞からできていますが、その中でも神経細胞は特殊な形をしています。神経細胞からは多数の樹状突起や神経突起と呼ばれる長い突起が出ており、時には1メートルほどの長さになります(神経細胞の本体は、1000分の数ミリ)。この軸索に絶縁の働きをする髄鞘がついている有髄神経と、ついていない無髄神経とに分かれています。
神経細胞は、情報(刺激)の伝達が重要な役目で、原則的に電気信号として伝達されます。しかし、次の神経細胞との間には、シナプスと呼ばれる間隙がありますので、電気信号では伝達できません。そこで、このシナプスでは、神経ホルモンが伝達物質として使わています。この神経ホルモンには、神経細胞を興奮させる働き、抑制させる働きのものがあります。
また脳には、もう1つグリア細胞という神経細胞の約3倍もある細胞があり、この細胞が神経細胞の栄養補給等の役目を担っています。
脳の神経細胞は90%ほどは使用されていないといわれています。これは、神経細胞は再生しないので、神経細胞が何らかの原因で死ぬと、その代わりとして他の神経細胞が働くための予備だといわれています。
次に、脳内物質のところです(51ページ)。
■脳内化学物質
以前は脳では神経が一番重要であると考えられていましたが、最近の研究から、脳の中の化学物質の重要性も次第にわかってきました。
その化学物質のまず第一が、脳下垂体から分泌されるホルモンです。例えば、性腺刺激ホルモンは生殖腺(精巣や卵巣)の成熟を促し、他の器官にはほとんど 何の影響も与えませんので、ホルモンも情報伝達の手段といえます。またホルモンは、血液を通して伝達するため、非常に伝達速度がゆっくりしています。
第二は、神経ホルモンと呼ばれるシナプスに関連する化学物質です。シナプスの隙間を、この化学物質の媒介で情報を伝達します。主な化学物質としては、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、GABAなどたくさんの物質が発見されています。
第三は、脳内麻薬といわれる化学物質です。この脳内麻薬は、レセプター(神経伝達物質の受容体) の研究から1970年代に発見され、現在では30種類以上の物質が発見されています。エンケファリンやエンドルフィンなどが代表的な物質で、その働きは鎮痛作用や爽快感と関連があるといわれています。
これら脳内麻薬は、必要な時に分泌され、不必要になれば分解されてしまいます。ところが、外から入ってきたモルヒネ等は、なかなか分解されず、作用が長続きするために依存性が生じて薬物依存になると考えられています。
その他にも、脳のエネルギー源であるブドウ糖、神経伝達物質とその原料である遊離アミノ酸、タンパク質、脂質などまだまだたくさんの化学物質が脳の中には存在します。
このように、脳は神経回路という電気信号だけではなく、化学信号をも利用している複雑なシステムともいえます。
残念ながら、執筆者たちは大脳生理学が専門ではないらしく、あまり詳しい解説でないようです。では、最後に血液型と性格についてです(126ページ、下線は私が追加)。
■血液型で何がわかるか
血液型相性診断や血液型性格分類などの知識が一般的に広まっているのは周知の事実です。NHKの世論調査によると、首都圏の調査対象者のうち75%が「血液型と性格には関係がありそう」と回答しました。(1)昔、陸軍医による将校兵754人を対象とした血液型と階級・身体・懲罰経験などにつての調査では、「B型には優秀な兵士が多く44%が上等兵になっている」と報告しています。また数年前B型人間[注:A型かAB型ならまだわかるのですが…]はチームワークがよいとの理由で、B型のみ集めて会社を経営している社長の話題がありました。(2)いずれも血液型による差別問題にまで発展しかねない報告です。(3)
血液型と性格との関係については、予想以上に巷で信じられているようです。しかし現段階での脳の研究からは、 血液型が脳の活動様式に影響を及ぼしているとはとても思えません。(4)にもかかわらず1911年[注:正しくは1900年ですが、単なる誤植かもしれません]に血液型が発見されて以来、実に多くの研究者たちがABO式の四つの血液型と人間の性格・気質・行動との関連を求めて研究を行なってきました。大村政男著『血液型と性格』(1990)は、そうした研究の歴史を“偉大なる錯覚の歴史であった”と論じています。(5)
最近、血液中にある血小板MAO(モノアミン酸化酵素)の活性が、脳の神経伝達物質の活動に影響を与え、それによって行動や性格に影響してくることが知られるようになってきました。MAOが低値の人は、アルコール依存性にかかりやすく、スリルと冒険を求める傾向が強く、外向性で、攻撃行動・喫煙傾向が高いそうです。しかし脳MAOと血小板MAOの間には複雑な関係が存在し、同一に論じられるものではありません。(6)
現在のところ、科学的には脳の機能に血液型が関係しているという確たる証拠はないのです。(7)
これを読んで少々びっくりしました。なぜこんなことが断定できるのでしょう?
確かにウソは言っていません。(1)は事実ですし、(7)のように、「現在のところ、科学的には脳の機能に血液型が関係しているという確たる証拠はない」というの本当ですから。また、(5)のように、大村さんがそう言っていることは事実です。普通の読者だったら、ここで「血液型と性格は関係ない」と思っても不思議ではありません。
しかし、注意深く読んでみるとわかりますが、この執筆者は一言も「血液型と性格は関係ない」とは言っていないのです。なるほど、うまく書いたなぁという気がします。それに、(6)のように、血小板MAOと性格に何らかの関係はありえるのですから、常識的に血液型と性格に関係が全くないとは言えないでしょう。それが、「しかし脳MAOと血小板MAOの間には複雑な関係が存在し、同一に論じられるものではありません」という表現なのですから、少々不思議です。同一に論じられないのはともかく、(4)のように関係を全面的(?)に否定することはできないはずです。
ここまで読んできた皆さんならおわかりのように、モノアミンは性格に何らかの影響を与えているようです。例えば、A型物質は、A遺伝子の支配するA型転移酵素(α-N-acetylgalactosaminyltransferase)の働きにより、O型物質にN-アセチルガラクトサミンが付加されて生成されます。もちろん、N-アセチルガラクトサミンはモノアミンです。血小板MAOとに何らかの関係があっても別に不思議ではないでしょう、たぶん。
結局、血液型と性格の関係は、モノアミンを中心に調べてみると、状況証拠は限りなく「クロ」に近いようです…。
余計なことですが、この執筆者は血液型にはあまり詳しくないようです。なぜなら、いくつかの初歩的な誤解があるからです。ランドシュタイナーによる血液型の発見は1900年ですし、普通に考えて(2)のようにB型が一番チームワークがよいはずもありません(B型の人、ゴメンナサイ)。また、大村さんの『血液型と性格』については、前川輝光さんだけではなく、否定論者の心理学者からもいくつもの疑問点が提示されています。そして、(6)の「脳MAOと血小板MAOの間には複雑な関係が存在し、同一に論じられるものではありません」という表現には大きな疑問符が付きます。なぜ、ここまでして(専門外の?)血液型と性格の関係を否定しなければならないのでしょうか?
ところで、(3)では「血液型による差別問題にまで発展しかねない報告です」とのことですが、私は寡聞にして裁判になったという話は聞きません。つまり、「差別」ではないわけです。数年前だったら、誰かが既に「差別」として裁判に訴えていても別に不思議ではありませんから。
もっとも、アメリカでは裁判になるかもしれません…。例えば、日本で通常行われている就職時の学歴・年齢による「差別」は違法です。常識的に考えて、血液型よりこっちの方がもっとひどい「差別」です。しかし、私は寡聞にして日本で年齢・学歴による「差別」が問題になったという話は聞きません。ですから、(日本では)血液型が「差別」になる可能性はかなり低いことになると思うのですが…。
-- H10.10.11
アメリカ国立医学図書館では、PubMedというデータベースを公開しています。これは、医学関係で有名なデータベースMEDLINEを、個人が使えるような形で公開しているものです(もちろん英語!)。いや、実に便利な世の中になったものですね。ということで、早速検索してみました。日本語での説明は、ジェノミックポートというHPがおすすめです。私もここで知りました。(^^)
ABO式血液型は、"ABO blood-group" で検索します。複数の単語を含むので、引用符を付けるのを忘れないようにしてください!
これだけだとすごい数になってしまうので、普通はpersonality(性格、人格)やneurotransmitter(神経伝達物質)も一緒に指定するといいでしょう。要約だけではなく、Display Citation reportと指定すれば、簡単な内容も読むことができます。もっと早く知っていればなぁ…。
さて、前置きはこのぐらいにして、興味ある論文を見てみることにしましょう。
まず、強迫神経症にはO型がなりくいそうです。日本ではB型がなりやすいと聞いたんですが…。国によって違うでしょうか?? しかし、海外ではちゃんとした論文もあるんですねぇ。
Neuropsychobiology 1980;6(3):128-31
Obsessional personality traits and ABO blood types.
Rinieris P, Stefanis C, Rabavilas A
脳内物質であるドーパミンに関係する遺伝子がABO遺伝子(第9染色体)の近くにあるという論文も見つけました。v(^^) つまり、血液型と性格に関係がある可能性があることになります。少なくとも、明確に関係を否定することはできないでしょう…。
Cytogenet Cell Genet 1988;48(1):48-50
Localization of the human dopamine beta hydroxylase (DBH) gene to chromosome 9q34.
Craig SP, Buckle VJ, Lamouroux A, Mallet J, Craig IW
【H16.7.19追記】 デザイナー・チャイルドと胎児期の脳
最近、平成16年6月19日付の『日本経済新聞』で面白いコラムを見つけました(早稲田大学教授 池田清彦さん「生物進化考(16)」)。
また、ある研究者からは、こんなようなことも言われました。
ということですから、「脳内物質であるドーパミンに関係する遺伝子がABO遺伝子(第9染色体)の近くにある」という根拠は、あまりにも素人的発想のようです。 結論としては、
などという否定的な根拠は信用しない方がよさそうです。 科学は日進月歩ですから、最新の知識をどんどん吸収して「常識」を変えなければいけませんね。反省反省。 なお、この部分の訂正は、NATROMさんからの示唆も受けています。ご指摘ありがとうございます。m(._.)m |
次は、血液型とストレスの話です。ストレスと言えば、タイプA性格ですね。タイプAというのはA型ではありません(笑)。心臓病になりやすいのがタイプAの性格なのです。仕事をバリバリやるといのがこういうタイプです。ま、確かにストレスはたまるでしょうね。(^^;;
アメリカでの研究では、多い順にO、B、Aということになっているようです。つまり、A型が一番タイプAらしくないと…(笑)。AB型は数が少ないせいか、書いてありませんでした。
South Med J 1991 Feb;84(2):214-8
Relationship between blood groups and behavior patterns in men who have had myocardial infarction.
Neumann JK, Chi DS, Arbogast BW, Kostrzewa RM, Harvill LM
なお、中国では血液型とは特に関係ないという結果が得られているようです。この論文は中国語なので、残念ながら詳しい内容はわかりません。
Hua Hsi I Ko Ta Hsueh Hsueh Pao 1991 Mar;22(1):93-6
[Study on relationship between human ABO blood groups and type A behavior pattern].
[Article in Chinese]
Mao X, Xu M, Mu S, Ma Y, He M
日本はどうなのかな? 別な研究でも、A型はストレスに強いとあります。
Psychosom Med 1992 Sep-Oct;54(5):612-9
Effects of stress and blood type on cortisol and VLDL toxicity preventing activity.
Neumann JK, Arbogast BW, Chi DS, Arbogast LY
日本人ではA型がストレスに弱いような気がしますが、欧米人は違うのかな?? となると、文化の違いなのかもしれませんね。どうなのでしょうか??
お次は、血液型が脳内物質のセロトニンに影響するという論文です。血液型によりセロトニンの量が違ってくれば、当然のことながら性格も違ってくるはずですからね。(^^)
Br J Haematol 1986 Oct;64(2):331-8
Alloantibody-induced platelet serotonin release is blocked by antibody to the platelet PLA1 antigen.
Duncan JR, Rosse WF
こちらは、血液型によってホルモン濃度が違うという論文です(ロシア語!)。残念ながら、内容の紹介はありませんでした。人間は、ホルモンバランスで気分が変わるぐらいですから、当然のことながら性格も違ってくるはずです。
Voen Med Zh 1985 Apr;(4):74-6
[Blood hormone levels in persons of various blood groups].
[Article in Russian]
Iakovlev GM, Kulagin KV
これは何だっけかな???
Clin Biochem 1985 Feb;18(1):67-9
Cortisol and catecholamines response to venisection by humans with different blood groups.
Locong AH, Roberge AG
躁鬱病と血液型の関係です。
Act Nerv Super (Praha) 1978 Dec;20(4):256-7
Sex differences in ABO blood types distribution in manic-depressive patients and in the rate of 5-HT uptake by blood platelets in healthy donors of different blood groups.
Oxenkrug GF, Mikhalenko IN, Sivers JS
いずれにせよ、血液型と脳内物質に関する論文がたくさんあることがわかりました。探せば結構いろいろな論文があるものです。
残念ながら、いずれも血液型と性格の関係についての確たる結論は得られていないようです…。しかし、海外でも真面目な研究があり、決して否定的な結果ばかりでないことには注目すべきでしょう! -- H12.1.17
■医療が病をつくる〜免疫からの警鐘〜 岩波書店 H13.11 1,800円+税
安保(あぼ)さんは、世界的に活躍する免疫学者です。
最近の著書である、この『医療が病をつくる』では、血液型と性格について正面から取り上げています(17〜19ページ)。
交感神経優位のタイプでは活動的で「顆粒球人間」となり、副交感神経優位のタイプではゆったりした「リンパ球人間」となることを述べた。しかし、この法則と関連して、血液型と人の性格の間にも関係があることが分かってきたのである。
長い間、血液型と性格のつながりが指摘されてきたが、その謎を科学的に明らかにした研究はこれまでなかったように思う。
ではその根拠は何かというと、
人間ドックで測定した成人の末梢血のリンパ球のレベルを血液型ごとにまとめると次のようになる。O型39%、B型37%、A型36%、AB型34%である(対象者5000人)。この鋭い観察は畏友の福田稔医師が明らかにしたものである…
これはかなり衝撃的な文章ですね。(@_@)
そこで、O型>B型>A型>AB型となるデータをチェックしてみました。松井さんの論文1からよさそうなものを選んだのがこれです。なお、データの出典と詳細については松井豊さんの論文のページを見てください。
血液型別肯定率(%) →最高値が赤 →最低値が青
項目の内容
O(182) A(225) B(138) AB(68) 9. 人には心を開く方である
54.4 49.3 52.9 47.1
でも、顆粒球が多く活動的な方が「人には心を開く」ような気もしますが、本当はどうなのでしょうか? ちょっと気になります。ただ、O型が情緒安定型とするなら、普通の状態ではそうですから確かにあてはまります。たぶん、もう少し詳細に分析する必要があるのでしょう。
ここで注意すべき点は、必ずしもすべてのデータでO型>B型>A型>AB型(あるいはO型<B型<A型<AB型)となるのではないことです。従って、顆粒球とリンパ球の割合だけで血液型と性格についてのすべてが説明できる訳ではありません(残念!)。
しかし、血液型と性格について、説得力がある医学的な仮説がまた一つ増えたことになります。やった〜、パチパチ。(^^)
ちなみに、安保さんの名前はローマ字で書くと「ABO」さんです(笑)。お後がよろしいようで…。
■西原克成さん 内蔵が生みだす心 NHKブックス H14.8 920円+税
カバーの解説からです。
[脳中心の人間観を見直す]
心肺同時移植を受けた患者は、
すっかりドナーの性格に入れ替わってしまうという。
これは、心が内臓に宿ることを示唆している。
「腹が立つ」「心臓が縮む」等の感情表現も同様である。
高等生命体は腸にはじまり、腸管がエサや生殖の場を求めて
体を動かすところに心の源がある。その腸と腸から分化した
心臓や生殖器官、顔に心が宿り表れる、と著者は考える。
著者の西原さんは、人工臓器の開発で世界的に有名な人です。彼は、脊椎動物の進化についても独自に解明しています。
ここで重要なのは、心肺同時移植を行うと性格が変わる場合があるということです。どうやら、性格を決めるのは脳だけではないようなのです。
別な例も報告されています。肝臓移植でも性格が変わる場合があるようです。高田和明さんの『脳からストレスが消える』(光文社 H8.11)では(20ページ)、
肝臓の移植を受けた人は、たとえば、鏡に映る自分が自分でないような気がするとか、一緒にいる仲間に「お前は誰だ」といったりするというのです。これは米国で肝臓移植の研究者たちによって報告されています。
また、23ページでは、
脳は機械のようなもので、脳が働くことで、考え、感情、記憶などの働きが生ずるのですが、その動かし方は脳以外の体液が決めているのです。
では、体液を成分を作っている場所とはどこでしょう。
それは、肝臓なのです。血液や粘液の成分は大部分肝臓が作っています。
高田さんによると、最近はギリシャ時代の体液説が見直されているそうです。体液説というのは、ヒポクラテスの考えで、体液のバランスで性格、精神、健康が決まるというものです。これらの体液とは、血液、粘液、黄色胆汁、黒色胆汁の4つです(肝臓は胆汁を作っています)。
体液説が根拠を失ったのは、脳内物質によって性格が決まるという理論が支配的になったからだそうです。しかし、脳内物質の基となる物質は、肝臓が作っています。なにしろ、肝臓は物質代謝の中心なのですから…。肝臓で作られた物質が脳に運ばれ、酵素によって脳内物質に変わるのです。移植された肝臓が作る脳内物質は、以前の肝臓とはバランスが違ってきます。結果として、脳が新しい肝臓の影響を受けて感じ方が変化し、自分でない自分がいたり、性格が変わってくるということになるようです。
心肺同時移植についても、同じようなメカニズムで性格が変わるのかもしれません…。
いずれにせよ、臓器移植により(脳内物質に何らかの影響があり?)性格が変わるということは事実のようですから、脳細胞に血液型物質があろうがなかろうが、血液型(物質)がシナプス(≒性格)になんらかの影響を与える可能性は否定できないことになるようです…。
本当はどうなのか、興味津々ですね。(^^) -- H14.9.4