Q1. 相続人中に未成年の方がいる場合
A1. 相続人の中に未成年者がいる場合には、親権者が代理して遺産分割協議を行います。 ただし、その親権者自身も相続人
の一人として、協議に参加する場合には、未成年者と親権者の利害が対立してしまうため、この場合は親権者が未成年者を代理して協議をすることができません。
ではどうするのかというと、親権者の代わりに未成年者を代理する人(特別代理人)を家庭裁判所に申し立てて選任してもらい、その特別代理人が未成年者を代理して遺産分割協議に参加することになります。
Q2. 相続人中に海外に居住している方がいる場合
A2. 遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付することになりますが、相続人の中に、海外に居住している
(日本に住所がない)方がいる場合、その方については印鑑登録ができないため印鑑証明書が発行されません。この場合には代わりに遺産分割協議書の署名についての証明書(サイン証明書)を、その方の
居住地の日本領事館に交付してもらうことになります。
Q3. 相続人中に亡くなっている方がいる場合(代襲相続又は数次相続)
A3. 相続人が、被相続人より先に亡くなっている場合は、代襲者(子など)がいる場合は、その方が直接、被相続人を相続します。(代襲相続)
被相続人が亡くなった後、遺産分割をしないうちに、相続人の方が亡くなられた場合は、その亡くなられた相続人の方の権利は、さらにその相続人(亡くなられた相続人の配偶者、子など)に移転します。
この場合に遺産分割協議をする場合は、亡くなった相続人の相続人を含めて全員で話し合いをすることになります。(数次相続)
なお、被相続人が亡くなった後、遺産分割をしないうちに、相続人の方が亡くなられた場合に、その亡くなられた相続人に相続人がいない(相続人不存在)場合、このような場合には、
他の相続人等の利害関係人の申し立てにより、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、その相続財産管理人が亡くなられた相続人の代わりに遺産分割協議に参加することとなります
(家庭裁判所の許可が必要)。相続財産管理人は、法定相続分は最低限確保しなければなりません。
Q4. 相続人中に認知症などにより判断能力がないとされる方がいる場合
A4. 相続人の方が認知症等により、判断能力がない場合は、遺産分割協議や登記手続きの委任は、その方が自分ですることはできません。
そのような場合は、成年後見制度を利用する必要があります。家庭裁判所に選任された成年後見人が、その相続人(被成年後見人)の代わりに遺産分割協議に参加することになります。
なお、成年後見人は、遺産分割協議に代理して参加する場合、被成年後見人の法定相続分は最低限確保しなければならない等、被成年後見人の財産を守る必要があります。
Q5. 相続人中に行方が分からない方がいる場合
A5. 遺産分割協議は、相続人全員でしなければなりませんので、相続人の中に行方が分からない方(不在者)がいる場合でも、その方を
除外することはできません。 そのような場合には、まず、不在者の財産を管理する人を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません。(不在者財産管理人)
その後、不在者財産管理人を交えて、遺産分割協議をすることになります。(家庭裁判所の許可が必要です) なお、不在者管理人は、不在者の法定相続分は最低限確保しなければなりません。
Q6. 亡くなった方に相続人がいない場合
A6. ある程度の遺産を残して亡くなった方に、戸籍上相続人がいない場合や、相続放棄などにより相続人が不存在となった場合には、
その遺産を相続・管理する方はいないことになります。 しかし、亡くなった方がお金を借りていた等で債権者がいる場合、その債権者は請求の相手方がいないことになってしまい、債権が回収できません。
そのような場合には、その債権者などの利害関係人の申し立てにより、亡くなった方の財産を管理する人を家庭裁判所に選任してもらいます(相続財産管理人)。債権者は、選任された
相続財産管理人に対し請求することとなります。
Q7. 亡くなった方の借金など相続債務について
A7. 借金など、亡くなった方の債務については遺産分割協議の対象となりません。 相続人全員の協議で、相続人のうちの一部
の方が、亡くなった方の債務を相続する旨の合意をしたとしても、それを債権者が承諾しなければ債権者には主張できません。
Q8. 亡くなった方が遺言を作成していた場合
A8. 遺産の相続につき、遺言がある場合には、その遺言の内容に従って相続されることとなりますが、相続人全員の合意があれば
遺言の内容と異なる遺産分割協議も可能とされています。 ただし、遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の同意が必要となります。
Q9. 相続人の一部を除外した遺産分割協議
A9. 遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要となります。 一部の相続人のみの合意では遺産分割協議は
成立せず、無効となります。 ですので、戸籍を調査することにより相続人を確定することがとても重要となります。 なお、相続においては胎児は生まれたものとみなされ、
相続人となることも注意が必要です。(胎児の母親が代理して協議に参加します。)
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