平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

No96-4              webへいき連              2023年 3月

NTT春闘要求 「2%+10万円」の怪???

 NTT労組の今春闘の要求は「2%+10万円」ということになりました。
 連合も情報労連も「3%(定昇分込みで5%)なのに、なぜNTT労組は「2%」なのでしょうか? なぜわざわざ「1%」引き下げ る必要があるのでしょうか? すべての労働者が連帯し統一して闘うのが春闘だったのではないですか? もっとも、「3%」であれ 「2%」であれ、こんな要求では急騰する物価上昇にぜんぜん追いつけませんし、実質賃金のさらなる切り下げにしかなりません。こん な低水準の要求を決定するということは、僕たち組合員の切実な「大幅賃上げ」の要求を抑えるためなのか、と勘繰ってしまいます。
 「生活防衛への措置として10万円(年間)」を要求しているからいいじゃないか、と言われるかもしれません。たしかに10万円は 魅力ですし、もらえればうれしいです。しかしこれは、月例賃金(基本賃金)の引き上げではなく、一回こっきりの一時金にすぎません。 しかも、月例賃金要求の引き下げ(5%→3%)というのはどうしてなのでしょうか? 組合員の生活改善を本当に求めるのであれば、 月例賃金(基本賃金)の引き上げを求めるのが正道なのではないでしょうか?
 もう一つ分からないことがあります。「2%」と言っても、正社員のそれは月例賃金(基準内賃金と成果手当)で、僕たち契約社員は 「年間収入の2%」なのです。なぜ僕たちは正社員のように月例賃金ではないのでしょうか? 非正規社員の月例賃金の引き上げは必要 ないというのでしょうか? 同じ組合員なのに、これは「差別」ではないでしょうか? これでは賃金格差がますます拡がってしまうの ではないでしょうか?
 このように、僕たち組合員に理解できないことがたくさんあります。「総合的に勘案し」などとごまかすこと(?)なく、僕たちに納 得できるような「丁寧な説明」を、組合の役員の皆さんに求めたいと思います。

2月15日   迷える子羊

23春闘に隠れて進む雇用大改革

 年頭会見で「今年は賃上げをなんとしても実現する」と強調した岸田首相、通常国会冒頭の施政方針演説で次のように語った。 「リスキリング(学び直し)による能力向上支援、日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を進めるという三位一体の労働 市場改革を加速します」

産業構造の転換  NTTは、2021年9月「新たな経営スタイルの変革」として「afterコロナの時代を見据えて、様々な業務変革やDXを推進 するとともに、様々な制度見直しやIT環境の整備を進める」方針の下、「業務変革・DX事業構造」転換、「専門性の高い人財」の確 保、「ジョブ型人事制度」の導入を打ち出した。NTTグループ会社の再編成と同時に、「業務の自動化/標準化」を推し進め、「余剰 人員」は「リスキリング」をはかり、「新たな事業分野」「DX分野」へ労働移動(配置転換)する。
 4月から導入する「新たな人事賃金制度」はそのためのものに他ならない。「先にジョブ型人事を導入した管理職では抜擢人事・降格 人事もあった」NTT人事担当執行役員はうそぶく。

 まさに、岸田首相の言う「三位一体の労働市場改革」の先取り「NTT版」そのものではないか。
 「新たな経営スタイルへの変革」施策に、NTT労組本部は「新たな成長の柱を確立する重要な局面と認識する」と「全面的協力」方 針を決めている。わずかに「激変緩和」「会社責任」の諸条件をつけたところで、組合員に「円滑な労働移動」「リスキリング=職業の 能力開拓」しろと労使一体となって強制しているようだ。

 現在、NTTグループで働く労働者は50万人、組合員は15万人。リモートワークで働いている社員は3万人、23年度中に6 万人に拡大していく会社施策(東日本会社グループ)。新たな領域の業務に転籍・出向している組合員は今後さらに増大する。一人ひと りの組合員は孤立し、個別分断されている。働く者の声は労組に届かず、労働組合の弱体化がさらに進む?
 どうする、労働組合! 私たちの春季生活闘争をとりもどせ!

2月25日   音楽寺の鐘を鳴らせリ

NTT労組新聞拾い読み

「ストライキは階級闘争」

 1月31日、フランスでは政府の年金制度改悪案(受給開始年齢の62歳から64歳への引き上げ)に反対する大規模なデモが闘 われた。デモを主催した労働組合によれば参加者は250万人になるという。また国鉄職員や教職員はストライキに起ち上がった。
 イギリスでは、2月1日に交通・運輸・教師・公務員など公共部門の労働組合が、過去10数年で最大となる50万人規模のストをう ちぬいた。インフレ率が10%を超えているにもかかわらず、政府が提示する賃上げ率は2%。「スナクは給料上げろ!われわれは10 %を要求する」と声を上げているのだ。

 イギリス在住のプレイデイみかこ氏は、このようなイギリスの労働者・労働組合の闘いをNTT労組新聞(1月14日号)で詳しく紹介して いる。「ストライキは階級闘争」と題された報告で、氏は次のように述べてる。

 ところが、わが日本ではどうだろうか。「ストライキ」も「階級闘争」も死語のようではないか。30年間も実質賃金が低下し続 けているにもかかわらず、しかも今、猛烈な物価高騰が労働者に襲いかかっているにもかかわらず、「物価値上げ反対」「年金切り下げ 反対」「大幅賃上げ獲得」のデモもストライキもみられない。
 「3%(定昇込み5%)」という実質賃下げでしかない要求項目を掲げる連合には、困窮する労働者・組合員の姿が見えないのだろう か。芳野会長の「賃上げできる環境整備を」という主張は、岸田首相の「賃金が上がる構造をつくる」(構造的賃上げ)の言い換えでし かなく、賃上げを将来の問題へと間延びさせることではないか。日本経済と大企業の持続的な成長・発展のために、政・労・使三位一体 で協力していくというのが、連合の言うところの「未来づくり春闘」ではないのか。
 働く者の生活と利益のために闘うという労働者魂をなくしてしまった連合のリーダーたちは、イギリスやフランスのストライキ(=階 級闘争)を闘う労働者・労働組合から謙虚に学ぶべきではないか。働く者の今と真の未来を切り拓いていくために。

2月10日   天邪鬼