『喝采』(1954年・米)

監督・脚本:ジョージ・シートン
出演:ビング・クロスビー。グレース・ケリー。ウィリアム・ホールデン。

かつては名エンターティナーのフランク・エルジンは自分の不注意から手を離したために息子を事故で亡くし、その日以来酒びたりの生活を送っていた。しかし演出家のバーニーは彼の本来の実力から今度の舞台の主役はフランクしかいないと興行主の反対を押し切り彼を主役に抜擢するが、フランクはかつての精彩を欠き、セリフの覚えも悪かった。そんな彼を励ますバーニーにフランクはすべてを妻ジョージーのせいにする。息子を亡くし自殺未遂をした妻から目が離せない。仕事も妻が采配しないと気がすまないのだ。強い女で男を自分の思うようにしないと気がすまない女・・・。フランクの言葉を信じるバーニーはジョージーに辛くあたるが、実はそれが全くの嘘で自殺未遂をおこしたのもフランクの方だとわかった時バーニーの心にあった箍がはずれ・・・
息子の死をきっかけに落ちぶれ果てた亭主を健気に支える妻とすべてに自信を無くし常に何かに怯え逃げる生き方しか出来なくなった夫。そして名エンターティナーの実力を信じ復活を信じる演出家。3人の人間模様が面白いです。すべてを妻のせいにするフランクには、なんなんだよおまえ・・・って思いながらもビング・クロスビーがあまりにもうまく人間としての弱さを演じているために心底腹がたたない。いっそ死んでしまおうにも勇気がない。かと言って平静を装って生きていくにも弱すぎる・・・本当にうまいです。彼の妻であり、母であるジョージーはいい加減彼の面倒に疲れきっているんだけど、彼から離れられない。これもわかるなぁ。σ(^-^)には出来ないけど(笑)。人間の心の細かな部分が見事に描きだされている作品でした。

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『カラー・オブ・ハート』

脚本・監督:ゲイリー・ロス
出演:トビー・マグワイア。リース・ウィザースプーン。ウィリアム・H・メイシー。

1950年代のテレビドラマ『プレザントヴィル』にすっかりはまっている高校生のデイビッドはある日妹とテレビのリモコンの取り合いになり、そのリモコンを壊してしまう。そこに何故だか変な電気屋が現れて、代わりに貸してくれたリモコンがくせもので二人は白黒のドラマ『ブレザントヴィル』の中に入り込んでしまい、そのドラマの登場人物の兄妹バッドとメアリー・スーとして仕方なく争い事もセックスすらもない平和な街で過ごすことになるのだが、現実である二人の登場により白黒の世界である『プレザントヴィル』は次第に色がつき始めていく。
いやぁ、好きだなぁこういう映画。久々に映画を観て大笑いしてしまいました。現実と理想をユーモアをこめて描いているんだろうけど、それがこれみよがしじゃなくって、コチョコチョっと心の隅をくすぐられるような作りになっていて非常に楽しめました。σ(^-^)はよく映画の感想で何が言いたいんだかわからないという表現をよく使うのですが、この映画何が言いたいのかが非常によくわかるし、かと言ってそれを読み取ろうとしなくてもただ観たというだけで楽しいのがいいですねぇ。σ(^-^)の好きな昔の映画の笑いがこの映画にはあったような気がします。

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『ガンシャイ』(2000年・米)

監督:エリック・ブレークニー
出演:リーアム・ニーソン。オリバー・プラット。サンドラ・ブロック。

麻薬取締局の捜査官チャーリーは、前回の「おとり捜査」が失敗し、仲間が殺されてしまったことがトラウマとなり、悪夢にうなされ、ストレスからくる腹痛まで抱え、なんとか仕事を辞めさせて欲しいと上司に懇願するが、相手にされず新しい仕事をまかされてしまう。そして今度の潜入捜査で彼が相手をするのは「サイコ・キラー」と異名をとるマフィアのフルビオ。いつ殺されるかわからないという恐怖から彼の腹痛は最悪の状態になり、病院で浣腸をしてもらうことになる。彼の担当は看護婦のジュディ。彼女と知り合ったことにより少しずつ元気を取り戻すチャーリーだが、彼のストレスの最大の原因である事件は大きな山を向かえる・・・
ラストは「おいおい・・・それでいいのか?」って感じだけど、なんとも明るくおちゃめな映画です。どちらかと言えばシリアスな役の多いリーアム・ニーソンがストレスを抱えたちょっと情けない感じのチャーリーを好演してるのがいいな。浣腸のシーンは最高でした。管をドドって流れるバリウムにすごくマッチしたバックの音楽もいいしね。しかし・・・病院での浣腸ってあんなんなんだ・・・あの大量に流し込まれるバリウム。あれはヤだな。絶対に。屋上でのラブシーンもいいし、ちょっと情けない役でありながらもスーツ姿がかっこいいんですよねぇ。リーアム・ニーソンファン必見の1本ですね・・・ってσ(^-^)こんなことばっかり言ってない?(笑)ダメなんですよねぇ。好きな俳優さんが出てるとついついその俳優さんしか目がいかなくなっちゃうんですよ。

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『キス・オブ・ザ・ドラゴン』KISS OF THE DRAGON(2001年・米/仏)

監督:クリス・ナオン。
出演:ジェット・リー。ブリジット・フォンダ。チェッキー・カリョ。

パリ市警と協力し、巨大麻薬ルートに繋がる人物を探るために中国からパリへやってきた捜査官のリュウは麻薬組織と繋がるパリ市警のリチャード警部により罠にはめられ殺人容疑者にされてしまう。そんな中知り合ったストリート・ガールのジェシカが殺害現場に居合わせ自分の無実を証明する唯一の証人であることを知ったリュウはジェシカと共にリチャード警部を追い詰める。
パリ市警が全部悪者だなんてそんなバカな!って感じなんだけど、ジェット・リーの爽快なアクションの前ではそんなことはどうでもよくなるような痛快なアクション映画ですね。いやぁ、ホントジェット・リーかっこいい。おまけに針治療までしてしまうんだからこれまたすごい。超正統派アクション映画って感じかな?ブリジット・フォンダとのロングのツーショットはちょっくら身長差が気になりましたが、それは仕方ないよね。ラストは思わず「北斗の拳」を思い出しちゃいましたよ。「おまえはすでに死んでいる」な〜んてセリフはありませんでしたが・・・(笑)。とにかくアクション好きの私には十分に楽しめる作品でした。私はこれでもか!ってくらい主人公が最強なの好きなんだ。

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『ギター弾きの恋』(2000年・米)

監督:ウディ・アレン
出演:ショーン・ペン。サマンサ・モートン。

1930年代。派手で目立ちたがり屋のジャスギタリストのエメット・レイは、彼のギターの音色に涙するくらいに人を惹きつける腕前を持つギタリストだが、ポン引きに賭けビリヤード、女に酒、舞台に穴をあけることも平気で破天荒な人生を送っていた。そんな彼がナンパで知り合ったのが洗濯屋につとめる口のきけない娘ハッティ。いつものようにただの遊びで終わらせるつもりが、エメットに夢中になったハッティは常にエメットの側に寄り添い彼の演奏旅行にも同行するようになる。相変わらず派手で自堕落な生活を送るエメットはハッティと暮らしはじめて1年がたったある日いきなり彼女の元を去り、新たな女性ブランチと結婚することになるが、派手好きな二人の関係は長続きせずブランチの浮気で幕を下ろす。ハッティとの生活の心地よさを思い出したエメットは再びハッティの元を訪れるが・・・
観初めてすぐに「おぉ!これはまさしくウディ・アレンの映画だぁ!」って感動しちゃった。(笑) この人は本当にあまりパターンをくずさない人なんですねぇ。そしてハッティ役のサマンサ・モートン。ミア・ファローとだぶっちゃったよ。エメットとハッティのキャラどちらもいいなぁ。エメットのように自堕落でいい加減でどうしようもない男好きだな。ある種哀れでもあるんだけど、食うに困らないならこんな生き方したい(爆)。ま、そのためにはハッティのような女性が必要なんだけどね。このハッティは女性の理想だね。彼女のように生きられたらいいな。そのためには芯にすごく強いものを持っていないといけないのかもしれないけど。こういう恋愛映画撮らせたらやっぱりウディ・アレンはうまいなぁ。ラストがほろ苦くていいな。

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『キッド』(2000年・米)

監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ブルース・ウィリス。スペンサー・ブレスリン。エミリー・モーティマー。

ラス・デューリッツはもうすぐ40歳を迎えるが未だ独身。職業はイメージコンサルタント。何人ものクライアントをかかえ毎日を忙しく過ごしている。仕事仲間のカメラマンエイミーは彼女と言えば彼女かもしれないけれど、ラスの少しひねくれたいや〜な性格が災いしてそれ以上には進んでいない。しかし彼自身現状に大きな不満を持っている訳でもなくそれなりに毎日を過ごしていたのだが、ある日突然彼の目の前に8歳の少年ラスティが現れる。しかもなんとその少年は8歳の頃のラス自身だった。このとんでもない現実になんとかラスティを消そうと努力するラスだが、やがてラスティと共に今の自分を変えて行く事になる。
過去の自分にきれいさっぱり別れを告げて、すべてを封印して現状に満足して生きているはずのラスの前に32年前の自分が現れるってことは、ラス自身の心の奥深くにこれでいいのか?こんなはずでは・・・という思いがあったのかもしれませんね。実際に8歳の自分が目の前に現れるなんてことはあり得ないけど、もしかしたらどんな人にも遠い記憶の向こう側や、心の奥底にまだ住んでいるかも知れない幼い頃の自分が何かのきっかけで話し掛けてくることはあるかもしれない。もし自分の前に8歳の自分が現れたら?なんて考えると現れる前に現状をなんとかしておかなかればって考えちゃいますね(笑)。ラスのように「僕は知識のない大人になるんだぁ!」なんて悲観されたらこっちが傷ついちゃいますものね。それにこの映画のブルース・ウィリスはいいな。こういう役の方が好きだな。妙に深刻ぶってる芝居の彼は苦手だ。ラスティ役のスペンサー君がなんともいえずにかわいい。ちょっと太めでどんくさそうで。もしこれから先もなにかの映画に出るならば、今のまま「死んだ人が見えるんだ」って言っていた誰かさんのようにこまっしゃくれた演技などしないで自然体のかわいい子役でいて欲しい(笑)。むずかしいこと考えずに楽しむハートウォーミング・コメディって映画です。こういうのσ(^-^)は好きですよ。

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『ギフト』The Gift(2000年・米)

監督:サム・ライミ。
出演:ケイト・ブランシェット。キアヌ・リーブス。ヒラリー・スワンク。

ジョージア州の小さな町。1年前に事故で夫を亡くしたアニーは3人の息子と占い師として常連客の相談に乗りながら細々と暮らしていた。その客の一人であるヴァレリーがいつも夫から暴力を受け、顔を腫らしてやってくるのを見かねたアニーは彼女に離婚を勧めるが、そのことをきっかけとしてヴァレリーの夫ドニーはアニーに敵対心を抱き嫌がらせを仕掛けてくるようになる。そんなある日町の有力者の娘ジェシカが失踪。
そしてアニーが見た夢は湖に沈むジェシカの姿だった。アニーが見た夢の通りにジェシカは発見されるが、その彼女が発見された場所はドニーが所有する湖だった。
神から与えられた超感覚というギフトを持ちながらもひっそりと暮らすアニーはよかったんだけど、ちょっと犯人わかりやすすぎ。それになんだかそれぞれのキャラがイマイチすっきりしないんですよねぇ。嫁さんに離婚を勧めたからってドニーのアニーに対する怒りは普通じゃないし、なんで占いして離婚勧めただけであそこまで、悪魔だの、火あぶりだの言わなきゃいけないんだろ?ジェシカって女もヴァレリーって女もなんか変なんだよね。何がしたいんだかさっぱりわかんねぇ。とか言いながらも最後までこの映画楽しんだんだけどね。すごい面白いお奨め!とは言えないってだけです。ま、霊感で犯人わかっちゃう映画なんだから仕方ないか・・・一体犯人は誰?という緊張感が得られないのはね。そういうドキドキ感を過度に期待しちゃう私には不向きだったってことかな。

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『キャスト・アウェイ』(2000年・米)

監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス。ヘレン・ハント。

フェデックス社に勤めるチャックは、宅配会社ということもあり常に時間を重視し、秒単位で仕事とプライベートに追われる生活を送っていた。みんなが安らぎゆっくりと時間を過ごすクリスマスも車の中で彼女であるケリーとプレゼント交換し、年末の再会を約束しあわただしく出張のための飛行機に乗り込む。ところが彼の乗った飛行機が思わぬ事故に遭い、チャック一人生き残り無人島に漂着する。生きるために苦闘し孤独と戦うチャック。4年という月日をただひとりその島で過ごし、島から脱出するチャンスに恵まれ脱出に成功するが・・・
正直な感想を言えば「だから、なに〜?」と言ったところでしょうか。つまんなくはなかったんですが、何も得るものがなかったって感じかな。確かにトム・ハンクスは無人島で一人暮らすチャックを見事に演じてたとは思いますよ。すごい減量してるし・・・。でもなんか面白味に欠けるんですよねぇ。島に漂着した当初、墜落した飛行機から流れ着いた荷物を拾い集め職業柄仕分けするチャック。このシーンにはまだ危機感をもたないチャックの心の描写がうまく出てると思うんだけど、その後その荷物をひとつづつ開けていくシーンには彼のあせりとか苦悩とかが出ていなかったような気がする。最後まで開けずにおいた荷物は彼が何とか帰るんだ。帰ってこの荷物を届けるんだ。という生きるための希望のための一個だとは思うんだけど、この映画を観た何人かからあの荷物は何?という意見を聞いたことがあるので、そのあたりうまく伝えきれてないんだなぁと思う。あの最後に残った荷物ってバレーボールのウィルソンよりも大事な小道具だと思うんですけどねぇ。

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『キャッツ&ドッグス』Cats and Dogs(2001年・米)

監督:ローレンス・グータマン。
出演:ジェフ・ゴールドブラム。エリザベス・パーキンス。アレクサンダー・ポラック。
声の出演:トビー・マグワイア。アレック・ボールドウィン。

のどかな住宅街にあるごく普通の1件の家。その家の主ブロディー教授は犬アレルギーを治す新薬を開発研究中だった。そしてその家を取り囲み新薬開発を阻止しようとする猫軍団とそれを守る犬の秘密組織のエージェントの犬たちの密かな戦いが繰り広げられていた。ある朝ブロディー家に潜入していたエージェントが猫たちに誘拐される事態が発生。急遽新たなエージェントを送りこんだはずが、手違いから素人・・・素犬?のルーがやってきた。仕方なくこの件の担当リーダーであるブッチはルーにエージェントとしての仕事を教えることに・・・。新薬の開発を目前にし、二つの組織の戦いは激化する。
あはは・・・バカバカしいけど楽しいや。映画はじまってすぐの新聞に猫キックする猫かわいい!あの猫を見たとき「これは・・・」と密かに期待したのだが・・・。ま、こんなもんでしょ。犬や猫がしゃべっちゃう映画って案外失敗が多いんだよねぇ。どうしても猫本来、犬本来の持ち味がつぶれちゃうからね。でもまぁ、ここまでバカバカしさに徹底してくれたらそれもまたよし・・・って感じかな。しかも声の出演が以外と豪華なのには驚いた(笑)。見事な子供向け映画ですな。

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『ギャラクシー・クエスト』(1999年・米)

監督:ディーン・パリソット
出演:ティム・アレン。アラン・リックマン。シガニー・ウィーバー。トニー・シャローブ

1980年代に放映されていたTVシリーズ『ギャラクシー・クエスト』の出演者たちは、放映終了約20年たった今でも、役者として新しい仕事がある訳でもなく、当時と同じ衣装にメイクといういでたちで、『ギャラクシー・クエスト』の熱狂的ファンらのイベント出演に明け暮れていた。そんなある日彼らの前にクラートゥ星雲から来た”サーミアン”だと名乗る変な4人組が現れる。彼らはファトクリ星のサリスに襲われ、和平交渉も決裂したままなので助けて欲しいという。新しい仕事だと勘違いした彼らはいそいそとサーミアンたちの後について出かけるが、彼らが到着したのは本当の宇宙。本物の宇宙船だった。そう、サーミアンたちには嘘の概念がついこないだまで無く、『ギャラクシー・クエスト』を宇宙戦争の歴史ドキュメンタリーだと信じていたのだった。とんでもない現実に驚き地球に帰ると言い出すが、もうすでに戦闘態勢に入っているためにそれは不可能だという。かくしてTVドラマ『ギャラクシー・クエスト』のプレテクター号の乗組員役だった彼らは本物のプレテクター号の乗組員として本物の宇宙戦争を戦うこととなる。
もう最高に面白い映画です。これをコメディ映画パロディ映画なんて単純に位置付けしたら大間違い。見事なSF娯楽大作ですよ。確かにコメディという要素はたくさんあってコメディ映画と位置付けしてもいいかもしれないけど、もうそれだけではもったいない。笑いの部分はすべてツボに入ってるし、ストーリーに無理がないし、あらが無い。それぞれのキャラが見事に生きている。過去の栄光にしがみついているタガート艦長役のジェイソン・ネズミス。シェイクスピア劇の名優だったはずが、爬虫類と人間のハーフという設定のドクター・ラザラス役のためにシェイクスピア劇には戻れず、ラザラスのメイクと決めぜりふ「トカゲヘッドに誓って・・・」というのにすっかり打ちのめされているアレックス・デーン。容姿しか問題にされないマディソン少佐役のグエン・デマルコ。技術主任チェン役のフレッド。死に役専門でレギュラーに憧れるガイ。名操縦士ラレド役のトミー。彼らが地球での現実役者として新たな仕事がある訳ではなく未だに過去の作品のイメージのみで生活しなければいけないというみじめさと、虚構の世界であるドラマで位置付けられた自分の立場と、宇宙での現実ドラマでの役そのままに演じながらも素の自分で行動するという部分の織り交ぜが非常に面白い。マニアックな『ギャラクシー・クエスト』ファンの使い方がこれまたうまい!なんて気持ちのいい映画なんだろ。見終わって気分爽快。明るく楽しい気分で劇場をあとにすることが出来る映画でした。

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『宮廷料理人ヴァテール』(2000年・仏/英)

監督:ローランド・ジョフィ。
出演:ジェラール・ドパルデュー。ユマ・サーマン。ティム・ロス。

1671年。コンデ大公の宮殿で国王ルイ14世を招いた大晩餐会が3日間執り行われる。なんとしてもこの晩餐会でルイ14世の信頼を得てもう一度政治の表舞台に戻りたいコンデ大公はこの宴の一切の指揮をヴァテールに託す。コンデ大公のため、国王のためという意識は全くなく自らの料理人としての最大限の力を発揮すべく奔走するヴァテール。媚びへつらうことを嫌いただ料理人としての誇りを持って託された大仕事を完遂させたいだけのヴァテールだが、いつしか宮廷内に渦巻く陰謀に巻き込まれていく。
ただめし食うだけになんでここまでしなきゃいけないんだ?・・・って言ってしまうともうそれまでなんですが・・・ネ。表の豪華絢爛な食卓よりも裏で馬係が死んじゃったり、届いたランプ全部割れてて代用品探したり・・・そんなシーンの方が面白かったな。どうもこういうの私苦手なようだ。「そら、革命が起こって首はねられるはずだ・・・」って思っちゃった。映画とは関係ないのにね。で、なんでこんなにすかして観てしまったんだろう?って考えたら原因ははっきりした。私ティム・ロス嫌いなんだ。この人の映画『海の上のピアニスト』しか記憶してないんだけど、『海の上のピアニスト』の時もな〜んか嫌だったんですよね。あのしたり顔が嫌なんだ。多分私この人がどんなにいい役やっててもきっとこいつは絶対に心底いい奴じゃないぞ。腹ん中で絶対にあこぎなこと考えてるに違いない。って思ってしまうだろうな・・・っていうくらい顔が嫌い(爆)。で、またこの何とも陰険で嫌味で憎たらしい役が似合いすぎてて・・・(笑)。

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『救命士』(1999年・米)

監督:マーティン・スコセッシ
出演:ニコラス・ケイジ。パトリシア・アークエット。

麻薬と暴力が蔓延る90年代前半のニューヨーク。そんな場所で働く救命士のフランクは自分の腕に自信を持ち、人を助けることで自らの活力を得ていたが、1年前から誰の命も助けることが出来ずにいた。そして喘息の発作で倒れていたホームレスの少女ローズを救うことが出来なかった日からずっと「どうして私を助けてくれなかったの」というローズの亡霊が彼につきまとい、彼の精神は破綻寸前になっていた。
劇場公開当時『救命士』というタイトルにシリアスな人間ドラマを期待していたが、テレビCMで亡霊が見えるどうこう・・・というナレーションを聞き、こりゃダメだ。と劇場で観るのはやめたんだけど、行かなくてよかったぁ。亡霊って言ったって全然怖い話でもないし、救命士だからってシリアスでもない。だからなんなんだよぉ!って映画です。ブラックととればとれなくもないかもしれないけど・・・う〜ん・・・。亡霊が見えるといってもはたして本当に見えているのか?案外フランクの思い込み「病は気から」を表現した映画じゃなかろうか。でもこれ本当の救命士の人見たら怒るんじゃないかなぁ。アメリカってこんなのなのかなぁ。

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『クッキー・フォーチュン』

監督:ロバート・アルトマン
出演:グレン・クローズ。リヴ・タイラー。ジュリアン・ムーア。クリス・オドネル。

小さな田舎町。一人暮らしの老女クッキーの屋敷の離れに住むウィリスは、最近すっかり年老いて階段の上り下りもつらそうで精神的にもまいりかけているクッキーが心配でならなかった。そしてその心配は復活祭の前日の午後に起こった。クッキーは先立った最愛の夫バックの元に自ら旅立つ。ウィリスに「悲しまないで」と長年やってきた嘘当てゲームの最後の点数を書き残し、幸福に旅立った・・・はずが、旅立った彼女を最初に発見したのが虚栄心が強く、自己中心的な姪のカミールだったために「うちの人間は自殺なんてみっともない真似はしない。これは強盗殺人よ!」と勝手に彼女の死を演出してしまう。その演出のおかげでウィリスが犯人として留置場に・・・
ストーリーも好きだし、出てくるキャラがそれぞれにいいんですよ。まず自分勝手なカミール。強盗殺人にするためにクッキーの遺書食っちゃうし、就寝前のお祈りもこれまた自分勝手で自分自身には何一つ罪がないかのような振る舞い。何から何までカミールの言いなりの妹のコーラ。警察が現場検証にきているクッキーの家でカミールから口をきいちゃダメと言われて口をへの字に閉じているシーンは最高でした。いいんですよこの表情が。酒場からこっそり持ち出したワイルドターキーの小瓶を翌日またこっそりと返すウィリス。ウィリスが酒瓶を持ち出して翌日には返すことを知ってて知らん顔している酒場のおやじ。つり仲間だから彼は犯人じゃないと言い切る保安官。小さな田舎町のごく普通のいい人たちというキャラばかりなのがいいですね。いそいそと死に支度するクッキーもいい。ラストも勿論いい。σ(^-^)はこういうの大好きです。

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『暗くなるまで待って』(1967年・米)

監督:テレンス・ヤング
出演:オードリー・ヘプバーン。アラン・アーキン。リチャード・クレンナ。エフレム・ジンバリストJr.

不慮の事故により失明してしまったスージーは、目の見えない不自由をなんとか克服しながら自分を支えてくれる写真家である夫サムと幸せな日々を送っていた。ある日仕事の帰りサムは空港で見知らぬ女性からオルゴール付の人形を預かるが、その人形について連絡があった時なぜだかその人形は見当たらなくなっていた。しかしたかが人形だとさして気にもとめなかった二人だったたが、その人形には麻薬が隠されており、なんとしてもその人形を取り戻そうと考える三人の男たちは夫を偽りの仕事で外出させスージーが盲目であることを利用して、彼女を騙し人形を手にいれようと巧みに仕掛けるのだが・・・
三人の男たちがスージーを騙そうと一芝居うつんだけど、ちょっとひねくれて考えるとその芝居はどうも三文芝居っぽい・・・(^^;)。が、しかしなんでそうなるかが観終わってからやっとわかった。この映画ほとんどがスージーの家の中だけなんですよね。だから舞台劇的な感覚で観た方がより面白さが感じられると思う。そして序々に恐怖に陥れらていくスージーを演じるオードリー・ヘプバーンがいい。あの愛くるしい彼女の瞳が盲目という役のために一点しかみつめないというはがゆさはあるんだけど、彼女の上手さを感じさせてくれる役ですね。終盤駐車場の車がいきなり現れるシーンでは思い切りドキリとさせられそのあとの展開にはぐっと引き込まれました。

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『グラディエーター』

監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ。ホアキン・フェニックス。コニー・ニールセン。

西暦180年。ローマ帝国皇帝マルクス・アウレリウスは自分の老いを感じ取り、我が子コモドゥスではなく自らが全幅の信頼をおく将軍アエリウス・マキシマスに帝位を譲ることを決意するが、父親への愛情よりも次期皇帝は自分だと信じて疑わなかったコモドゥスの野心により殺害されてしまう。そしてコモドゥスは自分の地位を確実にするためにマキシマス将軍を殺害し、その妻子までも殺害でしてしまう。が、かろうじて一命を取り留めたマキシマスは剣闘士奴隷となっていた。やがて無敵の剣闘士として観衆の喝采を浴びるマキシマスはローマのコロシアムで宿敵コモドゥス皇帝と再会し、復讐を心に決める。
映画がはじまってすぐのゲルマン軍との戦闘シーンでスクリーンに見事に惹きつけられ2時間35分と少し長い映画であるにも関わらずその長さは一向に感じられなかった。おもしろい。『ベン・ハー』などと比べるとさすがにちょっとストーリーの重厚さが感じられないですが、超娯楽スペクタクル史劇として文句なしですね。特にマキシマスたち剣闘士奴隷が負ける側の設定としてたつコロシアムの試合でマキシマスの的確な指示戦略でローマ帝国側の剣闘士たちをやっつけるシーンは痛快でとても興奮しました。ただどうも気になった点が2箇所。まず最初のゲルマン軍との戦闘でマキシマスについて戦っていたワンちゃん。どうも見落としてしまったらしく、一体彼はどうなったんでしょう?助かったの?それとも戦死しちゃったのかなぁ?それとラストのコモドゥス。「おーい、放ったらかしかよー」いくらなんでもかわいそすぎない?(笑)

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『グリーンフィンガーズ』(2000年・英)

監督:ジョエル・ハーシュマン
出演:クライヴ・オーエン。ヘレン・ミレン。デヴィッド・ケリー。

高い塀も鉄条網も監視カメラもない、開放的なエッジフィールド更生刑務所に一般刑務所から一人の男が搬送されてくる。彼の名はコリン。しかし誰とも関わらず、何も希望を持たない彼には開放的で過ごしやすいエッジフィールド刑務所も一般刑務所も彼にとっては何ら変わりはなかった。そんな彼に何度邪険にされようと親しみを込めて接してくる同室の老人ファーガス。そして彼からもらった花の種がきっかけで、刑務所長はコリンに庭造りを命ずる。庭師の仲間はファーガスにロウ、トニー、ジミーの4人。およそ園芸なんてガラじゃない5人だが、園芸の楽しさに惹かれ、腕をあげ、やがては女王陛下も鑑賞するという"ハンプトン・コート・パレス・フラワーショウ"出場することとなる。イギリスで本当にあった話です。
刑務所という普通で考えればむさ苦しいところのお話なんだけど、開放的って、こんなに開放的で快適でいいの?と驚くような刑務所で、しかもむさ苦しい男達が必死にとりかかるのは美しい草花を育てること。刑務所が舞台でこんなにさわやかな映画はいまだかつてなかったんじゃないかな。登場人物がみんないいんだ。最初はなんでこんなことしなきゃいけないんだって感じでしぶしぶ庭造りに手をかけるけど、やってるうちに段々みんな本気になってくる。その顔がすごく素敵なんだ。特にファーガスじいさんがいいな。飄々といつも笑顔で、でも本当はすごく重い人生を背負ってて・・・。彼らが"ハンプトン・コート・パレス・フラワーショウ"で作った庭は本当に素敵でした。自分たちになぞらえて普段は嫌がられたり、無視されている野の草花で作った庭。あんな庭のある家に住めたらいいな。気持ちが晴れやかになる一作です。

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『グリーンマイル』

監督:フランク・ダラボン
出演:トム・ハンクス。マイケル・クラーク・ダンカン。デヴィッド・モース。バリー・ペッパー

1935年。ジョージア州のコールド・マウンテン刑務所死刑囚舎房のEブロックに一人の黒人の大男が送られてきた。彼の名はジョン・コーフィー。彼の死刑判決の理由は二人の少女の殺害だった。看守主任のエッジコムは、体格とは裏腹に暗闇を怖がる温厚なジョンと彼が犯したとされる事件がかみ合わない違和感を覚えながらも他の死刑囚と同じく彼に接していたが、ある日尿路感染症が最悪の症状となったとき、ジョンに呼ばれ彼の側まで行くと彼はエッジコムの股間をつかみ不思議な力を送った。すると最悪だった尿路感染症が治癒したのだった。そして次々と奇蹟を起こすジョン・コーフィー。奇蹟を目の当たりにし、本当に彼を電気イスに送っていいものなのか苦悩するエッジコム。ジョン・コーフィーは神の使いではないのか?本当に彼が少女たちを殺害したのか?
物語的にはσ(^-^)の好きなタイプの作品なので、映画館まで行こうかと思っていたのですが、3時間を超える長さと、トム・ハンクス主演ということに躊躇してしまった作品です。いや、別にトム・ハンクスは嫌いじゃないんですが、どうも『フォレスト・ガンプ』以来、この手の作品に彼が出ると賞取りを意識して作品選んでんじゃないの?という胡散臭さが先に感じられて、どうもダメなんですよね。などと言いながらすっかりこの作品に感動させられてしまいました(^^;)。家のソファーに座ってゆっくりと観たおかげでこの長さも気になりませんでしたし、エッジコムを中心とした看守たちがそれぞれにいいんですよ。おまけにこの作品の悪役のすべてを担っているようなパーシーは、製作者の策略そのままに見事に観ているものをムカつかせてくれましたし(笑)。そしてジョンが電気イスにかけられるシーンでは、バリー・ペッパー演じるディーンがすごくいい。ジョンを電気イスに座らせた時点でもうすっかり泣き出していて、涙を拭いてから立ち上がれと言われ、なんとか涙をふいたものの、流れる涙をおさえきれないディーンの涙にしっかりともらい泣きしてしまいました。

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『クリムゾン・リバー』(2000年・仏)

監督:マチュー・カソヴィッツ
出演:ジャン・レノ。ヴァンサン・カッセル。

アルプスの近くゲルノン市である死体が発見される。パリから派遣された特殊捜査部隊のニーマンス警視は何故自分が派遣されたのか不思議に思いながら発見されたという死体の検分に行くと、その死体は全裸でまるで胎児のような格好で目はくりぬかれ無数の切り傷があり、5時間以上もの拷問のあげくに殺害されたものだった。その死体の凄惨さから何かのメッセージを感じたニーマンスは早速事件の捜査にあたる。同じ頃ゲルノン市から100キロほど離れた町で20年前に交通事故で死亡した少女の墓が荒され、小学校からはその少女の記録が盗まれるという事件が起こる。事件にあたったマックスは荒された墓の少女の事故が普通ではなかったことから事件に興味を覚え、少女の母親から聞いた地名ゲルノン市へ向かう。ふたつの事件が繋がった頃第二、第三の死体が発見され、事件はゲルノン市にある大学へと結びつく・・・
タイトルバックの映像がいきなり放置され虫がたかってる死体というのがすごい・・・。思わずえぐいシーン満載なのか!?と引いてしまったが、映画がはじまるとさほどのことはなくまず安心。幼い頃は横溝正史シリーズにびびっていたのに、今ではすっかりこの手の映像に慣らされてしまったということか・・・。ストーリーはまずまず、ヴァンサン・カッセルのアクションシーンもよかったし、見所もそれなりにあったと思う。でも、ちょっと突っ込みに欠けてラストがイマイチわかりずらく思ったのはσ(^-^)だけだろうか?『セブン』や『羊たちの沈黙』のようなものを求めてしまうとちょっと物足りないけど、横溝正史シリーズのノリで観るならそれなりに楽しめる作品だと思います。特にあの死体の精巧さは見るに値しますね。

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『狂っちゃいないぜ』

監督:マイク・ニューウェル
出演:ジョン・キューザック。ビリー・ボブ・ソーントン。

ニューヨークの航空交通管制センターの職員たちは、毎日9000機もの飛行機離着陸誘導を行っている。緊張に次ぐ緊張にストレスに精神を病む者もいる中、ニックは自他共に認めるトップの管制官だった・・・そうちょっと変わり者のラッセルという男がやってくるまでは。彼の無茶とも言える高度な誘導テクニックとクールな態度に自分が最高だと思っていたニックはおもしろくない。仕事で彼を意識するあまり、その気持ちはプライベートにまで及んで、彼のストレスは過度に溜まっていってしまう・・・
管制塔の中だけのお話だと思っていたのですが、見事にだまされてしまった。誰もがストレスをかかえる仕事場でニックは自分が一番だという自負心でそのストレスを解消していたのかもしれませんね。そしてそんな解消方法は自分より上を見せ付けられることで、見事に崩れていく。その崩れていく様が哀れで滑稽で・・・しかもこのニックって「おれってダメだよなぁ。」って一言が口が裂けても言えない。ってタイプなんですよね。だから疑心暗鬼、被害妄想であっさりと壊れてしまう。反面クールなラッセルは案外あっさりと口にはださなくても「おれってダメだよなぁ。」って思うことが出来て、自分を御することが出来る男なんだと思う。その相対が面白かったですし、テンポもよくって楽しめました。ただ、ラッセルの妻がイマイチなんなんだかわかりませんでしたけどね。(^^;)

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『ゲット・ア・チャンス!』WHERE THE MONEY IS(2000年・米)

監督:マレク・カニエフスカ
出演:ポール・ニューマン。リンダ・フィオレンティーノ。ダーモット・マルロニー

老人ホームで看護婦として働いているキャロルは、高校時代プロム・クィーンで夫のウェインはプロム・キングというゴールデン・カップルだった。今ではそんなことは遠い昔、小さな町でごくごく普通にとりあえずは幸せに暮らしていた。そんなある日キャロルの勤める老人ホームに心臓発作を起こし、半植物人間状態となってしまった元スゴ腕の銀行強盗のヘンリーが護送されてきた。看護婦として彼の世話をするキャロルはまともに体を動かすことが出来ないはずの彼の側で起こる小さな変化から彼の今の状態は演技ではないか?と疑問を募らせる。見事に彼の演技を暴いたキャロルはヘンリーと接するうちに平凡な暮らしに嫌気がさしていた自分に気付き、ヘンリーに銀行強盗を持ちかけ、やがて夫ウェインも巻き込んで、スゴ腕銀行強盗と素人の夫婦という奇妙な組み合わせの現金強奪作戦がスタートする。
やっぱポール・ニューマンはいい!半植物人間状態を演じているときのチラッと動く目がチャーミングだ。そして演技がバレてから普通に行動するようになったときもこれまたセクシーでお茶目でさすがポール・ニューマン様!御年75歳日本だとすっかりじさまで、恋愛対象になんかしてももらえない年齢なんだけど、こんなに魅力溢れる75歳放っておく女がいるわきゃない。もちろんあたしゃ惚れたね。それにキャロル役のリンダ・フォレンティーノもやんちゃで元気で素敵だな。ヘンリーの仮病を見破るためとは言え、なんとも過激なお色気作戦。「耐えられるのか?ヘンリー?!」とスクリーンを凝視してしまったよ(笑)。ポール・ニューマンの魅力満開のお茶目でさわやかな映画でした。

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