7月13日  ファイアブラッド逝く


ここ数日、ずーっと怪しい天気が続いてました。
しかし、前日月曜日の段階では、翌日の天気予報は終日曇り。時折小雨がぱらつく程度のはずだった
のですが・・・

7月13日(火)、本日は久しぶりにカクちゃんとの釣りです。
実はカクちゃんも結婚後すぐに奥さんがノッコミに入ってしまい、釣りは半年振り。
冬の寒い聖夜を共にした、昨年のクリスマス以来です。

で、本日の待ち合わせは、私んちに午前2時半。
天気は、小雨がぱらつく程度の予報のはずが、何故かポリバケツをひっくり返したような大雨です。

こいつはぶっちゃけ行きたくねぇなぁと思いつつ、時々寝坊をして連絡が取れなくなるカクちゃんを、祈る
ような気持ちで今日も寝坊の方向で!とか思ってたら、残念ながら我が家に到着した旨の電話が入ります。

恐る恐る外に出てみると、そりゃーひどいもんでしたわ。
後で確認したら、その時間帯は山口県西部地方、1時間に26mlの超大雨が降ってました。
だもんで、車を出してくれるカクちゃんの車に荷物を乗せるまでに既に服はずぶ濡れ。

釣りキチのカクちゃん、しかも半年振りの釣りであることを踏まえると、恐らくこの雨でも何の迷いも無く行く
つもりなんだろうなぁとはわかっていつつも、「この雨の中・・・、行く?」と尋ねてみれば、案の定
「行くだけ行ってみようや!」との超前向きな回答。  あきらめて、渋々車に乗り込みます。

道中も美祢市の山の中は大雨が降っていて、このままでは水害でも起こりそうな雰囲気です。
(翌々日、実際に大変な大水害が起こったんですが・・・)。

で、出港予定時刻の4時前に青海島への渡船基地である「沖千鳥」に到着するも、相変わらず雨はひどい
状況で、受付カウンターで流れている天気予報によると、本日長門市は大雨洪水警報が発令され、一日大雨
とのことです。そんなわけで、私ら含めて5人の本日のお客さんのうち、一人の方は帰られました。
正解だと思います。

で、私。 全身からめっちゃ「俺らも帰ろーや」オーラを出しながらも、
「半年振りの釣り、行きたいなら付き合うよ!後は、カクちゃんの判断に任せるわ。」と言ってみれば、
これまた大方予想はしていたんですが、「行きたい」との答え。いやぁ、相変わらずなかなかの釣りバカっぷり
ですな。こうなったら仕方ないので、覚悟を決めて大雨にズブ濡れになりながらも荷物を船に積み込みます。

そして本日上礁した磯は、鯖島の19番ってところ。
他の磯は人が入って撒き餌を入れてるせいで、どこも小鯵がまぶりついていて釣りにならないとの事。
鯖島周辺はそんなに人も入ってないので、まだマシなのでは?との船長談だったので、他の2人組の方と共に
鯖島方面へ。


ほんでもって、ずぶ濡れになりながらの本日の仕掛け

竿    シマノ ファイアブラッドクォーターマスター 
リール シマノ テクニウムMgc2500D
道糸  シマノ ハイパーデュラハイスピードミュー 1.7号
ハリス サンライン トルネード1.2号〜2号
針    がまかつ クロマルチ5号〜6号 
浮子  キザクラ  黒魂トランプ00号(0渋を管付に改造したもの)
     釣研 スリムチヌ2号(いずれも浮力調整をしたもの)      テポダン2B〜4B  


撒き餌は、前回の残りにオキアミ1角、グレの舞1袋にあとは麦1kgとパン粉3kg。
総重量で15kg前後ってとこかしら。

まずは撒き餌を撒いて餌取りの状況を確認。
本日の餌取り、スズメダイをメインに、フグにベラってとこでしょうか。小鯵も時々釣れてきますが、さほど
気になりません。
ただ少し気になるのは、本日は波の高さが2m後1.5mってことで、朝のうちは少々ウネリが入ってること。

時々釣り座下の岩にぶつかった波が砕けて上から降り注いできます。まぁ、雨もどしゃぶりなんで別に良いん
ですけど。  あとですね、先週もそうだったんですけど、蚊がシャレにならないです。
虫除けスプレーを使っても雨ですぐに流されるんで、気付いたらスプールのラインを押さえている中指に、
デカい藪蚊が3匹も止まっているといった驚きの光景も。今日だけでスプレーを半分以上使いましたわ。

で、肝心の釣果なんですけど、棚変え仕掛け換えで、木っ端から30cmちょいまでそこそこ釣れてきてくれる
んで、天気は悪いんですけど釣り自体は結構楽しいです。
そんなこんなで、色々やってる私を見たカクちゃんが

「あれっ?さっきからライン修正とかもやってるし、ラインもきちんと張れてるし、タコちゃん、前より釣り、
上手くなってるんじゃない?」と声をかけてきます。

ムッフッフ、ようやく気付いたかね明智君。 実は俺、前に角島で車を運転してたら、急にお腹が急降下して
きたんでどっかに用が足せるトイレがないかと探してたら、なんか途中の綺麗な教会の前で天の声が聞こえた
んで、声に導かれるままにその教会に入ってみたら、そこはなんと伝説のダーマ神殿。
だもんで、そこで「初心者釣り師」から「見習い釣り師」へと転職してきたって次第なのよ。

これからは私の事、これまでの「かなりのへっぽこ釣り師」から、「やや中堅のへっぽこ釣り師」に生まれ
変わったと思って欲しい。 ってことでどしゃぶりの雨の中を、ただひたすらにキャストを繰り返します。


そして遂に、生涯忘れることのできないであろうその瞬間がやってきました。
浮子が海面から姿を消すと同時に、スプールを押さえていた中指がバチバチッと弾かれる体感ショック!
サイズはそんなでもないですが、今日一の33cm。ばっちりタモ入れサイズです。

しかしながら、海は満潮に近づき潮位も高くなり、ウネった波が岩とぶつかって飛沫となって飛んでくる回数も
増えています。

そんでもって私の使ってるファイアブラッドのタモの柄、確かに軽いし滑りも良いんです。
ただですね、やっぱりその〜、高価なタモの柄って、余分な所を極限まで削って軽量化しているためか、
芯がしっかりしていないと言うかそのー、伸ばした時に結構しなるんですよね。だから、今日みたいにウネリが
ある日なんか、海面にタモを入れると結構波に揉まれてしまうというか・・・。

で、この時も丁度そんな感じでした。魚を掬おうと、波のタイミングを見計らってタモを入れたはずだった
んですが、6mの長さをフルに伸ばしたタモの柄は大きくしなり、操作を誤り失敗。 
再度海面に魚を浮かせ、再トライをしようとしたその時でした。
ウネリを伴った大きな波が、魚とタモの柄の先をザブーンと揉んでいきました。幸い、魚はまだ付いています。
しかし、しかしです。

ふと高価なファイアブラッドタモの柄の先を見ると、何故かタモ枠が付いていません。
このタモ枠、ちょっと前に購入し、まだ数回しか使っていない高価なチタン製のタモ枠です。
一瞬、何が起こったのか理解できませんでした。

とりあえずタモの柄は側に置き、魚はハリスを手繰って引き上げました。
で、慌ててタモの柄の状況を確認すると、なんと1番が真ん中からへし折られています。
先程やって来た波がタモの柄をその先にあった岩の角へと押し流し、丁度テコの原理でへし折ってくれたようです。


「た、た、た、体感ショーック・・・」


タモの柄1番が折れたことももちろんショックですが、それ以上にショックなのがタモの枠。
ほんとにまだ数回しか使ったことのない、新品同様の一品なんですわ。
こいつは、かつて経験したことのない位に甚大な被害総額です。
 
この衝撃、ドラクエVに例えるならば、Uまでの復活の呪文が無くなり初めてバッテリーバックアップ機能
(カセットの中にそれまでの冒険データをセーブする機能)に変更されて売り出されたまでは良かったけれど、
レベルを40まで上げて、さぁラスボスのゾーマでも倒しに行くかとファミコンのスイッチ入れたら、例の呪いの
音楽と共に、「冒険の書が消えてしまいました」と、テレビ画面から死の宣告を受けた時と同じか、もしくはそれ以上。
「ちゃんとリセットボタン押しながら電源切ったや〜ん」と、頭の中を真っ白にしながら、テレビに向かって
ツッコミを入れた当時の小中学生の数、数え切れないんじゃないかと思います。


そんな訳で話は少し逸れてしまいましたが、要はそれ位ショックだったってことです。
カクちゃんは、そんな哀れな私に掛ける言葉が見つからないのか、私と目を合わせることもなく、ただ黙々と
海に向かって仕掛けを投げ続けています。

絶望に打ちひしがれながら、どんよりとした鉛色の空を見上げます。
雨は先程よりも勢いを増し、それはまるで私の心の中で溢れ出て止まらない大粒の涙の代わりをしてくれて
いるかのよう。
私は暫く、上を向いていました。上を向いたまま、ただ、歯を食いしばっていました。

下を向いてしまうと本当に、「だけど、涙が出ちゃう。男の子だもん。」状態になりそうだったから。

そしてそのまま、空を見上げながら思います。

「今、私の、願い事が・・・   叶うならば・・・  翼が欲しい・・・
この大空に、翼を広げ、飛んで行きたいよ。悲しみのない自由な空へ翼はためかせ、家に帰りたい。」と。

タモの柄と共に、完全にポッキリと折れてしまった私の心。
しかし、本日の迎えは13時。まだまだ暫くやって来ません。仕方がないので魚釣りでもやって、時間を潰して
みることにします。

空の色と同じく、どんよりと鉛色した心境とは裏腹に、魚は相変わらず結構釣れてくれるので、それなりに
楽しいのは楽しいんですが。

そんな中カクちゃんが、釣った小鯵を使って狙う獲物を変える作戦に出るようです。
どうやら、ヤエンを使ってアオリイカを狙う模様です。

数分後、カクちゃんが早速叫びます。「タコちゃん。来たよ〜」って。

見ると、竿はジワーッとしなり、なんか良い感じ。折角なんで動画を撮ってあげることにします。
後日、YOUTUBEにでもアップしてあげるね。

で、ある程度獲物を近くまで寄せ、自らの口にくわえていたヤエンを投入するカクちゃん。フィニッシュは近い。
すると、何故かいきなりエラ洗いをぶちかます推定アオリイカ。投入していたヤエンは、そのエラ洗い一発で
フッ飛んでいき、海の藻屑と消えました。

はて、最近のアオリイカはエラ洗いをしてヤエンをかわすまでに進化を遂げたんかいな?と思ってよく見たら、
なんと正体はヒラスズキ。ヤエンは一発ロストしたものの、60cm位のヒラスズキをゲットして、結果オーライで
ご満悦のカクちゃん。「で、とりあえず動画はどうする?アオリイカとヒラスズキを間違えた人って感じのタイトルで、
YOUTUBEにアップしときましょか?」って聞いたら、恥ずかしいからやめてくれとの答え。
動画自体はええ感じになってると思うんやけどなぁ・・・。

ってことで、代わりに今回はグレの神経絞めの動画をアップしました。
ほんと、この絞め方はおすすめです。カクちゃんも早速マスターしてました。
どの魚にも応用できますんで、今度チヌ釣ったらチヌの神経絞め動画もアップすることにします。

ってことで本日の釣行、最悪のコンディションと、過去最高額の被害総額をマークする悲劇に見舞われましたが、
魚自体は結構釣れたんで、それなりに楽しかったです。   それではまた。



写真では見にくいですが、
午前3時の時点で、長門市、1時間に26mlの
超ゲリラ豪雨に見舞われてます。

前日の予報は大きく外れて、大雨洪水警報が
発令されてました。

そりゃー、磯の上も酷いものでしたわ。
本日の釣り座、鯖島19番
で、ファイアブラッドのタモの柄1番を
へし折ってくれた岩。

シマノ社製チタンタモ枠と共に、被害総額は
4万円近く・・・
カクちゃんの釣果の一部
今日の釣果の一部です。
型は出なかったんですが、
数が出たんで面白かったです。
タモの柄1番が半分に。

パーツ価格表見たらめっちゃ高けーし・・・

しかも、買ったばかりのシマノのチタンタモ枠まで
無くなってもーたし・・・



グレ(クロ、メジナ)の神経絞め