平和と基本的人権を守ろう!仲間たちの連絡会

 No91-5                   webへいき連                   2022年 9月

「停戦」拒否、「徹底抗戦」…はウクライナの意思、利益か?
大本営発表でない、独自の情報収集力と国際情勢の分析

       <シリーズ> 「非武装中立」のリアル ⑮

 暫らくの中断をお詫びし、再開です。世界は動き、情報が溢れ錯綜し、老いた頭の処理能力も限界に。稚拙な、舌足らずの文書、 紙幅の関係もあり、ご意見、ご不明の点など別途の機会、交流の場で…

◆旧ソ連、最後の最高指導者・ゴルバチョフ書記長が亡くなった。ウクライナ戦争、ロシアの侵攻の最中にである。ゴルバチョフ氏 は、核軍縮、冷戦終結の起点となった中距離核戦力(INF)全廃条約の生みの親であった。約30年続いたこの条約もすでに失効、核 の歯止めが次々と失われていく中で、ゴルバチョフ氏は「大量破壊兵器の根絶と、国際社会の信頼の回復」を引き続き挙げ、相互の信頼 に基づく交渉と対話の大切さ、可能性を訴え、活動した。
 ソ連が崩壊に向かう冷戦末期、「ゴルバチョフが政治と倫理を結び付けようとし、非暴力の方針を貫いた結果が、ベルリンの壁崩壊や 統一ドイツのNATO加盟にもつながった。その根本には、協調と相互協力の精神があった」と一方では評価をされる。半面、ソ連解体 の引き金を引いたとの評価がある。ゴルバチョフ氏の歴史的評価などは、別の機会にしたい…。

◆その旧ソ連邦と東西の壁崩壊からすでに30年である。いわゆるプーチンのロシアは、エリツィの後継として、社会主義崩壊と冷 戦構造終焉の中から生まれた。いまやロシアも英米も同じ穴の貉でしかない。同じ穴の貉が、ウクライナを舞台に対立、対決している。 ロシア誕生時の利権を巡る英国の介入をプーチンは強力に排除してきた。ここにきて、徹底抗戦を言う英国と勝利には懐疑的、困難とす る米国との立場の相違を指摘する見方もある。米中間選挙を境にバイデンの好戦的な対応にブレーキが掛かる可能性は十分にある。英国 だけではゼレンスキーの戦争を支え切れない。
 誰が主導した戦争か、侵攻か、なぜここまで長期化したのか、「即時停戦」を拒否、「徹底抗戦」を追求するのは英米勢力の事情で、 ウクライナ・ゼレンスキーの意思だけではないようにも見える。
 米国に従う、ドイツなどの経済的ダメージは深刻で、今後も続く。日本は、サハリン2の継承が許されたようだ。日本では、防衛省、 防衛研究所が戦況を分析、今後を解説する。こうしたマスコミ情報を頼りに、ことの背景や本質を知るのは大変ではあるが、見定めなけ ればこれからも「戦争」は意図的につくられ、ウクライナの惨状は繰り返えされる。かつて戦争プロパガンダ装置に変身したマスコミ。 大本営発表ではない、独自の情報収集と国際情勢の把握、一定の視点からの分析が必要だ。そうした我々を代表する政治勢力を育てなけ れば展望は開けない。交渉と対話の平和外交の推進はない。

◆以下、参考…ウクライナ戦争に関する作家・元外務省主任分析官である佐藤優氏の弁…
 「日本のマスメディアの報道や有識者の発言は、ウクライナや欧米諸国(特に米国と英国)からの情報の信頼度が高いという前提でな されている。対して、ロシア発の情報は操作されたものと受け止められ、まともな評価の対象になっていない。筆者は、欧米発であれロ シア発であれ、正しい情報もあれば操作された情報もあると考えている。情勢を分析する上で、善悪、好悪の判断を一旦括弧(かっこ) に入れて、ロシアの内在的論理を捉えることが重要と考えている」       <続> 

       2022年 9月 9日  北条 恒


  * ゴルバチョフの(歴史的)評価について、皆さんの見解・投稿をお願いします。       (編集委員会)

故ゴルバチョフの写真 ◆今、世界では、核への歯止めが次々と失われている。核軍縮、冷戦終結の起点となった中距離核戦力(INF)全廃条約の生みの親で あるゴルバチョフは、「世界は今後、何を優先すべきか」の問いに、「大量破壊兵器の根絶と、国際社会の信頼の回復」を挙げた。(… 「核兵器はいつか火を噴く」、朝日新聞/2020年4月3日夕刊から…)

       「非武装中立のリアル⑩」(2020.04)

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