『アラバマ物語』To Kill a Mockingbird(1962年/米)

監督:ロバート・マリガン
出演:グレゴリー・ペック。メアリー・バーダム。フィリップ・アルフォード。

1932年不況にあえぐアメリカ、アラバマ州の小さな町メイコムに妻に先立たれ、息子ジェムと娘のスカウトと暮らす弁護士のアティカス・フィンチ。通いの家政婦に家事を任せ、静かにごく普通に暮らしていた。彼らの住む家の近くには父親に凶暴だからと監禁されているというブーの家があった。好奇心旺盛な彼らはブーの家が気になって仕方なかった。そんなある日、アティカスの元に白人の娘を強姦したとして捕らえられた黒人トムの弁護の依頼がくる。黒人を弁護することに批判的になる町の人々はアティカスを非難するが、正義を強く信じるアティカスは動じなかった。ある夜、ジェムとスカウトはとうとうブーの家へ探検に行くがブーに発見され逃げ帰る二人。ところがその後ジェムとスカウト宛の贈り物がブーの家の前の木の穴に置かれるようになる。やがて月日は流れ、トムの裁判の日がやってくる。
「アメリカの良心」を体現するかのようなグレゴリー・ペックがすごく素敵です。外見は穏やかで優しいけれど内面に秘めた正義を信じる強さ。優しさに包まれたこの強さには心からあこがれますね。そして物語は黒人差別という大きく暗いテーマを扱いながらも、大げさな演出もなく、淡々と物語の中に組み込まれている。裁判シーンは見ているこちらもまるで傍聴席にいるような気分になる。あまりにも気分の悪い裁判結果、しかしヘタな物語のように大仰に「それはおかしいだろう!」というシーンは出てこない。だからこそ余計に痛い。これが現実なんだな・・・だったんだというべきか・・・。主人公アティカスの心を共有させられるかのように重くなる心。しかしラストにはほのかにホッとさせられる。すばらしい作品ですね。さすが名作と言われるだけあります。それにしてもこのブー役がロバート・デュバルの若いこと。かわいかったんだぁ・・・と感動。そしてセリフのない役なのにこの存在感。さすがですねぇ。

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『ヴィレッジ』THE VILLAGE(2004年/米)

監督:M.ナイト・シャマラン。
主演:ホアキン・フェニックス。エイドリアン・ブロディ。ブライス・ダラス・ハワード。ウィリアム・ハート。

森に囲まれた小さな村。その村は外界から完全に遮断されていた。村人たちは固い絆で結ばれ、まるでひとつの家族のように慎ましく平和で穏やかな日々を送っていた。しかし彼らは森へ入ることを極端に恐れ、森に入ることを禁じてさえいた。森の側には森を見下ろす見張り台が置かれ、毎晩若者が交代で見張りをしていた。ある日、村の少年が亡くなる。寡黙な青年ルシアスは、ちゃんとした薬があれば少年は助かったかもしれない。街へ行けば薬が手に入ると考え、村の長老会に森を通って街へ行かせて欲しいと要望するが要望は聞き入れられず、悩むルシアスは森との境界に魔除けのペンキ塗りをしているとき、一人そっと森に足を踏み入れる。何かの気配を感じ恐怖にあわてて村へ戻るが、その日から村では奇怪なことが起こるようになる・・・。
この映画の感想をネタバレなしで書くとなると・・・ウィリアム・ハートかっこいい!『目撃者』以来のシガニー・ウィーバーとの共演。長身のシガニーと並んでも遜色ないウィリアム・ハートとのカップリングはやっぱり最高!手を差し伸べれば一線を越えてしまう。交差する視線。見事なラブストーリーだ!ってなことになってしまう(笑)。ということで・・・ネタバレ改行します。





『アンブレイカブル』『サイン』と私の中では人をバカにするのもいい加減にしろよ・・・となっていたシャマラン監督作品なんですが、今回は内容はどうであれウィリアム・ハートが出ているということだけで観に行かないわけにはいかなかった。ところが今回は無理に大ドンデン返しを狙った風もなく、ごくごく自然に物語が流れていくもんだからウィリアム・ハートが出てなかっても楽しめたかもというものになっていたんですよ。森の中の「彼ら」が人間以外の何者でもないというのはすごく簡単にわかってしまうから、かえって興味を抱かせる結果になってるんですよ。『シックスセンス』では幽霊、『アンブレイカブル』では人間だけども不死身・・・超人、『サイン』では宇宙人と素手での格闘に飛び道具使っちゃうような手法で大ドンデン返しをねらってたんだけど、この作品では常に人が主体。そしてその人が仕掛けた罠・・・本来は罠ではないんだけど、それによって守っていたのものが破綻する。それが何か大きなものを期待してみると肩透かしくらった気分になるかもしれないけど、過度な期待なしに普通に観るとなかなかに面白いものになってるんですよね。ただただ、いただけなかったのはエイドリアン・ブロディ演じるノアをあまりにも単純に描きすぎているために、知的障害を持っている=普通ではない。だから平穏な暮らしに破綻を生じさせてしまった。そしてそれを最後には排除してまた作られた平穏な暮らしを取り戻す・・・という風にとれなくもないんですよね。悪くはない作品なんですが、どうもそこが気になりだすとなんだか後味が悪くって・・・ネ。いけませんねぇ。

2004年9月27日(TOHOシネマズ泉北)

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『オールド・ボーイ』OLD BOY(2003年/韓国)

監督:パク・チャヌク
出演:チェ・ミンシク。ユ・ジテ。カン・ヘジョン。

どこにでもいる平凡なサラリーマンのオ・デス。彼は娘の誕生日に電話ボックスの前で何者かに誘拐され、窓のない小さな部屋に監禁される。ここはどこで、自分は何故こんなところに閉じ込められるのか?泣き叫ぶオ・デス。誰も答えてくれるものはなく、彼に与えられているのは一台のテレビ。そしてある日妻が殺され自分が犯人とされているニュースを見る。やがて自分をこんな目にあわせた奴への復讐のためにここを出るための準備を始める。ところが彼が監禁されて15年目のある日、彼は突然解放される。自分を監禁した犯人を捜し始めるオ・デスだが・・・。何故かれは15年も監禁され、そしてまた何故突然解放されたのか?
いやぁ、驚いた。なんでもこの映画の原作は日本のコミックだとか・・・。ラストは全然違うらしいんだけど、こういうものをしっかりと映像化してしまう。そして見るものを惹きつける作品にしてしまうとは「恐るべし韓国映画」って感じですね。カンヌ映画祭でタランティーノが絶賛したということなんですが、思わず納得(笑)。見終わってふと後味の悪さを感じるんですが、ある意味これが人間の業なのか・・・と納得させられてしまう。どんな些細なことでも人間誰しもが持つ「復讐」という思い。それが生きる目的となってしまった人間の悲しさがつらいほど伝わってくる。なんとも切ない映画です。それにしても主演のチェ・ミンシク、この人もすごい俳優さんですねぇ。巧い。冒頭の酔っ払ったただのおっさんが15年を経て強くかっこいいおっさんになるんですから・・・(笑)。金槌一本の格闘シーンはかっこよかったなぁ。なんで金槌なのかは不明ですが・・・(^^;)。

2004年11月8日(動物園前シネフェスタ)

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『オペラ座の怪人』The PHANTOM of the OPERA(2004年/米)

監督:ジョエル・シューマカー。
製作・作曲・脚本:アンドリュー・ロイド=ウェバー。
主演:ジェラルド・バトラー。エミー・ロッサム。パトリック・ウィルソン。

1870年代のパリ、オペラ座。オペラ座に住む謎の怪人ファントムによって奇怪な事件が続いていた。そんな中、舞台のリハーサル中にプリマドンナのカルロッタの上に舞台の背景幕が落ちてくる。怒ったカルロッタは舞台を降板。急遽代役に抜擢されたクリスティーヌは大喝采を浴び、幼馴染のラウルと再会し、喜びあう二人。外に出かけようと馬車を手配するためにラウルがその場を離れている間に、クリスティーヌに歌を授けてくれた”音楽の天使”が彼女を地下の迷宮へと誘う。ところがその地下でクリスティーヌは亡き父が授けてくれた”音楽の天使”が実はファントムであったと知る。そしてそれと同時にファントムの孤独な心と自分へ向けられる愛に気付くが・・・。
1919年ロンドン、廃れたオペラ座のモノクロの映像からはじまる。『オペラ座の怪人』の物語を知っている私には「?」なんとも不思議だった。そしてそこで修復されたというシャンデリアの幕がめくられ、モノクロの映像が色づき、蘇るオペラ座。予告でも使われているシーンだけど、映画としてちゃんと見ると「おぉ〜!!」と鳥肌たっちゃいました。もうこれで一気にこの映画にのせられてしまいましたね。映画ならではの映像の数々。オペラ座の舞台に観客席。そして舞台裏。躍動感溢れる舞台裏のシーンは秀逸です。で・・・私をこの映画に引き込みすっかり魅了させられてしまったファントム役ジェラルド・バトラー。私にとっては「あんた誰?」という俳優さんだったのですが、このファントム役はすばらしい。かっこよすぎます。映像に、音楽に、そしてファントムのジェラルド・バトラーの魅力にすっかり酔わされてしまってもうぐでぐで状態(笑)。生の舞台を観たあとのような興奮の残る映画でした。時間が許すならぜひとももう一回観たい。

2005年1月31日(TOHOシネマズ泉北)

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『エターナル・サンシャイン』Eternal Sumshine of the Spotless Mind(2004年/米)

監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジム・キャリー。ケイト・ウィンスレット。キルスティン・ダンスト。イライジャ・ウッド。

ジョエルは喧嘩別れした恋人クレメンタインの元へ仲直りしようと出かけるが、まるで彼のことなど知らないと言う素振り。落ち込んだジョエルは友人から彼女がジョエルの記憶を全て消し去ったことを知る。そのことにショックを受けたジョエルは自らも彼女の記憶を消去しようと決意する。その手術は現在から過去へと記憶を遡り一つづつ消してゆくというもの。しかしその手術中ジョエルは思い出を消すことに心の痛みを覚え、手術を取りやめようとするが・・・
辛くて哀しい出来事、忘れきれず思い切れないからこそ記憶を消そうとする。でも、その記憶って本当にいらないものなんだろうか?人為的にその記憶を消したからって何かが新しくなるわけじゃない。『ビフォア・サンセット』の時も書いたんですが、私は運命論者です。だからこの映画にはすごく共感出来ました。なぜって嫌だから、忘れたいからって記憶を消したって、自分の中できっちりけじめが付けれられていないから、まためぐり合うんですよ。主人公二人のファンタジーのようなラブストーリーを楽しみながら、キルスティン・ダンスト演じる記憶消去会社ラクーナ社の事務員の物語に、そのことが的確に描かれていることに大きくうなずいてしまった。部分的な記憶を消しちゃうというSFチックな発想で、互いに惹かれあい、付き合い、甘くて楽しい時と諍いの時。等身大のカップルの日常が見事に描かれている。しかし、もしこの記憶を消す作業が過去から現在に・・・という流れだったらこの映画成り立たないんですよね(笑)。なんだかそれも一つの含みを持っているようでいいな。SFチックでファンタスティックだけど現実的。素敵な映画でした。

2005年3月27日(アポロシネマ プラス1)

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『インファナル・アフェアV』INFERNAL AFFAIRSV(2003年/香港)

監督:アンドリュー・ラウ。
主演:トニー・レオン。アンディ・ラウ。レオン・ライ。

黒社会のから警察へ内通者として潜入していたラウ。そして警察から黒社会へ内通者として潜入していたヤン。ラウを潜入マフィアだと暴こうとしたときヤンは殺害されてしまう。ヤンを殺害した自分と同じ潜入マフィアを自らの手で殺害し、自分の黒社会との係わりを拒否し、警察官としての生活を手にいれようとしたラウだったが、そのためには他の潜入マフィアを一人残らず始末する必要があった。眠れぬ日々の中で潜入マフィアを特定しようと調査を進める中で保安課のヨンが過去に黒社会のボス、サムの商売相手だったシェンと接触していたことが明らかになる。
すごく評判のよかった『インファナル・アフェア』なんですが、実は私全然観てなかったんですよね。(^^;) 『インファナル・アフェアV』が上映されているこの時にと、レンタルで『インファナル・アフェア』『インファナル・アフェアU』と立て続けに鑑賞。1,2の記憶も新しく、準備万端整った状態で『インファナル・アフェアV』を鑑賞。みなさんがおっしゃってる通り一番いいのは、やはり『インファナル・アフェア』。3部作ということですが、1の完成度が高すぎたと言ってしまっても過言ではないかも・・・という2、3。特にこの3は・・・
ネタばれしま〜す!





あまり評判のよくないこの作品なんですが、私はそれなりに楽しんだんですよ。シェン役のチェン・ダオミンかっこよかったし・・・ってやっぱりおやじかよ。と言われそうですが・・・(笑)。ま、それはさておき・・・。この作品の中でシェンが言う「運命は人を変えるが、人は運命を変えられない」という台詞がすべてを語ってる。1の最後の方でラウが婚約者のマリーに潜入マフィアだと知られたときに「善人になりたいんだ」と言うんですが、善人になるという方法をラウは間違えた・・・というより彼には何一つわかってなかったんですよね。ヤンと出会ったことでヤンに自分を重ねてしまったラウの幼児性が彼を変えることの出来ない運命の中で溺れさせてしまったんでしょう。観ていてラウが憐れで憐れで仕方なかった。その憐れさが私をこの作品に惹きつけたのかもしれない。1ではそこそこかっこよかったラウですが、2で「おいおい・・・」そしてこの3でボロボロ・・・ですもんねぇ(笑)。悪人でも善人でも自分の運命と真っ向勝負に出ている男(もちろん女でも)はとにかくかっこいい。警官三人がまた会いたいなと語り合うシーンには私は鳥肌たつくらいにしびれてしまった。サムってちっちゃく丸っこいおっちゃんなんですが(笑)、外見はともかくとしてかっこいいオーラがある。運命は変えられない。でもその変えられない運命の中でも生きる術は変えられるんですよね。なかったことに出来る事実なんてどこにもないんです。なかったことに出来ない事実・・・罪を重ねてもまるでおもちゃをねだる子供が駄々をこねるように人のものを欲しがるラウ。2ではサムの妻マリーを、そして3ではヤンの警官としての人生を・・・。この映画1だけで充分。でも2を観たなら3を観てかっこいい男の生き様とは?を堪能すべきでしょう。2を観ずに3だったらラウの憐れさが際立たないかも・・・。

2005年5月5日(動物園前シネフェスタ)

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『甘い人生』Bittersweet Life(2005年/韓国)

監督:キム・ジウン。
出演:イ・ビョンホン。キム・ヨンチョル。シン・ミナ。

裏社会で絶大な力を持つカンの元に来て7年。今ではカンの表の仕事であるホテルの総マネージャーをまかされるソヌは、カンから絶大な信頼を得ていた。冷静沈着に仕事をこなすソヌにカンはある日、自分の留守中に若い愛人ヒスの監視し、ヒスに男の影を感じているカンはもしヒスの裏切りがわかった場合には必ず自分に連絡しろと命じる。ヒスと会い数日ヒスの行動を監視するソヌの心に何かが芽生える。そしてヒスの家に男がいることを見つけたときソヌのとった行動は彼を破滅の道へと向かわしてしまう。
韓国映画は嫌いじゃない。だけど昨今の「韓流ブーム」ってのには辟易している。だからその「韓流ブーム」の中で人気のあるイ・ビョンホンの映画なんて「ケッ!」って感じで観る気もなかった。ところが何か漏れ聞こえるところが違う。「え?裏社会?極道モノ?」こうなると観ないわけにはいかないじゃないですか。ってことで出かけて行ったのですが、評判どおりになかなか渋い!でも、冷静なソヌの心を乱すほどの魅力のないヒスが大きな欠点となってるんですよねぇ(笑)。かわいいけどさぁ〜、な〜んか違うぞ。そのせいかイマイチ物語的なわかりづらさが残るんですが、冒頭の「揺れている枝の話」とラストの「叶わぬ夢」のナレーションが締めてくれてるからよしとしましょうか。ただ、イ・ビョンホンがこの映画ではよかったけど、やはり好きではない私にはラストのシャドー・ボクシングのシーンが邪魔だった。なんか意味あるんですかねぇ。それにしてもこの手の韓国映画は常に貧血になりそうですな。別に自分の血が減ってしまうわけではないんですが・・・(笑)。

2005年5月16日(動物園前シネフェスタ)

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『ザ・インタープリター』THE INTERPRETER(2005年/英米)

監督:シドニー・ポラック。
主演:ニコール・キッドマン。ショーン・ペン。キャサリン・キーナー。

ニューヨークの国連本部でアフリカ、マトボ共和国の言語であるクー語の通訳として働くシルヴィアは会議終了後、忘れ物を取りに通訳ブースに戻ったときクー語で囁かれるマトボ元首ズワーニ暗殺の話を耳にする。彼女の通報により動き出したシークレット・サービスだが、この件を指揮するケラーはシルヴィアの証言に嘘を感じ取る。捜査が進むにつれて次々にあぶり出されるシルヴィアの過去はますます不審を強めるものでしかなかった。
すっげぇ〜ショーン・ペンかっこいい!!ショーン・ペンがシークレット・サービスって、なんかピンとこないなぁ〜なんて思ってたのですが、映画が終わる頃にはすっかり惚れてしまってました(笑)。ふさがりきらない傷口からまだ滴る血を抑えるようにゆっくりと歩くような男に私はとにかく弱いのよ。まさしくこの映画でショーン・ペン演じるケラーはこういう男。もうクラクラするくらいにかっこいい。で、物語も互いに傷を抱えた者同士があっさりと信頼しあいくっついて事件解決なんて甘ったるさがないのがこれまたいい。そしてここに描かれる事件もまた周到に練られたサスペンスにうっすらと張られた政治の線・・・巧みだなぁ。しかしショーン・ペンがよかったのか、映画がよかったのか?すっかりショーン・ペンのかっこよさにやられてしまった私には判断がつきかねるという結果になってしまった。(^^;)

2005年5月23日(TOHOシネマズ泉北)

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『アイランド』THE ISLAND(2005年/米)

監督:マイケル・ベイ。
出演:ユアン・マクレガー。スカーレット・ヨハンソン。ショーン・ビーン。

21世紀。地上は大気汚染に犯され、運良く助かった人々だけが清潔な都市空間でコンピュータに管理されながら生活していた。そこで暮らす人々の夢は地上に唯一残された最後の楽園「アイランド」へ行くこと。そこに行くには日々行われる抽選に当選しなければならない。統制された生活の中で日々の暮らしに疑問を抱きはじめたリンカーンはある日、すべての生物が死滅してしまったとされる地上につながる換気口から入ってきた一匹の蛾をみつける。そして彼は驚愕の事実を知ることになる・・・。
すみません。前半とてつもない睡魔に襲われました(笑)。ゆうべちゃんと寝たんだけどなぁ〜と考えつつなんとか睡魔と戦っていたのですが、一緒に観に行った二人も同じだったとか・・・それ聞いて安心しました。やっぱつまんなかったんだ(爆)。で・・・とりあえずネタばれ改行。




別に冒頭、クローンの世界だっていうことを伏せてひっぱるようなことする必要ないんじゃないかなぁ〜。そうするから眠くなるんですよ。だからその分長い。後半は派手でなかなか面白かったんですが、ストーリー展開からいけば、はっきり言って気分悪い。元々の人間が助かるために保険のような形でクローン作って、何かあったらそのクローンの臓器とったりして使い捨てするってことで、クローンの命の価値はないのか?なんて話は、それこそお説ごもっとも・・・なんだけど、そのクローンが例え科学的に故意に生み出されたものだとしても生きているんだ。生きる資格があるんだ。ってことで逃亡して、生きる手段を探す途中で銃撃戦があったりカーチェイスがあったりしてクローンじゃない人間が死んじゃってるってのはどうなんだろ?これクローン本人じゃなくって人間がこの事実を知ってこれはおかしい!と立ち上がりどうこう・・・って話だったらまだ納得いくんですけどねぇ。おまけにあのラスト・・・思わず呆気にとられちゃいましたよ。「どうすんだよ、そんなことして・・・」

2005年8月1日(角座)

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『愛についてのキンゼイ・レポート』KINSEY(2004年/米・独)

監督:ビル・コンドン。
主演:リーアム・ニーソン。ローラ・リニー。クリス・オドネル。

アメリカ、インディアナ大学の生物学の助教授キンゼイは、熱心に授業を聞くクララと交際、そして結婚するが二人とも初めての経験で結婚初夜に失敗、専門家の意見を聞き夫婦の危機を乗り越えることができるが、生徒たちの中にも性への疑問、悩みを持っているものが多いことに気付き生物学の見地から「性」についての講義を始める。やがて助手たちを伴ないアメリカ各地を巡り「性」についてのインタビュー形式のリサーチを行い、「性」の実態のデータを収集し、一冊の本にまとめる。『キンゼイ・レポート男性版』は好評を博し、一躍有名人となるキンゼイだが・・・。実在したキンゼイ博士の生涯を描いた作品。
アメリカってもともと性に関して奔放な国だと思っていたのですが、違ってたんですね。今のようにやたらと「性」が氾濫しているのはどうかとは思いますが、キンゼイ博士が「性」についての講義をし、レポートをまとめるまでの状況は確かにおかしい。その既成概念をはねのけレポートをまとめたという功績はすごいとは思うのですが・・・。なんかねぇ、ちょっとやりすぎ(笑)。いくら男性にも興味がありましたとは言え、奥さんがいるのに助手と寝て、そしてまたその奥さんもその助手と寝るって・・・(^^;)。おまけに助手たち夫婦とスワッピングって・・・。すごすぎる。確かに実地見聞ってのも必要かもしれませんが、何かが違うような気がするんですよねぇ。「同じような悩みを抱えているのはあなただけじゃない!」というのを示唆するだけでいいんじゃないんでしょうか?ま、このキンゼイ博士まじめすぎる、まっすぐすぎるのかもしれませんね。「性」を扱いながらゲイやスワッピングなんてものまでありながら下世話な作りになっていない映画自体は面白く観れたんですけど、キンゼイ博士の行き方は・・・ちょっと・・・ねぇ。しかし、映画が終わってネットで初めて知った。あのお髭の助手ってティモシー・ハットンだったんですね。昔はかわいかったのに・・・。いや、あのお髭も素敵でしたけど・・・あのかわいさとのギャップが・・・(^^;)。
あ・・・映画とは関係ないですが、リーアムさまのあのたぼったお腹・・・(泣)。きっと普通の大学の助教授が筋肉ぴっしりという体型では・・・という役作りだと思いたいのですが・・・でも・・・あのたるんだお肉は嫌だよぉ〜(泣)

2005年8月29日(梅田ブルク7)

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『オリバー・ツイスト』Oliver Twist(2005年/英)

監督:ロマン・ポランスキー。
出演:バーニー・クラーク。ベン・キングズレー。ハリー・イーデン。ジェイミー・フォアマン。

19世紀のイギリス。孤児のオリバー・ツイストは救貧院での過酷な暮らしの中くじに敗れてみんなを代表して食事のおかわりを要求したことで救貧院を追放され、葬儀屋に引き取られるが、いじめにあいそこも逃げ出す。行く当てもないオリバーが目指したのはロンドン。何とかロンドンに着いたものの歩き詰めと空腹に倒れてしまったオリバーはスリの少年ドジャーに拾われ、スリ集団の親玉フェイギンの元へと連れて行かれる。彼らの仕事が何なのかもわからないままスリ集団の仲間となったオリバーはある日、本屋の前で一人の紳士からハンカチを掏ろうとして店主にみつかり逃げ出したドジャーたちの代わりに警察に捕らえられてしまう。本屋の主人の証言で無罪が証明されるが、そのまま気を失ってしまうオリバー。そして気がついたときハンカチを掏られそうになった紳士ブラウンロー氏に助けられていた。オリバーの純粋な瞳に惹かれたブラウンロー氏はこのままオリバーを自分の元に置くつもりでいた。オリバーがやっとたどり着いた幸せな暮らし。しかし自分たちのアジトを知るオリバーをそのままにはしておけないとフェイギンたちが動き出す。
ディケンズの永遠の名作。と言われても実はあまり詳しく知らないんですよねぇ(^^;)。むか〜しにミュージカルとして製作された『オリバー!』も観た様な観なかったような・・・。でもこれの予告編みてなんかすごく観たい!って気になって劇場へと出かけたのですが・・・。いい作品だと思いますよ。まず映像がすごい。見事に蘇らせられた19世紀ロンドンの街並み。まるで絵画を見ているようです。物語も飽きることなく惹き付けられましたが、なんていうのかな・・・う〜ん・・・今風じゃないっていうのか、子供向けというのか・・・。そうそう昔アニメであった「世界名作劇場」みたいな感じなんですよ。確かにいいお話で原作を忠実にうまく映像化していると思うんです。でもなんか物足りない。観終って一番に出た感想が「ベン・キングズレーすげぇ!」でしたから。もうこの作品の一番の見所はラストの刑務所でのフェイギンとオリバーの対面シーンじゃないですかね。それだけに尽きる(笑)。主役であるオリバーの純粋さを今この年で見てもあまり感動ってないんですよ。ところが悪に手を染めながらもどこか哀れで、憎めない。人間がなり得るある一面を体現したようなフェイギンという人間に視線がいってしまう。ラストのフェイギンの姿には胸が締め付けられてしましました。ま、そんだけ年くって妙に視線が裏側向くようになったってことですかね。(^^;)

2006年1月29日(TOHOシネマズ泉北)

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『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』WALK THE LINE(2005年/米)

監督:ジェームズ・マンゴールド。
主演:ホアキン・フェニックス。リーズ・ウィザースプーン。ジニファー・グッドウィン。ロバート・パトリック。

アーカンソー州ダイエスの失業者救済局作業場で、父と母そして兄と共に綿花栽培の仕事を手伝い暮らしていたジョニーは、貧しい生活の中で唯一音楽を聴くのが楽しみだった。ところが彼が12歳の時、家計を助けるためにと製材所で仕事をしていた兄ジャックが切削機による事故で死亡してしまう。兄ジャックをかわいがっていた父はジョニーに辛く当たり、成長したジョニーは逃げるように家を出て空軍に入隊する。除隊後彼は初恋の女性ヴィヴィアンと結婚するが、音楽への夢が捨てきれず趣味のバンド仲間とオーディションを受け合格しプロのミュージシャンとなるが、音楽への理解を示さない妻との諍いは絶えず、カントリー歌手ジューン・カーターと共演したことから彼女に心惹かれていく。
う〜ん・・・悪い映画ではない。というかいい映画だと思います。だけどやはり伝説のミュージシャン、ジョニー・キャッシュの物語ということで、これは音楽ものだ!という意識で観に行った私にはどうにもしっくりこないんですよね。(^^;) いやジョニー・キャッシュって人を知ってるわけではないんですよ。どんな歌うたってたかも知りませんしね。だけどやはり知らなくでも音楽ものなら音楽ものらしく、音楽がメインであって欲しかったなぁ〜って思うんですよ。なんかねぇ『夫婦善哉』を観ているような気分になってしまった(笑)。確かに舞台のシーンも多いし、音楽もいっぱい流れるんですが、この曲はこうして生まれた!とか自分の音を掴むまでの苦悩とかっていうのが皆無だっていうのはどうなんでしょうかねぇ。しかもプロになるきっかけもなんだかいきなりオーディション受けて受かって一躍人気者ってのはどうなんでしょ?だったらいっそのことプロの時点、ジューンと出会ったところからはじめて晩年までいった方がすんなりいくような気がする。あ、でも誰からも見捨てられたジョニーを置いて立ち去ろうとしたジューンにその母親が言う「あなたまで見捨てるの」というセリフにグッときて、ヤクを売りにきた奴を追い返すジューンの父の姿にジーンときましたよ。いい映画なんですよ。いい映画なんだけど音楽映画なのに音楽をうまく使えていないような気がするんで、私はどうもイマひとつのり切れませんでしたね。

2006年3月6日(パラダイスシネマ)

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『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005年/英)

監督:ニック・パーク。スティーヴ・ボックス。
声の出演:ピーター・サリス。レイフ・ファインズ。ヘレナ・ボナム=カーター。

年に一度の「巨大野菜コンテスト」を前に畑を荒らすウサギの捕獲に大忙しのウォレスとグルミット。ウォレスの発明したウサギ回収マシーンを駆使して街中の野菜畑を守っているが、自宅の地下室は捕獲したウサギですでに満杯状態。そこでウォレスはウサギたちが野菜嫌いになればいいんだと新たな発明品を持ち出すが、その発明品のおかげで街は今まで以上に大変なことになる。
この『ウォレスとグルミット』まともに観たのがこの作品が初めてなんですよ。いや、以前このシリーズなかなかに評判がいいので観たいと思いレンタルでどの作品だったか忘れましたが借りて観たことあるんですが・・・(^^;)。吹き替え版しかなくってどうもあの欽ちゃんの声が、どうにも耳障りで私には受付なかったんですよね。おかげで物語の面白さも半減。で、今回はしっかりと劇場で字幕版で堪能致しました。いやぁ、いいわぁコレ。小ネタがすごく聞いていておかしいたらありゃしない。『キング・コング』のシーンもよかったぁ。しかもラストはこれが本当の「ドッグ・レース」というしゃれた流れですしね。しかしウォレスってグルミットがいなきゃどうしようもない奴ですな(笑)。グルミットってなんであそこまで健気なんでしょうかねぇ。

2006年3月20日(動物園前シネフェスタ)

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『インサイド・マン』INSIDE MAN(2006年/米)

監督:スパイク・リー。
主演:デンゼル・ワシントン。クライブ・オーウェン。ジョディ・フォスター。

白昼堂々とマンハッタン信託銀行に強盗が押し入る。犯人たちはあっさりと警察に包囲され、交渉人として現場に到着したフレイジャーもいつものように交渉をはじめようとするが、型通りの要求だけで、この場所から逃げ出そうという焦りをまったく見せない犯人たちに戸惑う。しかも彼らは50人の人質に自分たちと同じ服を着せ、犯人グループと人質の区別がつかないようにしていた。犯人の特定が出来ない以上突入は不可能だが、彼らも逃げることは出来ないはずだった。膠着状態の続く現場。そしてそこに銀行の会長から特別な依頼を受けた女性弁護士がやってくる。
おもしろい・・・とは思う。思うんだけど途中ちょっと眠たかった。(^^;) なんかねぇ、妙に淡々としすぎてるし、妙に地味だし・・・。演技派と呼ばれる俳優さんたちが結集して、そつなく纏められた脚本。悪くはないんです。いや、きっと地味ながら素晴らしい作品なんでしょう。でもねぇ・・・どうも私には地味すぎた。その地味だなぁって感じた最たる理由がクライブ・オーウェンなんですよねぇ。『グリーン・フィンガーズ』で「おっ!なかなかいい感じの俳優さん」とチェックが入り、『ゴスフォード・パーク』で渋くてかっこいい!っとちょっぴりハートになった俳優さんなんですが、この作品を観てふと気がついた。同じだ・・・。この三作とも雰囲気が同じなんですよ。マジメだけど過去があって、節目がちで・・・って。この作品にも出ているデンゼル・ワシントンがブレイクしはじめた時のイメージに似ている。かっこいいんだけどなんかパターン化されてるんですよね。デンゼル・ワシントンの場合は『マルコムX』とか強烈なイメージを持つ役やってただけマシだったんでしょうが、『フィラデルフィア』『ペリカン文書』『クリムゾン・タイド』『戦火の勇気』これらは、ほぼ似たような知的でまじめでいい人という役で、当たり前で面白くなくなってきたときに『天使の贈り物』でのちょっとコミカルな演技に、新しい面を発見。そしてその後は薄汚かったり、悪人だったりと役柄に幅が出てきて、今回のこの映画でもちょっと悪っぽくて、癖のある役柄で、名優デンゼル・ワシントンという位置をしっかりキープしたなぁって感じですよね。そのデンゼル・ワシントンを前に・・・しかもジョディ・フォスターという若い頃から演技派!っていう看板しょってる女優をも相手にする。ちょっときつかったんじゃないかな?なんて気がした。演技にねぇ遊びがないんですよぉ〜・・・って私すげぇ〜偉そうなこと言ってる?(笑)。どうもねぇクライブ・オーウェンが硬すぎて、面白味にかけちゃったんですよねぇ。
しかしアメリカ映画なのにいきなりインド映画の音楽ではじまっちゃったのにはびっくりしましたよ(笑)。

2006年6月19日(動物園前シネフェスタ)

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『硫黄島からの手紙』(2006年/米)

監督:クリント・イーストウッド。
出演:渡辺謙。二宮和也。伊原剛志。加瀬亮。中村獅童。

1944年6月。戦況が悪化の一途をたどる中、本土防衛の主要地である硫黄島に栗林中将が派遣される。精神主義だけで兵卒を引率し、ムダな動きをとる硫黄島の主要部隊にとって合理的で進歩的な考えを持つ栗林は、虐げられこき使われる一兵卒には尊敬すべき士官であり、精神主義に拘る当時主流の士官たちには目障りな存在だった。思うに任せない統率に苛立ちを覚えながら、たとえ一日でも一時間でも長くこの島で連合軍を引き止める。それだけが栗林の願いだった。そして1945年2月、硫黄島に連合軍が上陸し、過酷で長い戦いが始まる。
ただの道具のように扱われる一兵卒の怨み節。ここに焦点を当ててくれたイーストウッド監督に感謝です。この作品・・・この題材は日本人が撮るべきだったものだ。そういう声があるようですが、この作品は日本人では決して撮れなかったでしょう。いや、この怨み節のわかる監督が今の日本には多分いないでしょうね。きっと日本人が撮ると栗林中将をただただヒーロー然として描き、描き出されるものに意味のない作品に仕上がってしまったんじゃないでしょうか。「愛国心」この言葉をやたら植えつけようとする現代日本の胡散臭い政治家たち。ふざけるな。「太郎へ・・・」そう綴られる栗林中将の手紙には米国にいた頃の美しい風景、人々の思い出だけが綴られる。そして妻へは家の手伝いが出来なかったこと・・・。息子へ、妻へ思いを馳せる栗林の願いは、たとえ一日でも長く自分たちの家族が同じ日本人が無事暮らせること。「国を守る」なんて話じゃない。無理やりに兵隊にとられ過酷な戦いに借り出された一兵卒の西郷の願いはただただ、生き延びて妻と子の元に帰ること。ここにあるのは人を愛するという思い。人間本来の純粋な優しいこの思いを国家という名の元に権力を貪る極悪人が「国を愛せ」と強要し、人を戦場へと駆り立てる。この映画は私たちに宛てられた手紙。しっかりと受け止めたいですね。

2006年12月11日(TOHOシネマズ泉北)

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『王の男』(2006年/韓国)

監督:イ・ジュンイク。
出演:カム・ウソン。イ・ジュンギ。チョン・ジニョン。カン・ソンヨン。

時は16世紀の初頭。芸人のチャンセンとコンギルは、ある日男娼として使われるコンギルを見るにみかねて座長と対立し事件を起こし二人して漢陽の都へと出る。都で彼らは暴君として有名な王、燕山君とその愛妾ノクスを皮肉った芝居をうちそれが好評となり都でも人気の芸人となるが、ある日王を笑いものにしているということで重臣に捕らえられてしまう。この逆境にチャンセンは「王が笑えば自分たちの芸は侮辱ではない」と言い放ち、王の目の前で芸をすることになり、王を笑わすことが出来た彼らは宮廷で暮らすことになるが・・・。
コンギル役のイ・ジュンギって本当にきれいだ。なんて色っぽいんだろう。王が彼に惚れこみ、ノクスが彼に焼きもちを焼くのが当たり前のように思える。 ただ、この物語、悪くはないんだろうし、なかなか評判もいいんですが、どうも・・・ねぇ・・・私にはむずかし過ぎた(苦笑)。 まず、王と愛妾を皮肉った芝居の意味がわかんない。これで笑いをとってるんだけど、観ている私は笑えない。「きっと面白いんだろうな」と客観的に観ていて、今度王の前でこれを演じるとき他のメンバーが恐怖に慄き、何も出来なくてボロボロになる様はよくわかる。一人悪戦苦闘するチャンセンに助け舟を出すコンギル。そしてこのコンギルが気に入ったからわざと笑ったのかな・・・とは思うものの、それがどうにもわかり難い。結局は王の側近が王を思い、王に半目の重臣を追いやったり、王の母の死の真実を明らかにするためにチャンセンたち芸人を使ったという流れや、その政治に巻き込まれていく二人という流れはすごく面白いし、力を持っても所詮は誰一人信用出来ず愛せない孤独な暴君燕山君の人物造詣もまた面白い。でもやはり全編あっという間に終わって面白かった!とはならないんですよね。これはどうも、劇中演じられる劇の面白味が全くわからないからかな?って思います。京劇と似てるんだなぁ〜ってボーっと見ちゃってました。(^^;) なんかすごく変な例えなんですが、主人公が落語家だったり漫才師だったりして、その芸のシーンがあるとするじゃないですか?するとその映画がものすごくいい作品だったとしても、その芸のシーンが全然笑えない下手くそなものだったら、私はその映画いいとは思えないんですよ。だからこの作品にはそれに近いものがあるような気がします。しかもこの作品での芸は上手いんだか下手なんだか、面白いんだか面白くないんだかさえもわからない。(^^;) こりゃ私にとって致命傷ですわ。

2007年1月4日(動物園前シネフェスタ)

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『オール・ザ・キングスメン』ALL THE KING'S MEN(2006年/米)

監督:スティーヴン・ザイリアン。
出演:ショーン・ペン。ジュード・ロウ。アンソニー・ホプキンス。ケイト・ウィンスレット。

1949年、ルイジアナ州。新聞記者ジャック・バーデンが初めてウィリー・スタークと出会ったのは、彼が郡の出納官で、市の小学校の校舎建設で不正入札が行われたと役人の汚職を非難していた時だった。しかし彼はこれが元で失職。ところがウィリーが批判していた校舎で事故が起こり3名の児童を死亡させる大惨事となる。すぐさまジャックはこれを記事にし、汚職を弾劾していたウィリーは一躍ヒーローとなる。そして彼は州知事へと立候補する。しかしこれはウィリーの知名度を利用して対立候補の票を削るために画策された立候補だった。それを知りながら傍観していたジャックだが、ある時ウィリーに事実を告げる。それを機に用意された演説用紙を捨て自らの言葉で労働者階級、農民、下層級の人たちに訴え始める。遂に彼は州知事となる。ジャックも記者を辞めウィリーの参謀となるが、時が経ち絶大な権力を手にしたウィリーは次第に汚職やスキャンダルにまみれていく・・・。
この作品がリメイクだとは全然知らずに、政治の話であること、出演者がショーン・ペンにアンソニー・ホプキンスってことで観に行ったんですが、最初この作品を観にきたのは間違いだったか?と思ってしまうほど睡魔に襲われそうになる。(^^; ところが、州知事選では自分は利用されているのだと知り、自らの言葉で演説をするウィリー・・・ショーン・ペンの力技に睡魔はぶっとび、一体このあとこの物語はどう展開していくのだろうかとのめりこんでしまった。人は権力を持つと腐敗していく?こんなこと言うと身もふたもないんだけど、なんだかそうなんだろうなぁ〜って気がするのが、我ながら情けないことに政治というものに対して持っている自分の意識なんですよねぇ。結局はそうなんだろうな・・・正義はあるのかな・・・なんて思いながらこの作品を見ていて、ラストになんだかとてつもなく苦いものを噛み潰したような渋い味が残った。これ前作も見てみたいな。「善は悪から生まれる」・・・かもしれない。でもそうでないことを信じていたいですねぇ。

2007年4月9日(TOHOシネマズ泉北)

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『あるいは裏切りという名の犬』36 QUAI DES ORFEVRES(2004年/仏)

監督:オリヴィエ・マルシャル。
出演:ダニエル・オートゥイユ。ジェラール・ドパルデュー。アンドレ・デュソリエ。ヴァレリア・ゴリノ。

パリ警視庁所属の二人の警視。一人はBRI(探索出動班)のレオ・ヴリンクス。もう一人はBRB(強盗鎮圧班)のドニ・クラン。かつて二人は親友だったが、一人の女性を愛したことで二人の仲は壊れ、敵対しあい、彼らが率いる部署同士も敵対しあっていた。そんな中、すでに一年半で7件も発生している現金輸送車強奪事件と同一犯と思われる犯行がまた行われる。ある日、レオの元に現在投獄中の情報屋シリアンから連絡が入る。「デカい情報をやる代わりに30分だけオレといてくれ」そう言った彼がレオに伝えた情報は連続現金輸送車強奪事件の犯人に関するものだった。しかし、その情報と引き換えにしたものは大きすぎた。そしてそれはレオを蹴落としても出世を望むドニにチャンスを与えることになる・・・。
この作品は上映中、すごく評判がよかったので観たかったんですよねぇ。でも時間が合わなかったというのと、ジェラール・ドパルデューが悪い方の役ってことで躊躇してしまいました。(^^; だって、やっぱり好きな俳優さんはいい役で見たいじゃないですか。でも悪い役とは言ってもこれはいいわ。激シブでしたね。なんか久々にかっこいジェラール・ドパルデューを見たような気がする・・・って、そういえば年とってからあんまりかっこいい役ないな(笑)。でもこの役はライバルを蹴落とすためには手段を選ばないというクールな役だったんで、主役よりこっちの方がかっこいいぞ。やっぱこの作品は評判がよかっただけあります。渋い。硬派だ。あぁ、躊躇せずにいい劇場で見ればよかった(笑)。なんでもこの作品ハリウッドでリメイクされるとか・・・。さてさて、どんなもんなんでしょうね。

2007年6月4日(新世界国際劇場)

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『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』LA VIE EN ROSE(2007年/仏・チェコ・英)

監督:オリヴィエ・ダアン。
出演:マリオン・コティヤール。シルヴィー・テステュー。パスカル・グレゴリー。 ジェラール・ドパルデュー。

第一次世界大戦中の1915年に貧しい家庭に生まれたエディットは、3歳で父の実家である娼館に預けられて育つが、戦争が終わり復員してきた大道芸人の父親に引き取られた後、父親と共に各地を転々とする中で歌うことを覚え、やがて父からも離れ路上で歌って稼ぐようになる。そんな路上での彼女の歌を聞いたルイ・ルプレ見出され、ラ・モーム・ピアフの芸名でキャバレークラブ「ジェルニーズ」で本格的に歌手としてデビューする。順調に見えた彼女の歌手生命は、ルイ・ルプレ殺害事件で、一度はどん底に落ちるが、著名は作詞・作曲家であるレイモン・アッソの歌手としての基礎からのレッスンにより、見事歌手として復帰を果たす。その後スターダムを駆け上がるエディット。そして最愛の人マルセル・セルダンとの出会いと別れ。今も昔もフランスの人々から愛されている最高の歌手エディット・ピアフの47年の歌と愛に生きた物語。
エディット・ピアフって、マルセル・セルダンとの熱愛と彼の飛行機事故、そしてそこから生まれた『愛の讃歌』ってことしか知らなかったのですが、やはりその『愛の讃歌』のイメージが強く、ただそれだけでこの作品を観に行ったんですが、驚いた。まさかここまですごい人生だったとは・・・。私の中のエディット・ピアフって『愛の讃歌』のイメージで薄幸だけど、強く健気に生きた人だったんですが、この作品でのピアフは、まっすぐでわがままで、強いけれど脆くて・・・。いい意味でも悪い意味でも、どこかで大人になりきれなかった人。私にとっては不思議な人だった。正直、この映画を観て彼女を好きになるか?と言われると、好きにはなれない。だけど、彼女の歌は私の心を捉えて離さない。『水に流して』という歌と出会うシーンの彼女と、それを歌う彼女を見て、彼女の人生は歌そのものなのだ・・・と納得させられる。当初、時間軸がやたらと交差するので、えっとこれは1960年だから、ピアフはえ?いくつだ?と流れをつかむのに必死だった。でもこの作品を見終えて、この流れだからいいのかもしれない・・・という気になる。それにしても主演のマリオン・コティヤールはすごい。20才頃から最後の47歳までを演じているんだけど、いかにもな特殊メイクに見えない。しかも歌は吹き替えというかピアフの歌をあててるらしいんですが、話声が似ているから、歌になっても違和感がない。まるでマリオン自身がピアフです。なんだかピアフのCD欲しくなっちゃいましたよ。

2007年10月1日(MOVIX堺)

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『アイアンマン』Iron Man(2008年/米)

監督:ジョン・ファヴロー。
出演:ロバート・ダウニー・Jr。グウィネス・パルトロー。ジェフ・ブリッジス。

軍事企業の社長であり、天才発明家であるトニー・スタークは最新の武器のデモンストレーションのために訪れたアフガンで武装集団に拉致され、兵器開発を強要される。そしてそこで彼が見たものは、自社製の武器の数々だった。そしてその武器で殺害される人々。生き残ったのには意味がある。自分と同じように監禁されている医師インセンの言葉に、武器を作るフリをして、脱出用のパワードスーツを製作、命からがら逃げ出し、無事帰国を果たすが、いきなり軍事産業からの撤退を発表し、新型パワードスーツの開発に没頭する。しかし、巨万の富を生む軍事産業・・・必然と陰謀が動き出していた。

いやぁ、これ予告編みたとき驚きましたよ。なんたって、ロバート・ダウニー・Jrが主演ですよ。しかもヒーロー!! あのロバート・ダウニー・Jrですよ。驚く方が無理ってもんですよね。映画好きなら、彼の演技の才能のすごさを称える一方で、なんでそんなことするかなぁ〜・・・と何度にも渡るドラッグでの逮捕に、あきれたことがあるはずだ。いい演技するのに彼の代表作って『チャーリー』以降、あまりないですしね。そんな彼の本作。本当だったらこの手の映画ってあまりそそられないんだけど、これは行くぞ!と予告篇観た時点で決めていた。 もうねぇ、映画の内容なんてどうでもいいや(笑)。とにかくロバート・ダウニー・Jr演じるトニー・スタークがいいんだ。地位と名声とお金にお姉ちゃんに酒。もうとにかくいい加減なんだ。その破天荒ないい加減さになぜか嫌味がない(笑)。話しかけてきた記者に側近がつぶやく「美人ですよ」。ためらいなく満面の笑みで振り向くトニー・スターク。最高だ(笑)。アフガンからの帰国後の新型パワードスーツ開発に必死になる彼もまたいいんだわ。彼のいたずら小僧のようなやんちゃなクリクリお目目にやられちゃいましたよ。あー・・・なんかこういうやんちゃなヒーローは好きだ。そういえばここんとこスパイダーマンにバッドマン、悩めるヒーローばっかりでしたもんね。もう第2作も決定だとか・・・次も絶対行くぞ!

2008年9月29日(TOHOシネマズ泉北)

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