Nature 1983-84


ABO FAN


『ネイチャー』(Nature)の論文

 肯定論者と否定論者のどちらにも頻繁に取り上げられている『ネイチャー』の論文です。1983年のBeardmoreによる最初の論文に対しては、かなり投書が寄せられたようで、5通の反論がBeardmoreからの再反論とともに1984年のCommentaryに掲載されています。

 ここで重要なことは、『ネイチャー』誌は血液型と性格に関係があるともないとも断定していないことです。肯定論者と否定論者はどちらも自分に都合のいいように引用している人がいますが、決してそんなことはありません(もし、そういう書き方をしているホームページや本があったら、まず疑ってかかりましょう!)。気になる人は、それほど長いものではないので、自分で読んでみるといいでしょう。また、この間の経緯については次の論文にも簡単に紹介されています。

 1984年のCommentaryでの編集者のコメントを引用しておきます。

The general conclusion seems to be that there can be no general conclusion.

一般的な結論は、一般的な結論は得られないということだと思われる。

 それでは、まず最初の論文から紹介していきましょう。

最初の論文 (H10.1.6)

原題: "ABO genes are differentially distributed in socio-econimic groups in England" Nature, Vol. 303, pp. 522-524, 1983
著者: J. A. Beardmore & F. Karimi-Booshehri, Department of Genetics, University College of Swansea, Singleton Park, Swansea SA2 8PP, UK

 データの出所が気になる人もいるでしょう。このデータは、UK Blood Transfusion Service Records の1953年〜1963年のデータから2つのサンプル数の大きな地域を選んでいます。具体的には、Yorkshire (mainly West Riding) south-west England (Devon and Cornwall)です。

5通の反論 (H10.1.8)

 では、次に5通の反論を紹介しておきます。最初は、次の2人の連名による投書です。

しかし、このデータに私の仮説を当てはめると、Mother's ownFather's social classmigrant では、明らかに上位階層にO型が多くA型が少ない傾向が見られます。最初の論文とは地域と時期が違うことから、違う傾向になっても別におかしくありません。つまり、
  • 血液型と社会階層(職業)は関係ある
  • しかし、地域や時期によって傾向は違ってくる

ということが予想されます。しかし、c2検定をしてみると、どのデータも危険率5%は以上ですから、偶然という確率も否定できません。

2番目は、3人の連名による反論です。

Jean Golding, Penny Hicks, N. R. Butler, Department of Child Health, University of Bristol

このデータは文句なく筆者のいうとおり、統計的には差はありません。ただ、職業分類をどうやったのか気になるところではあります。

 3番目の投書は、アメリカからです。

James D. Hawkins, Department of Psychology, San Jose State University

 果たして Table 4 のデータは、多層遺伝(pleiotropy)によるものなのか?という疑問を提示しています。例として、C57BL/6J mice を挙げていますが、私にはよくわかりません(苦笑)。確かに、因果関係が証明されていないことは事実です。

 4番目の投書は、チリからです。

Carlos Y. Valenzuela, Department de Biologia, Celular Genetica, Facultad de Medicina, Universidad de Chile, Casilla 6556, Santiago 7, Chile.

 血液型による階層の差は、migrant native の差ではないかというものです。元の論文の migrant native の分け方がいい加減なのではないかという疑問を呈しています。チリでは確かにそういう傾向はあるそうです(地元民は社会的階層が低いものが多い)。確かに、イギリスはノルマン人をはじめとして、何回も外国民族の侵略を受けていますから、あり得ないことではありません。

 最後の投書はアメリカからです。

John Harting, Department Anesthesiology, State University of New York, Downstate Medical Center, Brooklyn, New York 10009, USA.

 社会階層は固定されていて、それぞれ別の遺伝子集団なのではないかというものです。確かに、ヨーロッパは階層間の移動があまりないといわれていますから、これもあり得ない話ではありません。

 私の語学力不足のため、要約はちょっといい加減ですが、いろいろな反論があることはわかってもらえたのではないでしょうか(笑)。

原著者による再反論 (H10.1.8)

 5つの投書の全部について、原著者による再反論とコメントが最後にあるのですが、長くなるので簡単に紹介しておきます。

 また、データのチェックはちゃんと行っているとして、Table 5にデータを挙げています。

 誰が正しいのか判断するのはあなたです!

まとめ (H10.1.8)

 最初の論文のデータを見る限り、確かにA型が上位の階層に多いことがわかります。なお、私の考えは最初の論文に近いものです。データの妥当性はかなり高いのではないのか思います。総合的に判断して、血液型と性格は全く関係ないとはいえないと思います。

 『ネイチャー』のデータに私の仮説を当てはめると、明らかに階層によって血液型の分布が違ってくる場合があります。ただし、その傾向は地域と時期によっても違うし、ほとんど差がない場合もあります。血液型による性格の差はもともとそういうものですから、こんなデータが出ても別に不思議ではありません。つまり、

 以上がまとめと私のコメントです。能見さんの考えも同じでしょう、たぶん。


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最終更新日:平成10年1月8日(10月29日一部削除)