観音寺について


観音寺は、神奈川県川崎市多摩区中野島にある天台宗の寺院で「無量山地福院觀音寺」と号し、江戸時代の初め寛文八年(1668年)法印良田の開基と伝えられております。開基には諸説あり、慶長十一年(1606年)に浄円、年代は不詳ながら僧観智との説もあります。
現在の本堂等の堂宇は、平成六年十月に再建されたものであります。

ご本尊は秘仏の「如意輪観世音菩薩」で、御丈三寸の坐像、慈覚大師作と伝えられており、如意宝珠と法輪とを自由に、意のままに使いこなして、人々の願いをかなえてくださる観音さまです。如意宝珠によって、意のままに財宝と福徳をもたらし、あらゆる願いをかなえてくださり、法輪によって、人々の煩悩を取り除いてくださいます。
お姿は一面六臂で、阿弥陀如来の化仏のついた宝冠をかぶっています。蓮華座の上で右膝を立てて、両足の裏を合わせる輪王座という特徴的な座り方をしています。
左手の一手は法輪をかざし、一手は印を結んで蓮華を持ち、一手は地をなでています。右手の一手は如意宝珠を持ち、一手は頬にあて思惟相を示し、一手は下に垂らして数珠を持っています。この六手によって、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)に迷う人々を救ってくださるともいわれております。
この他、救世観音・救世菩薩とも称され、良縁・子授け・安産・延命・除災などのご功徳もあります。
十二年に一度、午歳にお開帳があり、「準西國稲毛三十三所観音霊場」と「多摩川三十四ヶ所観音霊場」の二つの第六番札所となっております。

また、本堂内脇間には、室町時代後期作の「木造地蔵菩薩半跏像」、江戸時代作の「木造不動明王及び二童子像」、「木造閻魔王坐像」、「木造聖徳太子童形像」もお祀りされております。
境内には中野島村を開拓した古谷家の先祖を供養する宝篋印塔や六地蔵尊、水子地蔵尊などがあります。