◆『無性の結晶たち』 について
ジャン・コクトーの「恐るべき子供達」や、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」などを
夢中で読んでいた10代。
たくさんの感情とたくさんの未来に翻弄されて、自分の進むべき道さえもはっきりと
見えなかった頃、自分の全を誰かにわかって欲しいと叫んでいたような毎日の中で
描きためた作詩たちです。
カイという試験管ベイビーの男の子が、同性愛者の夫婦(夫々?かな)に育てられ、
家出した先でリコという純粋にセックスして生まれた女の子と出会い、別れていくまでの
ストーリーを頭の中で作り上げて描きました。
淋しく不安定な想いを、上手く扱えない多感な青少年少女をイメージして描きました。
クローン人間や体外受精・精子バンクの話題が次第にあがってきた頃でもあったので、
そういう科学的で機械的な世の中を反映するようなものを描いていたような気がします。
誰にでもあったと想いますが、自分の才能や将来・好きになる誰か・共鳴しあう気持ち・
危険な物事への恐れと憧れ…などが入り混じった多感な時代を、
自分なりの表現方法で殴り描いたものたちです。
少々ドロドロとした感のものもありますが、マニアな趣向で読んでくだされば
楽しめるかなぁ?? と想っています。
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