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糖鎖の基礎知識


ABO FAN


 ABO式血液型は、赤血球の血液型なのに対して、骨髄移植のときに問題になるHLAは白血球の血液型です。
 血液型は何十種類も発見されていて、赤血球の血液型では、ABO式の他にRh式、P式、MN式、Q式、Lewis式などが有名です。

 ABO式血液型は、赤血球の中にある物質ではなくて、赤血球の表面にある糖鎖で決まります(正確には、「ラクト系スフィンゴ糖脂質」だそうです)。
 そこで、糖鎖の基礎についてちょっとだけ詳しくなろうというのが、このページの目的です。もちろん、詳しいことは専門書を読んで勉強してみてくださいね。

02.gif (288 バイト)ABO式血液型と糖鎖の関係は?

ABO式血液型って何?

 竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』によると、次のようなものだそうです。

赤血球の表面には、びっしり毛のように糖の鎖(ガラクトースやN−アセチルグルコサミンのような糖がいくつも連なっている。根元部分は糖質かタンパク質に結合)が生えている。最末端の糖の並び方は、血液型によってちょっとだけ違い、それにより抗原しての性質も違う。

 血液型というから、てっきり赤血球に含まれる物質が違うと思っていたのですが、そうではないようですね。要するに、赤血球の生化学的性質(抗原抗体反応)が違うということのようです。また、

A型の赤血球表面にはA型とO型の糖鎖が本数にしてそれぞれ同じくらいずつ存在し、B型ならB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、AB型ならA型とB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、O型のみO型の糖鎖が存在する。

 のだそうです。つまり、どの血液型でもO型の糖鎖は存在することになるのだそうです。なお、学術的には、O型の抗原はH抗原と言います。つまり、ABO式血液型は、A型、B型、H型の糖鎖による抗原があることになります。

感染症と糖鎖

 実は、赤血球が外界と接する場合は、ほとんど糖鎖を経由しているのです。なにしろ、赤血球の表面はびっしりと糖鎖で覆われているのですから…。例えば、細菌やウイルスは、直接赤血球を構成するタンパク質に感染するのではなくて、ほとんどが赤血球表面にある糖鎖を標的にして取り付きます。その糖鎖の構造、つまり赤血球の血液型の違いは、細菌やウイルスの感染の仕方と密接に関わっていることが、最近の研究で明らかになってきました。

 例えば、胃がんや胃潰瘍の主因とされているヘリコバクター・ピロリ菌は、O型やLewis B型の糖鎖に感染しやすいのです。この他に、ウイルスではインフルエンザやエイズ、細菌ではコレラ、破傷風、ボツリヌスなどもそのようです。研究が進めば、これらのメカニズムがどんどん明らかになってくるに違いありません。つまり、竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』にあるように、血液型によって感染症への抵抗力には差があることが、感染のメカニズムの面からもわかってきたのです。

02.gif (288 バイト)糖鎖の研究って進んでいるの?

ポストゲノムと糖鎖

 では、糖鎖はなぜ重要なのでしょうか? 実は、生命現象で重要な役割を果たしているタンパク質は、そのままでは水に溶けません。だから、体内では糖鎖と結合して機能を発揮する例が多いのです。だから、糖鎖は生命にとって非常に重要な物質であることは確かです。ややオーバーな言い方かもしれませんが、糖鎖はタンパク質と同じぐらい重要であると言ってもいいでしょう。

 では、なぜこんな重要な物質の研究がなかなか進まなかったのでしょうか?

 糖鎖は、単純な糖が直線に連なるのだけなく、途中で複数分岐するなど(一直線であるDNAなどに比べると)非常に構造が複雑です。だから、分析するのが大変で、今まではあまり研究が進んでいなかったようです。(つまり、血液型物質の研究は、主に分析技術の問題から、今まではあまり進んでいなかったということです。道理で、血液型の教科書を読むと「ABO血液型物質の存在理由は不明」などと書いてあるわけですね…。)

 ところが、こんな状況に転機が訪れました。2000年は、ついにヒトのゲノム情報が解読されてしまったのです。しかし、生命現象はゲノム情報だけでは解明できないことが明らかになってきました。そこで、ポストゲノム研究として糖鎖が注目されているのです。

日本の戦略

 糖鎖の研究は、日本が世界のリーダーシップを握っています。ゲノム情報の解読でアメリカに遅れを取った日本は、ポストゲノム研究を推進するため、2002年に独立行政法人産業技術総合研究所糖鎖工学研究センターをオープンしました(ホームページより抜粋)。

糖鎖工学研究センターは、平成14年6月1に分子細胞工学研究部門を母体として設立された新しい研究センターです。同センターは、常勤職員19人、非常勤職員、企業からの派遣研究員等を含めて約120名の規模で、平成19年までの時限研究センターとして組織されました。糖鎖工学はポストゲノム時代に我が国が優位に立つ研究領域であり、総合科学技術会議でも産官学のポテンシャルを結集した研究開発の推進が求められています。

 日本の動きに対抗して、アメリカを初めとする諸外国でも糖鎖研究の強化策を次々と打ち出しています。まさに、国家の競争力に関わってくる問題ですので、今後の動きが注目されます。

 極論すれば、血液型の研究が国家の競争力に影響する時代になったということですから、血液型を巡る環境も随分と変わったものです。ちょっとABOFANらしくない話題でした。

 ということで、次はABOFANらしい話題に戻ります(笑)。

02.gif (288 バイト)糖鎖の研究でわかったこと

従来の常識は間違い!?

 糖鎖を調べていく段階で、こんなことがわかりました。

 なるほどですねぇ。

cis-AB型の遺伝子

 更に、cis-AB型についても、こんなことがわかりました。

 なお、これらの情報は、ほとんど日本では流れていません。あくまで、英語のみの学術情報(専門誌やMEDLINEなど)として流通しているようです。道理で、私のような素人が知らない訳です。(^^;;

【参考】 5年ぐらい前のMLの記事から

 血液型人間学メーリングリストでの議論で、主催者である鹿児島大学の板倉さんから、なかなか説得力のある説明がありました。それによりますと、糖鎖の違いと性格には関係があるかもしれないのではないかということです。ただし、ABO式血液型糖鎖で性格が違うかどうかはまだ未解明のようですが。次からが引用です。

 最近、と言いましても1994年くらいに発行された糖鎖関係の書物を読んでいますと、糖鎖研究は、私の学生時代には想像もしなかった展開を見せているようです。
 20年も前は、血液型物質と気質の関係について私に可能性として考えられたのは、

神経伝達物質やホルモンの「受容体」の作用に対して周辺の糖鎖がなんらかの影響を与える可能性

程度でした。(ま、それはそれでおもしろい面もあるので、■興奮と脱感作 としてこのメールの最後につけておきます。)

 さて、昨年、久留米大の先生にABO式血液型を決定する遺伝子について講演していただいたとき、その遺伝子が、

神経、筋肉、骨

において、胎児期に大量に発現しているということを伺いました。実は、わたしは、「脂肪組織、筋肉、骨、ではどうですか?」と質問したのすが、上記のようなお答えでした。脂肪組織の方は、わからない、ということでした。神経(脳を含む)は、われわれとしては当然ですね。
この答えが、わたしの予想にあまりピッタリだったので少し驚きましたが、「胎児期」というのにひっかかりました。う〜ん。「発生」について勉強して、仮説も練り直さないと。。。と思ったわけです。

 しかし、昨日届いた 日経サイエンス 糖鎖と細胞 の中の「神経系の糖脂質による細胞認識」は、なかなかエキサイティングなものでありました。
動物の糖脂質であるスフィンゴ糖脂質の中でもガングリオシド(末端にシアル酸がついた酸性糖脂質)の話しではありましたが、糖脂質が神経系の発生、シナプス形成において重要な役割を果たしている、ということなのです。

脳の複雑な機能は、脳細胞(神経細胞)の複雑な神経回路網によるわけですが、その回路網の接続部分がシナプスです。

 ただし、ガングリオ系ではなく、ラクト(ネオラクト)系糖脂質である血液型物質が、上記の事柄に関与しているとは書かれていません。
「単なる糖鎖が。。。」という否定の言葉は、これで笑いとばせるのですが、「単なるラクト系スフィンゴ糖脂質が。。。」と言われると、ま、「まだまだこれから。。」と答えるくらいしかないかもですね。(^^;

ガングリオ系とラクト系は、糖鎖の大きさや複雑さにそんなに差があるわけじゃないですけどね。はしっこに、酸性のシアル酸がついていることが一番の差のようです。また、ラクト系にシアル酸がついて、長糖鎖ガングリオシドというのができることもあるようです。

長くなりましたので、また。m(_ _)m

■興奮と脱感作

 例えば、アセチルコリン受容体については、分子レベルの研究がかなり進んできました(おなじ遺伝子スーパーファミリーに属すると考えられているセロトニン受容体なども同様のようですが)。α、α、β、γ、δという5つのサブユニットが細胞表面で輪を作って中央に穴(閉じたり開いたりするチャンネル)ができています。

 特命リサーチでも出てきましたが、神経細胞と神経細胞の接合部であるシナプスにおいて、神経終末から放出された神経伝達物質が次の神経細胞に届くと、この受容体に結合します。そうすると、チャンネルが開いて、Naなどのイオンが流入し、興奮へとつながるわけです。

 神経細胞の種類、性質によって神経伝達物質が異なり、それぞれの受容体が存在し、流入するイオンの種類も違うようです。

 さて、ここで、この受容体には「脱感作」という状態がある、ということなのです。神経伝達物質がずっと存在していると、つまり刺激が長く続くと、受容体に神経伝達物質が結合しているのにチャンネルが開かない、つまり刺激に反応しなくなっちゃう状態です。むちゃくちゃ興奮し続ける危険性を回避しているわけですね。

 さてさて、能見さんの本に出てくる、血液型別興奮曲線ですが、この脱感作となんらかの関係があると思われませんか?

  • O型は、一度興奮しだすと(あがったりすると)収まらない。
  • A型は、普段はO型ほど安定しているわけでもないが、興奮の後、開き直って安定する。
  • B型は、喜怒哀楽も激しい方であるが、AやOのような興奮状態がない。
  • AB型については、能見さんは2つの波を重ねてかいていますが、B型同様、AやOのような興奮まではいかない? 突発的感情変化、というのはよくいわれますが。

 上の、A型の開き直りって「脱感作」そのもののような気がするのですが。。。
ただ、成人の神経細胞に、ABO式血液型糖鎖がどれだけ存在しているのか(胎児では、ABO式血液型遺伝子が大量に発現しているということではあるが)はたまた、存在しているとして、それがどれだけ受容体の作用に影響できるのか、情報不足、未解明、の部分が多いですね。

02.gif (288 バイト)やっぱり血液型の研究はタブー?

 では、ますますABOFANらしい話題に移ります(笑)。

 今まで、一部の否定論者から、血液型は日本だけの現象で、海外では流行っていない[から間違いだ?]と声高に主張がなされてきました。さすがに最近は、英語圏だけではなく、韓国、台湾、中国などのアジアの状況が明らかになるにつれ、こんな事実に反する反論は下火になってきたようです。いやぁ、いいことですね。(^^)

 しかし、日本でもアカデミック話題として、また英語圏では一般の話題としてもやはりタブーのようです。複数の血液型の研究者から、こんな内容の話を聞きました。読者の皆さんにも知ってほしいのであえて公開しておきます。

血液型については、欧米、特にドイツ、アメリカ、イギリスなどでは、人種差別との関係で、研究することがタブーとなっている[ようだ]。だから、血液型の研究は日本が進んでいる[らしい]。
もっとも、フランスなどではそれほどタブー視されていない[ようだ]。

 実際に、血液型と関係する糖鎖の研究は、日本が世界一番進んでいます。また、「血液型と性格」の研究も、内容はともかくとして、論文の数では日本が一番です。

【参考】 海外での研究

『現代のエスプリ〜血液型と性格』からです(『海外における「血液型と性格」の研究 井口拓自、白佐俊憲)。 

あまり知られていない海外の「血液型と性格」の研究

 血液型性格判断をめぐる論議の中で、海外では血液型と性格について、ほとんど研究もされていなければ話題にもなっていない、ということがこれまでたびたび書かれてきた。
 そして、それは「だからやっぱり血液型と性格など関係はないのだ」という主張を補強する材料となってきたように思われる。「海外でやっていないからまやかしだ」あるいは「海外でやっているから正当だ」といった主張は単なる舶来崇拝主義のようで、あまり説得力のある議論とは思えない。しかし、 その前にまずは事実の確認をしてみることも大切なことだろう。(後略)

公平な立場からの再検討を

 最近になるまで海外での血液型と性格に関する研究がほとんど紹介されなかったことの根底には、「血液型と性格など関係あるはずがない」という先入観があったのではないかと筆者らは考えている。 そうした先入観が、改めて調査をしないで「これは日本だけの現象だ」と断定してしまうような傾向を生み出したのではないか。
 「血液型と性格」ではないが、「血液型と社会経済的階層」の関係について調べた研究がイギリスの科学雑誌『ネーチャー』に載ったことがある。バードモァとカリーミ・ボシェーリが、ABO式、Rh式血液型と社会経済的階層の関係を調べた結果、Rh式では有意な差はみられなかった が、 ABO式ではA型が有意にクラスT、Uに多く、クラスV、Wに少なく、O型はその逆であることがわかったというのである。
 最近、「血液型と性格」に関する記事の中で、なぜか「血液型と社会経済的階層」をテーマとしたこの研究がよく紹介されている。そして、『ネーチャー』誌上でのこの研究をめぐる論争について、統計的処理に大きな誤りがあったという批判がなされたが、当事者はいまだに反論をしておらず、この研究は間違っていたというのが一般的となっている、といった紹介がなされているようである。
 けれども、実際、この問題が特集された『ネーチャー』の当該号を調べてみると、批判者の論述とともに当事者の反論も一緒に掲載されていることがわかる。さらに編集者の手によるものと思われるこの特集の前書きの部分でも、まだこの論争に決着はつけられないということが書かれている。この研究自体の是非はともかく、なぜ紹介の際に「反論が掲載された」という単純な事実が見落とされてしまったのだろうか。やはり前述したような先入観が影響しているのではないかと筆者らには思えるのである。(後略)

 飛岡健さんの本(フランス風味の血液型 『おもしろくてためになる 血液の雑学事典』日本実業出版社 H2.3 131ページ)にこんな記述があります。

血液型占いの盛んなのは、何も日本ばかりではない。
フランスでも、1960年にレオン・ブールデルが『血液型と気質』という本を発刊した。
これは、心理学者のコ・ジュネペと一緒に、2500人もの性格を血液型と関連づけた研究で、フランスで大きな反響をまき起こした。

 だから、フランスだけで「血液型と性格」研究が流行ったわけですね。ラテン系の国は、アングロサクソン系の国にくらべて、それほど人種が問題視されないと(?)いうことなのでしょう。

 また、英語圏で有名な研究といえば、『ネーチャー』とR.B.キャッテルですが、『ネーチャー』は人種差別的な匂いもしなくはありませんし、キャッテルは著名な心理学者ですが(日本語版もある16PFで有名)、人種差別主義者であるとして批判もされているようです。こういうことも、英語圏での「血液型と性格」のイメージに影響しているのかもしれません。だから、研究が進まないのでしょうか?

 そういう意味では、日本の研究者はラッキーと言えるでしょう。(^^)

 また、アカデミックな面からは、

「血液型と性格」の番組は学術的なものはほとんどなく、クイズやバラエティなどが中心である。だから、非常にダーティなイメージがつきまとっている[ようだ]。そんな番組に喜んで出演する研究者なんて、あまりいない[のではないか]。

 とのことです。確かに、クイズ番組やバラエティ番組ばかりに出演している研究者の評価が高まるとも思えませんし、真面目な研究が進展するとも思えません。私も含めて(?)、少々反省させられる内容でした。

 もっとも、真面目な内容が一般に紹介されれば、研究機関や研究者に予算が付くということはよくあることなので、やはり内容は紹介すべきだとは思いますが…。そういうことなら、真面目な研究者も歓迎することは間違いないでしょう。要はやり方次第だと思います。(^^)

 このほかに面白い話はたくさんありますが、さすがにインターネットで公開するのはちょっと…。(^^;;

【H20.6.29追記】 欧米人は本当に自分の血液型を知らないの?

 最近面白い話を聞きました。
 欧米人は自分の血液型を知らないはずがない、というのです。
 なぜなら、徴兵制のある国なら、兵士の血液型は必ず調べるらしいのです。
 また、どの国でも献血率は5%ぐらいです。
 献血カードには、もちろん自分の血液型が書いています。
 ということは、自分の血液型を知らないのではなく、何らかの理由で人には教えたくない、と考えたほうがよさそうです。
 やはり、タブーということなのでしょうか?

02.gif (288 バイト)オススメのサイト

 以下のサイトからいろいろと有益な情報をいただきました。大変ありがとうございます。m(._.)m
 オススメですので、ぜひ訪問してみてくださいね。(^^)


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最終更新日:平成16年7月25日