・映画「SEASONS」(2017年11月17日)
映画「SEASONS」を拝見しました。
「森は全ての命の源です。豊かな土壌を作りだし、きれいな水を生み出す森は生き物たちに糧を与え、命を育みます。緑の自然と動物たちが織り成す物語をちょっとのぞいて見ましょう。」
とのナレーションからはじまります。
動物たちの躍動感に圧倒されます。超小型カメラを動物たちに取り付けているようで、渡り鳥と一緒に大空を飛び、野生の馬と一緒に駆けます。
「森とそこに暮らす生き物たちはおたがいを助け合って全部が一つのつながりになっています。」
決してきれいごとではありません。食物連鎖の弱肉強食は残酷とさえ言えます。同時に見事なまでに美しい光景もあります。
厳冬の雪が降り注ぐ中、凍り付いた木の枝にナナカマドの小さな赤い実だけが成っており、思わず目を疑いました。命をつなぐ最後の非常食として鳥たちが懸命についばんでいました。
氷河期が終った2万年程前から約1万年、人類は森の一員として、野生動物たちと共存共栄していましたが、やがて森を伐採し、森と動物たちを支配しようとします。
「戦争で使う船は一隻造るだけでも3千本の木が必要です。
この時代の人間は自然や野生動物の大切さにまだ気付いていませんでした。知識がないから恐れ、恐れから排除したのです。」
大地から森が消えることで、人間の文明も滅び、砂漠が広がっていったと、耳にしたことがあります。
人間の文化と自然が調和した里山の成功例も紹介されていますが、さりげなく戦争で蹂躙されていく場面が重ね合わされています。
「一万年前、森はあんなに命に満ちあふれていたのにその面影はもうどこにもありません。人間の世界から自然をしめ出してもうたんです。でもそれで困るのは動物たちだけではありません。
このつけはいずれ人間にもまわってきます。
ほんまになんとかせんとあきません。」
人間が自然を支配して、利益をあげるために、生態系のバランスを崩壊させる大量の化学薬品が使用され、それがどういう結果を招くか、映像で暗示されていました。改めて自己の大罪の罪深さをかみしめるばかりです。
「地球は人間だけのもんやないんです。他の全ての生き物とこの世界を分かち合わなアカン。人間がもっと歩みよればお互い共存共栄できる空間をまた生み出せるはず。
今こそ、自然との間ができてしまった距離を縮める時です。もう一度、自然を受け入れましょう。
それが地球と地球の未来を照らす希望となります。」
歴史的人物としてブッダそのお方が語られたと伝承されている最古の聖典「スッタニパータ」のことばがいのちにしみます。
「いかなる生物生類であっても、怯えているものでも強剛なものでも、ことごとく、長いものでも大きなものでも、中ぐらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大なものでも、目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、すでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。」
2017年11月17日 井上嘉浩