『交渉人』NEGOTIATOR(1998年・米)

監督:F・ゲイリー・グレー
出演:サミュエル・L・ジャクソン。ケビン・スペイシー。

シガゴ警察No.1の人質交渉人ダニーは同僚から相談があると呼び出されるが、その同僚が何者かに殺害され、その犯人にされてしまう。今まで仲間だった同僚たちから白い目で見られ、しかもこの事件には警察内部の汚職が絡んでいた。窮地にたったダニーは自らの無実を証明する手段として人質をとり警察に篭城する。そして署内に犯人がいると判断した彼は他署のクリス・セイビアンを自分の交渉人として指名する。一流のプロの交渉人二人の駆け引きの中で果たして真犯人はみつかるのか?
ムフフ・・・この映画ですっかりスペイシー様の虜になっちゃったんですよねぇ。もう最高にかっこいい。子供の一言ですっかりむくれてしまった奥様をドア越しに必死に説得交渉している登場シーンから現場へ赴きプロとして交渉をはじめる流れがいい!警察での篭城までの一つの山をサミュエル・L・ジャクソンもしっかりと引っ張ってますし、無駄なく引き締まった作品だと思います。ただデイビッド・モース扮する同僚は・・・いい奴なんだか悪い奴なんだか・・・(^^;)。

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『ゴージャス』

監督・脚本:ヴィンセント・コック
出演:ジャッキー・チェン。スー・チー。トニー・レオン。

台湾に住む少女プウはある日ボトルに入った手紙をみつけ、ロマンチックな出会いを求め、その手紙の主アルバートにに会いに香港へ出掛けるが、なんとその手紙の主は別れた彼氏にあてたものだった。それでもロマンチックな出会いをあきらめきれないプウはそのアルバートの家に居候ししばらく香港に滞在することに。そして運命の人実業家のチェンと出会うのだが・・・・
さぁ!ジャッキーの映画だ。今回はどうかなぁ。と見ていると・・・あれ?なに?海にイルカにおまけにこのヒラメ顔の女の子は?(・_・? おまけにボトルメール? あ、もしかしてラブレターとみせかけたこのメールは実はマフィアか何かの暗号でこの子がそれと知らずに巻き込まれるのかな? で、ジャッキーの登場。は?「株」? 社長??ジャッキー・チェンの映画でまさか恋愛映画だとは思わなかった。(笑) ありふれたパターンの恋愛映画だけど、まぁ、面白かったですよ。ジャッキー映画でアクションなかったらびっくりしただろうけど、ちゃんとアクションも見せてくれましたし、しっかりコメディタッチだったし、悪人が出てこないのがこれまたよかったです。ま、基本はありふれたというより使い古されたパターンではありますがね。(^^;)

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『氷の接吻』

監督:ステファン・エリオット
出演:ユアン・マクレガー。アシュレイ・ジャッド。

英国諜報局のスパイ"EYE(アイ)"は、妻が娘を連れて行方不明になってからただ寡黙に仕事をこなす毎日だった。そんなアイの今回の仕事は局長の息子の金の使途を調査すること。ところが張り込み中、局長の息子と一緒にいた女がいきなり息子をメッタ刺しにして殺害するのを目撃してしまう。彼女の名前はジョアナ。殺人を重ねながらアメリカ大陸を縦横に移動するジョアナ。当初は仕事として彼女を追っていたアイだが、いつしか彼女の魅力に惹かれ、彼女の虜になってしまう。
うーん・・・不思議な映画だ。イマイチσ(^-^)には理解出来なかった。決して面白くない映画ではないんです。ただσ(^-^)には向いていない。アイのいなくなった娘が常にアイのまわりに現れるという時点でσ(^-^)にはダメでした。どうもこういう幻想的というか感覚的というか・・・こういうちょっと変わったのってわかんないんですよね。でもこの映画のアシュレイ・ジャッドは『ダブル・ジョパディー』と同一人物だとは思わなかった。うまさが際立っているとでも申しましょうか。妖艶でとても魅力的でした。σ(^-^)はこれビデオで観たのですが、DVDだともうひとつのラストがあるとか・・・。非常に気になる。でも、こんな気になることやめて欲しいですよねぇ。(笑)

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『ゴッド and モンスター』

脚本・監督:ビル・コンドン
出演:イアン・マッケラン。ブレンダン・フレイザー。

『フランケンシュタインの花嫁』を監督したジェームズ・ホエールが自らハリウッドを去り隠遁生活を送ってもう15年もの年月が経っていた。彼は脳溢血で倒れ入院している間にメイドのハンナが雇った庭師クレイトン・ブーンに惹かれ彼に絵のモデルになってくれないかと頼む。そしてそこから二人の奇妙な友情の物語が始まる。
σ(^-^)は『フランケンシュタインの花嫁』も未見だし、ジェームズ・ホエールという監督の名前すら知らなかったのですが、知らなかったからこそ素直に見ることが出来たのかもしれないなと思います。彼が同性愛者だから「地獄へ落ちる」と毒づきながらも彼に懸命に尽くすメイドのハンナ。最初はお金のためにモデルを引き受け、彼が同性愛者だとわかって毛嫌いしながらも彼の元に通ってくるクレイトン。3人が不器用なまでに織り成す友情。そこにジェームズの病気のために時々起こる幻覚と彼の作品『フランケンシュタインの花嫁』のシーンが奇妙に組み合わされとても感動的な作品だと思います。愛情と友情の違いって?と聞かれると非常に困ってしまうのですが、σ(^-^)としてはこの作品は人間の悲哀のこもった友情の物語ってことにしたいな。

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『ことの終わり』(1999年・米/英)

監督:ニール・ジョーダン
出演:レイフ・ファインズ。ジュリアン・ムーア。スティーブン・レイ。

1940年代のロンドン。作家のモーリスは美しき人妻サラと出会い一目で恋に落ちる。空襲警報のなる街で密かに逢瀬を重ねる二人に別れは突然にやってくる。それから2年後雨の街で偶然にサラの夫ヘンリーと出会ったモーリスはヘンリーからサラが浮気をしているかもしれないと聞かされ、自分との別れの原因となったかもしれない第三の男の存在を確かめるべく自ら探偵を雇い彼女の行動を調べるが・・・
なんとも以外な第三の男。はかなくも悲しい恋の物語なのかもしれない・・・が・・・、σ(^-^)はこのモーリスという男がうざったくって仕方がなかった。なんてバカ男なんだろう?映画を観ていてえ〜い!このバカ女!と罵ったキャラは過去に何人もいたが、このバカ男!と罵ったキャラは初めてではないだろうか?反対にスティーブン・レイ演じる夫ヘンリーがいいんだ。サラの浮気を知っても嫉妬に狂わずひたすら現実をしっかりと受け止め、彼女に何が出来るかをじっと考えただ彼女を見守るヘンリー。愛の本質は与えることなんですよね。

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『こねこ』

監督:イワン・ポポフ
出演:チグラーシャ。ワーシャ。イザウラ。ジンジン。シャフ。プショーク。ペルシーク。

マーニャとサーニャという二人の子供にかわいがられてた子猫のチグラーシャがある日窓の外の小鳥に気をとられて窓から落ちてしまい、その落ちたところがトラックの荷台だったために遠くへ運ばれてその後なんとか元の飼い主の元へ戻ってくるというお話です。
芸達者な猫たちがいっぱい出てくる猫好き。動物好きにたまらない映画です。なかでもσ(^-^)の一番のお気に入りは主人公のチグラーシャよりもジンジン。三角おにぎりにのりをのせたみたいなとても愛嬌のある顔立ちだし、妙にとぼけた雰囲気を醸しだしているし、ただじっと座っているだけでもかわいんだな。いつも自分の毛布を持ち歩いている?シャム猫のイザウラもかわいいですよ。とにかく猫好き必見の映画です。(笑)

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『コンフェッション』

監督:ローディ・ヘリントン
出演:キューバ・グッディングJr.。トム・ベレンジャー。

弁護士ローソン・ラッセルは明らかに有罪である娼婦殺しの被告で市長の息子サーマンの弁護を引き受けていたが、良心の呵責に耐えかね、裁判で真実を暴露しようとしたことにより弁護士資格を剥奪され、フロリダに移住し、体験をもとに小説を書くつもりが筆は進まず、釣り客相手の貸しボートで生計をたてていた。そんなある日貸しボートの客として知り合った老人から自分が書いたという小説を渡され、感想を聞かせて欲しいと言われる。その内容は5人の悪徳弁護士が次々と殺されるというもので、それは素晴らしい傑作だった。早速感想を伝えに老人の元へ行くが、彼の家の前には警官がいて彼は心臓発作で先ほど亡くなったと伝えられる。手元に残った最高傑作の小説。後ろめたさを感じながらもローソンはその小説を自分の作品として発表してしまう。そして瞬く間にベストセラー作家となった彼を待っていたのは、殺人容疑での逮捕だった。そうその小説には実際におこった事件そのままが描かれ、犯人しか知りえない内容だったのだ。
大筋は非常に面白い。ただ細かい点には数々の無理があるような気がするし、なんとも後半は無理やりによりきったね。という感じが否めないですね。もっとわくわくドキドキというスリルが欲しかった。でもね、σ(^-^)がこのビデオ借りた理由がビデオの表紙にデカデカとキューバ・グッディングJr.とトム・ベレンジャーがのってたから。こうなってたら当然トム・ベレンジャーも準主役でばっちり活躍すると思うじゃない。なのに・・・なんなの? ひどい・・・。なんともスカみたいな役じゃないのよぉ。スカなんて言い過ぎかもしれないけど・・・。はぁ〜・・でもあんまりだよ。ビデオ途中で切っちゃいたいくらいショックだった。切ってもよかったかもしれないラストでしたがね。(苦笑)

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『こころの湯』SHOWER(1999年・中国)

監督:チャン・ヤン。
出演:チュウ・シュイ。プー・ツンシン。ジャン・ウー。

銭湯を営む劉の元にある日突然、故郷を出て深圸でビジネスマンとして妻と暮らす大明が帰ってくる。知的障害を持つ弟阿明から送られてきたハガキに横たわる父の絵が描かれていたため父に何かあったのではと帰ってきたのだった。しかし父は元気に銭湯を切り盛りし、弟阿明とともに楽しそうに生活を送っていた。父の仕事が理解できずに家を出て疎遠になっていた大明は、父と弟の生活の中で時を過ごすうちに家族への本当の想いに気付くが・・・。
ほくほくと心があったまる映画だ。日常の雑他な出来事で忘れてしまっているものをふと思い出させてくれる・・・そんな気がする。劉と阿明の二人の生活を観ていて楽しく暮らす・・・ってこういうことじゃないかな?という気がした。銭湯にやってくるお客たちもみんないいんだ。一癖も二癖もありそうなんだけど結局はみんないい人なんですよね。欲も得もなく、人の笑顔が見ることの出来る仕事に誇りを持っている劉が経営している銭湯だからこそかも・・・。すごく素敵な人だ。夫婦仲がよくない原因が夜の生活が出来ないんだということを聞いて劉が用意する特別なものを入れたお風呂。なんて粋な計らいなんだ。嫌味なくさりげなくこういうことの出来る人っていいな。でも、観ている間中この人と笑福亭松之助師匠がだぶっちゃって・・・(笑)。

2002年2月22日(動物園前シネフェスタ)

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『この素晴らしき世界』MUSIME SI POMAHAT(2000年・チェコ)

監督:ヤン・フジェベイク
出演:ボレスラフ・ポリーフカ。アンナ・シィシェコヴァー。ヤロスラフ・ドゥシェク。

第2次世界大戦下のチェコ。ナチスの支配下となり次々と収容所へ送られるユダヤ人たち。ヨゼフのかつての上司家族もユダヤ人ということで収容所へ送られていった。子供に恵まれず妻と二人暮しのヨゼフはナチスへの嫌悪と不満を募らせながら、国境防護壁建設中に悪くした足を理由に家に閉じこもりっきりの生活を送っていた。そんなある日収容所から脱走した上司の息子ダヴィトと出会う。仕方なく家の隠し部屋でダヴィトを匿うこととなるが・・・
何かに翻弄される姿は常に喜劇の題材なんですよね。それを一般的に悲劇の題材として扱われるナチス占領下の時代を選んでいるということに拍手。そしてそれに嫌味なくさりげなく笑いの味付けをしていることにまたまた拍手。原題は「私たちは助け合わなければ」というらしいのですが、この原題がいいですよねぇ。いい意味で捉えれば、まさしくこのままの通り人間とはかくあるべきである・・・ってことなんだけど、この映画を見終えたあとでこの原題を聞くと、ふと苦笑いをしてしまう。人間の弱さ、強さ、ずるさ・・・すべてが見事に調和してそれぞれの登場人物がいいも悪いもなく人間として人間本来として描かれているのがすごくいい。特に向かいの家のおやじがいい味だしてくれてます。この映画のコピーは「人は、どうしてこんなに可笑しく、哀しいのか」なんですが、可笑しくって、哀しくって、憐れなのが人間なんですよね。 この作品は私にとって本年度劇場鑑賞作品の中でベスト3には絶対入るな。

2002年10月6日(OS劇場C・A・P)

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『ゴスフォード・パーク』GOSFORD PARK(2001年・英)

監督:ロバート・アルトマン。
出演:アイリーン・アトキンス。ボブ・バラバン。アラン・ベイツ。

ウィリアム・マッコードル卿に招かれ、ご招待ありがとうという笑顔にそれぞれの思惑を秘めて、次々にゴスフォード・パークに集まる人々。集まったほとんどの者がマッコードル卿の財産目当て。エゴの塊のような貴族たちに仕える従者たちは従順に使えながらも、彼らのゴシップ話に花を咲かせる。豪華な晩餐にキジ撃ち。晩餐後のひとときを招待客の一人であるハリウッド・スター、ノヴェロの歌声に酔いしれながら過ごしていた時、マッコードル卿の死体が発見される。
ロバート・アルトマンと言えば群衆劇ということで、まぁ、たくさんの人が出てくる。出てくる。映画の冒頭登場人物把握するのに時間かかっちゃったよ。これが山田さんやら田中さんならわかりやすかったんだけど(爆)。古くからのしきたりでゲストの従者やメイドは主人の名前で呼ばれるということで少しはましでしたが・・・。(笑)しかしまぁ、よくこんなにも一癖も二癖もあるキャラクター集めたもんだねと感心しきり。私ははじめこの映画サスペンスものだと思っていたのですが、違うんですね。サスペンス仕立てではあるけど、サスペンスじゃない。貴族階級への風刺を込めた人間ドラマって感じですかね。舞台劇のようで面白かったな。ただ、あの頼り無い警部はいかがなものか・・・。ちょっと作り過ぎてて私は好きじゃないな。またまた映画とは関係ありませんが・・・ストックブリッジ卿の従者役のクライヴ・オーウェン渋い!かっこいい!(笑)

2002年12月1日(梅田ガーデンシネマ)

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『キューティ・ブロンド』CUTIE BLONDE(2001年・米)

監督:ロバート・ルケティック
出演:リース・ウイザースプーン。ルーク・ウィルソン。セルマ・ブレア。マシュー・デイビス。

カリフォルニアにある大学でファッション販促を専攻するエル・ウッズは、おしゃれこそ女の生きる道というバブリーなブロンド娘。ある日政治家志望の恋人ワーナーから「君は政治家の妻にはふさわしくない」と別れを告げられる。落ち込むエルだが、ワーナーの兄の婚約記事に二人の出会いはハーバードのロー・スクールというのを見つける。それならば自分もハーバードのロー・スクールに入ればワーナーとヨリを戻すことが出来るはずだと猛勉強を開始。そして見事に合格。やっとワーナーとの再会を果たすが・・・。
面白い!かわいい!リース・ウイザースプーンってこんなにかわいかったっけ?この映画の彼女は本当にキュートだ。出来すぎと言えば出来すぎなお話なんだけど、とにかく主人公エルのポジティブシンキングがすごくいい。私はこういうの大好き。どこまでもあきらめない映画は本当に好きだ。それにこのノリの軽さ。ノリの軽いコメディなんだけどドタバタじゃないのがこれまたいい。嫌なこと全部忘れて楽しめる映画ですね。エルの愛犬ブルーザーが要所をしめてかわいいし(笑)。しかし映画の内容とは離れちゃいますが、おしゃれというのはあそこまでしなきゃいけないものなのか・・・と冒頭の社交クラブのシーンで思わずうなっちゃいました。なんでもこの映画のパート2もあるとか・・・。なんだか楽しみだな。

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『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』CATCH ME IF YOU CAN(2002年・米)

監督:スティーブン・スピルバーグ。
出演:レオナルド・ディカプリオ。トム・ハンクス。クリストファー・ウォーケン。

1964年、フランク・アバグネイルJr.は、裕福な家庭で仲のよい両親とごく平凡に幸せに暮らしていた。ところが父の事業が失敗し、家も車も売り払い小さなアパートに移ったことから今までの生活が一変する。母の浮気、そして離婚。ショックのあまり家を飛び出した彼はマンハッタン行きの列車に乗る。何も考えず飛び出した彼の手元にあったのは父が作ってくれた小切手帳。しかし口座の残高はわずかしかなく安ホテルの支払いに切っていた小切手が不渡りとなりホテルを追い出される。そこで彼は小切手の偽造を思いつく。やがて彼の小切手の偽造は巧妙に、そして大規模になっていく。そんな彼の犯罪は新聞にも載りますます有頂天になっていくフランクだが・・・。
17歳で小切手の偽造を思いつき、FBIを翻弄させて19歳で逮捕されたフランク・アバグネイルJr.は実在の人物だそうで、なんともアメリカらしいお話だなという印象を受けた。犯罪を犯しているんだけど、元は子供じみた発想で離婚した両親を元通りにしたい、父親を楽にしてあげたいというあたりのちょっぴり悲しい雰囲気を漂わせながらも、軽快でコミカルなタッチで楽しませてくれる映画だと思う。一般的にはね(笑)。それなりには面白かったんだけど、世間の評判ほど私は楽しめなかった。どうも・・・ねぇ、あの子供じみた発想が私には理解できなかったしついていけなかった。私がヘンな部分で固いのからかもしれませんね。実はフランス警察が包囲しているから逃げると射殺されてしまうからとFBIのカールが説得するシーンで、思わずそのまま外に逃げさせて射殺されたっていいじゃん。って思っちゃった。(^^;)。これは映画の良し悪しじゃなくってもう完全に私の感覚の問題なんですよね。こういう罪の意識のないガキはどう考えても許せないんだな。(苦笑)

2003年4月20日(アポロシネマ)

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『くたばれ!ハリウッド』THE KID STAYS IN THE PICTURE(2002年・米)

監督・製作:ブレット・モーゲン。ナネット・バースタイン

プールサイドで大物女優ノーマ・シアラーに声をかけられ二枚目俳優としてデビューしたロバート・エヴァンズは、俳優としての自分にさっさと見切りをつけプロデューサー業へと転身し30代でパラマウントのカリスマ・プロデューサーとなる。映画会社として下位だったパラマウントをトップにまで押し上げた彼のハリウッドでの天国と地獄の人生のドキュメンタリー。
映画ファンとしてこうしてサイトまで運営しながら、実は私こういうこと疎いんですよねぇ。最近でこそまだましですが、以前は俳優の名前はある程度知っているものの監督の名前なんてほとんど知らなかった。そんな私がプロデューサーの名前なんて知るはずもない。ただ予告編を観てなんとなく面白そうだったから観にいったのですが・・・。「ほぉ〜」「へぇ〜」の連続(笑)。私ミア・ファローって好きな女優さんなんですが、この映画観て彼女の見方変わりました。ハリウッドの女優ってやっぱり普通じゃない(笑)。『ゴッドファーザー』の誕生もすごく興味深いですし、売れた本の映画化権を買い取るんじゃなくって映画化するために作家を抱えてまず小説を書かすという手法にも驚きました。売れる映画を作るって並大抵じゃない。ましてそんな世界に身を置く人間も並大抵じゃないとつくづく感じました。

2003年10月11日(心斎橋シネマ・ドゥ)

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『キル・ビル』KILL BILL Vol.1(2003年・米)

監督:クエンティン・タランティーノ。
出演:ユマ・サーマン。ルーシー・リュー。千葉真一。ダリル・ハンナ。

4年前に死んでいたはずだったコードネーム”ブラック・マンバ”。彼女は世界最強の暗殺集団DiVASのメンバーでボスであるビルの愛人でもあった。しかし妊娠し、組織を抜けようとした彼女をビルは放っておくはずもなく、結婚式場で手下である4人の殺し屋とともに式場に集まった全員を殺害し、彼女には凄惨なリンチのあげく頭を撃ち抜く。しかし奇跡的に助かった彼女は4年もの間の昏睡状態から目覚め、復讐の旅に出る。
なんて面白い映画なんだ。観ている間中、顔がほころびて仕方なかった。内容なんてもうどうでもいいよ。とにかく楽しい。これでもか!ってくらい血しぶきはたつし、腕やら足やら首やらぶっとぶし・・・(笑)。凄惨であるはずのシーンなのに笑いが出てきてしまう。だってそれらのシーンってかつて観たことのあるシーンなんですよね。面白いしうれしいし・・・というのがこの映画の感想ですね。日本人のために撮ったアメリカ映画って言ってしまってもいいんじゃないかな。主演のユマ・サーマンもかっこいいけど、ルーシー・リューがすごくいい。私はこの人にあまり思い入れなかったんだけど、慣れない着物を着て殺陣に望んでくれたというプロ精神に賛辞を送りたい。しかも日本語のセリフが多いのにはびっくり。BGMもすごくいい。思わず帰りにサントラ買っちゃいました。BGMの1曲に『修羅の花』がかかるっていうのは知っていたのですが、まさかエンドクレジットで『怨み節』まで流れるとは・・・(笑)。しかし『怨み節』を口ずさめる私って一体・・・(笑)。

2003年11月3日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『キル・ビルVol.2』KILL BILL Vol.2(2004年・米)

監督:クエンティン・タランティーノ。
出演:ユマ・サーマン。デヴィッド・キャラダイン。ダリル・ハンナ。マイケル・マドセン。

妊娠したことで暗殺者の仕事を捨て子供のために生きようと平凡な男との結婚を選ぼうとしていたザ・ブライドは、結婚式の予行演習中、かつてのボスであるビルによりすべてを奪われてしまう。四年の昏睡状態から目覚めた彼女は復讐の旅に出る。そして東京でオーレン・イシイを。パサデナでヴァニータへの復讐を果たした彼女は残るビルの弟でもあるバドとエル・ドライバー。そしてビルへの復讐のため四年前、彼女が子供との幸せのために選んだテキサスへとやってくる。
VOL.1ですっかり『キル・ビル』タランティーノに魅せられてしまった私はとにかくこのVOL.2が待ち遠しくって仕方なかった。ところがこの作品のポスターを見て「KILL BILL VOL.2 THE LOVE STORY」あれ?なんなんだろうこのラブ・ストーリーって?VOL.1であんだけ大暴れしてはちゃめちゃしたのに、いきなりVOL.2では、やっぱりビルを愛しているの・・・なんてことはないよねぇ?と不安がいっぱい。で、流れてきた噂は『子連れ狼』だって言う。さてさてどんな仕上げになっているのかと、いそいそと劇場に足を運んだファーストシーン。思わずにやけちゃいました。この監督は本当に映画が好きなんですよねぇ。だってこのシーン見て『汚名』でイングリット・バーグマンが夜の海岸をオープンカーで走る姿を思い出しちゃったんですもん。思い入れ度からすると私の場合はVOL.1の方が強いし、ずっと面白く感じちゃったんですが、派手さはないにしてもこちらも映画好きをうならせる作品なんじゃないですかねぇ。デヴィット・キャラダインの作品って私は一本も見ていないのでなんとも言えないのですが、彼の作品も知っていて、カンフー映画もよく知っているならきっとにやけっぱなしだったかも・・・。なんでももしかしたらVOL.3もあるかもしれないとか・・・。VOL.3は『座頭市』VS『子連れ狼』(笑)。あったらいいのになぁ。

2004年4月25日(TOHOシネマズ泉北)

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『君に読む物語』The Notebook(2004年・米)

監督:ニック・カサヴェテス。
出演:ライアン・ゴズリング。レイチェル・マクアダムス。ジェームズ・ガーナー。ジーナ・ローランズ。

ある療養施設。ひとりの老女の元へ毎日のように通ってきては、ある物語を読み聞かせるデュークと名乗る老人。彼の語る物語は1940年代のアメリカ南部の小さな町のカーニバルの夜からはじまる良家の子女アリーと材木工場で働く青年ノアの一途で長い愛の物語だった。
私がこの映画をどうしても観たいと思ったのは、今流行りの純愛物語だけではない。ジェームズ・ガーナーが出ていて、そのジェームズ・ガーナーがこの映画の中ではすごくいい。と聞かされたら。で、評判通りにいいんですよ。『スペース カウボーイ』でも書きましたがテレビドラマの『ロックフォードの事件メモ』以来好きな俳優さんの一人で、『大脱走』でもいい役してるんですよねぇ。絶対に悪人ではない。と言い切れるくらいに善良で人のいい雰囲気を体全体で醸し出している俳優さんなんですよ。で、その人が老人という域に達してこういう役をやってはまらない訳がない。私はこの映画、若き日のノアとアリーの物語が映像じゃなく、ジェームズ・ガーナーの語りだけでも満足したかも(笑)。あ、これは決して若き日の二人がよくなかったってことじゃないですよ。私がジェームズ・ガーナーだけで大満足してしまったってことです。映画自体も激しい愛の物語という作りではなく、淡々としていて、映像も二人の深い愛のようにアメリカ南部の風景が澄んで美しく、ゆっくりじっくり鑑賞出来る作品でした。

2005年3月14日(パラダイススクエア)

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『コーラス』LES CHORISTES(2004年・仏)

監督:クリストフ・バラティエ。
出演:ジェラール・ジュニョ。フランソワ・ベルレアン。ジャン=バティスト・モニエ。

指揮者のピエール・モランジュは母の葬儀のために故郷に戻っていた。そこへひとりの男性が訪ねて来る。彼の名はペピノ。幼い頃「地の底」という寄宿舎で一緒に過ごした仲間だった。そしてペピノはモランジュの人生を変えたひとりの教師マチューの残した一冊の日記を手渡す。日記は1949年マチューが「地の底」という親を亡くしたり、素行が悪く預けられた少年たちの寄宿舎に就任した日からはじまる。過激ないたずらをする子供たち、そしてそんな彼らに容赦のない体罰を加える校長。赴任早々少年たちのいたずらに翻弄されるマチューだが、彼らの本当の心を信じ、彼らを統率するために合唱を教えることにする。
物語がいいとかそんなことはもうこの際どうでもいい。という映画でしたね(笑)。とにかく少年たちの歌声に心洗われる。ただただ善人でしかないだろうと立ってるだけでそう思わせるマチュー役のジェラール・ジュニョが適役すぎます。彼見ているだけでも和んでしまう(笑)。私が花屋の店先で出会ったおばさんが言っていた言葉でう〜ん確かに・・・と大きく納得してしまった言葉がこの映画にはぴったりと当てはまる。「きれいな花・・・自然が作り出す見事な美しいもの。そして音楽。人の心治すには有名で有能な精神科医なんかよりこれが何より。」この映画の校長の捻じ曲がった心が彼らの歌声で治らなかったのが不思議なくらいです。伯爵夫人の前での合唱でソロをはずされたモランジュに指揮棒が向けられ彼が歌い出すシーンで伯爵夫人が思わず胸に手をあてる。あの気持ちわかるなぁ〜。あの美しい歌声。まさしく天使の歌声。ああいうのを生で聴いたら絶対にあのリアクションになりますよ。映画館でもなりそうでしたからねぇ。あぁ・・・出来るなら生であの歌声聴きたい。

2005年4月18日(動物園前シネフェスタ)

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『キングダム・オブ・ヘブン』Kingdom of Heaven(2005年・米)

監督:リドリー・スコット。
出演:オーランド・ブルーム。エヴァ・グリーン。リーアム・ニーソン。ジェレミー・アイアンズ。

12世紀のフランス。妻と子を亡くし悲しみの中で日々を送る鍛冶屋のバリアンの元に十字軍の騎士ゴッドフリーが訪れ、自分がバリアンの父であると告げる。自分の元に来るようにというゴッドフリーの申し出を一度は断ったバリアンだが、死んだ妻への侮辱にカッとなったバリアンはその夜司祭を殺害してしまう。そして逃げるバリアンは父ゴッドフリーに助けられ父と共にエルサレムを目指すが、エルサレムへ渡る港メッシーナでバリアンを追手から助ける際に負った傷のためゴッドフリーはこの世を去る。その時バリアンに騎士の称号と騎士としての生き方を説く。父の遺志を継ぎエルサレムへ渡ったバリアンはそこで絶望的な運命ながら崇高な王ポードワンに使えることになる。このポードワンとサラセン帝国の指導者サラディンにより何とか束の間の平和が保たれているエルサレムだが、争いの火種は常に燻っていた。そしてやがて・・・。
一番最初にこの映画を知ったときこういう史劇好きだしリーアム・ニーソン出てるし観に行こうって決めてたんですが、上映が近くなって段々観に行く気がなくなってしまった。映画の内容よりオーランド・ブルームの、オーランド・ブルームが、っていうやたらミーハーな宣伝に鬱陶しくなっちゃったんですよね。ところがリーアム・ニーソンにジェレミー・アイアンズが渋くてかっこいい。映画もなかなか面白いとの評判。んじゃま、行ってみっかと劇場に足を運び、大いに納得し満足しました。かっこよく渋いリーアム・ニーソンの出番が少ないのがすごく残念でしたけどね。生真面目で大人しい主役というのもなかなか珍しくて面白いし、最後の抵抗の城壁越しの戦闘に現実味が感じられた。ただエルサレムを我が物にしようとする悪漢ギーとルノーがとにかくただの悪党だったのが、ちょっとげんなりしてしまいましたね。まるで『水戸黄門』なんかの単純明快な勧善懲悪モノに出てくる悪代官なみなんだもん(笑)。

2005年6月6日(アポロシネマ)

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『コーチ・カーター』COACH CARTER(2005年・米)

監督:トーマス・カーター。
出演:サミュエル・L・ジャクソン。ロブ・ブラウン。ロバート・リチャード。アシャンティ。

弱小チームのリッチモンド高校バスケット部。そのバスケット部を立て直すために卒業生でもあり過去バスケット部で活躍したカーターがコーチに就任する。就任早々彼は部員たちにある約束をさせる。授業には全て出席し、一定以上の成績をとること。試合の日には上着とネクタイを着用すること。貧しい家庭の子供が多く、犯罪に手を染めていく生徒の多いこの地区で、カーターが目指したものはバスケットで奨学金をもらい、大学に進学できるようにすることだった。1999年にカリフォルニア州リッチモンド高校で実際にあった物語。
「彼は唯一"リスペクト"できる人だった」というチラシの文句に惹かれ観に行ったのですが「素晴らしい」の一語に尽きますね。弱小チームを強豪チームにまで押し上げる。そういう物語は多々あるのですが、この映画にはアメリカが抱えている貧富の差、教育の格差、そして人種問題が含まれている。映画の中カーターが選手たちにこの地区で高校を無事卒業出来る割合、大学まで進める割合、そして犯罪に手を染め刑務所へと送られる割合を話し、なぜ学業が必要なのか?を説くシーンがあるのですが、その比率に胸が締め付けられる。社会に人生に選ばれなかった人間は選ばせるべく努力しなければならない。もう昔の言葉になってしまったかもしれませんが「アメリカンドリーム」これって努力すれば報われるってことじゃなくって、はなっから選ばれなかった人たちが多く存在するってことなんですよね。カーターにより未来を手に入れた選手たち。彼らはカーターを心から尊敬しているかもしれない。その尊敬を受けながらもカーターは並以上のことを選手たちに要求しなければいけない現実に一番憤りを覚えていたのかもしれない。しかしその中でも彼は選手たちに「人を見下すな」「自分を卑下するな」ということを教える。そして決められたことを守ることの重要さを。さすがサミュエル・L・ジャクソン、ただ選手たちを引き上げ伸ばしたスポ根ものではない深さを演じきれる俳優は数少なく、彼だからこそこの映画の深みが増したんじゃないかと思います。

2005年9月12日(テアトル梅田)

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『クラッシュ』Crash(2005年・米)

監督:ポール・ハギス。
出演:ドン・チードル。マット・ディロン。ブレンダン・フレイザー。ライアン・フィリップ。サンドラ・ブロック。

黒人刑事のグラハムと同僚であり恋人のスペイン系のリア。ペルシャ人のファハドとその娘。若い黒人のアンソニーとピーター。白人のアベック地方検事のリックとその妻ジーン。白人警官のライアンとその同僚ハンセン。ヒスパニック系の鍵屋ダニエル。黒人のテレビディレクターキャメロンとその妻クリスティン。様々な人種の様々な人々がすれ違いぶつかり合い、嘆き、哀しみ、笑い、愛しあう。クリスマスを間近にしたロサンゼルスの数日を描いた群像劇。
なんか何度も書いてますが(笑)、私は群像劇が好きなんでこういう作品ははずせない。でも深夜のハイウェイでの事故にいろんな人が絡んで・・・という映画だと思っていたので、この映画の流れにはびっくりしました。しかもエピソードのすべてが人種差別を扱っている。そのエピソードのすべてが痛いところをついてるんですよ。練りに練られた脚本って感じですね。特に痛いのは一番この映画で救いのないライアン・フィリップ演じる正義感溢れる若い警官のエピソード。これって本当に救いがない。悲しすぎます。だからどうしたらいいんだ?って感じなんですよね。自分は差別なんかしない。そんな気持ちは持ってはいない。正義感溢れる彼は自分をそう信じていた。信じていたからの行動がどこかにある差別というよりも黒人に対する恐怖、黒人を信じきれない自分の弱さからとんでもないことを引き起こしてしまう。だったらサンドラ・ブロック扮する検事夫人のように前から歩いてきた黒人の二人を意識的に避けるべきなのか?でもここでもその行動が相手の怒りを呼び犯罪へと走らせる。差別する側される側、染み付いてしまった心の闇は簡単に拭いさることは出来ないんだろう。でもこの映画の若い警官のエピソード以外にはすべて救いがある。そしてその救いはすべて人との繋がり。人と人とがぶつかり合い「クラッシュ」が起きる。でも人は人と接しないでは生きていけないんですよね。深い作品だと思います。でもねぇ、検事のエピソードはなんか訳わかんなかった。というより為政者が自分自身の差別意識を取っ払わずに差別してはいけないよという表面だけで黒人を昇進させるとかって手段とってるっていうのを表したかったんだと思うんですが、そんなあからさまな物語ってこの中にはいらないように思うんですけどねぇ。

2006年2月27日(ナビオTOHOプレックス)

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