12月19日 またタモが・・・
12月19日(日)、本日は一人、蓋井島。
先週の爆釣劇が忘れられず、2匹目のどじょう、もとい、尾長を狙って、取らぬ狸の皮算用でやってきました。
少し時化てた方が良い釣果が得られる磯釣りですが、今日はベタ凪予報。
それでもグレだけに、なんとかまグレでも尾長が出ないかなぁ・・・。
んでもって今日は単独釣行。先週に引き続き、本日も皆用事があるとのこと。
さすがに2週連続で江田君を誘うわけにもいかず、今日は一人です。
でもまぁ現実を逃避して、海を前に一人で色々と考えながら釣りをするのも結構良いもんなんですよねぇ。
本日は、海上は南の風が強く吹く予報ですが、その風向きなら穏やかに釣りができそうです。
いつも通り、午前3時半には吉見漁港に着いて、「黒潮丸」に乗り込み4時に出港。
今日はお客さんも多く、15,6人ってとこでしょうか。
次々と磯に上がっていく釣り人の、荷物運びのお手伝いをしながら待ってると、結構早めに私の名前が
呼ばれます。どうやら本日上がる磯は、先週上がった場所と同じカケアガリ。ただこのカケアガリは、ここ
蓋井島へのもう一艘の渡船、「春日丸」との当番瀬になってるので、同じカケアガリでも先週の広くて滑り台
みたいな所と、狭くて崖みたいな所の2ヶ所があり、今日は崖の上から釣る、的な高い所。 初めての場所です。
真っ暗な中、他のお客さんに荷物運びを手伝ってもらいながら、無事に崖に荷物をおろします。
私的には、「上礁完了!さてゆっくりぼちぼち荷物を安定した高い場所へ・・・」と考えていたのですが、
船長からは「ライト照らしてるからその間に荷物持ってもっと上に上がって!」的なマイクアナウンス。
カケアガリの高い方、上がられた事のある方はわかると思うのですが、一人で船着けから高いとこへ上がると
なると、これが結構危険なプチロッククライミングなんです。しかも例によって、磯クールバッグとクーラーは
バッカンンやら予備の撒き餌やらが入っている関係でめっちゃ重たいです。
こ、この崖を、この重たい荷物持って今からすぐに上がるとですか・・・。と、内心では思いながらも、船が
ライト照らしてるってことは、私がこの崖を上がらないことには他のお客さんは船内で待機ってことなので、
仕方なく右手で岩を掴みながら、左手で重たいクールバッグとクーラーを自分の身長よりも高い所へ
なんとか移動完了。 右手滑らせたら間違いなく転落のこの場所、なんか崖っぷちに立たされた気分でした。
実際崖っぷちに立っているんですけど。 ってことで、一日の体力を使い果たしました。もう疲れたので帰っても
大丈夫です。 ほんとにそんなことを思いながら、辺りもまだまだ暗いんで、休憩がてらのんびりと仕掛けを
作ります。
で、本日の仕掛け。
竿 シマノ ファイアブラッド ダイブマスター
リール シマノ テクニウムMgc3000D
道糸 シマノ ハイパーデュラハイスピードミュー 2号
ハリス サンライン トルネード 2号、1,7号
針 がまかつ クロマルチ6号、7号
浮子 キザクラ 黒魂R00号
工房中村 テポダン3B
撒き餌は、オキアミ2角に地アミ半角、グレの舞2袋にパン粉3kg
今日は一応電気浮子も持って来てたから、暗いうちは電気浮子使って釣りするかなぁと思ってたんですけど、
何しろ朝のロッククライミングで体力を消耗してしまったもんで、真っ暗な海に撒き餌だけをパラパラと適当に
撒いて時間を潰します。
で、うっすらと辺りが明るくなり始めたかなって頃に釣り開始。
まずは、足元、際べったりを00の浮子をゆっくり沈めながら探ってみます。
するといきなり「ガツン!」 以上の、「ドスン!」って手ごたえ。
暗くて糸が見えなかったために、対処が大きく遅れました。
あわててベールを戻し、レバーブレーキに手をかけた瞬間、ハリスが瀬に触れる嫌な感触。直後に竿が
天を仰ぎました。痛恨の瀬ズレ。
急いでハリスを結び直し次を狙うも、磯際の「ドスン!」はそれ以降訪れませんでした。
徐々に際から仕掛けを離していき、何枚か良型の口太をゲット。
潮は右から左に緩やかな流れ。自分の右斜め前に仕掛けを投入して流すって感じなんですけど、
本音を言ったらもう少し釣り座を右に構えたい。と思って高い崖から下を見ると、低いんですけど
なんか良い感じの場所を発見。ちょっくら歩いて行ってみると、釣り座は低くてちょっとデンジャラスなんですけど、
時刻は丁度満潮時なんで、これから下げに向かって潮位は下がるから大丈夫でしょ。ってな感じで
竿とバッカンとタモだけ持ってそちらに移動。 この時点で、今日のタイトルのオチがバレましたかね?
んで、釣りを始めると、これがまぁ、なんと快適。しかも釣れる。
左手で道糸を持ち、微妙にラインをコントロールしながら、指先に来るわずかなアタリをキャッチし、同時に大きく
鬼合わせ。竿に乗ったら左手で持っている余分な糸を魚の引きに合わせ送り出し、余分な糸が無くなったら
ベールを戻し、レバーブレーキを握ってやりとり開始。 通称「ポコチンの舞」 違った。「中村の舞」
「アン ドゥ トロワ、アン ドゥ トロワ」 と、仕掛けの落ちていくスピードをカウントしながら、仕掛けが馴染んだ
所で「ポコ ポコ チーン」の誘い。 中村氏に言わせると、タイミングは「ポコ ポコ チーン」ではなく、
「ポコ ポ コチーン」なのだそうであるが、その微妙なタイミングまではよくわからん。
それでですね、仕掛けが張れてるとですな、ツボにハマった時にはどのタイミングでアタって来るのがわかるんです。
先週初めて気付いたんですけど。ほんと、不思議なもので。「ポコ ポコ チーン」の後で余分な糸フケを左手で
手繰ってラインを張ったら、「あ、来るならここだな!」ってのがわかるんです。ほんと。
来なけりゃ回収すりゃいいし、撒き餌の帯から外れてなければ、もう一回誘い直しても良し。
一回左手(ハンドルを撒く方の手)の指を使って、小さなラインの動きでアタリを取れるようになったら、ほんと癖に
なります。浮子なんて見てなくても、全く無問題です。むしろ、浮子にアタリが出た時には、すでに尾長は
針を飲んでることも多いそうですんで。
仕掛けを流してたら、いつの間にか、気づかないうちに餌取りにツケ餌を持っていかれて素針になっていたって
経験、誰もがお持ちでしょう。しかし、その気付かないうちに餌を盗っていった魚は、実は40cm、50cmオーバーの
尾長だった。ってことも、無きにしもあらずのようなんです。要はその小さなアタリが取り切れているか取り切れて
いないか。だそうなんですな。
で、その小さなアタリも逃さずにキャッチしようっていう釣り方が、この「ポコチン釣法」なんだそう。
事実、今日一番の43cm尾長のアタリは、めっちゃ小さかったです。「んっ?、波とは違うラインの感触が指に
来た?」って感じで合わせを入れたら、そっから「ギューン」です。 まぁ、超早合わせなんで、空合わせも多く
なりますが、この釣り方で私の釣果は明らかに、確実に伸びました。それも、ついここ最近の話です。
釣りをしてると、ある日ふと格段に釣りのレベルが上がる、いわゆる目覚める瞬間があるようで、カクちゃんは、
黒潮丸の先代がまだ船長をされている時に、今の船長と一緒に「源蔵」ってゆー名前の磯で釣りをした時だと
言ってました。それまでの3年間は、ボーズがほとんどで、釣れても足の裏が2枚とか、そんな感じだったようです。
中村氏も同じような感じだと言っていました。 彼は、常連さんと一緒に上がった、「威勢」で色々勉強させて
もらったようです。 ボーズ喰ろても、ボーズ喰ろても、それでも彼らは、心折れることなく蓋井に通い、今に至って
いるそう。
考えてみれば、私のチヌ釣りもそうでした。2007年の10月、小野田一文字でふと閃いたんです。それを機に、
チヌの団子釣りでの釣果は一気に伸びました。
で、私のクロ釣りは青海島での鯖島3番(後に1番であったことが判明)での釣りが、ある種のターニングポイント
でした。まだまだ潮など読めませんが、今振り返ると、あの青海島が自分のクロ釣りが明らかに変わった瞬間
だったと思います。
まぁ今の時期は餌取りも少なく、合わせたらクロ!ってことが多いんですけど、これが餌取りの多い時期に
なったらどうなるのかは、またその時期になったら考えます。
で、途中、右からの風がかなり強く吹き、テポダン3Bを使ってました。先週の誤爆にてトップはなくなっており、
仕掛けを流すとどこに浮子があるのやらって感じです。要は、棒浮子を使った沈め釣りって感じです。
おそらく、時々前を通る「黒潮丸」や「春日丸」の釣り人が私が変な棒浮子で釣りしてて、おまけにトップはどこに
あるかもわからないってな状況を見られると、「彼は何をやってるんだろう・・・」ってな感じだったと思います。
でもこんな訳もわからん釣り方で、不思議なことに全然問題なく竿が曲がるんですから。
朝マヅメ以外の時間帯でも、普通に尾長がアタってきます。
そして、その時は突然やってきました! 凪いでるはずの今日の海、いきなりウネリを伴った大きな波が、私の
釣り座へと這い上がってきました。哲っちゃん風に、バッカンを足で踏んづけて、「ほっほーい」とか言って波を
交わしましたが、引いていく波が何やら見慣れた高価なものを一緒に海に引きずり込んでいます。
タモでした。 幸い、ファイアブラッドの高価なタモではなく、釣りを始めた初期の頃に購入した、ダイワの
「クレッサ6m」でした。(それでも定価は4万いくらですが)。しかも、これまたタモ枠は、シマノのチタン製の高価な
タモ枠。 以前の青海島で紛失してからまだ半年も経っていないってのに、またもや同じタモ枠が・・・
パニックになり、慌ててタモで掬わなきゃ!と思いましたが、その肝心のタモが今流れて行っています。
引いていくサラシで一気に海中に潜り込み、海の藻屑と消えました。
何回か竿で釣り上げることを試みましたが、当然引っかかるはずはなく、長年付き合ってきた竹馬の友は、
ここ蓋井島は「カケアガリ」の磯で、星になってしまいました。
被害総額は、青海島を超える、4万5千円超え。過去最大の被害総額記録を塗り替えました。
後でカクちゃんや中村君にその話をすると、やっぱりこの場所で同じような経験をした人は数知れずだそうで、
中村君自身もリュックを流され、平瀬の釣り人に釣り上げてもらった経験があるそうな。
しかも詳しくは書きませんが、むしろここは、タモ1本で済んでラッキーだと思わなきゃいけない位だそうです。
そ、そんなに危険な場所だったとは・・・。
で、戦意は完全に喪失しましたが、取り敢えず時間はまだまだ10時過ぎ。納竿までには、まだまだ2時間以上も
あるので、渋々釣りを続けます。複雑な心境とは裏腹に、相変わらず魚は釣れますが、なんとか全部ブリ上げる
ことのできるサイズ。普段はタモを使うサイズでも肝心なタモがないので、少々強引にごぼう抜き。
これ、40cmオーバーの尾長とか来たらどうするかな・・・。とか考えてたら、午前11時、案の定奴はやって
きました。
これまでと同じように、「ポコ ポコ チーン」 と、誘いをかけていたら、いきなり、間のポコを抜かして、
「ポコチーン」でアタリが手元に伝わってきました。合わせを入れると、ベールが戻らない位の強烈な走り。
なんとかベールを戻しレバーブレーキに手をかけます。瞬間的に「よっしゃ!」とか思いますが、タモという
獲物の捕獲手段を失ってしまった本日、あんまりよっしゃでもないんですけど。
何度かの突っ込みを交わし、いざ取り込み。さすがにこれはブリ抜けないんで、この低い釣り座に寄せて来る
波に乗せて、磯の上に上がってきたところをランディングキャッチ(バス等の魚を、手で捕獲する方法)を
することにします。
で、予定通りに波に乗せて瀬際に上がって来たところで、早合わせの恩恵を受ける、まさかの針はずれ。
魚は1回ジャンプしたら海に帰れるといった場所でもがいております。
慌てて竿とリールを放り出し、瀬際におりて魚を抱き抱えます。滑りやすいクロの体をガッチリと胸に
抱きかかえ、「お前だけは絶対に逃がさんからな!」と、魚を威嚇しながらスカリにキープ。本日最長寸の
43cmの尾長でした。
結局本日の釣果は、尾長43cm、37cm、36mに口太40cmを含む足の裏からのクロが20枚近く。
帰港後、船長から「釣れた?」と聞かれ、今日の釣果を報告すると、ホームページに載せる写真を撮るから
クーラーを持って来てとの事。瀬ムラはあるかもしれませんが、どうやら他の磯ではあまり釣れてない模様です。
で、私がクーラーを開けると、集まって来られる他の釣り人の方々。
「おー、よーけ釣ってから。」 「ええ尾長もおらーね。」等々、賞賛のお言葉をいただきます。
更には撮影も終わり、車に荷物を積み込む最中にも、クーラーを見せて下さいと言われます。
「え〜っと、なんか・・・、むっちゃ気持ちいいんですけど・・・。」
もう、タモを紛失したことなどすっかり忘れて舞い上がっております。
数年、いや数ヶ月、いやいや、つい数日前までは他の人のクーラーを羨望の眼差しで見させて頂いてた私が、
今は逆の立場です。
訳もわからずクロ釣りを始めて、自分めがけて飛んできた浮子を華麗に交わしながら釣りをしたあの日から、
足かけ3年。父さん、遂に僕は、クロ釣り、しかも苦手な蓋井島で2周連続のまさかの竿頭です。
恐るべし伝説釣法、「中村氏のポコチン」 の舞
よし。今年はなんか良い年になりそうだぞ。 (あと5日位しかないけど・・・)
カケアガリの崖の上から、 本日の釣り座を撮影。 時々変な波が来て道具とか 持っていかれるんで、 本当はあまり降りない方が 良いみたいです。 |
|
今日の主役の、尾長君達です。 | |
先週撮影し忘れたんで、 今週は記念撮影と。 |
|
今日の釣果の一部でごわす。 えへっ |