心理学と血液型


ABO FAN


02.gif (288 バイト)心理学と血液型

 あなたは、平成16年10月7日に放送された『超スパスパ人間学!』を見ましたか?

 この番組では、心理学者で否定論者の第一人者である大村政男さんが「血液型と性格は関係ある!」と断言していたのです! しかもにこやかに…。

 最初は信じられませんでした。多くの読者も同感でしょう!

 普通なら、これでメデタシメデタシとなるはずです。しかし、この問題は思ったよりはず〜っと奥が深いようです。

平成16年10月7日に放映された『超スパスパ人間学!』の内容

 前回の平成13年4月5日に放映された『回復!スパスパ人間学』とは正反対の結論になっていました。それは…

■血液型と運動

 番組では、血液型別に運動が続かない理由を解明するという目的で、瞬発力運動(ダンベル運動)、持久力運動(自転車マシン)によるストレスの調査を行いました。運動中の脳波を血液型別に測定したところ、次の結果が得られたそうです。

  瞬発力運動 持久力運動
A型 ストレス ストレス
B型 ストレス ストレス
AB型 人により違う 人により違う
O型 ストレス ストレス

 随分違うものですね。

■血液型別心理テスト

 大村政男さんによると、人間には3つの性格傾向@損害回避傾向A新奇追求傾向B報酬依存傾向があり、血液型別に調べてみたそうです。

#あれ、ビックファイブじゃなかったの、なんてツッコミを入れてはいけません(笑)

 では、血液型で違いは出たのでしょうか?

 大村さんの答えは、「見事に分かれましたよ!面白いですよコレ!!」 ← テロップそのままです、ウソではありません!

 私は思わず自分の目と耳を疑いました。(@_@)

 結果をそのまま紹介すると、

@損害回避傾向

 損害回避傾向は、A>O>AB>Bの順で、A型の割合は、損害回避60%、報酬依存30%、新奇追求10%でした。

A新奇追求傾向

 新奇追求傾向は、B>O>AB>Aの順で、B型の割合は、新奇追求70%、報酬依存20%、損害回避10%でした。

B報酬依存傾向

 報酬依存傾向は、O>A>B>ABの順で、O型の割合は、報酬依存65%、損害回避15%、新奇追求20%でした。

 ちなみに、AB型は1つの性格にまとまらなかった、ということだそうです(笑)。私は、クール傾向や合理性傾向ならAB型が一番だと思うんですが…。

#能見さんの指摘とほぼ一致しているとは言うまでもありません。

■メール(その1)

 あまりにも唐突な「転向」なので、正直呆然としています。

 知り合いからは、番組を見て早速こんな内容のメールが届きました。

大村氏は、いつの間に「転向」したのですか? まあ、転向したこと自体は喜ばしいことですが、かつて彼が罵倒した人たちに対する謝罪などはあったのでしょうか?
事情を知らないので断言はできませんが、もし、そのことに対して何も説明がなかったとすれば、その厚顔無恥ぶりはとても許すことはできません。
ついでに言えば、司会の森本氏も、かつて血液型人間学を激烈に糾弾した一人であるはずです。
あまりに驚いたのでメール差し上げましたが、SHOZOさんはこの間の事情をご存知だったでしょうか?

 ということですが、私も事情は全くわかりません。今になって思うと、青少年委員会報告[現在は消えているようです…]が出たときがTBSの転換点だったのかもしれません。この報告書を読む限り、TBSは明らかに肯定派に「転向」したようです。

TBSの青少年委員会報告が消えてしまったようなので、ここに要旨を書いておきます。

番組名「能力探検!ホムクル!!ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント! 本当の自分&相性のすべてがわかるスペシャル」

<「青少年委員会」からの要請要旨>

視聴者から下記のような意見が多く青少年委員会に寄せられました。
つきましては、これらの意見に対する貴局の見解をお知らせください。

<視聴者の意見要旨>

○「人は血液型により性格がちがう」「血液型による相性はある」「血液型により人の行動パターンは違う」・・・などと学者が出演して「血液型が人格を決定する」と断定したかのごとき内容の放送だった。私は教育関係者。子ども達が占いや血液型診断を信じ、いかに影響を受けやすいかを知っている。事実、佐世保の小6同級生殺害の加害者のホームページにも血液型、占いなどに関する書き込みがあったというではないか。従ってこのような放送内容は青少年への悪影響が極めて大きいと思う。放送関係者は青少年への影響という点をもっと真剣に考えて番組作りをすべきだ。(女性 20代 福岡)
[以下省略]

<TBSの回答要旨>

 (1)血液型と性格の関連から短所や欠点を指摘する事によって差別につながるという御意見と、(2)血液型性格診断は科学的根拠がないのにもかかわらず、あたかも確固たる事実のように放送するのは問題である、という意見に大別されます。

(特定の血液型への差別について)
 この問題に関してTBSに寄せられた抗議の大半はB型の人からでした。具体的には「B型に対して何故あんなにひどいコメントや偏見ばかりの結果を出したのですか」「B型だけが悪く言われる意味がわかりません」などという内容で、深く反省致しております。
 その後放送されたTBSのレギュラー番組「脳力探検クイズ!ホムクル」の血液型コーナーでは、差別に繋がりかねない表現をカットするとともに、どの血液型についてもその長所を強調するかたちで扱いました。更に「個人差があります」というスーパーテロップを出来るだけ多く挿入しました。 

(血液型性格診断の科学的側面について)
 科学的な仮説は常に変わり続けるという事、又説明できない現象も非常に多くあります。
 私たちは2001年に放送した『スパスパ人間学!貴方の知らない本当の性格・好かれる理由・嫌われる理由スペシャル』の中では、血液型診断については、「基本的に否定する」立場にたって取り扱いました。
 しかし、その後免疫学の分野を中心に、免疫力と血液型の関連、免疫と性格の関連が指摘されて始めています。
 これらの結果を基礎にして今回の番組を構成したわけですが、番組作りの編集段階で、性格付けを強調しすぎてしまい、余りにもステレオタイプ化させてしまったという点について反省致しております。この反省をもとに、これ以降に放送された「脳力探険クイズ!ホムクル」では、「仮説です」というスーパーテロップを出し、「…と言われています」「…かもしれません」など絶対的なものという印象を与えないように致しました。
 私たちも性格は環境など後天的なものによって形づくられる要素が大きく、血液型のみによって決定されるという立場にはたっておりません。特に心理学の分野では血液型と性格の関連は否定されているという事は十分に認識致しております。

 今後は、家族全員で楽しめるより、良い番組作りを慎重に進めていく所存でおります。

■メール(その2)

 その後、こんなメールも届きました。

大村氏が本当は何を考えているか、少し考えてみたんですが、可能性としては、

  1. 本当は今回の結果もステレオタイプ効果で、いまだに気質とは関係ないと思っているが、番組の都合上そうは言わず妥協している。
  2. あまりに否定派に不利な証拠が出すぎたので、こっそり転向したが、過去のいきさつを知る人はそれほどいないだろうと思って、頬かむりでやりすごそうとしている。

のどっちかしかありえないと思うんですよね。そして、どっちにしろ、研究者としても、人間としても、不誠実な態度としか言いようがないですよね。こんなんだったら、あくまで関係ないと言い続ける方が、まだしもまともな人間でしょう。
さっきは溜飲が下がったと書きましたけど、そういう意味では、なおさらムカつくところもあるんですよね。

 実は、第3の可能性もあります。それは、もともと肯定派だった(!)ということです。

 大村さんの本や、彼の若手(中堅?)同志の本を読むとわかりますが、彼らは血液型に異常(?)なまでの興味を持っていのです。
 今考えると、「隠れキリシタン」ならぬ「隠れ能見ファン」の可能性も大いにあり得ます。
 若手(中堅?)同志の人なんかは、血液型グッズを集めまくっていただけではなく、驚くべき事に能見正比古さんの墓にお参りまでしているのです。更に驚くべきことに、大学では血液型の話題で盛り上がっているそうです(本人が書いているのだから本当です!?)。

 なぜここまで屈折するのかは、正直謎です。

 他に、こんなメールも届きました。

Red_Ball12.gif (916 バイト)No.937 男性の王様は裸だ!さんから H16.10.8 1:39

1.面白いですか?

 まあまあ(^^)

2.お気に入りのページ

というか、すごいね、量が。
並々ならぬ熱意を感じる。

3.血液型と性格の関係は?

どちらともいえない

4.メッセージ:

ABOFANさんは、大村氏が肯定論者に「転向」した事で大喜びのようだが(私は番組を見ていないので真偽の程は定かではないが)、とりあえずは『おめでとう』かな?
そんなABOFANさんに嬉しいチクリ情報をお送りする。
ちょっと長いが、ABOFAN批判や血液型批判ではないので(ちょっとはあるかも?)安心して読んで欲しい。

基本的に私は懐疑派だが、懐疑派ゆえに『肯定』のみならず、『否定』の意見も懐疑する。そして、大村氏はその懐疑にどうもひっかかるような事をしでかしているのだ。

血液型性格判断批判の大御所とも言われる大村政男氏であるが、数年前の第68回応用心理学会で『血液型性格学は信頼できるか(第18報)』と銘打って「ソープランドの女性と血液型」という研究を発表していた(第1〜17報はどんなんかいな?と思ったけど、まだ調べていない)。

昭和8年、鳴海顕という医者が私娼の血液型を調べた研究の現代版という位置付けであるが、ここで大村氏は鳴海氏のサンプリングのまずさを問題視している。そこで、大村氏は改めて現代で再検証した。方法は、『風俗誌』のソープ嬢紹介から血液型を調べるものだ。ただし、結果としては統計を取って特徴的な差が無いと結論付けている。

結果として『血液型性格判断に否定的』だが、私は正直このデータの取り方はどうなんだ?と思う。
年齢・スリーサイズ詐称OK、最悪別な女性の写真を使いまわしも無いとは言えないこの業界、風俗誌に掲載されている血液型データは信用できるのだろうか?安易すぎやしないか??
場合によっては店長や編集者が適当に決めている可能性も無きにしもあらずのデータ(となるとステレオタイプが働きやすい)を堂々と使うのはいかがなものか。

このやり方だと、『誰かか適当に決めたのではなく、きちんと正しいデータが掲載されている』事を類推する必要があるが、それがある程度判断できるのは日本人母集団と分布が近似した時ぐらいである。となると、もしもこの実験で差が見られたら(肯定的な結果)、本当にソープ嬢の血液型分布に差が有るのか、店長や編集者が「ソープ嬢らしい血液型」と思っているものに偏りがあるのかわけがわからなくなってしまったはずだ。

これは、もし「差がある結果(肯定的)」が出た場合、サンプリングの妥当性の不備(『血液型とソープ嬢の性格の関連性』以外の要因の影響を排除していない)が当然指摘されてしまう、つまるところ「差が無い(否定的)」時だけそのデータに意味があるという、「否定派」に都合が良い(ここ読み違えないでね)アンフェアなやり方だ。
(ABOFANさんの統計を見てると、統計の使用方法/解釈方法の理解が未熟な所が多々見受けられるが、私の言う大村氏の問題点はご理解いただけているだろうか?)

さらに末尾ではこう語っている。私はもう呆れた。以下引用
『私娼は“売られた”者、ソープ嬢は“志願者”だから、そもそも昭和の初期の私娼と現代のソープ嬢は性格を全く異にするのかもしれない』
....それを言ってしまえば、鳴海氏の研究との比較としての研究を行う意味がまるで無いじゃぁないか(そういう事を言い出すなら最初からやるな!)。少なくとも、そう言うなら、その時代による性格の違いとやらを客観的に示すべきであろう(少なくとも学会誌なんだから)。

そもそも、『ソープ嬢は“志願者”』と、まるで彼女ら全員が好きでその業界に身を投じているかのように根拠無く断ずる言い草ははっきりいって、彼女らに対するいわれなき侮辱だ(これは、単に大村氏の想像でしかないだろう)。というより、『昔の女性は運命に翻弄されつつ頑張っていたが、今の若い奴らはチャラチャラしとる』とのオヤジのボヤキにすぎないのじゃぁないか。

大村氏の妄想によるいわれなき攻撃は止まない。以下引用
『彼女たちは収益でブランド品を買い、海外旅行を計画し、幸せな結婚も考えている。源氏名にも、小泉今日子、篠ひろ子、中森明菜、南野陽子、松田聖子、宮崎美子などが並んでいる。タレント本人にとっては迷惑な話であるが、ほとんど似ていないソープ嬢本人にとっては一種の空想の逃避かもしれない(彼女と遊んでいる若い男性にとっても・・・)』

どう見ても、ここに大村氏のソープ嬢を嘲笑するスタンスがありありと見える。というか、そんな彼女達の意識を、それこそまともなサンプリングで調査でもしたのだろうか。単なる自分の愛読書のオヤジ実話系雑誌の刷り込みじゃぁないのか?
そもそも、ブランド品や海外旅行の話はいいとして『幸せな結婚も考えている』という言い草は何たる事か?ソープ嬢という職業の女性は『幸せな結婚』を考える事すら許されないとでも言いたいのか?大村氏の「ソープ嬢“なんて”やってる女が、まともに幸せな結婚をするのは許されない」という偏見がありありだ。

さらには、彼女らを嘲笑するのに飽き足らず、『彼女と遊んでいる若い男性』までもそのような”空想に逃避する人種”に含めようとしている。ここまで来ると、ホントに単なる年寄り愚痴だ(というか、むしろソープを利用する人は金はあるけど女にモテナイ中年以上の人の方じゃないのか...おっと、これは私の思い込みか?)。まぁ、少なくとも、若い男性の方が積極的にソープを利用しているという話は聞いた事が無い(というか、篠ひろ子やら宮崎美子やらは若い女性や若い男性が好む名前でしょうかね)。

一番問題にしたいのは、大村氏がソープ嬢を軽蔑しているとかそういうことよりも、そんな個人的感覚に過ぎないものを、学会の発表の“要旨”に偉そうに書き記している事だ。つまり、研究者としての資質の問題である。
もう、そーゆー話は飲み屋でやってくれ。

そしてこれが、要旨のしめくくりだ
『血液型と性格(特に気質)との関係は無い―とわれわれは結論付けているが、それを覆すデータもいくつか存在している。鳴海顕のデータも(懐疑を挟めばきりがないが)その代表的なものである。今後、この面における研究は「ない・あるの迷路」から容易に抜け出せないと思う。根本的な問題は心理学者ではない人によって解かれるかも・・・・』

良かったね肯定派さん。大村氏は数年前からすでに『否定派』ではなく、「容認派」に変わっているぞ。

しかし、もう脱力だ。大村氏は”一応”学者であり、「ない・あるの迷路」から抜け出させるよう努力すべき人間のはずなのに、それをはなから放棄してるかのような言い分だ。
じゃぁ、あんたがこの研究をしている目的はナンナンダ。

この要旨を見て私は大村氏に対する見方が変わった。
どこかの心理学者が能見氏の事を「血の商人」と評していたが、大村氏もまた「血の商人」だ。「血液型」というネタで食っていこうとする点では同じで、科学性よりもキャッチーさで適当な研究を敢行して発表してしまうところも同じだ。
FBI効果のABOFANさんの指摘も結構妥当だと思う。大村氏は既存の心理の法則にキャッチーなラベルを貼って再提出したにすぎない。

今まで、”血液型性格学否定派の心理学者”を批判する”血液型性格学肯定派の素人”を見て、『おいおい、科学的の何たるかも理解してない奴が何言っているんだ』と思っていたが、この大村氏の要旨を見て、「こいつは、そんな素人とどっこいどっこいだ」と思ってしまった。
ABOFANさん!ある意味大村氏に負けていないぞ!!

氏は確かに大御所だが、大御所すぎて誰も止められないまま暴走しているのだろうか?
メディアにまで露出しているのは何かの戦略か?否定派だと儲からない事に気付いて転向か?このままほっとくと、きっと金儲けに『心理学者が認める信用できる血液型性格診断』本出すぞきっと。

まぁ、ABOFANさんも、さんざん『おかしい、間違っている』と酷評してきた人が、肯定論者に「転向」したら掌を返すように大歓迎で喜ぶのは変じゃないかい?。
『お前はバカだ』と言われたら、『あいつは何も分かっていない』と批判し、その人が『お前は利巧だ』と言ったとたん、『あいつは物分りがよい』と喜ぶご都合主義の愚か者と変わりなくなっちゃうぞ。

しかし、「血液型と性格」論争は一気に終結に向かうのだろうか?
彼の研究者としてのスタンスを見てると、大村氏が味方に付くことが『肯定派』の科学性獲得への道におけるメリットになるとはどうも思えない...。
まずは、大村氏が信用に値する人物かを見極めてからでも、喜ぶのは遅くないだろう。

...うーん、こんなこと言ってると、ABOFANさんに「大村氏が『肯定派』にまわったから批判しているんだ」なんて下衆な勘ぐりいれられそうだけど、大村氏への私の疑惑は数年前から。この事を誰かに言いたくてしょうがなかったのだ。今日昨日じゃ書けないぞこんな文章。
ABOFANさんのHPで大村発言の記載を見て、渡りに船とばかりに言わせていただいたわけだ。
ABOFANさん側にとっても、氏の転向の傾向が見受けられる研究の紹介ということで、全くの無益ではないだろう。

追伸:
このメールに対し、ABOFANさんが新規のお仲間として大村氏を擁護するのか、かつての敵として大村氏を批判するのか、ちょっと楽しみである。

貴重な情報をありがとうございます。

> 大村氏が肯定論者に「転向」した事で大喜びのようだが

唖然としている、というのが実感です(笑)。
しかも、そんなことは「心理学関係者は全部知っている」というウワサもあるそうです(確認はしてませんので真偽は不明です)。

#こうなると、「血液型ベルリンの壁」でしょうか?

> ABOFANさんが新規のお仲間として大村氏を擁護するのか、かつての敵として大村氏を批判するのか、

もし、まともな研究が進むなら、このHPは閉鎖するつもりです。それが目的で開設したんですから…。

#当分は様子を見ることになると思いますけど。

> このままほっとくと、きっと金儲けに『心理学者が認める信用できる血液型性格診断』本出すぞきっと。

複数の出版社が、「心理学者が認める信用できる血液型性格診断」本を考えているようなので、まんざら冗談とは言えないかもしれません。

【追記】

 「このHPは閉鎖するつもり」だと書いたら、反響(誤解?)がいくつかあったので、補足しておきます。

 閉鎖するのは、きちんとした研究が増えてきて、社会一般にこのHPが不要と思えるようになったら、という条件付きです(最初からそのつもりでしたので…)。ですから、すぐに閉鎖することはありませんし、研究が私が納得する方向で進まないのであれば、しばらくはそのままになると思います。

Red_Ball12.gif (916 バイト)No.939 最大素数さんから H16.10.10 0:29

4.メッセージ:

すっかり御無沙汰してしまいました。

さて、昨夜のTBS『超スパスパ人間学!』です!
いやいやいやいや!!大村センセご登場の段になり、なんか久々に聞かされるなあFBI効果、
と極々自然にシラケかけたわたしは本当に実にきれいにカウンター・パンチを喰らってしまいました。

「なんだなんだなんだなんだ」いやあ実を言うといまだに信じられません。
「はあぁっ?ええーっ?んん?んん?んぐぐぐ?・・・?」

どうも最近各局TV番組で血液型と性格についての肯定的な取り上げが目立つような気がしていたのですが、
心理学会的には既に「GO」サインが出ていたってことなのでしょうか。

いやあこんなにビックリしたのはホント久しぶりです。

いやぁ、私も飛び上がるほど驚きました。(@_@)

 彼は、熱烈な「隠れ能見ファン」という説もあるそうですし(心理学会では「公然の秘密」だとか?)、全く世の中わかりませんねぇ。

Red_Ball12.gif (916 バイト)匿名希望さんから H16.10.10 13:20

 王様は裸だ!さんのメールを読んで、少し思うことがあったので書かせていた
だきます。

 これはたぶんSHOZOさんもそうだと思うのですが、大村氏の言っていることが
論理的でも科学的でもない、ということは、今さら言われなくても、氏の最初の
批判本を読んだときからわかっていたことですよね。

 ただ、それはあくまで能力の問題であって、能力がないということは必ずしも
道徳的な罪ではない。また、自分が誤っていると信ずる対象を専門家として批判
するということも、(詐欺師呼ばわりが批判の方法として適切かどうかはさてお
き)道徳的な罪とはいえない。

 ただ、その能力のなさによる誤った認識が、やや行き過ぎた正義感と結びつい
ているところに問題である(どっかの大統領みたいですが)のであって、そうい
う意味では同情できるところもある、というのが私のこれまでの認識でした。

 ところが、今回の突然の転向によって、その前提が突然崩れ去ってしまったか
ら私は怒っているわけで、その怒りは、あくまで彼の人間性に対する怒りであり、
そんな相手に対して一応専門家としての敬意を表してきた自分に対する怒りなの
であって、別に彼が肯定したからといって、こちらの自信が増すわけでもなんで
もないわけです。

 そもそも、私が能見氏に同情的になったのは、大村氏を代表とする「科学的な」
批判が、かっこう非論理的・非科学的であるのに、それを無理やり押し通そうと
するところに、アカデミズムの権威の横暴みたいなものを感じたからです。

 だから、極端に言えば、血液型と性格に絶対に関係があるに違いない、とそれ
ほど固く信じているわけでもなくて、有効な反証があればいつでも自説を引っ込
める用意はあるんですよね。

 ところが、いつまでたっても決定的な反証は出ず、学界の権威でやりこめよう
としたり、変な挙証責任論とかに逃げたりなんてことばっかりしているからイラ
イラしているわけで。

 だから、今さら、心理学者からお墨付きをいただいたって、めでたしめでたし
という気分になどなろうはずがないし、むしろ、今程度の論証のレベルで、「心
理学者お墨付きの血液型の本」が出たり、あるいは、心理学者のお墨付きがある
んだから、血液型を入学や就職の判断基準に使ってもいいんだなんていう話になっ
たら、私は断固反対するかもしれません。

 結局、世の中には、地震の60年周期説とか、コンドラチェフの波動とか、今す
ぐには正しいとか間違っているとか確定しがたい説、あるいは、現象としては明
らかにそうなっているけれども、メカニズムまではわからない現象はいっぱいあ
るのであって、そういうものとの距離のとり方の問題だと思うのです。

(今思えば、ウェーゲナーの大陸移動説なんかだって、後からプレートテクトニ
クス理論が発見されたからよかったものの、そうでなければただのコジツケにす
ぎないと思われてた可能性もありますよね。もちろん、コペルニクスとかだって、
そういう要素がゼロとは言えないわけで。すくなくとも、彼が生きていた時点で、
天動説と地動説のどちらが正しいとは断定できなかったはず。)

 もちろん、盲信して社会的に重要な意思決定の判断基準にするのは問題ですが、
だからといって、そういう意見を主張することまで抹殺してしまっては、科学の
進歩を阻害することになる。だからこそ、専門家にはもっとバランス感覚のある
態度をとって欲しいと思うのです。

 ぼくの想像では、おそらくSHOZOさんも、別に大村氏の発言にそれほど権威が
あると思っているわけではなくて、ただ、自称専門家のいい加減さを示すことに
よって、専門家の権威に弱い人たちを揺さぶろうとしているのだと思うのです。
(違ってたらごめんなさい)

 SHOZOさんが紹介しているメールなんかを見ても、自分では自覚していないの
でしょうが、心理学者=専門家、能見さん、SHOZOさん=素人、みたいなステレ
オタイプに明らかに影響されている人が多いですものね(血液型ステレオタイプ
より、こっちの方がよっぽど問題かも(^^))。

 だから、SHOZOさんの書くことは屁理屈だ、とは言うけれど、具体的にどこが
屁理屈かは示すことができなかったりする。結局、そういう人たちは、自分の先
入観に十分自覚的でないなのだと思います。そういう意味では、今回の事件は、
やはりパブリックオピニオンに一石を投じることになるのかも知れません。

 長文失礼。。。

いやぁ、さすがによくわかっていらっしゃる。(^^)

 基本認識は同じですが、ちょっと違うところもあるので補足しておきます。

> だから、極端に言えば、血液型と性格に絶対に関係があるに違いない、とそれ
>ほど固く信じているわけでもなくて、有効な反証があればいつでも自説を引っ込
>める用意はあるんですよね。

 私は、多くのデータを見て「血液型と性格に絶対に関係があるに違いない」と固く信じています(笑)。しかし、それをひっくり返すようやデータや理論が提出されたら、不本意でも自説を引っ込めるか、沈黙せざるを得ないでしょう。(^^;;

> ところが、いつまでたっても決定的な反証は出ず、学界の権威でやりこめよう
>としたり、変な挙証責任論とかに逃げたりなんてことばっかりしているからイラ
>イラしているわけで。

 いやぁ、全く同感です。しかし、もう一度よく考えてみると、従来の心理学的な枠組みだけでは、血液型のデータと観察のギャップをうまく説明できないんですよね。それならそうと(仲間内だけでなく部外者にも)正直に言えばいいのに、「学界の権威」が大事(?)なのか、妙な理屈をこねくり回しているから私も反感を持つんです。更に問題なのは、彼らは(仲間内では?日常生活では?)「○型は××な性格」というようなことを平気で言っているらしいんですね。王様は裸だ!さんからのメールも、(間接的にですが)どうやらそれを裏付けているようです。

 自分で「非科学的」「差別的」とあれだけ主張していることを、仲間内だけでは認めたり使ったりする。しかし、部外者が同じことをするのは「学界の権威」が大事(?)なのか、認めない。あまつさえ、アカデミズムの名で批判する。これらの人は、従来の性格心理学が本当に正しいのかどうか(血液型での検証に耐えられるのかどうか)研究したり、血液型も説明できる世界初の画期的な理論の構築に努力する、なんてことはどうでもいいのでしょうか? 科学より「学界の権威」や「自分の給料」だけが大事なんでしょう、という批判にはどう答えるつもりなのでしょう?

#まさか、欧米にお手本がないから無理だ、なんては言わないでしょう。(笑)

 もちろん、「学界の権威」や「自分の給料」も大事です。私も決して否定はしません。心理学者だって人間ですからね。しかし、こんな態度は、少なくとも科学者と自称する人が取るべきものではないと思います…。

 ここで、外国(特に欧米)の科学者の多くは「非科学的」な(キリスト教などの)宗教の熱心な信者じゃないか、といった反論があるかもしれません。しかし、彼らは「科学」と「宗教」の間で非常に厳しい内面の葛藤を経ているわけですし、そのことを(あえて)オープンにしています。同じだというなら、(今からでも遅くはありませんから)「○型は××な性格」というようなことを一般の人が言うのは(少なくとも仲間内なら)一向に構わない、差別なんかじゃ絶対ない、と声を大にして主張するべきです。もちろん、マスメディアや一般の人に向けてです。違うのでしょうか?

 こんなことだから、「いやあこんなにビックリしたのはホント久しぶりです」とか「いつの間に『転向』したのですか?」といった内容のメールが私宛に来てしまうのです!

#ひょっとして、我々よりもっと面白くないのは、「真実」(?)を知った否定論者や、心理学を信用してきた人なんでしょうか?

 まさに、「素人」の毎日新聞がディスクローズした「発掘捏造」と二重写しになってきますね。

 以上のことが正しいとすると、大村さんは「心理学者が認める信用できる血液型性格診断」本を出版するつもりなのでしょう。

Red_Ball12.gif (916 バイト)「転向」「変節」とは何か?

 これですぐに思い出したのが、山本七平さんの『常識の研究』です(94〜96ページ)。

ある雑誌で、「変節」が問題になったことがあったが、多くの場合、「変節」という言葉で表現されている内容は甚だ曖昧だと思われる。そこで、その言葉の使い方から、一応これを@対内的変節とA対外的変節に分けて考えてみたいと思う。

@たとえばここに、1人の○×党幹部がいると仮定しよう。彼はもはや、内心ではマ○クス=レー○ン主義を信じておらず、○×主義革命を起こそうとも思っていない。しかし彼自身は党の幹部として高給をもらい、住宅も保養施設も保証され、車も秘書もお手伝いさんも党から派遣され、さらにはマスコミには評論家としての活躍の場をもっている。もし彼が、自己の内心の信に節を立て、もはや○×主義を信じず革命の必然も必要もないと宣言したら、彼はこのすべてを失わなければならぬ。それは大変に苦痛であるだけでなく、自己の生涯と血の出るような苦難を無にすることになるから、彼にはそれができず、依然として○×主義者として振舞っている。簡単に言えば、こういった状態が「対内的変節」である。

この状態は、対外的に変節ではない。彼がそのまま生涯を終えれば、一生、節を曲げなかった人ということになる。…では、これは「変節」ではないのであろうか。私はそう思わない。…

Aの対外的変節は、これと逆の生き方である。彼は、マ○クス=レー○ン主義も革命も信じられなくなった。信じられなくなったがゆえに、そう言明して党を追われ、それまで享受していた一切を失った。その彼のところに、多くの人が○×党の内容について聞きにきた。そこで彼は、ありのまま正直に語った。ところが彼は、変節漢・裏切者として党及びそれに同調する者からあらゆる罵詈誹謗をあびせられ、一般社会も彼を「変節漢」と見なすようになり、社会的に葬られた。

では、彼は果たして「変節」したのであろうか。少なくとも彼は、己れ自らをも他をも欺いておらず、自らにも他にも誠実だったという意味では、変節したとは言えないだろう。

私は、変節とはむしろ@の「対内的変節」を示す言葉だと思い、私自身が使う場合はこの意味だが、この変節はいわば「神のみぞ知り給う」ですぐには外部に表れないから、実際にはその言葉を使う機会がない。もっとも、社会一般には変節とされているAの対外的変節も、その人の内心の本当の動機はわからないから、この場合もまた何とも言えない。というのは、それが真の思想的転向いわば一種の回心(コンバージョン)への自らの誠実が理由なら、これをとやかく言う権利はだれにもないからである。ある人が○×産主義者になることも、またその人が○×主義者であるのをやめることも、本人の思想信条の自由であって、第三者が容喙すべきことではない。だが、対外的変節がすべてこのケースかと問われれば、それもその人の内心の問題だから、これもまた「神のみぞ知る」であろう。

以上のことを簡単に要約すれば、変節とはその人の外面的な生き方からは判断できないと一応は言える。だがそれが対外的であれ対内的であれ、結局はわかる。というのは変節の目的は常に保身もしくは組織保持であり、その人や組織が口にする思想信条はすでに目的でなく、保身もしくは組織保持の手段になっているからである。

 再度、王様は裸だ!さんのメールから引用すると、

血液型と性格(特に気質)との関係は無い―とわれわれは結論付けているが、それを覆すデータもいくつか存在している。鳴海顕のデータも(懐疑を挟めばきりがないが)その代表的なものである。今後、この面における研究は「ない・あるの迷路」から容易に抜け出せないと思う。根本的な問題は心理学者ではない人によって解かれるかも・・・・

 大村さんが「転向」したのはつい最近と思っていたのですが、どうも違うようですね。実は、ある人からこんなことを聞いていました。

大村さんは、以前から血液型に興味を持っていて、血液型と性格が関係あるといいと思っていた。しかし、関係があるデータは得られなかった、と。

 普通は、関係がないというデータが出たら、あきらめて研究をやめてしまうはずです。そうでないなら、まだ納得いくデータは発見されていないが、必ず関係あるデータが見つかるはずで、絶対に発見してみせると言うはず…のどちらかです。しかし、彼はどちらでもありません。「関係ない」と言いつつ、非常な熱意をもって否定的な研究を続けているからです。これは、能見さんに対する反感だと思っていたのですが、どうも違うのかなぁと思い始めました。

 なぜなら、心理学者や研究者の間では、彼が血液型マニアであることは「公然の秘密」(?)だったようだからです。

 以上のことから導かれる結論は一つしかありません。それは…

 日常生活では、「血液型と性格」は関係あると思っているし、(仲間内では?日常生活では?)「○型は××な性格」というようなことを平気で言っている…らしい。また、つまり生活実感としては「血液型と性格」を信じている…のだろう。しかし、彼の専門は性格心理学です。性格心理学の手法を使って、いろいろと分析してみたが、意味のある結果は得られなかった(心理学の論文を読めばわかりますが、これは事実です!)。従来の心理学的な枠組みだけでは、血液型のデータと観察のギャップをうまく説明できないことは明らかで、実に困った状況に追い込まれてしまいました。ではどうするか?

 本当の理由は「神のみぞ知る」ですが、私の推測では、日常生活では血液型を信じ、心理学では否定している、ということになっているようです。そうとしか考えられません!?

#もっと若手(中堅?)の場合は、確実に「日常生活では血液型を信じ、心理学では否定している」と言えます。

 ところで、今回の超スパスパ人間学!では、めでたく性格テストで明確に差が出たようです。既存の性格テストをどうアレンジしたのかはわかりませんが、血液型により差が出る項目を追加・変更したのか、因子分析などの手法を使って項目を組み替えたのでしょう、たぶん。

 まさに、古川説(能見説?)の復活と言えるでしょう!

 以上のことから、「血液型マニア」の心理学者は、日常性格だけではなく、心理学でも血液型を肯定することが予想されます(って、実際に大村さんはにこやかに肯定していたのですが・笑)。当然のことながら、「心理学者が認める信用できる血液型性格診断」本が出版される確率も高くなりそうです。

 となると、今回の番組で一番得をしそうなのが「血液型マニア」の心理学者、損をしそうなのが従来の心理学を真面目に信じていた人になるのかもしれません。まさに、何を信じるのかも「自己責任」ですね…。

 以上は私の推測であることを予めお断りしておきます。

 その後に、こんなメールもいただきました。

Red_Ball12.gif (916 バイト)匿名希望さんから H16.10.11 16:12

> > だから、極端に言えば、血液型と性格に絶対に関係があるに違いない、とそれ
> >ほど固く信じているわけでもなくて、有効な反証があればいつでも自説を引っ込
> >める用意はあるんですよね。
>
>  私は、多くのデータを見て「血液型と性格に絶対に関係があるに違いない」
>と固く信じています(笑)。しかし、それをひっくり返すようやデータや理論
> が提出されたら、不本意でも自説を引っ込めるか、沈黙せざるを得ないでしょ
> う。(^^;;

 もちろん私も、直感的には関係があるに違いないと思っています。
 ただ、理科系で科学史なんかも多少習っている人間としては、そういう人間の
直感が実験によって覆された例がたくさんあることも知っているので、そういう
自分の素朴な直感だけには固執しないぞ、という意思表明ですね。

 でも、SHOZOさんが、あえて「中立」の立場をとらずに、積極的に肩入れして
いるのはよくわかります。

 メールの中にも、「なんで断定できないと言つつ、そんなに熱心になるのだ」
とか「肯定的な証拠にばかり注目しているのだ」みたいな批判がよくあるけど、
わかってないなーと思いますね。

 こういう人たちは、完全に中立の立場で、新しい発見なんかできると思ってい
るのでしょうか。大胆な仮説に、無理やりにでも肩入れして、いっしょうけんめ
い肯定的な仮説を集める、という人がいなかったら、新しい発見なんかできっこ
ありません。科学史を見たって、それははっきりしています。

 でも、もちろんそれは一種のギャンブルで、結局はすべて錯覚だった、という
結末に終わる可能性もあるんです。科学者を偉人として持ち上げようとする風潮
は、そういう結果オーライの要素を無視しがちですが、成功した科学者の影には、
その何倍もの山師がいたに違いないんです。そして、その両者の差をすべて知性
の差と考えるのは、能天気にすぎると思います。

 だから、私も、自分だけは冷静だ、みたいなふりをして、中立ぶった批評をす
る人は、必ずしも好きではないんですけどね。(^^)


> 従来の心理学的な枠組みだけでは、血液型のデータと観察のギャップをうまく
> 説明できないんですよね。

 私も、心理学にそれほど詳しいわけではありませんが、どうも、従来の性格心
理学の方法論には、いろいろ疑問を感じるんですよね。

 特に、性格類型を作るということの意味について、あまり深く考えていないと
思われるところや、内部構造のモデルを作らずに、入出力データに対する統計処
理だけで性格がわかると思っているふしがあるところが問題だと思います。

 前にも書いたような気がしますが、仮に、人間を内部状態=メモリを持つオー
トマトンだと仮定して、そのメモリにはある程度自由にプログラムが書き込める
ものとすると、そのメモリの自由度 (2 の何乗かわかりませんが) のすべてを
「性格」として分類しても意味がないので、自由度の下にある共通した構造をと
りだす必要があるはずなんですね。そして、その共通した構造には何通りあると
いうような分類ができたときに、はじめて科学として意味があるものになるはず
なんです。

 コンピュータの例で言えば、ノイマン型とニューロ型があるとか、CPU にはイ
ンテル系と PowerPC があるとか。

 でも、単に外部からデータをとっているだけでは、調査時点でメモリにどんな
プログラムが入っているかわからないので、ソフトウェアの種類を調べているの
か、ハードウェアの種類を調べているのかわからなくなってしまうんですよね。

 それで、コンピュータは、文章を書くためのもの(ワープロ)と、計算を行う
ためのもの(スプレッドシート)に分けられる、というようなことを言って見た
ところで、それは、人間そのものの性質ではなく、人間社会のある種の文化の型
を分類しているだけかも知れなくて、それは、世の中が変われば通用しなくなっ
てしまうかも知れない。とすると、それはいったい心理学なのか社会学なのか。

 今さら言うのも気が引けますが、大村氏の最初の批判の中にも、「どちらも
MS-Office が走るから、Windows と Mac には差はない」、と言ってるような批
判が含まれていましたよね。

 コンピュータでも、よくベンチマークとかやりますけど、あれだって、ホント
は、世の中にはどういう種類のマシンが存在していて、測定対象マシンでは現在
どの OS が動いていて、というようなことが既知でなければ使えないのです。だっ
て、一見 OS に見えても、どっかのハッカーが作ったニセ OS かも知れないし、
エミュレータかも知れない。それを一律の手順で確認することは、実は結構難し
い。

 だから、仮に手法としては性格テストを利用するとしても、その前に、このキー
を押せばどのマシンでも必ずリセットするとか診断プログラムが起動するみたい
なポイントを見つける必要があると思うのです。そうしないで、「コンピュータ
のキーを押すと、そのキーと同じ文字が画面に表示されることが多いが、何らか
のウィンドウが開いたり、画面が突然明るくなったり、変な音がしたりすること
もある。その比率は、何対何体何である」みたいなことをいっしょうけんめいやっ
ても、何の意味があるんだかよくわからないと思うのです。(^^)

 血液型人間学のいいところは、血液型の違い自体は、確かにハードウェアの差
として測定可能だというところですよね。そういう意味で、血液型人間学に合わ
せて、心理学の性格類型を修正する必要があるかもしれない、というのは、決し
て単なる夜郎自大ではなくて、従来の心理学の性格類型が、本当の内部構造を反
映するところまで行っていないんじゃないか、という意味だと思うのです。

 だから、最近の番組で脳波をとったりしているところは、メモリの内部を直接
見ようとしているという意味で、確かに進歩だと思いますし、こういう手法は、
大村氏が最初の本を書いたころは使えなかったでしょうから、あの時点の性格学
の水準では、大村氏のような結論になるのも仕方ないのかな、とも思ったもので
したが。。。そんな人だったとはねえ(^^)。

いやぁ、同感です。

 もう一度考えてみると、「血液型マニア」の心理学者の本当の目的は、案外と古川説の復活なのかもしれません。

 なぜなら、古川説は、戦前の法医学会、特に(毀誉褒貶の激しい)古畑種基さんに否定されたというのが実情だからです。私が調べた限りでは、当時の心理学会では必ずしも否定されているとは言えないようです。能見さんは、「うやむやにされた」と言ってますし、「血液型マニア」の心理学者でも同じようなことを言っている人もいるのですから…。

 ここでは、能見正比古さんの言葉を拝借します(『新・血液型人間学』角川文庫版109〜111ページ 太字は私)。

 [反対派は]ほとんど資料ゼロの状態で、数人の例外らしきものをあげ、やみくもに騒ぐ。古川氏の資料の検討さえせず、全くの感情論なのだ。…
 現在もたまに「血液型と気質の関係は、かつて学界で否定された」という人がある。50年近く前の学界を持ち出すのも、おかしな話だが、いくら調べても否定の事実はない。わアわア騒いで古川氏を沈黙させただけなのである。第一、医学者が反対したのも、おかしい。人間の行動や表現、文化や社会現象については、医者は全く専門外、素人である。また、人間科学についての学会もまだ世界に存在したことがない。こうして戦前の研究は、うやむやにされた

 そうなると、大村さん=大石内蔵助、あるいは「隠れキリシタン」という説もありかもしれませんね。本当はどうなのか知りませんが…。真実は小説よりも奇なり、を地で行っているというか…。

 しかし、先輩の学説が別な学会で否定されたとしても、現在は昔のように大石内蔵助になる必要はありませんね。やはり私の推測は当たっていないのかも知れません。

 おっと、かなり脱線してしまいました。

 確実に言えるのは、以前の大村さんの言説は、ほとんどすべて撤回される…はずということです。謎が残るのは、大村さん=大石内蔵助なのか、「転向」や「変節」なのか、それとも何か別の事情があったのか、ということです。

 これらの謎は、だんだんに明らかになるでしょう。

 と書いたところ、誰が吉良上野介で、誰が浅野内匠頭なのかと質問がありました。言うまでもなく、古畑さんが吉良吉良上野介の役で、古川さんが浅野内匠頭役です。そうしたら、赤穂四十七士はすっかり有名になったけど、最後は切腹させられちゃったじゃないか、という茶々が入りました。まさか、そんなことにはならないと思いますが…。f(^^;;

【H17.1.28追記】

Red_Ball12.gif (916 バイト)No.958 ラミシールさんから H16.11.7 18:27

1.面白いですか?

ふつう

2.お気に入りのページ

「常識」のウソ、歴史上の人物

3.血液型と性格の関係は?

わからない

4.メッセージ:

10月7日の大村氏は絶対に信じてはいけません。
新奇探索傾向というのはDNA解析を行わずして測る事はできません。
日本人の中での血液型ごとの新奇探索傾向には有意差はほぼまったく見られず又スタジオ内で勝手に簡単に分析できるものでもありません。
その上%で表せるようなものでもありません。

大村氏がどれだけこのことについて知識があるかが目に見えてわかります。
人種間でなら多いに性格やIQの違いが表れますが、
視聴率を上げるためだけの道具となってしまった10月7日
スパスパ人間学の大村氏の言い分(調査と自負)を信じてはいけません。これは忠告です。
人種別の大まかな性格傾向因子の強度は

モンゴロイド
新奇探索傾向1〜3
コーカソイド
新奇探索傾向4〜8

又、危険回避傾向(損害回避傾向と訳される)
はモンゴロイドが非常に強いです。
これは彼らがモンゴル北部で得た遺伝子です。
血液型で見るとこの地域ではB型が非常に多く、
人類のB型の発祥ではないかとも言われております。
B型はモンゴロイドの特徴を非常に受け継いでいて、
ブリアートの新モンゴロイドに良く表れる特徴として
緑目、赤髪、色白、狐目などの特徴がよく表れやすい血液型として
定説です。これは警察がDNA解析で被害者の特徴をプロファイリングする為に必要な手段の一つです。
逆にコーカソイドや古モンゴロイドではA型が非常に多いです。
日本人も中国や韓国、ベトナム人などに比べ古モンゴロイドに近いとされています。
血液型を見ても、エスキモーやポリネシア、北米のネイティブアメリカンに近く、A型が多いのがわかります。
日本人は東南アジアや中国人やモンゴル人に比べ
新奇探索傾向が強いと言う事が最近わかりました。
コーカソイドは非常に強くこの特徴が表れ、歴史文化にも影響を与えています。
進歩的で冒険心が強く、言語野が発達し自己主張を重んじるという性格が強いのは学術的に定説です。
コーカソイドには楽天的なラテン系の民族もいます。
彼らの血液型頻度を調査するとB型が非常に少なく。
逆に、アジア方面へ近づくにつれB型が多くなります。
これから見ても、新奇探索傾向が非常に弱いのがB型で
強いのがA型と見る方が遥かに妥当です。
A型とO型の遺伝子は非常に似ている事も定説です。
B型はAB型と非常に似ている事も定説です。
A型とO型はヨーロッパ、ポリネシア、アメリカ、オセアニア、に多く
B型とAB型はアジアに多いです。
どれだけ現血液型の性格診断が誤っているかよくわかる例ですね。
又、A型は海馬(側頭葉)が働きやすいというデータがありますが、海馬は情報伝達、新奇記憶を司る器官です。
B型は前頭葉が働きやすいというデータがありますが、前頭葉は
抑制、慎重さ、計画性、将来性などを司る器官でこれが破壊されると、乱暴で衝動を抑えられなくなってしまいます。

ドーパミン受容体D2が働きやすいと新奇性が強まり自分を抑えられずいつまでも興奮気味になってしまい新しく変わった物を受け入れなければ気がすまなくなってしまうのです。

ドーパミン受容体D4が働きやすいと依存性が強まり過度の刺激を求めやすくなり普通の刺激だけでは飽き足らなくなってしまいます。
セロトニン受容体が働きやすくなると、冷静で落ち着いた思考や注意力がつき現代の子供達に必要とされるキレる行為が抑制されます。

又子供の頃からモンゴロイドは集団性を重んじ前頭葉を活性化する文化である事は有名な話です。

スペインやイタリアなどの情熱的でスリルを好むといわれる民族はこの前頭葉の働きが鈍く、新しいものや危険なもの奇抜なものを好むといわれております。

これ等から判断しても大村氏の自称調査は嘘やデッチアゲといっても過言ではないでしょう。

Red_Ball12.gif (916 バイト)古川説の復活!?

 こうなると、古川説の復活も時間の問題なのでしょうか?

 実は、心理学では古川説はしぶとく生き残っていました。ちょっと信じられないのですが、これは事実です!

 では、順を追って調べていきましょう。

 確かに、昭和7年(長崎)と昭和8年(岡山)での日本法医学会で古川説は実質的に否定された、と考えていいと思います。ただし、これはあくまでも「法医学」の見解です。心理学ではどうなのでしょうか?

 賛成派の千葉胤成(たねなり)さん、田中秀雄さん、浅田一さんは『改訂第二版「血液型と性格」の社会史』によると、最後まで自説は曲げなかったようです。極めつけは、有名なYG性格検査を考案した矢田部達郎さんです。彼の著書『心理学序説』(創元社 S25)では、

古川氏の如きは血液型と気質型との間に高度の対応があると主張したが、今日ではこの考えに賛成する人は少ない。但し、気質は経験によって変形されることが多く、かかる変形を度外視することができれば、或はそれらと気質の間に極めて大雑把な対応を認めることができるかも知れない。(30ページ 文章は現代文に変更)

血液型と気質の関係については古川竹二氏の研究以来多くの研究が発表されたが、大体の印象は無関係というところに落ち着いたように見える。但し近頃著者の娘等が京都鴨き(「シ」+「斤」)高校女生徒千名について検査したところ、自己判断も他人判断もともに無相関であることを示したが、自己判断に於て就学前、小学校前期、小学校後期、女学校前期、女学校後期と異なる生活時期につき5判断をなさしめ、5期を通じて最も多く判定した気質を有意気質と名づけて整理したところ、僅かではあるが正の相関(φ=0.178)が認められた。人員が千人に上るのでこの相関は全く無相関ではないと思われる。気質評価などの改良によって未来に於ては或はもっとはっきりした資料が得られないとは限らない。(268〜269ページ 下線は私 文章は現代文に変更)

 私はこれを読んで大笑いしてしまいました(失礼!)。心理学者以外の人が言うのならともかく、心理学者自身がこう言っているのです!

 同様に、賛成派の心理学者の意見としては、観察者や被験者にはそれなりの能力が必要だから、未経験の人がやって当たらなくとも不思議ではないというものがあります。血液型は客観的に結果が出るが、性格や気質を測定する方法は、まだまだ未熟なので、きちんとした結果が出ないのではないかというものです。要するに、心理学の方法論が悪いのが問題だということです。(^^;;

 これで議論はゼロに戻ったことになります。なにしろ、日本で一番ポピュラーな性格テストを考案した心理学者自身が言っていることなのですから…。血液型と性格(気質)の関係は、心理学の方法論に問題があるので、あるともないとも断定できません。明確な関係はまだ発見されていませんが、将来に関係が見つかる可能性もあるので全く否定するのは早いですよ、ということです。

 つまり、心理学者自身の見解では、血液型は肯定されていると言えなくとも、明確に否定されたとは言えないことになります!

 その後、昭和43年に発行された佐藤幸治さんの『人格心理学』(東京創元新社)でも、血液型と性格についての記述があることを発見しました。この本は、初版が昭和26年に出版され、第6版が昭和43年に発行されています。
 能見さんの『血液型でわかる相性』が出版されて日本中に大ブームを巻き起こしたのは昭和46年ですから、その直前まで心理学でも血液型と性格の相関の可能性を示している本があったとは驚きです。(@_@)

 関係部分を引用しておきます(281〜282ページ 文章は現代文に変更)。

 血液型と気質については我国の古川竹二氏(1932)がA、B、Oの3つの血液型に対し、第32表[省略]の如き気質特性を配当したのであったが、他の多くの心理学者の追試はその否定に傾いている。たゞ最近、矢田部達郎氏(1950)が注意しているのは、高校生女生徒千名についての検査で、自己判断も他人判断も共に無相関であるのに対し、自己判断においては就学前、小学校前期、後期、女学校前期、後期の5期について別々に判断させ、5期を通じて最も多く判定した気質を優位気質として整理したところ、僅かではあるが、正の相関(φ=0.187)[0.178の間違いか?]が認められたという結果である。

 もっとも、能見さんの『血液型でわかる相性』が発表された昭和46年以後に、多くの心理学者が血液型の研究を始めたという事実はないようです。ちょっと不思議な感じがしますね

【その後の状況】--H16.12.29追記

再度の転向?

 ところが、平成16年11月21日の『松平健&くりぃむ仰天珍説奇説を徹底解明!! 』では、大村政男さんは「血液型でですね、性格判断はできないと思いますね」と一転して否定に戻りました。番組を見ていた限りでは、その根拠はFBI効果です。

佐藤さんも長谷川さんも転向?

 しかし、大村さんの"転向"を受けて、何人かが「(小さいながらも)統計的な差がある」と"転向"しました。例えば、

 平成16年11月27日付「毎日新聞」

 立命館大の佐藤達哉助教授(社会心理学)によると、血液型性格判断は80年代にブームになった。学者らが「統計上の違いはわずか[だがある]科学的には何も実証されていない」などと批判し、沈静化したが、再び雑誌などが取り上げ「大衆の常識のように定着してしまった」という。

 平成16年12月4日付「ZAKZAK」

思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。

 平成16年12月22日付「じぶん更新日記」(長谷川さん)

●TBS系 
ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!本当の自分&相性探し来年は開運スペシャル 

の放送が予定されているという。 

[中略]

「番組のみどころ!」には 
ホントに血液型と性格に関連性はないの!? 
という疑問に答えて、番組ではある心理テストを実施。ゲスト出演者を含め1000人が参加したこのテスト。集計の結果、血液型別に傾向が出たんです。 
ということだそうだ。そりゃそうだろう、
いろんな番組でこれだけしつこく「A型=几帳面 B型=マイペース」と言われれば、几帳面でないA型者も少しは几帳面になろうと努力するかもしれないし、B型者は「どうせオレはマイペース。やりたいようにやるさ。」と居直るかもしれない。他者への偏見ばかりでなく、自分自身の行動もそれにあてはめてしまう。じっさい、ZAKZAKの12月4日記事には
...思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。 
という引用もあるくらいだ。

 ※太字と[]内は私が追加

 つまり、ほとんどの心理学者が主張していた「統計的な差がない」という前提は崩れたことになります。:-p

■3回目の転向?

 『週刊朝日』の平成16年12月31日号(発売日は12月21日)132ページ〜133ページに「血液型『性格分け』日本人だけの信仰のなぜ?」という記事があります。大村さんの関係する部分から引用すると、

大村政男さんは、ついこの間、インターネットの血液型サイトで「転向したのか?」と反撃の集中砲火を浴びせられたばかりだ。

 このサイトは、ABOFANでないことは明らかです。なぜなら、「連続砲火」ならそうかもしれませんが、「集中砲火」になるはずがないからです(笑)。集中というからには、何十、何百というサイトで批判されているんじゃないかと思うんですが、どこなのかな?

 さて、その「集中砲火」の契機は、10月7日の「スパスパ人間学」とあります。記事には、番組中で、

大村さんは、アメリカの大脳生理学者のクローニンジャー[注:クロニンジャーの間違いか?]が提唱している人の気質・性格の3つのプロトタイプ「障害回避傾向」「新規性追求」「報酬依存」を尺度にして、血液型との相関がありそうだとコメントしたのだ。

太字は私が追加

 とあります。この部分は、このページの最初に書いたとおりです。しかし、クローニンジャーのプロトタイプという説明はなかったのですが…。なぜでしょうか?

 さて、この記事には、少々問題があります。

 もう一度よく読んでみると、掲載されている写真はテレ朝の血液型スペシャル番組のものと思われます。ただ、局名は写真だけでは読み取れないので、どの局かはわかりません。ところが、本文中にはフジの番組がBPOに批判されているとだけあり、テレ朝の番組もBPOに批判されているのにも関わらず、本文中にはその部分は何も出てきません。更によくよく読んでみると、単に否定論者のコメントを掲載しているだけで、記者や記事自身が血液型を否定しているとはどこにも書いていないようです。

 朝日新聞本紙やテレ朝が比較的血液型に好意的なので、記者が遠慮したのでしょうか? はて?

 更に問題なのは、その後に、

大村さんは、血液型の性格の関係そのものを「幻覚」として切り捨てているわけではない。いまだに科学で立証とされていないのに、科学的裏書きされているように錯覚させるから「幻覚」だと批判しているわけで…

 ここまで読むと首をかしげたくなります。本当に大村さんがそう思っているというなら、クローニンジャーのプロトタイプが間違っている(=科学で立証されていない)のか、心理学は科学で立証できないのか、週刊朝日の記事が大村さんの主張を間違って伝えているのか、のいずれか(あるいは全部?)です。本当はどうなのでしょうか?

 いずれにしても、非常に不思議というしかありません。

 そういえば、以前の週刊朝日には、平成11年8月20・27号(148〜151ページ)に、同誌・木之本敬介記者による『政党別性格判断でわかった「自自公」血液AB型過多でバラバラ!?』という面白い記事が掲載されています(政治と血液型に一部紹介あり)。

Red_Ball12.gif (916 バイト)匿名希望さんからのメール H16.12.22 15:52 【このメールはH17.1.28に追記】

> 今日発売の「週刊朝日」に血液型に否定的な記事が掲載されています。
> あまりにもレベルが低くて、腹を抱えて笑ってしまいました。

 情報ありがとうございます。コンビニにあったら買ってみます。

 私も、こんなのを見つけました。

http://dandoweb.com/backno/...

 この人のウェブジンは、結構よく読むんですけどね。ちょい残念です(^^)。
 この記事にしても、一見中立っぽく見えて、最初から関係ないに決まっている
とか、あってもたいした差じゃないに決まっている、という立場ですよね。

 否定派の人は、なぜ多くの人が血液型を信じるのか、みたいなことをよく言い
ますけど、私からすると、なぜこんなに多くの人が拒否反応を示すのか、という
ことのほうがよっぽど不思議です(^^)。

 性差はまだセンシティブな話題かもしれませんが、民族性、県民性みたいなも
のは、みんな平気で議論しているし、それは、仮説の段階でも許されているのに
ねえ。

 なぜ、そういうものについての統計は、いちいち真面目に議論されて、血液型
についての統計は、すべて偶然の一致か自己成就的な思い込みによるものとされ
てしまうのか、不思議でしょうがありません(^^)。
------------------------------------------------------------
 買って来ました、「週刊朝日」。
 ひどいですね、この大村センセーの開き直り方(^^)。

「大村さんは、血液型と性格の関係そのものを実体のない「幻覚」として切り捨
てているわけではない。いまだに科学で立証されていないのに、科学に裏書され
ているかのうように錯覚させるから「幻覚」だと批判しているわけで、血液のよ
うな体液物質の違いも含めた生まれつきの「体質」の違いが人の気質や性格に影
響することを否定してはいないのだという。」

 ふーん、そう思ってるくせに、能見さんを「血の商人」呼ばわりしたの?
 でも、「心理学者」の自分はそういう説を発表しても許されるんだ。
 へーえ、そうなんだー。はっはっは(^^)。

 この「ビンゴゲーム仮説」とかいうのもひどいですね。そんなこと、あらため
て言われなくったって、素人だってわかってるっちゅーの(^^)。
 これを読んでも、血液型と性格に関係があるかはわからないが、こいつの専門
家としてのレベルだけはよーくわかりましたよ(^^)。

 だいたい、能見さんだって、気質で決まるのはせいぜい4分の1とか言ってた
はずなのに、何を読んでるんだか。「専門家」は、素人のペーパーは斜め読みで
も許されるんですかねえ?

 「科学的に実証」されるまでは、説をとなえることすら許されないんですか?
 だいたい、どうなったら実証されたって言えるんですか?
 学会で投票して賛成多数になったら?
 関係者が勝手に作ってる任意団体にそんなに権力があるんですか?
 学会とやらに加入していないと、説を発表することすら許されないんですか?
 じゃあ、「ためしてがってん」とかもやめたほうがいいんですか?

専門家のみなさん、もういい加減、ムキになるのやめたらどうなんでしょう。(^^)

 この記事も、論調のはっきりしない、ひどい日和見ガス抜き記事ですよね。
 SHOZOさんが大笑いしたのも無理はない(^^)。

■4回目の転向?

 大村さんがまたテレビに出演しました。

平成16年12月28日 TBS 19:00〜20:54 ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!本当の自分&相性探し来年こそは開運SP!

血液型の謎を、科学的見地から紹介する知的エンターテインメント。ゲストは大竹まこと、さとう珠緒、城島茂、高田純次、高橋英樹、荒俣宏、相葉雅紀、鈴木史朗ほか。司会・国分太一、川田亜子アナウンサー。
血液型占いが流行している韓国では、ある女子大のモデル学科で血液型別にダイエット授業をしているという。血液型別に相性の良い、悪いはあるのだろうか。アメリカの血液型相性診断の最新研究を伝える。また、幼稚園児や赤ちゃんによる血液型別の実験なども行う。このほか、心理学者も驚いたという、血液型別性格を裏づける新理論を紹介する。

 ここでは、クロニンジャーのプロトタイプでは明確に差が出たと言っていました。つまり、心理テストでも明確に差が出ることが実証できたことになります。ただ、「心理学の定説では関係ない」のだそうです?
 それなら、定説が間違っているのか、クロニンジャーのプロトタイプが間違っているのか、テスト方法が間違っているのか、のいずれか(あるいは全部?)だと思うんですが、どれかが間違っているとは言っていませんでした。はて?

 ここまでくると、私にはさっぱり理解できません。(*_*) 大村さんは、一体何を主張したいのでしょうか? 誰か教えてくださ〜い。

 なお、番組のホームページには、このテストが1月31日まで公開されています。解説は次のとおりです。

この心理テストはアメリカ・ワシントン大学医学部クロニンジャー教授が作成し、大村政男・日本大学名誉教授が日本人向けに改良したものです。
大村先生がこの番組で18歳〜87歳の男女746名に対して心理テストを行い、血液型との関係を分析したところ、平均値では関係性が認められました。
しかし、個々人を見ればまったく当てはまらない人もいました。あなたはどうですか?よく言われるようにA型だから慎重、B型だから好奇心が強い、O型だから人付き合いが得意と決まっているわけではないのです。
また、現在の心理学では『血液型と性格とは関係がない』というのが定説になっています。ですから、ぜひ遊び感覚で試してみてください。

各血液型の血液型傾向の平均値

  A B O AB
損害回避傾向(慎重さ) 48.7 27.7 30.7 54
新規性追求傾向(好奇心) 32.4 41.8 31.7 59
報酬依存傾向(人付き合い) 37.2 34.1 54 67.5

《番組ホームページのデータ》

 余談ですが、平成16年12月22日付「じぶん更新日記」(長谷川さん)には、この番組について、

“心理学上、「血液型と性格に関連性はない!」そうです。”というのは誰がそう言ったのか、責任の所在を明らかにしてほしいものだ。

 とありますが、これはどうやら大村さん自身のようです。前回の大村さんの"転向"のときも、長谷川さんはノーコメントだったので、今後の展開が注目されます。

■おまけ1−BPOについて

 11月27日でのBPOの記者会見後の番組(1月は予定)は次のとおりです。

  • 平成16年12月19日 テレビ朝日 12:00〜12:55 芸能人100人血液型別大実験大激論SP (1)感動アニメを見る…最も涙もろい血液型は(2)大観衆の前でプレッシャーに強い血液型は実験続々…常識はウソだった!▽超人気俳優&女優&芸人&スポーツ&アイドル…血液型別の激論バトルで女優Kがマジ切れ!実験結果は衝撃▽爆笑問題
  • 平成16年12月20日 フジテレビ 19:00〜20:54 HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP 生のクリスマススペシャル 今夜限定特別企画!血液型別(秘)爆笑トーク一挙大公開
  • 平成16年12月28日 TBS 10:20〜10:25 今夜7時血液型SP
  • 平成16年12月28日 TBS 19:00〜20:54 ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!本当の自分&相性探し来年こそは開運SP! 芸能人恋も私服も丸裸全部見せます決定版…▽別れ話マジギレは何型?▽爆笑・園児観察頑張れ初めての買い物▽必見・血液型の強弱判定テスト▽杉田日記大暴露 国分太一ほか
  • 平成17年1月1日 フジテレビ 22:30〜24:00 ココリコミラクルタイプ元日SP 血液型人間マキコ
  • 平成17年1月4日 フジテレビ 23:55〜24:55 東京ミチカ 「血液型別セッ○ス/恋に落ちる瞬間」

 その後、一部の実験に「科学的には立証されていません」「決めつけはやめましょう」というテロップが入るとか、批判的な人の意見をごく短時間挿入するようになりました。
 もっとも、実態としては本数、時間数、内容ともに「全く影響がない」と考えていいと思います。:-p

 もう一つ、クロニンジャーのプロトタイプの結果が正しいとすると、BPOの「血液型は非科学的」という主張にも疑問が出てきます。この先、いったいどうなるのでしょうか?

■おまけ2−日本経済新聞

 日本経済新聞のコラム「春秋」(平成16年12月11日付)には、血液型が否定的な論調で取り上げられており、冒頭からこう始まっています。

またぞろ無責任きわまりない血液型の話が、テレビで流されている。ABO血液型による性格判断には、一片の科学的な根拠もなく、統計学的にも全く意味がないことが、学会ではとっくに決着済みだ。しかし、この「迷信」はしぶとく生き残り、差別という害毒を流し始めている。

 続いて、「以前にも小覧で紹介したが」(平成12年1月14日と13年12日21日)として、血液型本は売れ行きを考慮するのかマイノリティのB型とAB型は負のイメージを描くとあり、更に人事に血液型を持ち込む話や、学校でのイジメが否定的に取り上げられています。つまり、以前のコラムも同一の筆者であると推測されます。(売れ行きを考慮したら、どの血液型も公平に書くに決まっているじゃないかと思うんですが…。他の新聞ならともかく、「日経」のコラムとしては不思議です。)

 そして、最後にこう締めくくっています。

このばかげた迷信が浸透しているのは、日本と韓国だけ。今どき迷信で差別やいじめが横行する国を先進国とは呼べない。酒場のジョークとしても質が低いこの手の話を、根拠ありそうに厚化粧して垂れ流すテレビ局には猛省を促したい。メディアの論理的・科学的な資質が問われている。

 前回と違うのは、「迷信が浸透しているのは、日本と韓国」となったことです。前回は日本だけだった[注:当時も韓国で流行していました]のですが、なぜか韓国が追加されています。つまり、いつのまにか訂正されたことになります。(@_@)

 残念なのは、大村さんの「クロニンジャーのプロトタイプ」が取り上げられていないことです。従って、「一片の科学的な根拠もなく、統計学的にも全く意味がない」とは必ずしも言えません。次回は内容が訂正されるのでしょうか? はて?

 同じような内容が、「日経サイエンス」(平成16年12月号の69ページ)のコラムに取り上げられています(「春秋」とは違い、オカルト全般が話題で、血液型も取り上げられています)。こちらは署名があります。

塩谷喜雄 いまどき科学世評 オカルトの復権と科学者の責務

民放でまともな科学番組が流されることはまれだ。血液型性格診断のような「つくり話」を、科学的であるかのように扱う。
[中略]
血液型性格診断とは,1人の作家(断じて科学者ではない)の思いつきの産物なのだが,日本と韓国ではなぜか本気で信じられている。他の国では相手の血液型を聞いて性格の議論などをしたら,科学的素養のない知的レベルの低い人間と小ばかにされるのがおちだ。

 そして、「春秋」と同様に、売れ行きを考慮するのかマイノリティのB型とAB型は負のイメージを描くとあり、ここでもマイノリティ差別の話題が否定的に取り上げられています(ところで、作家であるがゆえに科学的じゃないというような書き方は、「マイノリティ差別」にはならないのでしょうか?)。論調から判断すると、どうやら「春秋」と同じ執筆者の可能性が高いようです。このコラムでは、「日経サイエンス」らしく(?)、最後はこう締めくくられています。

相手にするのがばらしくても,科学者は反科学的な言説の拡大や浸透を防ぐ責務がある。神と闘って科学の思想を得た欧米の科学者に比べ,西洋から科学をいただいた日本の科学者にその意識が薄い,と感じるのは私だけだろうか。

 私はこれを読んで笑い出してしまいました(失礼!)。前半の主張と後半の主張は全く矛盾しているように思えます。なぜなら、欧米の多くの科学者は(今でも)「神」や「宗教」を信じているからです。科学者は、「神」や「宗教」を信じてはいけないのでしょうか? それとも、「神」や「宗教」は科学的なのでしょうか? これに対して、日本の科学者の多くは、「初詣」や「苦しいときの神頼み」はするとしても、意識的に「神」や「宗教」を信じているのは、どちらかというと少数派でしょう。というわけで、塩谷さんのこの記述が正しいとは思えません。そう思うのは私だけでしょうか?

#この記事には、「非科学的」なものは「頭から信じない」という明治的啓蒙主義の悪影響があるようですね。:-p

 同様に、本文中には矛盾すると思われる表現があるのですが、ABOFANは神や宗教には立ち入らないので、このへんで…。興味がある人は、井沢元彦さんの「ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座」を読んでみてくださいね。なかなか勉強になる本です。

■おまけ3−NHK人間講座

 NHK人間講座(2004年12月〜2005年1月期)で、「だます心 だまされる心」を放送しています。講師は、立命館大学教授の安斎育郎さんです。

 安斎さんは、最近の著書「科学と非科学の間(はざま)」(平成14年 ちくま書房)で、血液型性格占いを否定的に取り上げています(50〜54ページ)。念のため、もう一度読み直してみました。否定の根拠として、大村政男さんのFBI効果の解説をどこかで読んだ記憶があったのですが、(なぜか?)この本には書いてありません。あれ、おかしいなぁ。どころで読んだんだろう? 昔の本にはあったと思うんですが…。
 代わり(?)に、「血液型はABO式だけではなく…全ての血液型が完全に一致する確率は、6000億分の1より小さい」とあり、同じ血液型の人は存在しないため、学問的には根拠がない、と片付けられています。しかし、他の人ならともかく、これでは否定の根拠にならないことは、安斎さんクラスのレベルの人なら重々承知のはずです(統計の否定になるし、脳神経系に発現する血液型はABO式血液型などに限られているので)。なぜ、否定の根拠を明確にしないでしょうか?? はて?

 そのせいかどうかしりませんが、NHK人間講座では、「占い」の部分がバッサリ切り捨てられています。「血液型性格占い」も全く触れていないようです(少なくともテキストには全く記述がありません。ちなみに、「科学と非科学の間(はざま)」にあった占星術や風水などもなくなりました)。「こっくりさん」だけは例外のようで、「科学と非科学の間(はざま)」では「占い」に分類されていたのですが、「霊」に分類されて詳細に説明されています。

 理由は不明ですが、ページ数の関係なのでしょうか?

 血液型に触れるとまずいので「占い」の部分を削り、それでは少し不自然なので占星術や風水などもやめて、代わりにこっくりさんだけ「霊」として残したのでしょうか? まぁ、考えすぎでしょうが、ちょっと気になりますね。あるいは、「占い」を否定すると視聴率が下がるから、すべて触れるのを止めたのでしょうか? 民放ならともかく、NHKだからたぶん違うと思うのですが…。本当はどうなのでしょうか?

【その後の状況】--H17.1.27追記

■そして心理学者が全員沈黙?

 『AERA』の平成17年1月24日号(発売日は1月17日)の16〜19ページに、「B型をいじめるな」として、否定的ともとれる記事が掲載されています。

 この記事では、心理学者で登場するのは信州大学助教授の菊池聡(きくちさとる)さんのたった1人だけです。しかも、直接の取材ではないらしく(?)、著書である『超常現象の心理学』の解説だけが記事になっています。もちろん、大村政男さんは全く登場しません。

 結局、直接取材に応じた心理学者はただの1人もいなくなってしまいました(!)。本当の理由は不明ですが…。

 実は、この『AERA』の記事は、極めて不思議な内容となっています。単純ミスとは言えないものも見受けられるようです。

 そこで、もう一度よく読んでチェックしてみました。掲載されている写真は(『週刊朝日』と同様)テレ朝の血液型スペシャル番組のものと思われます。ただ、局名は写真だけでは読み取れないので、どの局かはわかりません。ところが、本文中にはテレビ番組がBPOに批判されているとだけあり、テレ朝の番組もBPOに批判されているのにも関わらず、本文中にはその部分は何も出てきません。更によくよく読んでみると、単に否定的なコメントを多く掲載しているだけで、記者や記事自身が血液型を否定しているとはどこにも書いていないようです。

 これでは、なんだかさっぱりよくわかりせん。朝日新聞本紙では割と血液型に好意的なのですが…。はて?

 更に問題なのは、記事の内容に正確でないと思われる記述が多いことです。

 例えば、東京都老人研究所の遠藤玉夫(えんどうたまお)さんは、「世界中の人の性格が4種類に分けられ、同じ血液型の人は同じ特徴をもつということは、考えにくいですね」と述べているそうです。また、糖鎖の専門家である大阪大学教授の谷口直之さんは、「性格がたった1種類の遺伝子で決まるというのはどうでしょうか」と話しているとあります。

 そして、『バカの壁』で有名な養老猛司・東大名誉教授も、

 体は、人によって異なる遺伝子の組み合わせによって決定された個性を持つ。血液型の遺伝子の働き方は、ほかの約2万の遺伝子がどのようなものかによって違ってくる。さらに環境の働きかけによっても異なる。だから血液型性格診断といわれると私は一人で怒り出します。
 血液型診断がはびこるのは、人の性格はいったん血液型で決まると変わらないという前提なんです。若い人は、どうせ私はバカだからとか、私はお父さんとは違うからと、自分が変わらないと考えることが多い。人は変わるのに、そんな固定的する考えが広まっていますね。

[注:ちなみに、最近のサイエンス日本版では、DNAには遺伝子以外の情報も存在し、遺伝子以外にそれらの影響もあるかもしれないという解説があります。そうだとすると、「遺伝子の組み合わせによって決定された個性」という文章は、厳密には正しくないことなります…。]

 というインタビュー記事が掲載されています。しかし、これら3人の意見は、菊池さん自身によって明確に否定されている(!)のです…。

  • 菊池聡さん 不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ−後編 月刊『百科』 平凡社 平成10年3月号 28〜29ページ (太字は私)

 ただ、最近は血液型性格判断を撲滅しようという意識ばかりが先走って、適切でない批判をする人も散見される。よく聞くのは「多様な人の性格が四つになんか分けられるはずがない」という批判である。しかし「何らかの基準によって四つに分ける発想」自体には本質的に問題はないのである。もちろん境界線上であいまいに分類される欠点はあるが、この発想自体は心理学でも類型論という考え方で受け入れられている。…血液型性格学への批判は確かに重要だが不適切な批判で満足しているとすれば、それは非論理性という点では相手と同じ穴のムジナになりかねないことに注意しなければなるまい。

 菊池さんに取材をしたのかどうかわかりませんが、記者は菊池さんの主張に気が付かなかったのでしょうか?

 それだけではなく、不適切と思われる記述は他にも見受けられます。

 例えば、H型の糖鎖を持つのは、O型だけでなく、A型、B型、AB型も持っていますが、それらが明確にわかる記述はありません。従って、読者に間違った知識−−A型、B型、AB型にはH型糖鎖がない−−を植え付ける危険性があります。

 また、「谷口教授によれば、この酵素[注:糖転移酵素]は脳神経細胞では働いていない。性格と関係が深いと考えられる脳神経で働いていないものが、性格を決定づけるとは考えにくい」とあります。しかし、酵素がなくとも、血液型物質が(脳)神経細胞に存在することは確かです(この事実は多くの研究者が指摘しています)。従って、血液型物質が(脳)神経細胞に存在するのですから、谷口さんの論理によると、「(脳)神経細胞に存在するものは、性格を決定づけると考えやすい」ことになります(本当かな?)。いや、血液型物質が(脳)神経細胞に存在しようがしまいが、性格に影響を与えるはずがない、ということなら、谷口さんの発言は初めからナンセンスということになります。更に、糖転移酵素は、成人の脳はともかく、胎児の脳には大量に発生しているらしいのです。

Red_Ball12.gif (916 バイト)糖鎖の違いと性格

 血液型人間学メーリングリストでの議論で、主催者である鹿児島大学の板倉さんから、なかなか説得力のある説明がありました。それによりますと、糖鎖の違いと性格には関係があるかもしれないのではないかということです。ただし、ABO式血液型糖鎖で性格が違うかどうかはまだ未解明のようですが。次からが引用です。

 最近、と言いましても1994年くらいに発行された糖鎖関係の書物を読んでいますと、糖鎖研究は、私の学生時代には想像もしなかった展開を見せているようです。
 20年も前は、血液型物質と気質の関係について私に可能性として考えられたのは、

神経伝達物質やホルモンの「受容体」の作用に対して周辺の糖鎖がなんらかの影響を与える可能性

程度でした。(ま、それはそれでおもしろい面もあるので、■興奮と脱感作 としてこのメールの最後につけておきます。)

 さて、昨年、久留米大の先生にABO式血液型を決定する遺伝子について講演していただいたとき、その遺伝子が、

神経、筋肉、骨

において、胎児期に大量に発現しているということを伺いました。実は、わたしは、「脂肪組織、筋肉、骨、ではどうですか?」と質問したのすが、上記のようなお答えでした。脂肪組織の方は、わからない、ということでした。神経(脳を含む)は、われわれとしては当然ですね。
この答えが、わたしの予想にあまりピッタリだったので少し驚きましたが、「胎児期」というのにひっかかりました。う〜ん。「発生」について勉強して、仮説も練り直さないと。。。と思ったわけです。

 しかし、昨日届いた 日経サイエンス 糖鎖と細胞 の中の「神経系の糖脂質による細胞認識」は、なかなかエキサイティングなものでありました。
動物の糖脂質であるスフィンゴ糖脂質の中でもガングリオシド(末端にシアル酸がついた酸性糖脂質)の話しではありましたが、糖脂質が神経系の発生、シナプス形成において重要な役割を果たしている、ということなのです。

脳の複雑な機能は、脳細胞(神経細胞)の複雑な神経回路網によるわけですが、その回路網の接続部分がシナプスです。

 ただし、ガングリオ系ではなく、ラクト(ネオラクト)系糖脂質である血液型物質が、上記の事柄に関与しているとは書かれていません。
「単なる糖鎖が。。。」という否定の言葉は、これで笑いとばせるのですが、「単なるラクト系スフィンゴ糖脂質が。。。」と言われると、ま、「まだまだこれから。。」と答えるくらいしかないかもですね。(^^;

ガングリオ系とラクト系は、糖鎖の大きさや複雑さにそんなに差があるわけじゃないですけどね。はしっこに、酸性のシアル酸がついていることが一番の差のようです。また、ラクト系にシアル酸がついて、長糖鎖ガングリオシドというのができることもあるようです。

長くなりましたので、また。m(_ _)m

■興奮と脱感作

 例えば、アセチルコリン受容体については、分子レベルの研究がかなり進んできました(おなじ遺伝子スーパーファミリーに属すると考えられているセロトニン受容体なども同様のようですが)。α、α、β、γ、δという5つのサブユニットが細胞表面で輪を作って中央に穴(閉じたり開いたりするチャンネル)ができています。

 特命リサーチでも出てきましたが、神経細胞と神経細胞の接合部であるシナプスにおいて、神経終末から放出された神経伝達物質が次の神経細胞に届くと、この受容体に結合します。そうすると、チャンネルが開いて、Naなどのイオンが流入し、興奮へとつながるわけです。

 神経細胞の種類、性質によって神経伝達物質が異なり、それぞれの受容体が存在し、流入するイオンの種類も違うようです。

 さて、ここで、この受容体には「脱感作」という状態がある、ということなのです。神経伝達物質がずっと存在していると、つまり刺激が長く続くと、受容体に神経伝達物質が結合しているのにチャンネルが開かない、つまり刺激に反応しなくなっちゃう状態です。むちゃくちゃ興奮し続ける危険性を回避しているわけですね。

 さてさて、能見さんの本に出てくる、血液型別興奮曲線ですが、この脱感作となんらかの関係があると思われませんか?

  • O型は、一度興奮しだすと(あがったりすると)収まらない。
  • A型は、普段はO型ほど安定しているわけでもないが、興奮の後、開き直って安定する。
  • B型は、喜怒哀楽も激しい方であるが、AやOのような興奮状態がない。
  • AB型については、能見さんは2つの波を重ねてかいていますが、B型同様、AやOのような興奮まではいかない? 突発的感情変化、というのはよくいわれますが。

 上の、A型の開き直りって「脱感作」そのもののような気がするのですが。。。
ただ、成人の神経細胞に、ABO式血液型糖鎖がどれだけ存在しているのか(胎児では、ABO式血液型遺伝子が大量に発現しているということではあるが)はたまた、存在しているとして、それがどれだけ受容体の作用に影響できるのか、情報不足、未解明、の部分が多いですね。

 なお、ABO式血液型の研究者から、こういう意見をいただいています。

赤血球や血管内皮のフコース転移酵素(ABO式血液型物質を作る働きを持つ酵素)はFUT1という遺伝子産物であるが、胎児期の脳に発現している可能性か大きい。

 ですから、脳の発生の時期(性格?)に何らかの影響を与えていることは完全には否定できないと思います。 -- H10.6.28

 胎児期の脳というのは重要です。最近話題になった「性同一性障害」は、体と脳の性が違う(と自己に認識される)という障害ですが、原因としては胎児期などにホルモンバランスが崩れ、体と脳の性の不一致が起こるという説が有力です。つまり、胎児期の影響は成人まで残る場合があるのです。

 ま、本当のところはどうなのかわかりませんが、少なくとも「谷口教授によれば、この酵素は脳神経細胞では働いていない。性格と関係が深いと考えられる脳神経で働いていないものが、性格を決定づけるとは考えにくい」と言えないことは確かです。逆に「性格を決定づけると考えられる」の方が自然であるとさえ思えます。

 ちなみに、菊池さんはこのようにも言っています(引用前掲書)。

 血液型が性格に影響を与えるメカニズムが明らかでないことを批判点として挙げる人もいる。説明原理の不在は科学理論として決して望ましいものではないが、現実に承認されている他の科学理論にも詳しいメカニズムが不明なものはある。メカニズムを解明しようとしない血液型学の提唱者を批判することはできても、理論自体をこの点だけから批判するのはフェアではない。

 また、この記事の中には、国立遺伝学研究所の斎藤成也さんのインタビューがあり、次のようになっています。

 関連あると思わない

 血液型の進化について研究した斎藤成也(さいとうなるや)・国立遺伝学研究所教授によると、チンパンジーにはB型がない。ヒトと類人猿の共通祖先はA型で、ヒト、ゴリラ、ヒヒそれぞれ独立にA型から変異してB型が生じた。斎藤教授は、しばしば血液型と性格の関連について聞かれることがあるというが、
「関連があるとは思わない」
 あえて主観的な表現にするのは、科学的に「否定」する難しさを知っているからだ。何かが「ある」ことを証明するなら一つの例を示せばいいが、「ない」と証明するのは莫大(ばくだい)な時間とコストがかかる。
 1000万調べて否定しても、1000万1個目に肯定例が見つかるかもしれない。「思うだけは、私の思想の自由です」として、それ以上の議論をするつもりはないという。

 しかし、これに対して、斎藤さんの著書『ゲノムと進化』では、

 ここで、日本の中でよく話題になる、性格とABO式血液型の関連性について、私の考えを述べておきたい。第一に、「性格」を科学的に定義するのは簡単ではない。このため、これまでに性格とABO式血液型のあいだの関係を調べたとする研究がたくさんあるそうだが、それらはほとんどその結果がうたがわしいらしい。少なくとも私は[性格とABO式血液型の関連性について]全然信じていない。ただ、両者に関係があるという可能性を頭から否定するのも、科学者の態度ではないと思う。否定するにはそれなりのデータが必要だが、それもないようだからだ。ABO式血液型の型物質である糖鎖は赤血球だけでなく、多くの細胞表面で見いだされる。性格に深くかかわると思われる脳神経系の細胞にもABO式血液型の型物質がその表面にあるかもしれない。だとすれば、血液型の型物質の違いが、性格とはいわないまでも、なんらかの脳神経系の活動に影響を与える可能性はあるだろう。このように、可能性は自由に広く考えておくべきだと思う。
(ゲノムと進化 ゲノムから立ち上る生命 p142〜143 H16.9)

 ここからは私の体験に基づく推測です。たぶん斎藤さんは、取材で『ゲノムと進化』と同じ趣旨のことを言ったのでしょう(たった数ヶ月で意見が変わるはずがないので…)。しかし、AERAの記者は否定的な記事を書くことが目的(?)だとすると、「関連があるとは思わない」という発言だけを記事にした可能性もあります。本当はどうなのでしようか?

 以上、『AERA』の記事の不思議な点を指摘してみました。皆さんはどう思いますか?

■おまけ

 『朝日新聞』平成17年1月22日号(12面)に、聖徳大学講師(社会心理学)山岡重行さんのコラムが掲載されました。そのメイン部分を抜粋します。

◆血液型 性格診断で「差別」やめよ
 1300人の大学生について、血液型性格診断についての知識量や診断を確信する度合いを調べたデータがある。血液型性格診断では、例えばAB型を「気分にむらがあり二重人格」と見なす。調査では、自分の性格をこのように血液型で認識する傾向は、血液型性格診断の知識量が多く確信度も高い一部の学生に限られていた。多くの学生は、血液型と自己の性格の関連性を結びつけて考えてはいなかった。
 つまり、「血液型による性格の違い」は、マスコミなどから与えられた血液型性格類型をうのみにした一部の人たちの強い思い込みではないかと考察できた。

 しかし、この考察は、必ずしも正しいとは思いません(詳しくはこちら)。

 ここで目立つと思われるのは、「自分の性格をこのように血液型で認識する傾向は、血液型性格診断の知識量が多く確信度も高い一部の学生に限られていた」という文章です。つまり、一部だが明確に「統計的に差がある」ことになります! 他の学生は「差がない」のですから、全体では(サンプルさえ十分に大きければ)必ず「統計的に差がある」ということを認めてしまったことになります。

 つまり、ほとんどの心理学者が以前から主張していた「統計的な差がない」という前提は完全に崩れたことになります。:-p

 ところで、こんな重大な変更(?)に、学会では何の論争もなかったのでしょうか? はて?

【その後の状況】--H17.2.7追記

■そして心理学者が全員"転向"

 『週刊文春』の平成17年2月10日号(発売日は2月3日)の46〜48ページに、『「血液型占い」どこまで根拠があるの?』として、血液型の記事が掲載されています。

#文藝春秋の本誌の記事はこちらにあります。

 この記事でわかるのは、血液型が老若男女を問わずウケがいいということです。ですから、差別と考えている人は(全くゼロとも思いませんが)ごくごく例外ということが、図らずも明らかになってしまったようです。

 現在の[血液型]ブームの原因は、何と言ってもテレビだ。何せ血液型を扱ったテレビ番組は、昨年だけで70本以上が放送された。民放局の制作関係者が打ち明ける。
「血液型を取り上げた番組は、老若男女に幅広くウケるのがミソ。他の占い番組では中高年層の男性の支持を得られないが、血液型だけは食いつきがいいから、視聴率が稼げるんですよ。」

 さて、この記事は割と珍しく(?)否定論と肯定論の両論併記となっています。しかも、今までほとんど沈黙していた(血液型と性格で)メジャーな心理学者が総出演(?)しています(大村政男さんだけが、なぜかいません…はて?)。

 記事を読めばわかりますが、彼らのほとんどが以前から主張していた「統計的な差がない」という前提は、既に完全に崩れているようです。つまり、統計的に差があることを、ほとんど全員が(少なくとも暗黙に)認めていることになります。

#記事には明確にそう書いてありませんが、「統計的に差がある」ことを無条件に認めていることはあまりにも明らかだと思われます。

 例えば、信州大学人文学部の菊池聡助教授(心理学)は、インタービューに

「…物事は『ない』ことを論理的に証明することは無理で、『血液型と性格の間に関係がない』とは証明できません。だからといって、『血液型で人間関係や相性を判断できる』と結論づけるのは早計です」

 と答えているようです。実は、この文章には、(意図的かどうかは知りませんが)トリック(?)があります。なぜなら、菊池さんは、以前にこう書いていたからです。

  • 菊池聡さん 不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ−後編 月刊『百科』 平凡社 平成10年3月号 28〜29ページ (太字は私)

 ただ、最近は血液型性格判断を撲滅しようという意識ばかりが先走って、適切でない批判をする人も散見される。…
 また「A型なのに、ぜんぜん凡帳面じゃない人はいっぱいいる」というように、血液型性格学に対する反証例を挙げる批判法。これも「身の回りの人が当てはまるから信じる」というのと同じ誤った考え方である。血液型学に限らず、おおよそすべての性格理論は統計的なものであって、集団全体の傾向としてしかとらえられない。たとえば筋肉を使った運動能力は女性よりも男性の方が優れていることに誰も異論はな いと思うが、それでも特定の男性を取り上げれば、平均的な女性より力が弱い人はざらにいるだろう。必要なのは個々の事例ではなく、統計的な事実なのである。
 いずれにせよ、血液型性格判断はなぜ虚偽なのか、これは提唱者が言うような性格の差が、現実に信頼できる統計データとして見あたらないという点につきる。血液型性格学への批判は確かに重要だが不適切な批判で満足しているとすれば、それは非論理性という点では相手と同じ穴のムジナになりかねないことに注意しなければなるまい。

 いうまでもなく、「血液型で人間関係や相性を判断できる」のは、個々の事例です。菊池さん自身が書いているように、必要なのは個々の事例ではなく、統計的な事実なのです!

 では、菊池さん自身は、「統計的に差がある(有意差がある)」と考えているのでしょうか? 記事には明確には書いてないようですが、「統計的に差がある」と判断していることはほぼ確実です。なぜなら、この記事のインタービューでは「統計的な差がない(有意差がない)」とは菊池さんは(彼だけでなく誰も)答えていないからです。もし、血液型と性格に関係がないのなら、初めから「統計的な差がない」と言うに違いありません。しかし、なぜか「『血液型で人間関係や相性を判断できる』と結論づけるのは早計です」と答えています。不思議ですね?

 ここで注意しないといけないのは、「統計的に差がある」としても、必ずしも「血液型で人間関係や相性を判断できる」とは言えないことです。

 従って、何らかの理由で「統計的に差がある」にしても「血液型と性格に関係がある」とは言わない、というのが最も可能性が高いようです。要するに、菊池さんの主張はこういうことです。

  1. 血液型と性格は統計的に差がある
  2. 従って、血液型と性格は関係がある
  3. ただし、血液型で人間関係や相性を判断できるほどの差はない

 なぜ、1と2の主張を省いてしまったのかは謎です。(@_@)

 次に登場するのは、広島修道大学人文学部の中西大輔助教授(心理学)です。

 インタビューでは、こう述べています。

「…人の血液型と性格を実証データだけで調べただけでは、その差が本当に血液型によって生じたかどうかは分かりません。というのは、『疑似相関』や『予言の自己成就』が関係するからです。
 前者は本来関係のない事柄が見かけ上、[注:統計的に]関係があるように見えてしまうことで、…後者は、刷り込まれた通り行動することによって、実際にその通りの現象[注:血液型どおりの行動]を引き起こすこと。『A型は几帳面』と言われ続けたために『自分はA型だから几帳面なんだ』と思い込み、結果的に几帳面な行動が増える。…」

 しかし、ホームページにはこうあります。

 ちゃんとデータがある、とその科学性を主張している人もいます。しかし、それらのデータはいい加減な集め方をしていたり、統計的な検定に耐えうるものでなかったりして、信用できないというのが心理学者の立場です。

 もし、本当に血液型で性格が分かると思うのなら、自分の知っている人(血液型は知らない人)の血液型を当ててみてください。おそらく偶然的中率の3割程度も当たりません。半分以上当たる、と主張する人もいますが、やってみればそれが錯覚であると分かるでしょう。

 この2つの記述は矛盾しています。なぜなら、疑似相関が検出された、ということはその相関は「統計的な検定に耐えうるもの」ということですし(つまり「統計的に差がある」ということになります!)、本当にA型の几帳面な行動が増えるなら、それは錯覚ではありえません(幻覚ならまだわかりますが・笑)。

 どちらが本当なのかわかりませんが、最近の意見の方が正しいと仮定すると、ホームページの修正し忘れ(?)ということになります。はて?

 ちなみに、心理学では「人の血液型と性格を実証データだけで調べただけ」しかできませんから、この発言が事実だすると、心理学で血液型と性格の関係を検証することはできません(中西さんの記事中の発言は素人の立場からのもので、科学的なものではありません)、ということになってしまいますが…。本当にこう言ったのでしょうか?

 更に、岡山大学文学部の長谷川芳典助教授(心理学)は、「血液型性格判断に科学的な根拠があると仮定しても…」とさえ言っています。つまり、血液型と性格に関係があるかどうかは「わからない」ということです。ここでも、あえて「科学的な根拠」と言っているのですから、「統計的に差がある」のは無言の前提(?)ということになります。

 以上のことから、(血液型と性格で)メジャーな心理学者は、すべて「統計的に差がある」という意見に“転向”してしまったことになります。

 私も過去に同じような内容のことを何回質問しても無視されてしまったのですが、さすがに雑誌記者はインタービューのプロのようで、相手の回答を引き出すのは素人なんかより何枚も上手なようです。心理学者と記者の皆さん、どうもありがとうございました。m(._.)m

 ところで、この記事の結論は振るっています。

 民間療法対大学病院の医療システムのようなもので、両者が同じ土俵に立たないまま、互いの見解を主張しあっているのが現状のようだ。

 「民間療法対大学病院の医療システム」は、どちらが正しいか分かりませんからねぇ(この記事は『週刊文春』のものであることに注意!)。真偽には記者もサジを投げたのでしょうか?

#ただ、少し勉強すれば「同じ土俵」に立たせることは可能です。
#この記事では、残念ながらそこまでのサービスはしていません。

 最後に、立命館大学の佐藤達哉助教授(心理学)の言う「ハラスメント」の危険性を引用しながら、「やはり、酒席のネタ程度に留めておくほうがいいのかも」と締めています。

 ただ、この結論は必ずしも適切ではありません。なぜなら、科学的な根拠があるならハラスメントも構わない、ということではないからです。ハラスメントと科学的な根拠は全く別な問題でしょう。やはり、長谷川さんと同じく、たとえ血液型に科学的な根拠があるとしてもハラスメントはいけない、と言うべきだと思いますが、いかがなものでしょう?

 余談ですが、この記事で佐藤さんは、「4つの類型はちょうどいい枠組みで、確率的にも4分の1は当たるわけです」と言ったありますが、これは明らかに間違いです。本人がそう言ったのか、記者がこう書いたのか分かりませんが…。なぜなら、A型と言えば38.1%の確率で当たるからです。

 実は、もう一つ明らかな間違いがあります。それは、「そもそも、血液型と性格の関連性は、昭和2年に現・お茶の水女子大学の古川竹二教授が初めて提唱した」という部分です。これは、皆さんご承知のように、大正5年(1916年)の医師の原来復らが最初です。

 いずれにせよ、間違った内容の記事がそのまデスクを通ってしまった訳で、最後にガックリきてしまいました。そのレベルで血液型を「民間療法」と言われてもねぇ…。orz...

 皆さんはどう思いますか?

【その後の状況】--H17.2.28追記

■読売新聞 平成17年2月23日 生活フォーラム:大手小町

 2月のテーマは「信じる?血液型の性格分類」で、2月17日締切でした。 →詳しくは生活フォーラム:大手小町 2月のテーマ「信じる?血液型の性格分類」 2月17日締切 →詳しくはこちら

 結果は、2月23日の読売新聞に掲載されました。ただし、インターネットの全意見はホームページしか掲載されていません。

 面白いのは、読売グループは、血液型にやや否定的なことです。テレビも他の民放に比べて取り上げ方が控えめだったのですが、新聞だとハッキリします。ライバル(?)の朝日・毎日新聞は(割と?)肯定的な取り上げ方だったのが好対照です。

 例えば、見出しはこうなっています。

 10年周期、流行は日本だけ
 「話題」「遊び」、意外に冷静
 投書484通 「非科学的」23% 「信じる」17%

 これを読んで、ちょっとおかしいなあと思った人は鋭いです(笑)。例えば、「流行は日本だけ」というのは間違っています。韓国では、

  • 平成17年2月4日付け朝鮮日報(日本語版)

『B型の彼氏』 神話エリックとシン・ヘソン絶賛「面白すぎる」

 3日に公開されたイ・ドンゴンとハン・ジヘ主演の映画『B型の彼氏』を見た後の反応だ。

 最近、ソウルの江南(カンナム)区・三成(サムソン)洞COEXの映画館メガバックスで開かれたVIP試写会に出席したエリックらは、主人公のヨンビン(イ・ドンゴン)の予測不可能な行動とハミ(ハン・ジヘ)の可愛さ満点の演技が大爆笑を誘い、笑い涙が止まらなかった。

 エリックは、「映画が面白すぎる」とし、映画のヒットを断言し、シン・へソンも「内容も面白かったが、主演俳優のイ・ドンゴンとハン・ジヘの息がすごくぴったりで、お似合いでうらやましかった」と感想を述べた。

[中略]

 実際にB型男性でもあるキム・ジェウォンも、「B型男を悪くばかり描いていたらどうしようと心配した」とし、「でも逆にB型について良く評価してくれて良かった」と感想を述べた。

注1 神話は、SMAPのような、韓国では超有名なアイドルグループです。
注2 日本での上映権は、150万ドルで日本ヘラルドが獲得しました。

 とあるので、日本だけの流行ではありません。

 また、読者が「意外に冷静」で、投書のうち非科学的が23%とのことですが、これは問2の回答の分析結果からのようです。

問2 血液型による性格分類についてどう考えますか

  1. 信じる…17%
  2. 大人が話題として楽しむ程度ならいい…47%
  3. 非科学的なのでやめるべきだ…23%
  4. その他…13%

 実は、新聞上では投書のうち「非科学的なのでやめるべきだ」という内容のものしか紹介されていません!(インターネットでは、インターネットの全投書を紹介しています) また、「大人が話題として楽しむ程度ならいい」の投書の大部分は、実質的に「信じる」と同じ内容のものが含まれているようです(インターネットの投書内容からの推測)。したがって、広義の「信じる」は「非科学的なのでやめるべきだ」よりずっと多いらしいので、見出しから受ける否定的な印象とかなり違ってしまいます。はて?

 ところで、ここでは久しぶりに否定論者の佐藤達哉さんが出ています。

立命館大学文学部心理学科・佐藤達哉助教授の話

「血液型と性格の関係については、これまで数多くの調査が行われてきた。関連があるように見える場合もあるが、一貫した結果は得られておらず、なぜ血液型が性格を規定するのかという理屈もつかない。科学的根拠はないと言える。複雑な人間関係を単純化したいという思いの表れという側面もあるだろう。大人でも血液型についての話題を不快と感じる人は多く、慎重な態度が求められる」

 しかし、残念ながらこの文章も、他の心理学者からの反論があります。

 心理学者の菊池聡さんはこのようにも言っています(不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ−後編 月刊『百科』 平凡社 平成10年3月号 28〜29ページ 太字は私)。

 血液型が性格に影響を与えるメカニズムが明らかでないことを批判点として挙げる人もいる。説明原理の不在は科学理論として決して望ましいものではないが、現実に承認されている他の科学理論にも詳しいメカニズムが不明なものはある。メカニズムを解明しようとしない血液型学の提唱者を批判することはできても、理論自体をこの点だけから批判するのはフェアではない。

 また、大村さんの"転向"を受けて、何人かが「(小さいながらも)統計的な差がある」と"転向"しました。例えば、

 平成16年11月27日付「毎日新聞」

 立命館大の佐藤達哉助教授(社会心理学)によると、血液型性格判断は80年代にブームになった。学者らが「統計上の違いはわずか[だがある]。科学的には何も実証されていない」などと批判し、沈静化したが、再び雑誌などが取り上げ「大衆の常識のように定着してしまった」という。

 平成16年12月4日付「ZAKZAK」

思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。

 平成16年12月22日付「じぶん更新日記」(長谷川さん)

●TBS系 
ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!本当の自分&相性探し来年は開運スペシャル 

の放送が予定されているという。 

[中略]

「番組のみどころ!」には 
ホントに血液型と性格に関連性はないの!? 
という疑問に答えて、番組ではある心理テストを実施。ゲスト出演者を含め1000人が参加したこのテスト。集計の結果、血液型別に傾向が出たんです。 
ということだそうだ。そりゃそうだろう、
いろんな番組でこれだけしつこく「A型=几帳面 B型=マイペース」と言われれば、几帳面でないA型者も少しは几帳面になろうと努力するかもしれないし、B型者は「どうせオレはマイペース。やりたいようにやるさ。」と居直るかもしれない。他者への偏見ばかりでなく、自分自身の行動もそれにあてはめてしまう。じっさい、ZAKZAKの12月4日記事には
...思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。 
という引用もあるくらいだ。

 ※太字と[]内は私が追加

 それにしても、読売新聞はなぜ肯定・否定の両論併記の形を取らなかったのでしょうか。はて?

■日本経済新聞 平成17年2月25日 生活面コラム:私もひと言

 読売新聞に続き、日本経済新聞でも血液型の意見を募集しました。

生活面コラム:私もひと言 『血液型で性格判断』 →詳しくはこちら

 募集した意見は、2月25日の本紙に掲載されています。見出しからです。

結構当たっている/体のいいいじめでは

 しかし、不思議なことに、肯定的な「結構当たっている」と否定的な「体のいいいじめでは」との投書数の割合が書いてありません。たぶん、前者の方がかなり多いはずなのでが。:-p

 また、紹介されている投書は4通ですが、否定的な意見が3通で、肯定的な「結構当たっている」という投書でも「血液型だけで人を色眼鏡で見るクセかも。危険?」とあり、全面的な肯定ではありません。

 不思議ですね。はて?

■おまけ 『創』 平成17年2月号

 香山リカさん 「こころの時代」解体新書 血液型と思い残し症候群

 香山リカさんの、ややシニカルな見方が紹介されています。以前は割と肯定的だったのですが…。

Red_Ball12.gif (916 バイト)to be continued...

 時間がなくなってしまったので、続きは次回に…。しかし、今後の成り行きが注目されますね!


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最終更新日:平成17年2月28日 [H28.10.2モバイル用に微修正]