東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ
万葉集に載っている柿本人麻呂の有名な歌である。
はるか昔、もし誰からも何も教わらなかったとしたら、自分には「時間」という概念があっただろうか?
ともかく、何回か繰り返せば「昼」と「夜」は認識するであろう。
明るい時間と暗い時間。明るさはどうやら太陽がもたらすのであろうことも。
太陽が昇る方向を東と呼び、沈む方向を西と呼ぶことにする。太陽は移動する。
太陽が昇って沈んでまた昇るまでを1と数えることにする。太陽の1。1日。
占いも星の観察から始まった。
西洋占星術の12星座は太陽星座である。生まれた瞬間に太陽が位置していた星座が自分の星座になる。
一方、日本最初の暦は、百済から暦法や天文地理を学ぶために僧を招き、飛鳥時代の推古12年(604)に作られたと伝えられている。
だが、これは太陽ではなく月が満ち欠けする周期に合わせた太陰暦である。
月。夜が暗かった時代、月の存在感は今よりずっと大きかったであろう。
また、その頃に伝わった陰陽五行という考え方が四柱推命や風水、はたまた長い間、健康や医学や暮らしの様々な考え方の基礎となっていた。