昨年に公表された「2011年建設産業の再生と発展のための方策」をより具体的に実現するための戦略会議が今年行われ、先日その内容が公表されました。
詳細は下部にあるURLの国土交通省HPをご覧ください。
専門工事業者の評価を行い、点数制を用いることで激化する価格競争に歯止めを掛け、重層下請構造の是正や不良不適格業者の排除、過剰供給構造(建設業数)の是正の効果が期待されています。
イメージとしては、まず公共工事において発注者が元請企業を選定するに当たって、その下請契約の相手方(下請業者)の評価(点数)も含めて適格性を評価していくことにより、元請企業は"安ければOK"という安易な下請業者の選択ができなくなります。
当然、元請企業は不良不適格業者への仕事の発注がなくなり、さらに元請企業自体に下請業者(孫、孫孫下請業者その他)の管理を強いることで重層下請構造が自然と是正されていくという算段です。この方策が公共工事において浸透していけば、おのずと民間の工事にも普及していくことでしょう。
社会保険等の法定福利費や技能労働者の育成費用など、将来的な建設産業に不可欠な経費を対象とした価格競争や固定費削減のための技能労働者の外部化、賃金の低下、これらの対策としての効果も期待されるところです。
この方策が実現していくと、建設業者が淘汰されていくことになります。社会保険加入等の法令遵守はもとより、技能労働者の雇用状況や施工実績等で企業の評価(点数)が向上し、それに伴い売上(仕事量)が増えていく。
有能な技能労働者は条件が良く評価が高い建設業者に所属し、建設業者は技術力や評価を上げるため技能労働者を確保する。
建設産業の近未来のイメージです。今後もこの動向に敏感に反応しながら乗り遅れることのないよう準備しておく必要があります。
≪ 評価(点数)の対象になる事項 ≫
・技能労働者の雇用状況
・施工の実績
・若年者の継続的な雇用や育成の状況
・保険加入等の法令遵守
しかし、評価の方法が具体化されてないので今の時点では何とも言えませんが、何においても公平に点数をつけ評価するということは容易なことではありません。仕事がら経営事項審査制度(建設業者が入札参加資格のために行う評価制度)を思い浮かべるのですが、同様な制度を新たにつくるとなると、その手続きは煩雑で多くのマンパワー(公私ともに)を要することになります。
建設産業の再生と発展のための方策2012 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000168.html